遺言書、進まぬ財産整理、老いは意欲を減衰させる。

遺言書、進まぬ財産整理、老いは意欲を減衰させる。

遺言書については何度も書いてきました。遺言書の書けない経営者が、多いことも実感として感じています。自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる便利な制度もスタートしました。

財産目録には保険契約や不動産、銀行口座、株式などの債権、負債などを特定できるように整理する必要があります。なぜ財産整理が進まないのか、第一の原因は相続人に財産の実態を知られたくないので自分一人でやろうとするところにあります。そうこうしているうちに目が衰えピントが合わなくなります。パソコンに向かう気力がなえてきます。老経営者が遺言書を書けない理由について、考えてみました。

■遺言書が書けない本当の理由。

◆ それでも遺言書にかかれない老経営者。

お若い人には理解しがたいことかもしれませんが、遺言書を完成させることは難事業です。特に事業承継にからむ遺言書は、単に財産分与の指定だけではない経営上の複雑な問題がからんできます。

遺言書を完成させるためには、それなりの知識と情報収集力が求められますから、手間も気力も必要です。財産が多く、種類が多岐にわたるほど独力でまとめ上げることはハードルが高くなります。老経営者が遺言書にとりかかれない理由は、財産分与を決められないだけでなく財産の情報整理をするための気力が衰え始めていることもありそうです。

■遺言書、書き損じればただの遺書|それでも解らない経営者へ。

◆ 遺言は気力のある内でないと判断を誤る。

過去に何度も書いてきましたが、老経営者は遺言書を遺書と混同しているところがあります。遺書は死ぬ間際に家族への思いを書くもの、遺言書は、気力と判断力があるうちに相続人が納得し経営が承継されるよう財産の分け方を決める法律文書です。それだけに遺言書は気力も知力も充実しているうちにしっかり考え書いておく必要があるのです。

厄介なことは、歳を取り健康に自信がなくなると考え方が徐々に変わってくるのです。最初は経営に重きをおく考えが、次第に孫可愛やが優位になります。そうなると判断を誤ることにもつながりかねません。オーナー経営者である以上、会社の存続と従業員のことを第一に考えなくてはなりません。事業承継を考えた遺言書があるかないかで、事業の存続にかかわることもあるのですから。

■遺言書の誤解、遺書の無力まとめ。

◆ 取り掛かり棚上げが3回あれば要注意。

何度も遺言書に取り掛かって、完結できずに棚上げになっている方もいらっしゃると思います。その理由はよくわかります。

ご自分の健康に対する自信、そして誰に継がせるか腹が決まらない、相続税の節税対策で不動産が流動的で決まらないなどさまざまな事情はあると思います。

何度税理士に相談しても一向形にならないこともあります。情報を出し惜しみしたり正確な情報が手元になかったりと言うこともあるでしょう。税理士は財産情報の整理や相続税の試算はしてくれますが、腹をくくって財産分与を設計するのは自分しかいないのです。

税理士が必要なものは、相続税計算の元となる資料ですが、それは遺言書に添付する資料としては、不動産を特定する地番などで不完全なままになりがちです。遺言書では評価額は不要ですが、財産を特定する個別の詳細な情報が必要となります。このアンバランスが遺言書に添付する財産目録の障害になることがあります。税理士にすれば、相続税の試算が目的ですから遺言書が書けるかどうかまで面倒はみてくれないのです。

その結果、遺言書に取り掛かったものの、完結できず先送り、棚上げになります。これを3回ほども繰り返しておれば遺言書に黄色信号です。そんなバカなとお思いでしょうが、よくある話なのです。遺言書が書けない本当の理由は、そんなところにあります。

■遺言書の財産目録はパソコンOK、それでも書けない被相続人。

◆ そのうちコロナか認知症、後継者の破滅。

人間元気なうちが花です。しかしいつまでも元気で居られるとも限りません。ましてやこんな時代です。毎年人間ドックで健康管理をしていてもいつ何時(なんどき)、新型コロナでレントゲン肺真っ白、重症者になるかもしれないのです。三大疾病にかかって生還しても気力は半減することでしょう。もう一つ怖いのは認知症です。体が元気でも、もはやどうにもなりません。遺言書などとんでもないことになります。遺言書で指定しておかないと法定相続になり後継者は、辛苦することになるでしょう。

■遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

◆ 経営者ならボケる前に遺言書。

遺言書が書けない認知症は、自分で自覚してコントロールできなくなる厄介な病気です。経営者ならボケる前に会社のことを考えた遺言書を書いておくべきです。静かに忍び寄る認知症、気がついたら(気がつきませんが)知力も気力もなくなり、遺言書などもうどうでもよくなります。そいうことにならないよう思い立ったが吉日、とにかく一度、経営者ならボケる前に遺言書を完結させることです。

◆ 自覚がなくなる遺言書、まとめ。

遺言書はとにかく一度仕上げることです。しっくりいかない部分や、見直したいこともあるでしょう。それはお盆とかお正月に、折に触れて毎年見直せばよいのです。

遺言書が書けたら法務局に保管を依頼することです。安いコストで遺言書の正当性が保証されます。せっかく書いた遺言書を会社の金庫にしまったりせずに堂々と法務局に保管を依頼しましょう。

■遺言書の法務局保管開始、検認不要で費用激安。

どうも愚痴っぽい話で恐縮ですが、遺言書を書くということは骨が折れることなのです。遺言書が書けない老経営者を非難しているわけではなく、かく言うhokenfpも、いくばくも財産はありませんが遺言書を書いた方が後々よろしいと思っています。ところが遺言書があれば嫁や子たちは安心すると思いながら実は書く気が起こらないのです。まだまだ若いと思っていても、確実に言えることは、生き物としての人間の摂理として老いは意欲を減衰させるということです。

遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

遺言書は保険。

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