医療費控除とは、やり方、確定申告の外せない15の注意点を総まとめ。

医療費控除とは、やり方、確定申告の外せない15の注意点を総まとめ。

医療費控除が使えるかどうか、まず家族の医療費を集計して10万円を越えるか越えないかを確認します。

一年間の医療費が10万円を越えそうなら、医療費控除の確定申告をすることで、払いすぎた所得税が還付されます。それに伴い翌年の住民税も軽減されるというメリットがあります。

ただ医療費控除とは、そもそも理解できていなかったり、やり方がわからなかったりする方が多いと思います。会社勤めの方では、年末調整で終わったと勘違いされたりされる方もおられます。

医療費控除のややこしいところや、間違いやすい注意点を総まとめにしました。思いがけず医療費がかかり、これから医療費控除の確定申告に取り組もうとされている方の参考になるポイントをまとめました。

■医療費控除とは、わかりやすく超簡単に!基本のキまとめ。

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◆ 医療費控除のやり方、確定申告などの15の外せない注意点。

医療費控除の確定申告を何年も続けています。初めのころは、確定申告書をプリントアウトして医療費の領収書の束と一緒に、税務署の休日用のポストに投函していました。

その後、ID・パスワード方式でe-Taxが利用できるようになり、手元に領収書は残りますが、オンラインで確定申告が完了するようになりました。今では、マイナンバーカードを読み込ませて、e-Taxで申告しています。

少しずつ改善されてきてはいますが、慣れない方には、ハードルが高いと思います。医療費控除の確定申告について、経験からアドバイスできるやり方や注意点を15項目ピックアップしました。

1)生命保険料控除は会社でする年末調整、医療費控除は自分でする確定申告。

生命保険料控除証明書を年末調整の用紙に貼り付けて、会社に提出するのが生命保険料控除です。一年分の医療費の領収書を集めて、自分で確定申告をするのが医療費控除です。

なんとなく言葉は似ていますが完全に別ものです。医療費控除と年末調整は「控除」という言葉がよくつかわれます。同じようで違うことですから区別する必要があります。

まず第一歩の理解として、年末調整で医療費控除はできません。

■医療費控除が年末調整できない理由。

2)医療費控除は、医療費相当分の所得税が還付されます。医療費が戻るわけではありません。

勘違いで多いのは、医療費が戻るという誤解です。医療費控除は、医療費の払い戻しをするわけではありません。医療費として支払った費用相当分の所得税を還付する制度です。

還付とは、本来の税額より多くの税金を徴収した場合などに、税金を返す仕組みです。原則的に所得税を払ってなければ、医療費が10万円以上かかっても、還付はありません。還付される金額は、納めている所得税の税率により変わります。収入が多く所得税率が高い人ほど、還付率は高くなります。

■医療費控除でいくら戻るか、還付金を事例で紹介。

3)対象の費用、補聴器に交通費、風邪薬まで。

医療費控除の対象となる費用は医療費だけではありません。鍼灸やマッサージ、補聴器、通院費用、介護サービス、妊娠・出産費用、薬局で買った風邪薬でも治療目的であれば対象です。

判断基準は、治療目的の医療費かどうかという点です。健康保険が使えない場合の鍼灸や整体などでも、治療目的であれば医療費控除の対象となります。ただし、タクシー代が認められるのは、他に手段がなく、やむを得ない場合などに限定されます。

ここは幅が広いので書ききれません。事例ごとに検索でご確認ください。

■医療費控除で交通費はどこまで、還付留保と真実。

■医療費控除で自費診療が使える理由。

4)医療費の通知書は期間が不一致、健康保険適用の医療費だけで役立たず。

毎年年明けの2月ごろに協会けんぽなどの保険者から送られてくる「医療費のお知らせ」は健康保険が適用される医療費だけが記載されています。

自費診療や交通費などは記載されていません。また、確定申告は1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象ですが、「医療費のお知らせ」は10月~12月までが翌年回しで記載がないなど、確定申告の期間と内容が一致しません。

結局、集めた領収書を集計して自分で医療費控除の明細書を作ることになります。

■医療費控除で医療費通知書が役に立たない理由。

5)医療費の通知書だけでは集計できないので、領収書は捨てないで。

「医療費のお知らせ」がくるからと安心して、領収書を捨てないでください。

医療機関の領収書だけでなく薬局の領収書や通院タクシー代の領収書まで、怪しい(?)領収書はしっかり残すようにしてください。

領収書がないと医療費の集計と確認ができません。公共交通機関を利用したら、必ずメモを残しておいてください。また領収書を紛失すると、再発行できない場合があります。領収書がないと調査が入った場合、税務署のお尋ねに反論できなくなります。

感熱紙のレシートなどはコピーを取るなどして、消えないように保存してください。

6)セルフメディケーション税制は労多く還付少なし、でも住民税は安くなる。

セルフメディケーション税制は医療費控除の10万に届かない人のための還付制度です。ややこしい薬局の領収書を集めて、OTC医薬品だけを選別して集計する手間はかなり煩雑になりそうです。申請できる金額の範囲が小さいので還付額も少額、せっかくの制度も利用者が伸びていません。

この制度は、改善されて2022年1月より5年間延長になりました。医療費控除とセルフメディケーション税制とは選択制です。

■セルフメディケーション税制の注意事項。

7)e-Taxで確定申告は一気に便利に、でもID・パスワード方式は税務署で。

e-TaxはマイナンバーカードとICカードが読めるスマホがあれば、e-Taxで確定申告書を提出できるようになりました。でもまだまだ簡単とはとても言えません。マイナポータル連携という仕組みはハードルが高く、不完全な面が多いようです。

あいかわらず、もっとも簡単な方法はID・パスワード方式でe-Tax申告です。そのためには免許証持参で税務署に出向いて利用者識別番号(ID)とパスワードを発行してもらう必要があります。

■医療費控除をスマホで確定申告、やり方を税務署指南。

8)医療費控除の明細書は必要、やっぱりエクセルダウンロードが何より便利。

スマホしかないというなら仕方がないですが、PCでエクセルを使って医療費を集計するとミスが少なくなり、結局作業がはかどります。医療費控除の明細書を作成して、e-Taxの結果と比較すると間違いが少なくなります。

医療費の領収書を、家族それぞれ医療機関ごとに集めて、ホッチキスでとじます。電卓で計算して、10万円を越えているなら医療費控除の明細書に入力してしまいます。このやり方がシンプルで間違いが少ないと思います。

医療費控除の明細書は以下のページからダウンロードできます。

■医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

9)医療費控除の還付申告は年中可能、さかのぼって5年前まで申告OK。

医療費控除の確定申告は、納税申告ではなく還付申告ですからe-Taxなら年中24時間提出OKです。(システムの停止期間はe-Taxが使えません。)還付申告の期限は、確定申告期間とは関係なく、忘れていても5年前まで申告可能ですから、領収書は捨てないでください。

たとえば、2018年分は、5年後の2023年末まで申告可能ということになります。特別な書類があるわけではなく、その年度分の通常の申告書を作成して提出します。2年分あれば申告書も過年度分2式になります。

ただ、所得税の還付が遅れることで、他の制度に影響が出ることもありますから、いつでもできるからと言って、先延ばしにされない方がおすすめです。

■5年以内ならいつでもできる医療費控除。

10)医療費の領収書は証拠物件、調査に備えて5年保存義務。

e-Taxになって一番面倒なのは領収書保管です。医療費の通知書があれば領収書保存は不要と言いますが、そもそも期間や領収項目が一致しないので、結局領収書は全部保存してしまいます。

領収書を証拠物件として後生大事に保存しておいても、税務調査でもない限り役に立つことはありません。税務署も人手不足で困ってe-Taxを進めているわけですからね。でも、ここはルール通りに5年間は保存しておいてください。

11)生命保険などから補填される分はマイナスすることを忘れずに。

多くの場合、病気をして保険金や給付金がでると、かかった医療費を上回ります。その場合は医療費が10万円を越えていても医療費控除ができません。素直にあきらめてください。

注意いただきたいのは、保険金で補填されるのは人ごとです。他の家族の医療費が合計で10万以上あれば申告できます。また高額療養費で補填される分、出産一時金などは、保険金と同様に医療費からマイナスする必要があります。お間違いなきようお願いします。

自分が加入している生命保険や医療保険から給付金がでるのに、それをマイナスするのはなかなか納得できないと思いますが、それにはそれなりの理屈があります。

■医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

12)医療費は家族合せて、収入の多い人からが原則。

医療費の確定申告は、家族の中で一番収入の多い人からが原則です。税率が高い方が、還付率もよくなりますからまとめてください。他の家族に収入があってもかまいません。一人にまとめることで10万円の壁が越えやすくなります。

・国税庁のサイトから引用です。医療費控除の家族の範囲です。

姉の子供と生計を一にしていれば、医療費控除の対象となります。

医療費控除は、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払った場合に適用されることとされています(所得税法第73条第1項)。この場合の「親族」とは、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいいます(民法第725条)。したがって、姉の子供は自己の親族(3親等の血族)に当たることから、生計を一にするなど他の医療費控除の要件を満たすときは、医療費控除の対象となります。

13)医療費控除の対象となるもの、ならないものは結構ややこしいので都度確認。

医療費控除の対象となる費用は、結構判断が難しいのでその都度確認する必要があります。差額ベッド代などは基本的に対象外ですが、医者が治療に必要だと言えば対象になります。

見方としては治療なのか、治療ではないで判断します。介護サービス費用(医療系)や妊娠・出産費用は対象ですが、人間ドックなどの健康診断や健康維持のための費用であれば対象外になります。

■医療費控除で自費診療が使える理由。

14)所得税なしでも医療費控除の確定申告で翌年の住民税が安くなる。

マンションなどの購入時に住宅ローン減税を適用すると所得税が0円ということがあります。その場合でも医療費控除の確定申告をしておくと所得税の還付金はありませんが、翌年の住民税が安くなる場合があります。

15)医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のもの、区別してください。

医療費の明細書と医療費控除の明細書は別のものですが、内容的には同じものと考えてよいと思います。要するに医療費の人ごと、医療機関ごとの明細書です。e-Taxのためには医療費の明細書があれば十分です。

■医療費控除の明細書|エクセルダウンロード。

◆ 医療費控除とは、やり方と注意点まとめ。

医療費控除の確定申告にご自分でチャレンジしようとすると、結構ハードルが高く知識や情報が必要になります。

もっとも初歩的なことが区別できていなかったり、出てくる単語の意味が分からなかったり、さらにはe-Taxというもう一つのハードルが登場します。

■医療費控除確定申告、マイナンバーカード方式の迷路、これは無理!?

法人の納税は今やe-Taxが普通になってきつつありますが、個人でe-Taxをお使いになる方は個人事業主くらいで、会社任せのサラリーマンはe-Taxを必要とすることがありません。

そんなわけで、できるだけ基本以前の勘違いしそうな部分に焦点をあててみました。医療費控除の確定申告をe-Taxで行う場合の、ツボや落とし穴をわかりやすく解説させていただきました。

人生山あり谷ありです。思いがけず医療費がかかり、これから医療費控除の確定申告に取り組もうとされている方の参考になるポイントをまとめました。

医療費控除、10万円ちょっとでは意味ない理由。

医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。

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