事業承継の難しさ、双頭の経営権。

事業承継の難しさ、双頭の経営権。

オーナー経営者の生命保険にかかわると避けて通れないのが事業承継です。事業承継とは経営権を後継者に引継ぎ会社を継続的に存続させる手続きを指します。

法人で契約する生命保険も個人で契約する生命保険も事業承継には大きな役割と意味を持ちます。経営権の委譲や生命保険を活用した資金移動、相続税対策は万全に整備して抜かりなく進めても、問題が残ることがあります。多くの場合やっかいなことは実質的な経営権の移譲は、それほどたやすくないということがあります。

hokenfpもそこそこの年になりましたから、長年の経営経験に基づく進言を老害などという言われ方は心外ですが、しつこく会社に顔を出して、後継者が決めたことを覆しているようでは、役員退職金が否認されるリスクだけではなく、会社としての指揮命令権が破綻し、幹部社員がどちらを向いて仕事をすればよいかわからなくなるというものです。

事業承継の難しさは実質的な経営権の委譲にあると申し上げても過言ではないと思います。頭が二つになれば経営判断が割れてしましまいます。双頭の経営者など組織運営では迷惑になるだけなのです。

◆ 後継者は失敗するために経験している。

後継者は年齢も若く経験も少ないので判断すべき情報が少なくなります。また価値感そのものが違いますから正しい判断ができるとは限りません。引退した経営者が適切なアドバイスをすることで物事がうまく進むこともあるかもしれません。

しかし、若き経営者は失敗をするために経験しているのです。失敗を重ねて経験を積み経営者としての知識や知見を得て成長するのです。後継者にとり失敗ほど価値のあるものはありません。いくら経営の本を読んでも経営セミナーで学んでも身につきません。実際の経営の現場で体験した知識こそ価値があります。

若き後継者は自分で判断し、幹部を動かし、会社をコントロールしようとします。あたりまえのことですが、それが最初からうまくいくはずがありません。自分の意向をくんで行動できる若手の部下を配下に集め、先代についてきた経験豊富であるが煙たい幹部を遠ざけたり排除したりします。耳の痛いことを言う幹部を遠ざけます。

そこには会社全体を含めた世代交代が起こります。その結果、これまで蓄積されてきた知的資産とベテランによる暗黙知はリセットされ、新たな経験値の蓄積が始まります。

◆ 後継者が首尾よくできないのは当たり前、自分の来た道を思い返せばよい。

後継者が先代オーナーより首尾よくできないのは、むしろ自然なことなのです。「子供叱るな来た道じゃ、年寄り笑うな行く道じゃ」という言葉ありますが、人生は一度きりです。子供時代は2回経験出来ないですし、老人はやがて旅だちます。そうして物事や人は繰り返し入れ替わるようになっています。経験不足で間違いや失敗があるのはすべて学びのためです。さんざん失敗から経験し、世の中の仕組みを学んでようやく経営者として知恵がつき、小狡く立ち回り、わかりかけたころは、足腰も弱って口うるさいだけの老害老爺になり果てているのです。物事には順番があります。後継者がうまくできないのはあたりまえ、自分の来た道を思い返せばわかるはずです。

◆ オーナー経営者、譲れないなら引退無用。

何人もの創業オーナー経営者を見てきましたが、権限移譲は口で言うほどたやすくはありません。むしろ見苦しいまでに拘泥します。とことん支払いに関する決済権は手ばなさず、入院するとき決済印を病院に持ち込むほどのこだわりがあります。

オーナー経営者はワシがワシがでやってこられたわけですから、今さら引っ込むすべを知らないのです。よくよく聞いてみると自分は遠慮して任せているつもりというケースが多く、口出しの自覚がまるでないのです。

体が元気なら、動けなくなるまで、ボケるまで経営者を続ければよいのです。譲れもしないのに引退しないことです。その結果せっかく段取りして着々と進めてきた事業承継の資金計画は再度リセットする羽目にはなりますが、それも仕方がありません。譲れないなら引退無用と申し上げたいところです。

◆ 事業承継の難しさ、まとめ。

事業承継は経営権の委譲です。引退当初の経営者はまだ、頭髪は白くなったり薄くなったりしていますが馬力があり、ご自分の体力や知力にも自信があります。

会社ですることが少なくなったからと言って毎週毎週ゴルフで時間をつぶすにも限界があります。時間がゆっくり流れだすと目につくのが後継者の甘さです。

経営に不慣れな若き後継者は頼りなく見えるのは当然のことですが、それがなおさら見た目以上の事業承継の難しさを象徴しています。しかし、如何に困難な事業承継でも時間がたてば問題はなくなっていきます。

老いるということは万人に公平に訪れます。やがてパソコンの小さな字が見えにくくなり、しばらくすると目がかすんできます。足腰が弱り階段の上り下りに勢いがなくなります。お酒も弱くなり、人間ドックではいくつもD判定がならび再検査の指摘を受けるようになります。

時間が自然に事業承継を進めてくれるのですが、それまで後継者が待てるか、辛抱できるかという問題が残ります。

経営とは環境適応業であるとも言われます。時代の潮目に合わせて変化し改革しなければ生き残れないのです。時代に合わせて一定のリスクを取りながら先行投資をためらってはいけないのですが、双頭の経営になると中長期的な投資計画がとん挫し変化への対応がおざなりになります。これが長引くと経営はじり貧に追い込まれ先行投資する余力を失い、事態は深刻なゾーンに突入します。

ある会社では後継者に権限の委譲ができず、後継者は長らく副社長という立場でした。要するにお前には任せないという創業経営者の意思が現れています。先代が創業オーナーであると余計に事業承継は難しくなります。まさに双頭の経営権が長年続くと会社も幹部社員も疲弊します。15年もの間副社長で、ようやく順番が回ってきたときには、すでに会社が傾いて手放さなければならないという、事業承継失敗の図も事例があります。引退するならあっさりと、一切の口出し御法度で任せてしまうことです。お気持ちは察するにあまりありますが、しがみつくのもほどほどにと申し上げたいところです。

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