国税OB税理士の自己矛盾を暴くと驚く話が山盛り。

国税OBとOB税理士とは、ほぼ同義語です。国税OB税理士とは何者か?と言えば、一般に国税の徴収を管轄する国税庁や税務署のOBを指します。

税務署に一定期間勤務すると、退職後税理士資格を得ることができる仕組みがあります。たとえば何々署の署長を務め、退官後は税理士として開業されます。

(国税庁が管轄する国税には、所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税などがあります。)

それまでかかわりのあった企業や優良申告法人を顧問先をとして取り込み、税理士として独立されます。税務署での経験とコネクションを活用して、主に税務署と企業の橋渡し業務を生業とされます。たとえて言えば、警察と泥棒が入れ替わったような感じです。

なにしろ元署長ですから、税務署に顔が利きます。税務調査のツボと落としどころを心得ています。税務調査の場面でも「もうその辺でやめといたらどうや。」などと統括官に言える立場なのです。

国税OB税理士とは税理士のOBではなく、国税庁や税務署の国税調査官のOBで、税理士資格を得た方なのです。

従って国税OB税理士は、税理士試験に合格したわけではなく、長年税務署に勤務することで自動的に税理士を名乗ることが許された方なのです。

言わば定年後の生活のために与えてもらった、ご褒美資格です。れっきとした税理士の先生には違いないのですが、普通の試験合格組の税理士とはちょっと空気が違います。

国税OB税理士という先生は、税理士全体の3割から4割と言われています。思いのほかOB税理士は多いというのが実感です。

庶民には理解できない裏構造ですが、OB税理士の先生も人柄次第と言えます。実際課税当局の実情には明るく、顔も利くように思います。

何しろ元税務署長ですから、税務署のお偉方にとれば、煙たくてもコケにはできません。いずれ世話になるかもしれないからですね。

◆国税OB税理士の先生は、どっちの味方。

OB税理士の先生は、少々アドバイスの角度が違います。どうも当局の手先か、顧客の味方かよくわからない方がいらっしゃいます。OB税理士では一般の税理士と違い、アドバイスも課税当局の立場を代弁しているようなところがあります。

何人かの国税OB税理士の先生とお近づきになりましたが、当局の内情はよくご存知です。しかし税法や相続事業承継のテクニック、保険や節税は詳しい方が少ない印象です。というか経験がないので専門外という感じになります。

税務署内では個人課税部門、法人課税部門、資産課税部門のように担当部署が縦割りに分かれているそうで、その結果、OB税理士は得意分野が限られています。

それなら勉強して調べてくればよさそうなものですが、検索テクニックも、PC操作も疎い方が多いのです。何故かなと思い聞いてみると、署内では規律が厳しくメール禁止、インターネット禁止で定期的な転勤がありますから、情報に疎遠になるようです。

それゆえ相談するにも細心の用心が必要になるのです。(変なことですが、OB税理士にはすべてをオープンにして相談するにはためらいが残るのです。)

それでも、異なる視点、当局の見方、考え方は知っておく価値がありますから、国税OB税理士の先生のアドバイスも取捨択一しながら聞けば価値があります。

◆ 税理士の種類と国税OB税理士の不思議な立場。

国税OB税理士はもともと国税調査官であり、長じて税務署長のOBであることが多いと言うことは前項に書きました。国税調査官と納税者の立場に立つ税理士とでは、そもそも相反する立場です。

人によっては、もともとの徴税意識や正義感が邪魔をする自己矛盾に陥るようです。

ただ国税OB税理士は、税務署や税務調査のツボは理解されています。節税するにしても、どこまでが許容範囲かについては、見当がつくようです。

ただ、それ以上にグレーゾーンに踏み込むとき、OB税理士にはどうも素直に相談できないという、妙な警戒心が納税者側に起こります。

・OB税理士の先生、有税で節税保険はかけまへんで!

税務署上がりの元署長、国税OB税理士の先生に節税目的のがん保険の経理処理について相談したことがあります。

がん保険を既得権で抱えている企業は、退職慰労金の支給時期までなるべく解約したくないところです。全額損金で課税が繰り延べできて、解約返戻率が長期にわたりすこぶる良いがん保険は、既得権として残しておきたいわけです

補足:平成24年4月27日以後に契約するがん保険の保険料の取り扱いが変更になり、新たにがん保険に加入しても1/2損金でしか処理できなりました。しかし既契約には遡及されませんでした。現在では損金算入割合がさらに厳しくなりこの手のがん保険は販売されていません。

ところが中小企業では、数年もすれば社員は次々やめていきます。名目上は福利厚生ですが、実質は節税を目的とした簿外積立です。福利厚生目的で法人契約している保険であれば、退職者が発生した場合解約するのが当たり前です。

でもそれではせっかくの簿外積立が目減りして、無駄な雑収入が発生します。その結果、税金というコストが大きくなります。税務調査を前に、解約せずに切り抜ける方法はないか税務署OBの税理士の先生に恐る恐る相談すると、解約しなくても大丈夫とのことです。

エエッと驚いてよく聞いてみると、その分税金を払えば問題がないというわけです。おっしゃっていることは、有税で保険をかけるなら被保険者が在籍しようが退職しようが、税務署は関知しないということです。

在籍しない社員の保険料を損金で落とすのは、認めませんよというわけです。しかし、いくらなんでも有税で節税保険を掛けるほど愚かなことはできません。

どうも視点が違うの で聞きにくい先生もいたものです。

◆ 国税 OB税理士は税務調査対応の専門職。

OB税理士の得意は税務調査ですから、ツボは心得ています。優良申告法人はお上の意向を受けて、国税OB税理士の先生を一定期間顧問として契約します。持ちつ持たれつの関係です。

それで自分が署長時代の表敬状がかかった社長室で、税務調査対応専門の税理士としてアドバイスを仕事とするわけです。

今はさすがにお上の紹介はなくなりましたが、税務署長として権勢を誇っていても定年後は税理士として食っていかねばなりません。顧客となる可能性がある優良申告法人などに、あまり敵は作りたくないのが本音です。

全く立場が逆になりますから、頭の切り替えも必要です。節税指南でも何でもしなければ、経営者に気に入られるはずがありません。

元税務署長ですから、税務署に顔が利くだけではなく、調査内容や調査官の履歴などには詳しいですから、良い面もあります。しかし、どうも会話がかみ合わなくて、うかつに本音で相談できないところもあります。手の内を明かさずに付き合う、不思議な関係です。

ただ実感としていえるのは、相撲の土俵が東西入れ替わっても大差ないですが、警察と泥棒が入れ替わったような無理があります。元国税調査官で税理士事務所を開業されている先生は多数いらっしゃいます。しかし商売っ気がないとうか、武士は食わねど高楊枝的な雰囲気が漂っています。

人にもよりますが、どうもこの手の国税OB税理士の先生は、丁重に扱いつつも距離を置いてしまうところがあります。

◆ 国税OB税理士に内輪の事情を聞き取り。

税務署の年間サイクルで、税務調査の時期も決まるようです。

税務署の事務年度は7月はじまりで、6月に終わります。これは確定申告という大事業が1月から3月まであり4月はその事務処理に追われるからだそうです。

また正直な話ですが、4月~6月の成果は人事に反映されないので力が入らない時期だそうです。人事異動は事務年度に合わせて7月にあり、7月~8月は引継ぎや調査先の選定などの準備期間です。

よって9月~11月に国税調査官たちが自らの成果を上げるため、本腰を入れて税務調査を行う時期なのだそうです。そういえば確かにそのころに税務署から税務調査の連絡があります。

・調査官の出世要件は成果だけではない。

国税OB税理士によれば、調査官は調査で成果を上げても賞与加算は10万までだそうです。調査官の成果とは申告の誤りや不正を発見して、如何に多額の追徴課税を課せるかが問われます。いやな仕事ですが、若手調査官は出世ルートにのるために厳しい調査、成果を求めてくるそうです。

税務署での出世は税務調査での成果より、人間関係と所属部署がものを言うそうです。30歳過ぎで、出世ルートに乗れるかどうかで人生が決まるとのことです。銀行のようにわりと振り分けが早いのですね。

◆ 優良申告法人の税務調査対応に国税OB税理士。

優良申告法人であれば、諸般の事情からOB税理士との付き合いも必要です。優良申告法人の社長には、元税務署長から年賀状や暑中見舞いがきます。その後に税理士事務所開業の案内がきます。

優良申告法人では決算、税務申告用の税理士と税務調査対応用のOB税理士の2口を顧問契約していることがあります。どちらも肩書は税理士ですが、情報の質も方向性もずいぶん違います。

国税調査官から税理士への転身は、立場が180度変わりますから自己矛盾がありそうです。しかしOB税理士からは、税務調査の裏話なども聞けますから参考になります。

◆ 優良申告法人とOB税理士の深い関係。

優良申告法人として表敬されることは、条件がとても厳しいですが、優良申告法人になれれば税務調査でびっくりするような優遇があります。

ここだけの話ですが、税務行政に協力し署長や総務課長に会合の後の意見交換会で一杯注いでおくと、何かにつけて配慮いただき落としどころを見つけていただけます。

税務署の署長にすれば、調査対象でありながら引退後の顧客になる可能性もありますから、恩を売っておくということもあるわけだと思います。

優良申告法人では、税務行政に積極的に協力することがわが身を守ることになります。納税協会から拝命した役職は、100%出席し点数を稼ぎます。もちろん、OB税理士の先生も二段構えで受け入れます。顧問税理士がいても、それ以外に国税OB税理士の先生と顧問契約を結ぶのです。

日常の会計報告会やら決算処理などは一般の顧問税理士が担当し、当局との交渉ごとはOB税理士の先生の出番になります。

もう今ではなくなりましたが、国税から直接顧問契約のお願いに来られます。営業力の無いOB税理士の先生ですから、そこまでお世話しているわけです。

■優良申告法人の税務調査のウラ話、現場のリアルを体験から。

◆ 国税OB税理士の先生、まとめ。

存じ上げている元署長クラスのOB税理士の先生、数名とかかわらせていただいた所感を言えば、いずれの先生も普通の税理士とは違い、態度はデカイです。

禁煙の社長室で、灰皿を所望されるのでやむなくご用意したこともあります。税務職員はそれぞれ専門分野があり、OB税理士さんによっては、税務申告が適正にできるとは限りません。しかし税務調査の立ち合いでは、やはり威圧感が違います。

税務調査が無事終わり、お礼に食事にお誘いしたこともあります。お酒が入ると税務署の裏事情や税務調査のエピソードなど面白い話が聞けました。国税調査官も統括官も人の子という話です。

OB税理士の先生には、すごい方も存じ上げています。定年を待たずに若くして独立されたOB税理士の方です。バランス感覚がよくて、いかにも切れ者です。もちろんOB税理士としての違和感もありません。

定年退職後の片手間税理士と本気で独立したOB税理士とでは、向き合い方が違うのかもしれません。ただ独立OB税理士に、景気はどうですかと尋ねたら、笑いながらジェットコースターのようですね、と一言。税理士業務を軌道に乗せるのは並大抵のことではなさそうです。

・元国税調査官の自己矛盾。

税務署というのは強制捜査権もあります。また調査能力は半端ではありません。ただ国税調査官も人間です。いつ自分が調査される側につくことになるかもしれないという自己矛盾があります。

また国税OB理士もピンキリです。どちらの味方かわからない中途半端なスタンスの税理士や特定の分野しか知識をもたない税理士、保険を売りたがらない税理士など、お付き合いするにも相手を見極める必要があります。

OB税理士は総じて営業力がなく、武士の商法とまで申しませんが、お金儲けやブランドづくりがお上手ではありません。ただ税務署との交渉窓口としては、職場こそ違え元同僚ですから話の落としどころは熟知しています。そういう意味ではまさに適任です。

国税OB税理士の特性を理解したうえで上手にお付き合いする知恵こそが、経営のお役に立つと言えそうです。

■国税OB税理士の視点で税務調査を体系的に解説したページ
税務調査で狙われる会社の共通点|元国税視点で見るリアル。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

事業承継の停滞が言われていますが、全国の社長の高齢化が大きなうねりとして進んでいます。社長に限らず、人は高齢化すると体力的な問題や病気のリスクが高くなります。

社長の中でもとくにワンマン社長は、一人で決裁権を握っていますから、社長万が一のとは会社の一大事に発展します。

誰でも年をとると、物忘れがひどくなります。それだけだと大きな問題にはならないのですが、その物忘れの原因が病的なものであると、認知症を発症する可能性が高くなります。

今後、高齢者の増加により認知症患者は急増すると予測されています。さらに高齢化がすすみ、社長の認知症というような事態になれば一大事です。。経営という場面では、想定外の障害が発生することが予測されます。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 経営の視点で認知症リスクを評価。

家族に認知症の人がいるとわかりますが、それと気付いてもなかなか物忘れ外来などの医療機関を受診しようとしません。そのため治療することが遅れてしまい、病状が進んでしまうことがあります。

自分が認知症かもしれないというのは、一種の恐怖ですから受診に抵抗感があることは理解できます。

認知症がすすんでから、あわてて専門医に診てもらっても簡単に治る病気ではありません。治療しながらも、病状はさらに深刻化します。

体はいたって元気なのに物忘れだけでなく、現状が認識できない見当識障害が現れます。さらに進むと、家族の顔すらわからなくなり徘徊を始めます。

そこまで病状がひどくならなくても、認知症になればそれまでできていた正しい判断ができなくなります。それは経営において、致命的な問題を露呈することがあります。

・外から見てもわかりにくい認知症。

ご本人の外見だけでは、認知症の進行度はわかりません。外部顧客との対応は普通にできたり、電話の受け答えもちゃんとできたりしますので、問題がないように感じることもあります。でもその内容をすっかり忘れて、思い出せないのであとで問題がおこります。

認知症が進めば、一見大丈夫そうでも大事な約束を忘れてしまい、思いだすことができなくなるというようなことがあります。周囲の方が気をつけて見守るより仕方がないのですが、病状が進むとどこかで、どうしようもなくなるときがきます。

経営という視点で考えれば大事になる前に、認知症のリスクを正しく認識し、経営の一線を退いていただくよりありません。

もちろん後継者がいれば、という条件がつきます。後継者がいないか決まっていない場合では、経営を継続する選択肢が狭くなり、判断が一層難しくなります。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ ワンマン社長の認知症がやっかいな理由。

ワンマンで経営を一手に握って社員を引っ張ってきたような社長は、とくにご自分の病状を納得できないという傾向が強いようです。物忘れ外来の受診をすすめても逆に怒り出す始末です。

ワンマン社長の認知症はこうして、はれものにさわるように進行していきます。

専門医でしっかり診察を受けて治療すれば、病状の進行を遅らせたり、周囲の方の理解を深めたりできます。しかし頑固一徹のワンマン社長では、自分で自分のリスクが認識できずに、事態を深刻化させてしまうというやっかいな側面があります。

中小企業の社長と言えば、ワシがワシがで押し切るようなカリスマ性が必要です。経営ではそれが強力なリーダーシップとなって会社を引っ張る原動力になるのですが、認知症という病を得ると治療の障害になるということがあります。

◆ 決裁と決済ができない、契約ができない認知症社長。

社長の仕事は、経営判断と決裁です。そして中小企業の社長は、自ら支払の決済をされている方も多いと思います。認知症が進行し、医師が認知症と診断を下すと車の免許証の更新もできなくなります。

さらには本人の銀行口座からお金をおろすことや、契約などの行為ができなくなります。決裁ができなければ、もはや社長としての機能を失っていると言われても仕方がありません。

認知症社長は制約が多くなりますが、経営する会社は法人ですから認知症になることはありません。よって会社の口座が凍結されることはありません。

銀行印が押せれば、経営の資金は回していけます。ただ、後継者がいない場合や決済権を与えていない場合は、権限の移譲をすすめる必要があります。

決済権を離さずに認知症が進んだ場合は、後見人をたてて、かわりに判断を仰ぐ仕組みに移行するほかありません。

自分の病気を認めたくない社長でも、病状が進むとこれはまずいと気づきます。そのタイミングが遅いか早いかで、打つ手も変わります。ワンマン社長の首に鈴をつけられる側近、または家族がいるかどうか、というようなことになりそうです。

◆ 認知症で会社をピンチにしない事業承継。

ワンマンであろうがなかろうが、社長というのは経営の責任を一身に担っています。守らなければいけないのは自分の家族だけではなく、社員や社員の家族ということがあります。

認知症で判断を誤り、経営が行き詰るようなことがあれば、社員の家族の人生にまで影響を与えてしまうのです。

経営者の認知症によるあらゆる経営上のリスクを避けるために、社長はご自分が認知症になる可能性も考えておかなくてはならない重責がある立場だということです。

そのためには、いち早く事業承継対策に取り組み後継者を育成することが必要です。また「もしも」のとき経営判断をサポートしてくれる人材を身近においておくことが大事です。

経営上のリスクは認知症、だけではありません。コロナ禍でも平気で飲み歩く社長のような、リスクに無頓着では、経営の責任を自覚しているとは言えないのです。

■事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

◆ 社長の認知症リスク、まとめ。

世間では2025年問題がささやかれています。団塊の世代約800万人が、75歳以上の後期高齢者になるタイミングが2025年です。

その中に事業承継ができていない社長が、どれくらいいるかということが、問題になります。認知症から要介護認定に進むと、もはや経営判断どころではなくなります。自分で自分の世話ができかねるところまで、病状は進みます。

現状の要介護認定率は75歳から急増します。85~89歳になると約半数以上のひとが要介護状態になると言われています。

ところが、世の社長さんは独善的で自分だけは運があり、大丈夫だと思っているものです。そのため事業承継やリスク対策が後手に回ってしまうのです。

「ワンマン社長の認知症は会社を潰す。」などと脅かせてしまいました。しかし会社の経営ということで見ると、社長が認知症として診断され、後見人が選任されない限り経営判断は有効です。

認知症であっても取締役の立場や代表権は維持できます。誰かサポートがついて、認知症からくる物忘れや判断を補っていれば、大きな問題にはならずに済みそうです。

・保険の見直しは認知症になる前に。

hokenfpからのアドバイスとして、物忘れを感じ始めたら契約している保険を整理して見直すことをおすすめします。認知症になってからはどうすることもできなくなりますので。

しかし、そうなる前に自らが一歩引いてでも事業承継や認知症リスクについて社内で共有してください。できる対策を講じておくことが、社長のつとめであると思います。現実はそれほど甘くなくないということは、実感としてわかっています。それでも経験的に申し上げれば、認知症のリスクは経営において侮れないのです。。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

70歳以上の高齢社長の企業の48.17%が減収というデータがあります。後継者がいないと、いつまでも社長を引退することができません。これは高齢だから業績が悪いのではなく、業績が悪いから後継者がいないと言えそうです。

業績の良い会社でも、やる気の後継者を得ることは難しいという実態があります。中小企業の社長業は今どきの若者には人気のない職種のようです。

人は、いつかは引退し死亡しますが、会社は後継者がいる限り、そして経営が安定している限り死ぬことはありません。

そのためには適切な事業承継対策が早くから行われなければなりません。日々泥縄の経営であれば、事業承継対策とか、後継ぎなどということは、ついつい後回しになります。

ところが人間は生身です。病気や事故など思いがけない災難が降りかかることもあります。経営者の「まさか」は会社の「まさか」です。突き詰めるとそれは事業承継の「まさか」と言えると思います。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 事業承継の「まさか」が経営を危うくする。

人生には「まさか」がありますが、事業承継にも「まさか」があります。順調だと思っていても、いかに頑健な経営者といえども、様々な問題が降りかかるのが人生です。それを細心の注意でクリアしていくことが、生きているということです。

たとえばの「まさか」では、経営者の体調が急変するなど、大病ということもあります。身体は丈夫でも自社株評価が高くなりすぎ、多額の相続税が発生するというような経済的な「まさか」もあります。

また後継者として育成してきた息子が、自分のやりたい道に進む決断をしたというような、事業承継にとっては青天の霹靂(へきれき)のような事態も起こりえます。

その想定外の「まさか」にいかに用心深く準備して、事業承継を成功に導くかも経営者の手腕と言えると思います。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 社員が陰口をたたく若輩後継者の力量不足、人望は後からついてくる。

すべての後継者が優秀で人望もあり、適任ということはそもそもあり得ません。適任でなくても人望がなくても、経営者にならなければならないこともあります。

後継者は、当然若いですから経験も知識も未熟です。若輩後継者は、どうしても社員から力量不足と見られがちです。それはそれで自然なことだと言えると思います。経験を積んで、失敗をして、痛い目にあって経営者としての素養は蓄積されます。

若輩な後継者が経営の重責を担う際、社員からの陰口や不安が生まれ、会社全体の安定性が揺らぎます。しかし、人望や力量は時間とともに築かれるものであり、後継者には成長のチャンスも存在します。

最初からうまくいく経営者は、後が怖いと言えそうです。経営者は小狡く、用心深く、リスクに敏感でないとつとまりません。社員の言うことを鵜呑みにせず、自己責任で情報のウラを取るぐらいの、猜疑心が求められるのです。

そういう経験を積み重ねて、力量不足を補い、なめられないようになると、人望は後からついてくるとしたものです。吹けば飛ぶような中小企業のオーナー経営者に求められるのは、カリスマ性と徹底した用心深さです。

◆ 後継者はベンチャーであるべし、経営運次第。

後継者は、先代が歩いてきた道とは違う道を歩もうと、必死でもがきます。すでにレールができている道を外れてベンチャー的にチャレンジすると、それほど簡単に軌道にのるわけがありません。

しかし、後継者に経営運があれば、道が開けることもあります。経営とは、運次第なのです。いくら優れた事業アイデアでも時代の潮目にのれなければ、あるいは時期尚早であれば、目に見える成果を上げることはできません。積み重なると不採算事業のオンパレードになります。

それは本人の努力というより、持ち合わせた運に左右されるのです。それゆえリーダーシップや新しいアイデアを持つことが、後継者に求められます。挑戦的な環境での経験は、企業の発展にプラスの影響を与える可能性があります。

そんなはずはない、自分の実力でのし上がったのだとお考えのオーナー経営者もいらっしゃると思いますが、そう考えるのも運の内なのです。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 解決策とサポートの重要性。

後継者の力量不足や事業承継に伴うリスクに対処するためには、慎重な計画と効果的なサポートが不可欠です。まず、企業は後継者の育成に重点を置くことで、組織内でのスムーズな承継を促進できます。教育プログラムやメンターシップを通じて、若手経営者が必要なスキルや知識を身につけることが期待されます。

さらに、外部のアドバイザーやコンサルタントの利用も検討すべきです。経験豊富な専門家が企業に的確なアドバイスを提供し、事業承継の成功に向けて支援します。

◆ 若手後継者の成長促進と信頼構築。

若手後継者が社員や従業員から信頼を得るためには、経営力の向上だけでなく、コミュニケーションやリーダーシップのスキルも重要です。

効果的なコミュニケーションを通じて、社員との信頼関係を築くことが、組織内の安定性を保つ一因となります。また、後継者が自身のビジョンをクリアに伝え、組織全体を巻き込むことも重要です。

◆ 事業承継の将来展望と中小企業の役割。

事業承継の問題に直面する企業が解決策を見つけ、持続可能な形で経営を継続することは、地域社会や雇用にとってもプラスの影響を与えます。

中小企業は地域経済において重要な役割を果たしており、健全な事業承継はその存続と成長に寄与します。

◆ 中小企業の事業承継M&A:失敗が5割以上のリスク。

後継者がどうしても見つからない場合は、M&A(合併・買収)は確かに合理的選択肢です。しかし失敗すると廃業への道が待っています。中小企業で後継者がなく、事業承継M&Aを考える経営者が増加していることは、後継者不足の折から間違いないところでしょう。

ただ、事業承継M&Aであってもその失敗例は数え切れません。一説には半分以上が、失敗の道をたどるそうです。決して楽な道のりではないわけです。

M&Aでは、知らない会社同士が、腹の内を隠してくっついていくわけですから、シナジー効果を言う前に相互不信が渦巻くのが普通です。M&Aに進む前にまず力量不足の後継者をやる気にさせ、じっくりウイスキーの熟成のように育成します。そして保険契約などを駆使して、事業承継の「まさか」をカバーします。

事業承継M&Aは、高齢化が進む中小企業経営者の事業継続における切り札的な手法です。しかしこれは、慎重な計画やリスク管理の必要性を示唆しており、リスク覚悟の最終選択肢と言えそうです。

後継者不足が深刻化する中、中小企業の経営者はリスクを覚悟した最終的な選択を迫られています。事業の未来を見据え、戦略的な判断が求められます。リスクヘッジや適切なサポートを得ながら、持続可能な事業承継を模索することが極めて重要です。

■中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

◆ 事業承継の「まさか」と後継者の力量不足、まとめ。

事業承継はそのつもりであらゆる手を尽くして、早くから準備しても予定通りにはいきません。後継者もなかなか腹をくくりませんし、力量にも不満が残ります。税制や法制度が変わり、準備してきたことが無駄になることもあります。

総じて、事業承継における後継者不足の問題は複雑であり、個々の企業に合わせた戦略が必要です。ただし、適切なサポートを受けながら計画的かつ柔軟に対応することで、中小企業の事業承継が成功する可能性が高まります。早くから事業承継対策に取り組んでいると、次の対応もやりやすくなります。

事業承継には「まさか」という思いがけないリスクもあります。後継者には任せて、失敗させて、力量を蓄積させることです。失敗から学ぶことが人を大きく成長させます。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

日本の中小企業が直面している深刻な課題の一つが、事業承継の困難さです。高齢化社会の中で後継者が不在となり、企業は清算・廃業かM&Aかという厳しい選択を迫られています。

中小企業が直面する事業承継の危機に焦点を当て、後継者不在がもたらす中小企業の事業承継の深刻な状況に迫ります。高齢化が進むなか、経営者の後継者が見つからないという課題は、事業の存続を脅かす重要な要因となっています。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 事業承継の停滞と社長の高齢化がピンチを招く。

日本の中小企業の社長の現状は高齢化がすすみ、社会問題化しています。高齢者とは、65歳以上の方を指すそうです。総務省のデータによれば2020年は3617万人です。これは総人口の2割を超え28.7%となり、過去最高となりました。

高齢化した社長が多くなっているにも関わらず、事業承継が進まないのは、高齢な社長がいつまでも居座っているからではありません。後継者が不在であったり、事業承継対策が遅れていたりすることが根本の原因にあります。

その結果、日本の社長さんの平均年齢の上昇が続いています。その中で後継者不在に悩む企業は、全体の65%と危機的な状況になっています。

このままいけば、日本の中小企業は半減することになりかねません。日本全体で見れば、地方切り捨てであり、中小企業に依存する庶民の生活を、脅かすことに他ならないと言えると思います。

■事業承継のまさかと後継者の力量不足が会社を揺るがすリスク。

◆ 中小企業の廃業は深刻な社会問題。

日本の中小企業は全企業の99%に及びます。そこに雇用されている従業員数は、労働人口の70%といいますから、中小企業や個人事業者の存続は、社会問題になるわけです。

データによれば、団塊世代の経営者の大量引退時代を前にして、なんと法人・個人合わせて、半分の経営者が廃業すると答えているそうです。

廃業に至る理由は様々ですが、後継者不在という深刻な問題が、廃業理由の3割に上ります。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 高齢化と後継者不在の背景。

日本の中小企業は、多くが家族経営や創業者主導で成り立っています。しかし、高齢の経営者にとって、後継者に経営を引き継ぐことが難しくなりつつある現状があります。

後継者候補が家族や親しい関係者に限られる中、後継者候補が経営に興味を持たない、または他の職業や生活選択を優先するケースが増加しています。このため、経営者が高齢であることが、後継者不在の課題をより深刻化させています。

◆ 中小企業では、息子はいても後継者はいないという摩訶不思議。

残念なケースでは、会社の業績は悪くなく、子供がいるのに継ぐ意思がないというケースです。継ぐ意思がある子がいても継がせられないというのも困りものですが、継ぐべき能力があっても、自分の能力を生かした道で生計を立てたいというケースも見かけます。

今どき誰もが、社長になりたいとは思っていないということがあります。重い責任を背負って経営を引き継ぐには、それなりの覚悟が必要です。

うまく経営できてあたりまえ、方向性を誤って経営を左前にしようものなら全責任を背負って途方に暮れなければならないのです。穏やかな人生を望む方には、まさに試練の選択になります。できれば平和なサラリーマンが理想の人生ということも、価値観としては当然あると思います。

摩訶不思議と書いたのは、息子がいて、継ぐ気もあるのに任せられないというケースです。すべての息子さんが後継者に向いているわけではないという事実は、事業承継では誠に悩ましい問題になります。

息子に継がせるか、それ以外の選択肢を模索するか、自社株をどう動かすか。こういう事業承継は、さらに苦慮を伴う判断を迫られることになります。

◆ 事業承継税制の整備が進んでも、後継者不在では使いようがない。

事業承継を円滑に進めるために、事業承継税制が整備されてきました。納税猶予制度による事業承継にかかる相続税は、猶予とは言いますが、後継者の代で考えれば実質免除と同じです。

事業承継税制が整備されても、自社株を誰に引き継ぐかが問題になります。後継者がいなければ、実際なすすべがありません。

後継者不在の中小企業は多数に上りますが、後継者がいなければ育てるしかありません。それができなかったり失敗したりすると、その先は廃業・清算かM&Aかということになります。

事業承継とは一方では税金との戦いであり、もう一方では後継者の選定と育成であるということです。後継者は親族である必要はないのです。選択肢を広く構えて人選を急ぐことが肝要です。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 中小企業切り捨ての国策と事業承継支援の矛盾。

多くの中小企業に生活を依存する、大多数の裕福ではない勤め人は、中小企業が切り捨てられたからといって大企業に転職できるわけではありません。貧しいながらも、額に汗して真面目に働く人たちがいます。国が目ざしている生産性の向上が、直ちに国民皆の幸福につながるとは言えないと言うことです。

後継者が、意欲をもって中小企業の経営に取り組めるような環境整備が必要なのです。補助金や助成金などのバラマキ政策だけでなく、事業承継に前向きになれる市場環境、地方復権につながる施策を立案すべきときがきています。

◆ 行き詰まる事業承継、廃業・清算かM&A。

後継者不在が続く場合、事業の行方は極めて厳しいものとなります。一つの選択肢は、事業の廃業・清算です。企業としての活動を停止し、従業員を解雇することを含みます。資産を整理し債務を精算することで、経営者が安心して引退できる一方で、地域経済や雇用に与える影響は大きいです。

もう一つの選択肢はM&Aであり、どちらの選択肢も地域社会や従業員、取引先といった関係者に多大な影響を及ぼす可能性があります。

(M&A(エムアンドエー)とは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を意味します。)

◆ 解決策と支援制度の模索。

後継者不在の事業承継の問題を解決するためには、様々な角度からのアプローチが求められます。地域社会や業界全体での情報共有やネットワーキングの促進、若手経営者の育成プログラムの強化などが考えられます。

また、国や地方自治体が提供する支援制度の充実も重要です。経営者の相談窓口の整備や資金援助、事業引継ぎのための助言などが、後継者不在の企業にとって救済策となり得ます。

後継者不在が中小企業における事業承継を脅かすなか、包括的で持続可能な解決策の模索が求められます。この問題への理解と対策が、地域経済の安定と中小企業の持続可能な発展に貢献することでしょう。

◆ 後継者がいない事業承継の選択肢、M&Aのハードルまとめ。

事業承継において後継者が不在であれば、企業は存続の危機に陥ります。引き継ぐことに失敗すれば廃業・清算かあるいはM&Aという、社員にとっては厳しい幕切れが待っています。

後継者が不在という状況は、企業にとって大きなピンチです。後継者を人選し育成するか、M&Aを検討することを始めなくてはなりません。

選択肢として考えられる手法。

・社員の中から後継者候補を選抜

・外部から経営者候補の招へい

・M&A事業譲渡の検討

・廃業・清算

後継者がいない中小企業では、会社を存続させるために事業承継の選択肢としてM&Aを検討することもあります。

後継者がいないからと廃業すると、社員や取引先にも迷惑が及びます。できることなら誰かに引き継いで会社を存続させたいと思うのは、経営者の自然な気持ちだと思います。

ここにきて導入が決まっているM&A税制も事業買収の大きな動機になります。M&Aの仲介機関も多岐にわたり活発に活動しています。M&Aはひとつのチャンスではありますが、後継者の選定に行き詰った場合の次善の手段です。後継者がいなければ、まず後継者を育てる努力が必要でしょう。

・後継者の育成と経営権の移譲をスムーズに。

そうなる前に、事業承継の対策を行うことが大事です。そして後継者が決まれば、高望みせずさっさと潔く全面的に引退することです。

経営者から見れば後継者は誰しも未熟です。欲を言えばきりがありません。どこかのアンケートのように、後継者に望むものとして「事業経営への高い意欲・社員に信用される優れた人間性・事業承継に応じる強い意志・業界に精通していること・業界内の交友関係に長けていること」があります。

そんなものは、最初から後継者に身についているはずがありません。現経営者でもいくつか欠けているとしたものです。

後継者を育成するには時間がかかります。そのことを念頭に事業承継に取り掛かることが大事です。事業を継続することは、従業員の雇用の維持や企業としての社会的責任の継続でもあります。

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