医療費控除とは、確定申告の注意点を総まとめ。

医療費控除のツボ、気が付いた医療費控除のポイントを列記。

保険者(協会けんぽetc.)から昨年度の医療費の通知はまだ届いていないと思いますが、そろそろ医療費の領収書の整理を始められている頃かと思います。

まず家族の医療費を集計して10万円を越えるか越えないかを確認して、医療費控除の申告ができるかどうかを判断する必要があります。10万円を越えそうなら、医療費控除の確定申告をすることで払いすぎた所得税が還付されます。それに伴い住民税も軽減されるというメリットがあります。

ただ医療費控除とは、そもそも理解できていなかったり、年末調整で終わったと勘違いされたりされる方もおられます。医療費控除のややこしいところや間違いやすい注意点を総まとめにしました。昨年、思いがけず医療費がかかり、これから医療費控除の確定申告に取り組もうとされている方の参考になるポイントをまとめました。

◆ 医療費控除の確定申告、15の外せない注意点。

1)生命保険料控除は会社でする年末調整、医療費控除は自分でする確定申告。

生命保険料控除証明書を年末調整の用紙に貼り付けて会社に提出するのが生命保険料控除、医療費の領収書を集めて自分で確定申告をするのが医療費控除、なんとなく言葉は似ていますが完全に別ものです。医療費控除と年末調整は控除という言葉が頻出しますが別のことです。年末調整で医療費控除はできません。

2)医療費控除は医療費分の所得税の還付、医療費が戻るわけではありません。

医療費控除は医療費の払い戻しをするわけではありません。医療費として支払った費用分の所得税を還付する制度です。原則的に税金を払ってなければ還付はありません。還付される金額は納めている所得税の税率により変わります。

3)意外に広い医療費控除対象の費用、補聴器に通院タクシー代、風邪薬まで。

医療費控除の対象となる費用は医療費だけではありません。鍼灸やマッサージ、補聴器、通院費用、介護サービス、妊娠・出産費用、薬局で買った風邪薬でも治療目的であれば対象です。ここは幅が広いので書ききれません。事例ごとに検索でご確認ください。

4)医療費の通知書は期間が不一致、健康保険適用の医療費だけで役立たず。

毎年年明けの2月ごろに協会けんぽなどの保険者から送られてくる「医療費のお知らせ」は健康保険が適用される医療費だけが記載されており、確定申告の期間と内容が一致しません。結局、集めた領収書を集計して自分で医療費控除の明細書を作ることになります。

5)医療費の通知書だけでは集計できないので領収書は捨てないで。

「医療費のお知らせ」がくるからと安心して領収書を捨てないでください。医療機関の領収書だけでなく薬局の領収書や通院タクシー代の領収書まで怪しい(?)領収書はしっかり残すようにしてください。領収書がないと医療費の集計と確認ができません。

6)セルフメディケーション税制は労多く還付少なし、でも住民税は安くなる。

セルフメディケーション税制は医療費控除の10万に届かない人のための還付制度です。ややこしい薬局の領収書を集めてOTC医薬品だけを選別して集計する手間はかなり煩雑になりそうです。申請できる金額の範囲が小さいので還付額も少額、せっかくの制度も利用者が伸びていません。医療費控除とセルフメディケーション税制とは選択制です。

■セルフメディケーション税制の注意事項。

7)e-Taxの簡便化で確定申告は一気に便利に、IDとパスワードは税務署で。

e-Taxの簡便化でマイナンバーカードやICカードリーダーライタがなくてもe-Taxで申告書を提出できるようになりました。そのためには免許証持参で税務署に出向いて利用者識別番号(ID)とパスワードを発行してもらう必要があります。

■医療費控除をスマホで確定申告、やり方を税務署指南。

8)医療費控除の明細書は必要、やっぱりエクセルダウンロードが何より便利。

スマホしかないというなら仕方がないですが、PCでエクセルを使って医療費を集計するとミスが少なくなり結局作業がはかどります。医療費控除の明細書を作成してe-Taxの結果と比較すると間違いが少なくなります。

■医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

9)医療費控除の還付申告は年中可能、さかのぼって5年前まで申告OK。

医療費控除の確定申告は、納税申告ではなく還付申告ですからe-Taxなら年中24時間提出OKです。(システムの停止期間はe-Taxが使えません。)忘れていても5年前まで申告可能ですから領収書は捨てないでください。

■5年以内ならいつでもできる医療費控除。

10)医療費の領収書は証拠物件、調査に備えて5年保存義務。

e-Taxになって一番面倒なのは領収書保管です。医療費の通知書があれば領収書保存は不要と言いますが、そもそも期間や領収項目が一致しないので結局領収書は全部保存してしまいます。領収書を証拠物件として後生大事に保存しておいても、医療費の申告では、よほど異常値かどう見ても保険金か給付金が出ていると思われるケースぐらいしか税務調査できないと思います。税務署も人手不足で困ってe-Taxを進めているわけですからね。

11)生命保険などから補填される分はマイナスすることを忘れずに。

多くの場合保険金や給付金がでるとかかった医療費を上回ります。その場合は医療費控除が適用できず還付金がありませんので、素直にあきらめてください。ただ保険金で補填されるのは人ごとです。他の家族の医療費が合計で10万以上あれば申告できます。

自分が加入している生命保険や医療保険から給付金がでるのにそれをマイナスするのはなかなか納得できないと思いますが、それにはそれなりの理屈があります。

■医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

12)医療費は家族合せて、収入の多い人からが原則。

医療費の確定申告は家族の中で一番収入の多い人からが原則です。税率が高い方が還付率もよくなりますからまとめてください。他の家族に収入があってもかまいません。一人にまとめることで10万円の壁が越えやすくなります。

13)医療費控除の対象となるもの、ならないものは結構ややこしいので都度確認。

医療費控除の対象となる費用は結構判断が難しいのでその都度確認する必要があります。差額ベッド代などは基本的に対象外ですが、医者が治療に必要だと言えば対象になります。見方としては治療なのか治療ではないで判断します。介護サービス費用(医療系)や妊娠・出産費用は対象ですが、人間ドックなどの健康診断や健康維持のための費用であれば対象外になります。

14)所得税なしでも医療費控除の確定申告で翌年の住民税が安くなる。

マンションなどの購入時に住宅ローン減税を適用すると所得税が0円ということがあります。その場合でも医療費控除の確定申告をしておくと所得税の還付金はありませんが、翌年の住民税が安くなる場合があります。

15)医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のもの、区別してください。

医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のものですが、内容的には同じものと考えてよいと思います。要するに医療費の人ごと、医療機関ごとの明細書です。e-Taxのためには医療費の明細書があれば十分です。

■医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

◆ 医療費控除とは、注意点まとめ。

医療費控除の確定申告にご自分でチャレンジしようとすると結構ハードルが高く知識や情報が必要になります。

もっとも初歩的なことが区別できていなかったり、出てくる単語の意味が分からなかったり、さらにはe-Taxというもう一つのハードルが登場します。

法人の納税は今やe-Taxが普通になってきつつありますが、個人でe-Taxをお使いになる方は個人事業主くらいで、会社任せのサラリーマンはe-Taxを必要とすることがありません。

そんなわけで、できるだけ基本以前の勘違いしそうな部分に焦点をあてて、医療費控除の確定申告をe-Taxで行う場合のツボや落とし穴をわかりやすく解説させていただきました。

■医療費控除はe-Tax、簡便化からスマホまでまとめ。

■医療費控除e-Tax全手順まとめ。

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