医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。
医療費控除は税金が戻ってくるありがたい仕組みです。しかし対象の医療に対して生命保険から保険金や給付金が出ればその分を控除しなければなりません。
保険金だけでなく出産育児一時金なども出産費用の補填をするものですから、やはり控除しなくてはなりません。
どうも心情的には自分で契約して、自分で保険料を支払っている医療保険から入院給付金が支払われた分を医療費からマイナスしなければならないのは、納得しがたいものがあります。
医療費から保険金をマイナスすれば、残りの医療費は10万円を越えなくなり医療費控除の対象とならないことも十分あり得ます。
保険金や給付金を受け取とると、そのことは支払調書などにより税務署に知られるのでしょうか。保険金がバレるかバレないか、気になる視点を解説しました。
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◆ 保険金は支払調書が税務署に!
保険金や給付金が支払われたことを税務署はどのように把握するのでしょうか。
これは支払調書という書類が保険会社から税務署に提出されるからなのです。
すべてについて支払調書が発行されるわけではなく、保険会社が保険金や給付金を100万円以上支払うと税務署に支払調書を提出することが義務となっています。
支払調書には受取人の氏名・住所・個人番号、保険金額(給付金)が記載されます。支払をした日の翌月15日までにその所在する所轄税務署長に支払調書が届くことになります。
これは逆に言えば受けとった金額が100万未満なら支払調書が発行されませんから、税務署は保険金(給付金)を受け取ったことを知りえないとも言えます。
ただ税務署も申告した医療費が多額な場合、大病をされたと推定できます。保険金や給付金を受け取っていると推測するかもしれません。その結果、税務署からお尋ねがくる可能性は否定できません。
目をつけられてしまうと税務署の調査権限は、想像以上に強力ですから、隠し通すことはできません。少額の場合目につかなければ、いちいち調査したりするほど暇ではないと聞いています。何事も程度問題ということになりそうです。
◆ 保険金請求先延ばしの手口。
手元に10万円を越える医療費の領収書があれば、保険金や給付金などは無視して医療費控除の申告をしたくなる気持ちもわかります。
保険金や給付金などの補填されるお金の請求を先延ばしして、医療費控除の還付金を受取るような策を思いついても不思議ではありません。
また保険金(給付金)請求ができることを知らずに医療費控除の申告をして、後から請求できることがわかることもあります。
実際、保険金や給付金の請求は3年以内に請求しないと時効となり請求の権利が消滅することが建前になっています。しかし3年を過ぎても請求できないということはありません。必要な証明書類が揃えばほとんどの保険会社は、保険金や給付金の支払いに応じます。
医療費控除の申告をして還付金を受け取った後、3年後に保険金請求した場合どうなるのでしょうか。
◆ 保険金がでれば医療費控除ができないわけ。
ここで言う保険金とは死亡保険金や満期保険金ではありません。保険契約の被保険者として生前に請求できる入院給付金や通院給付金などを指します。
契約者が受け取る死亡保険金や、満期保険金などは課税の対象(相続税、贈与税、所得税)となります。ここは念のため、区別が必要です。
ところが病気をした被保険者が医療保険などの給付金を受取る場合は、非課税扱いとなります。運悪く病気になり、医療費にお金がかかるような人が受け取る給付金に対しては所得税を課税しないという思いやりルールになっています。わずかな年金からでも所得税は源泉徴収されますが、医療にかかる給付金などは特別に課税が免除されているのです。
対象の医療に対して給付された給付金が、課税を免除されているわけです。その対象の医療費を医療費控除として課税所得から控除するのは二重の非課税扱いになってしまいます。これでは課税の公平性を欠くことになります。これは至極まっとうな理屈だと思います。
ただ、医療費を補填していない保険金や給付金は差し引く必要はありません。ガン診断給付金などは医療費の補填ではないというわけです。くわしくは下記の記事をご参照下さい。
◆ 保険金がばれるのは支払調書、まとめ。
医療費控除の確定申告で保険金(給付金)を受け取ったことがバレるかバレないかという怪しい視点で記事を書いてしまいました。
決して良からぬことをアドバイスしているわけではありません。社会制度にはよく考えられていても抜け穴があるものです。
また税務署も人手不足ですべてを確認するなどできない相談です。
日本の税制度は性善説に基づく自主的な申告制度です。完全無欠な仕組みではありません。抜けや漏れはそれが意識的かどうかは別にして一定量発生するのは仕方がないことです。
税金は国民の義務ですから、ルールにしたがい納税するのは当然です。国民が納めた税金で社会は回っており、私たちはあらゆる安全と利便性、経済的な恩恵を享受しているわけです。しかしルールに従って節税をすることは、生活者として当然の権利であり知恵でもあります。医療費控除もその権利の一つと言えると思います。
・正直と真実は、姑息な考えに勝ります。
保険金(給付金)の請求時期をずらして、医療費控除の申告をして還付金を受け取ったとしても心の中に憂いは残ります。支払調書で給付金を受取ったことがバレるかバレないか、先行き落ち着かない話です。枕を高くして寝られないと言うほど大げさな話ではなく、修正申告をすれば済む話ではありますが、税金の割増料金は来るように思います。
何ごとも適正、正直に考えると重荷がなくなり穏やかな気持ちで暮らせるというものです。いろんな仕組みの抜け穴やそれを補う仕組みを知り、そのうえで適正な医療費控除の申告を行うことがおすすめです。
■医療費控除とは、やり方、確定申告の外せない15の注意点を総まとめ。
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