医療費控除、e-Taxマイナンバーカード方式のわかりにくさを整理。

※本記事は2022年時点でのマイナンバーカード方式にチャレンジした記録です。その後、改善され使いやすくなった部分もあります。現在に通じる部分もありますが、過去の記録としてお読みください。

すでにe-Taxマイナンバーカード方式で令和4年分医療費控除の確定申告を終えて、還付金が1月中に入金しています。過去に税務署から利用者識別番号とパスワードをいただいていますから、ID・パスワード方式の方が簡単なのです。しかしチャレンジ精神で、マイナンバーカード方式に取り組んだ難儀な記録は、過去の記事に書きました。

■医療費控除確定申告、マイナンバーカード方式の迷路、これは無理!?

e-Taxマイナンバーカード方式は、慣れないと全く理解できない複雑な仕組みです。わからないままに確定申告ができたのは僥倖と言うべきなのですが、それではチャレンジした意味がなくなります。マイナンバーカード方式のわかりにくさを整理して説明できるようにしたいと思っています。

■医療費控除とは、やり方、確定申告の外せない15の注意点を総まとめ。

◆ e-Taxマイナンバーカード方式のわかりにくさの原因。

これまでID・パスワード方式で確定申告のデータを送信してきましたので、医療費控除の確定申告はとてもシンプルに処理できました。

しかしマイナンバーカード方式では、マイナンバーカードのICチップに組み込まれたデータで公的個人認証を行う必要があります。そのための事前設定がかなり込み入るため、何をしているかわからないままに進み、慣れない方には大きな不安になると思います。

マイナンバーカード方式では、全体像がわからないということが難点となっています。いろんなアプリをインストールしたり、関連サイト間の連携をしたりなどが、迷路のようになってしまっています。

何度も同じパスワードを要求されたり、マイナンバーカードの読み取りも複数回必要になったりします。そこでわかりにくさの原因を、項目に分けて整理してみました。お役に立てば何よりです。

1)e-Taxマイナンバーカード方式へのルートが複数。

建て増し旅館のように別棟がつながっており、入口が複数あることが一番大きな迷う原因だと思います。中に入っていくとルートが枝分かれしていますが、これはよくあることで条件が変われば手順が変わるからです。ところがマイナンバーカード方式には、表玄関が最低2つあるのです。

そのうちの一つがマイナポータルの「もっとつながる」からe-Taxへというルートです。マイナポータルにログインしてから「もっとつながる」を選択してe-Taxのサイトへ移動します。

もう一つのルートは、国税庁の確定申告書作成コーナーからマイナンバーカード方式を選択してe-Taxで電子送信する方法です。こちらのルートではマイナポータルと連携するというボタンが途中にあります。意味が分からずこちらを選択すると混乱します。

医療費控除の申告であれば「連携しないで申告書等を作成する」を選択すれば迷いは少なくなります。これまでのようにe-TaxのID・パスワード方式で申告書の送信をするところを、マイナンバーカードを利用して個人認証し申告書データを送信します。

これならマイナンバーカードを利用するメリットはあまり感じられないかもしれませんが、マイナポータルと連携するのはもう少し先にしてもよさそうです。

2)e-Taxの複数の意味が理解できていない。

医療費控除では、国税庁の確定申告書作成コーナーで作成した申告書類をe-Tax(国税電子申告・納税システム)で送信するときにe-Taxの機能を利用します。実はe-Taxと一口に言ってもいろいろなルートがあります。

本来は「e-Taxソフト」を使用して確定申告書類などを作成して、電子的に申告書を提出する仕組みをe-Taxと呼びます。そのe-Taxソフトにも下記のように種類があります。

e-Taxソフト(ダウンロード版)
e-Taxソフト(Web版)
e-Taxソフト(SP版)

個人が行う医療費控除やふるさと納税の申告ぐらいなら、e-Taxソフトの世話にならなくても、国税庁の確定申告書作成コーナーで十分なのです。そこで作成した申告データを電子的に提出できる仕組みが、e-Taxを利用した電子申告というわけです。

e-Taxで検索すると上記の情報が混在することになり、わけがわからなくなる原因となっています。医療費控除などの還付申告ならe-Taxソフトはいらないと思います。国税庁の確定申告書作成コーナーと、e-Taxのデータ送信機能を利用した電子申告で十分完結してしまいます。

3)事前セットアップが複雑すぎて、意味不明。

国税庁の確定申告書作成コーナーからe-Taxマイナンバーカード方式で申告書を電子的に提出するときにはどうしても、公的個人認証、要するに個人を証明する電子認証が必要になります。これは本人確認と電子的に提出された申告書データの真正性を保証するためには避けて通れないところです。

それはよく理解できますが、事前セットアップと呼ばれる手順は、慣れない方を不安に陥れます。手順を説明しているPDFは15枚もあり、出てくる単語の意味が一般人にはさっぱり理解できないのです。

慣れない方が最初にまごつくのも無理はありません。事前セットアップと一言で済ませていますが、ここはマイナンバーカードで本人認証ができているなら、ボタン一つに改善しないと意味不明の泥沼になります。

■e-Taxマイナンバーカード方式の事前セットアップ。

4)マイナポータル連携不十分、医療費控除は連携不要。

マイナンバーカードでログインするマイナポータルの売りは、マイナポータル連携なのですが、まだ有効に利用できる段階ではないと言えます。

仕組みとしてマイナポータル連携は、政府が運営するオンラインサービスとして確定申告書の作成に有効です。生命保険料控除証明書等のデータを一括取得できたり、医療費の明細書を確定申告書の該当項目へ自動反映できたりする優れモノの機能です。

ところが、対応している保険会社は増えてきましたが、仕組みがバラバラで使いやすいとは言えませんし、すぐにデータが反映しないのです。医療費の明細書は郵送されたものと同じで、相変わらず1年分揃いません(令和4年度から一年分のデータが揃うとのことですが、)から医療機関の領収書集計が二度手間になります。

■医療費控除で医療費通知書が役に立たない理由。

医療機関への交通費や明細にない医療費もありますからどうも素直に喜べない仕組みです。今のところ自分で集計して手入力した方が早くてわかりやすいです。

ふるさと納税の連携や住宅ローン控除に関するデータも連携できるそうですから、便利になるかもしれないと思います。でもまだ工事中の家のようなもので、家にはとりあえず中に入れますが、窓枠がないので寒くて寝泊まりできないような、開発途上を感じます。

5)暗証番号や識別番号が複数あり入力回数が多く間違いやすい。

識別番号や暗証番号が多すぎて間違いのもとになっています。たとえばマイナンバーカードの暗証番号では、下記があります。

(1)利用者証明用電子証明書用
住民票の写し等のコンビニ交付サービスやマイキーID設定を行う際に使用します。

(2)署名用電子証明書用
e-Taxなどインターネットを使用した電子申告の際に使用します。

(3)住民基本台帳用
住所異動の手続きを行う窓口で転入手続等に使用します。

(4)券面事項入力補助用
新型コロナワクチン接種証明書アプリを利用する際等に使用します。

もうひとつはe-Taxを利用するための識別番号と暗証番号(税務署が発行します。)

(1)利用者識別番号
納税者を区別するために税務署が発行する16桁のID番号、確定申告では必須です。

(2)暗証番号
利用者識別番号とセットになった暗証番号です。自分で決めて登録します。

複数のサイトを連結しているということもありますが、マイナンバーカードの読取を何度も要求してきます。同じことを要求されると手順が間違っているのではという不安に駆られます。

全体像が見えない利用者にとって、今どこにいるかがわからずに不安が残ります。あとどれくらいで完結するのか、一体今自分がどこにいるのか、手順が正しいのかどうかがわからないので混乱するのです。

■医療費控除とは、わかりやすく超簡単に!基本のキまとめ。

◆ e-Taxマイナンバーカード方式のわかりにくさ、まとめ。

左は読めない見本としてのQRコード、右は次のページの読めるQRコード。

左のページで足止めを食いました。マイナポータルアプリに表示されるエラーコード「EI444-0300」で調べても解決しませんでした。そんなあほなですが、次のページがあり、そこのQRコードはiPhoneで読めたのです。どうなっているのかまったく意味が分からないところです。

そうは言ってもいつかはそこへたどり着かなくては、デジタル化が進まないことは理解できます。毎年、改善され急速に進歩していることも間違いありませんが、使い勝手から言うと頂上が見えない森林限界(どこかで聞いたセリフですが、)の手前という感じです。

まだ、この仕組みをあっさりと使いこなせる人はごく少数だと思います。マイナンバーカードは国家的事業ですから、いずれ普及すること思います。でも国民のなかには、まだまだプライバシー情報を国家に管理されることへの抵抗感があります。資産家は特に警戒心が強く、まだマイナンバー通知書のままでマイナンバーカード取得をためらっている方も見かけます。

hokenfpとしては、決してデジタル化に反対の立場ではありません。よりよい仕組みをデジタル庁のような国家組織横断型で作っていただきたいと思っています。少なくとも今の仕組みでは、高齢者やデジタル化に慣れない初心者では、ほとんど乗り越えられない壁になっています。

しかしながら、世の中の流れとしては、これだけ多くの方が各世代でスマホを使いこなすようになったという事実があります。マイナンバーカードが一般化し、マイナンバーカード方式の仕組みが改善され、もう少しシンプルになれば、便利さが勝ってくると思います。

今のところは残念ですが医療費控除の申告をするサラリーマンレベルでは、マイナポータルとの連携は有効に利用できないし、提供される情報もまだまだ価値のあるものではありません。

マイナンバーカードはトラブル続きです。しかし医療控除のe-Taxに使うだけなら支障はありません。

医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。

逓増定期の名義変更プラン不適切販売、金融庁検査マッチポンプの怪。

逓増定期の名義変更プラン不適切販売、金融庁検査マッチポンプの怪。

またまたバレンタインショック、2022年2月14日に金融庁の検査です。やり玉に挙げられているのはマニュライフ生命で、ネットでその話題が駆け巡っています。名変プランの問題と聞いてドキリとした経営者もいらっしゃるのではないかと思います。

金融庁が目をつけるのは、保険の契約者ではなく保険会社です。金融庁は保険会社という金融機関に対して監督責任がありますから、伝家の宝刀を抜くのです。したがって契約者にいちゃもん(あれこれ文句をつけること。)をつけてくるのは税務署ですから、今回の件は基本的に保険の契約者には関係がありません。

名変(名義変更)プランは、ホワイトデーショックと呼ばれる国税の通達により「名義変更時の評価額は資産計上額とする。」ということでお達しがでています。しかし知恵を絞った保険会社が、通達の網をすり抜ける新手の名義変更を提案しています。その類似名変プランに対して、不適切販売があったということでの異例のバレンタイン検査となりました。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 金融庁検査とは、強制権を持つ黒崎検査官の恐怖。

金融庁検査とは、たとえてみれば金融関係会社に対する税務調査と同じようなものです。

建前論では、金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、法令等遵守態勢、各種リスク管理態勢等を検証したり、問題点に対する認識を確認したりするそうです。でも実際の検査は、立入検査権や資料提出請求権を付与された、行政権限の行使として実施されるそうです。

さすがにこれはテレビ番組の中でしか経験がありませんが、検査される方は戦々恐々となると思います。まして脛に傷もつ保険会社では、いよいよ来たかということでしょう。せっかくのバレンタインデーにチョコレートではなく、強制権を持つ黒崎検査官が来るとは、誠にお気の毒なことです。

◆ 認可した金融庁がマッチポンプの怪。

保険会社は、金融庁が管轄する金融機関です。金融庁には保険商品の販売に関する許認可権限があります。そもそも名変プランに利用できる保険は、すべて金融庁の認可を受けたお墨付きであるはずです。

そういう売り方しかできない保険を認可したのは金融庁です。まさかそんな売り方をするとは想定外などという言い訳は、この期に及んで通じるとは思えません。

金融庁が自分で火をつけて、自分で検査して、火消しに躍起になっているというわけです。これまでは金融庁が認可したものの売れすぎて、一般化すると国税庁が規制をかけるという構図がありました。今回の検査は、金融庁自らおさえに回っているということです。まさにマッチポンプの様相で、あほらしくも不可解な話です。

保険はこれまで吹けば飛ぶような中小企業の利益の調整弁や事業承継において、要な役割を果たしてきました。節税保険とは言いますが、あくまで課税の繰り延べであり、節税とは脱税とは根本的に違うものです。繰り延べたとしてもどこかで雑収入として利益が出れば、それは課税対象になります。

また名変プランは、節税的な意味と資金移動に効果的な仕組みとしての役割もありました。

何もかも締め付けすぎると、企業は息ができなくなります。コロナ禍で税金がたくさん必要なことは理解できますが、規制もほどほどでないと経済は活性化しません。日本経済の土台を占める中小企業が生き残れないということになります。

税金を払わないというのではなく、税金というコストは適切な額に収めたいと考えるのが本音です。税金を多めに払うよりは、利益を繰り延べて投資に回す方が経済効果は直接的で高くなるはずです。

◆ 名変プランの盛衰、生まれ変わりと生き残り。

逓増定期の名義変更プランは、逓増定期保険が全額損金算入できる頃からあるスキームです。当初は取り扱う保険会社が限られており、節税効果の方が目立っていました。また解約返戻金で手にした一時所得は申告不要という時期もありました。それは判決が確定し、一時所得として申告すれば問題になることはありませんでした。

その後、逓増定期保険の損金算入ルールが変わり、2008年から1/2損金になっても、名義変更プランは資金移動の有効な手段として認知されていました。その後さらに多くの保険会社が参入して、販売競争が激しくなりました。

その結果、ご承知のように2019年のバレンタインショックで、最高解約返戻率で損金算入割合が制限されました。国税通達(法人税基本通達9-3-5の2)が発遣され、節税保険が一網打尽になりました。しかし、逓増定期保険の名義変更プランは、目的とするところが個人所得ですのでしぶとく生き残りました。

しかしそれも国税は問題として2021年にホワイトデーショックに至りました。名義変更時の保険の評価額は、解約返戻金相当額から資産計上相当額になりました。もはや名変プランもおしまいかと思われたのです。しかし複数の保険会社から、工夫を凝らした網をすりぬける名変プランがいくつか出てきたという経緯です。

その一つは変額保険を利用した名義変更、また個人年金保険での名変プランなどが出ていました。一度名変プランを売ることで、高収入を得て生活水準が上がった保険代理店や保険営業は、優績者としての地位と高額報酬が身についています。生活のステイタスを維持するためには、今さら普通の保険を売り込こむとはできなくなっているという事情があります。

逓増定期の名変プランで提案する商品は、同じ保険のように思われるかもしれません。しかし営業してみるとわかりますが、顧客の食いつきが違うのです。目に見えないリスクを説明し保障を売ることは、ハードルが高いですしチャンスも少なくなります。ところが名変プランには目に見える個人的利益が、正確な金額として提示されます。そのため話が早く、チャンスは何度でもあります。また保険料が大きくなりやすいという特性があります。

◆ 経営者の節税意識と名変プランの意味。

名義変更プランは、説明が難しく管理も手間がかかります。資料なしで説明して、理解できるほど単純なスキームではありません。名義変更プランの保険に保障を買うと思って入ることはありません。

期間限定の保障も、おまけでついてくる程度の認識です。保障を目的としない保険ですから、契約者に目的をきちんと説明しないと売れる保険ではありません。

利益の繰り延べや資金移動を目的とした金融商品であり、それが保険という形になっているだけです。肝心の部分を説明せずに売ることこそ、顧客に対して不適切販売です。

経営者が節税を意識するのは、ある意味で本能のようなものです。財務的な健全性を維持する経営の要諦は「入を量り出ずるを制す」であることは自明の理です。そこが甘いと利益が漏れ出し、経営がいつの間にか左前になるのです。無駄なコストを垂れ流すより、名変プランははるかに意味があります。

◆ 名変プランに見る法人保険の役割とメリット。

今や法人保険は4割損金時代です。その4割損金でも一定の節税効果はあります。他にも節税手段は、すべてふさがれたわけではありません。国税庁としても方針がぶれますが、節税保険を悪としているわけではありません。

経営者は、自分から保険に入りたいとは思わないものです。それを保険に節税効果を持たせることで、事業保障としての保険に加入するインセンティブが働く仕組みです。元気なうちに経営者が法人保険に加入すれば、動機は別にしても経営リスクや破綻リスクの軽減や事業承継の助けになるはずです。

何ごともやり過ぎは体に良くないですが、適切な節税と事業保障の確保は、万が一の資金繰りの助けや役員退職金の原資となります。そこに法人保険の役割とメリットがあります。

儲かっている会社は、まるっきり増えもしない当座にキャッシュを寝かせています。当座では何年置いても収益は0円です。せめて生命保険に投資すれば保障だけでなく、税効果を考えれば100%近くのキャッシュが戻ります。大事なことは、保険には事業保障(経営者の死亡保険金)もついているということです。

◆ 名変プラン不適切販売、まとめ。

経営者というものは、自分が不死身だと思っています。また資金リスクには敏感なくせに、保険は信用していないのです。そういうワンマン中企業の経営者が保険に入る動機は、少しでも節税したいという欲得根性です。その結果、中小企業のリスクヘッジが進み、事業承継が円滑になることが、法人保険の損金効果なのです。

健康な若き経営者にリスクの説明をしても、簡単に実感してくれることはありません。しかし保険は元気なとき、できれば若いときに契約することが大きなメリットになります。本音を言えば、経営者にとってリスク説明より、いくら儲かるか、いくら課税の繰り延べができるかが興味のありどころです。

不適切販売と言われる所以は、愚かにも証拠を残すから問題になるのです。需要と供給を結びつける情報を適切に提供し、その結果保険を販売し、成果を上げるのが保険営業の仕事です。言われるような闇でも何でもありません。

不適切だと叫んでいるのは、同様の保険商品がない保険会社とメンツがある金融庁だけです。そもそも顧客にとっては不適切でもなければ、何の迷惑もかかっていません。誤解なきよう付け足しておきますが、M社を擁護しているわけではなく、保険会社としてのある程度の自制心が必要であるということは申し上げておきます。

フツーに利用できない生命保険契約照会制度。

2021年(令和3年)7月1日より、一般社団法人生命保険協会で生命保険契約の有無を照会できる「生命保険契約照会制度」が始まっています。

もともとは「災害地域生保契約照会制度」と呼ばれていました。東日本大震災で被災され、生命保険の契約に関する手掛かりを失ってしまった方のためにできた制度です。時代とともに高齢化と核家族化がすすみ、生命保険契約の存在を把握することがますます難しくなってきました。そんな中で新たに改善されルールが整備され、生命保険契約照会制度としてスタートしています。

せっかくスタートした生命保険契約者照会制度ですが、実際には気軽に利用できる仕組みではないのです。

名前を見ただけでは、一瞬とても便利な仕組みができたという気がしますが、必ずしもそうではないのです。

利用のためのハードルが意外と高い理由と、どのようなケースで利用することが有効なのかをまとめました。

■生命保険契約照会制度のご案内(生命保険協会)

◆ フツーには利用できない最後の手段、生命保険契約照会制度。

災害や認知症でなくても、自分の親がどのような生命保険に加入していたか知らない方が多いと思います。そういう方がこれは便利だと思われるかもしれません。しかしいきなり生命保険契約照会制度を利用するというような、手軽な仕組みではなさそうです。

長年別居していていくら探しても手掛かりがない。本人はあの世でいまさら聞くこともできないとか、認知症が進んで人の顔も見わけがつかないなど、深刻なケースが対象になるようです。

生命保険契約照会制度は、内容をよく読み込んでみると適用条件が厳格に規定されています。災害のとき照会対象者が死亡、もしくは行方不明になっていれば、無料で関係書類なしでも電話で対応してくれるそうですが、今回拡大された照会制度の範囲は特殊なケースに属すると思います。

・生命保険契約照会制度の適用条件はハードルが高い。

災害でなく普通の死亡では、死亡診断書相続関係を証明する書類本人確認書類などが必要になり3,000円の費用がかかります。

照会対象者が認知症で、生命保険契約照会制度を利用しようとすれば、生命保険協会所定の診断書に医師の証明が必要になります。もちろん照会にかかる費用も、診断書を依頼する費用も発生します。請求できる方の範囲にも細かい規定があります。

他にも細かい規定や相続手続き並みの書類が必要な場合があり、回答を得るまでに2週間は要するようです。そこまで手間暇かけて手に入る情報は、照会対象者の生命保険契約の有無だけです。そのため詳細は各保険会社に問い合わせを行う必要があります。その上で保険金請求という手順になります。

今までは災害時に保険証券を紛失した場合にのみ、照会が可能でした。一般の方でも契約者の死亡や、認知判断能力の低下など一定の条件の場合にも使えるようになりましたとは言うものの、そもそも気楽に照会するというような制度ではありません。関係書類をそろえるだけでも、かなりの時間と費用がかかり一仕事分あります。

■保険証券のなくなる時代に保険金の請求漏れをなくす法をまとめると。

◆ 生命保険契約照会制度を利用する前にすべきこと。

契約している保険会社さえ分かっていれば、その会社のサポート窓口に電話すれば契約は調べることができます。証券番号がわからないケースとして、本人確認がありますから契約者の氏名、生年月日、住所、契約時の電話番号を問われます。これらが電話ですらすら答えられたら、本人でなくても保険契約があるかどうかは確認できます。

普通の家庭であれば、保険証券とか契約内容のお知らせなどはどこかに残しているものです。また保険料を今も払い続けているなら、生命保険料控除証明書が残っていたり銀行の口座から保険料が引き落とされていたりします。それを手がかりに、保険会社のサポートに問合せを入れれば詳細が判明します。

・保険証券を発行しない会社、ネット契約の保険に注意。

注意すべき点としてあげれば、保険証券を発行しない保険会社があったり、保険料の支払いが満了(終了)して保障だけが残っていたりする場合があります。その場合、口座から保険料の引き落としはありません。

また契約内容のお知らせは、どこの保険会社も定期的に送ってきます。しかしすぐに捨ててしまう方や保険会社に住所変更の手続きをぜずに転居している場合は困ります。必要な情報が届かなくなっていることもあり得ます。

国内生保などでは、何かと社名の入った小物をプレゼントしますから、それが手掛かりになる場合もあります。しかし契約がなくてもアプローチしてきますから、決定的な手掛かりにはならないと思います。

いろいろな情報のヒントから契約していた可能性のある生命保険会社があれば、その会社の支社に問い合わせを入れます。必要書類を持参して、契約者の氏名と生年月日で契約があるかどうか照会をすることができます。サポートに電話確認するよりはスムーズに事が運ぶかもしれません。

◆ 契約者が伝えなければ、受取人にはわからない生命保険契約。

生命保険金は受取人が請求して保険金を受取ります。契約者が死亡しても、被保険者が生存していれば生命保険契約はみなし相続財産として相続人に引き継がれます。

被保険者も受取人も、どちらも保険料を負担している当事者(契約者)ではありません。そのため契約者が伝えなければ、生命保険契約の詳細を知ることはできません。

ご自身や家族の生命保険契約を正確に把握されている方は、あまりいらっしゃらないと思います。とくに親や祖父母の生命保険契約については知る機会も少ないと思います。また別居していれば、全くわからないということもありそうです。

生命保険では、医療に関する給付金などは被保険者が生前に受け取ります。しかし、死亡保険金は契約で指定された受取人に権利があり、受取人が手続きを行います。

契約者=被保険者 受取人は相続人

自分が契約者で、自分に保険をかけて、保険料も自分で払っている場合です。契約者は被保険者でもありますから、死後に自分の死亡保険金は受け取ることができません。自分以外で指定した受取人が、保険金を受け取ることになります。

受取人は、通常相続人になると考えられます。受取人は契約者と違い保険料を負担していません。その保険に関する情報は、契約者が伝えなければ、受取人にはわからないということになります。

相続が発生した場合、受取人は相続人として契約内容を確認し、保険会社に保険金請求することになります。

契約者≠被保険者 受取人は契約者

受取人が契約者である場合は、被保険者死亡場合でも契約者が自らを保険金受取人として存命している訳です。当然、契約の存在は把握できているはずです。

たとえば夫が自分を受取人にして、妻に保険をかけているような場合です。またこのケースでは契約者が死亡しても、被保険者は生存していますから保険金は支払われません。しかし生命保険契約は、みなし相続財産として相続人に引き継がれることになります。

どちらのケースでも災害や認知症などで生命保険契約の存在が見落とされたり、忘れ去られたりする可能性があります。そいう場合には手間はかかりますが、生命保険契約照会制度が役に立つというわけです。

■おひとりさま時代の生命保険の考え方のツボを明快に。

◆ 保険金請求権の時効が3年、でも時効の援用は?

生命保険金請求で気を付けなければいけないことは、以下の記事にまとめています。

■消滅時効にかかる解約返戻金の請求権の真実に迫る。

建前論になりますが、保険金請求には3年という時効が保険法第95条に定められています。しかし保険会社が時効の援用を行わなければ、時効は成立しません。自動的に3年経過したから保険金請求の権利が消滅するわけではないのです。

固い表現ですが、時効は時効が成立する事によって利益を受けられる者(保険会社)が利益を失う者(契約者)に利益を受ける旨の意思表示をすることを時効の援用と言います。保険会社は基本的に時効の援用を主張したりしません。

死亡保険金や満期金の請求では普通、時効の援用はありません。悪質な場合、たとえば自死や保険金詐欺の疑いがあれば時効の援用ということもあるかもしれません。しかし通常契約者が不利になるようなことはしないものです。

■高齢者の生命保険、見直しのタイミングと重要な注意点。

◆ 生命保険契約照会制度の使いにくさ、まとめ。

生命保険契約照会制度とは、実に便利な仕組みができたものだと調べてみたところ、フツーに素人が気軽に使える代物ではありませんでした。特殊なケースで、しかも相続手続きのプロである士業の先生が利用されるイメージです。

しかし、その特殊なケースがないとは言えませんから災害や、相続発生時、認知症発症などのときには検討する価値はありそうです。

しかし多くのケースでは、手許に残された情報を調べればほとんどが判明するものと思います。保険証券があれば話は簡単ですが、毎年送られてくる契約内容のお知らせの最新版は捨てずに残しておくと間違いは少なくなります。

マイナンバーカードも普及してきたことですから、生命保険協会はもう少し契約内容を契約者が気軽に確認できる保険業界横断的なシステムの構築をお願いしたいところです。

■保険営業が活用すべき周辺情報をまとめたページ
保険営業が活用すべき生命保険周辺情報、医療費控除・相続登記・保険ブログ。

リビング・ニーズ特約とは、わかりそうでわからない不思議な無料特約。