医療費控除で交通費はどこまで、還付留保と真実。

医療費控除で交通費はどこまで、還付留保と真実。

医療費控除で気になるところはやはり通院のための交通費だと思います。通院費が医療費控除の対象に含まれることをご存じない方もいらっしゃいます。もちろん公共交通機関では領収書は揃わないですし、健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」にも記載されていません。

医療機関への交通費は、年間集計してみると馬鹿になりません。車を利用する方はこの点不利ですが、車を利用しない方は、医療費控除10万円のバーギリギリの場合、交通費がものを言う場合があります。ただ医療費控除での交通費は、どこまで認めてもらえるものなのか検証しました。

◆ 医療費控除の交通費の範囲は意外と広い。

所得税法第73条(医療費控除)には、「治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。人的役務の提供の対価とは、してもらった事に対してお金を支払うことを言います。

医薬品の購入に必要な交通費も対価を支払っていますから対象となります。おかしなことですが、車(マイカーなど)ではガソリン代や駐車料金などの対価を支払っていても認められません。たぶん費用の算定基準が難しいため、恣意的要素が入りやすいのではないかと思います。

交通費(対価を支払うことが条件)のポイント。

1.公共交通機関(請求漏れ多し)

・寄り道は正規行路で集計(医療費の領収書があれば、行先の医療機関までの交通機関をネットで調べて一年分の交通費が集計可能、メモでOK)
・通勤・通学の定期で行ける範囲の通院交通費は加算不可

2.マイカー(ガソリン代・駐車料金)は控除の対象外

3.タクシー(老齢付添・他の手段少なしが条件)

4.付添人の交通費

5.医師等の送迎費

交通費の記録の残し方(メモ書き又はエクセル管理で領収書不要)は、その都度のメモ書きでも大丈夫ですが、通院日や利用交通機関との整合性は必要です。金額が大きくなければ、原則不可のタクシー代でも何も言ってきません。要は程度問題ということもあります。

■医療費控除を超簡単に、サルでもわかる基本のキ、まとめ。

◆ 税務署の「お尋ね」は放置せず、還付留保にしっかり自己主張。

医療費控除については、税務署も忙しく人手不足で十分な調査ができないとうことはあります。また問題個所を見つけても医療費控除では税務署としての成果があまり大きくはありませんから、力が入りにくいということもあります。

しかし、国税の調査官は電卓と付箋を駆使して一枚一枚の領収書を調べて検算し合計があっていることを確認します。高額な医療費控除や内容に疑問がある領収書は付箋を貼り照会をかけます。

税務調査のプロですから、医療費の領収書に診断書作成費用が含まれていれば保険金や給付金が支払われている可能性を見抜きます。当然還付留保となります。還付留保とは還付金の支給を一時的に停止して医療費控除の申告の妥当性を検証することです。

■医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

税務署では、問題点を見つけると申告者に対して修正を依頼してきます。きわどい領収書は還付留保となり、税務署の担当からハガキや電話で問い合わせの連絡があります。治療目的の医療費または医療に必要な交通費であることをきちんと主張しましょう。そのためにめんどうでも領収書や関連資料を保存しておくことが大事です。

■医療費控除でいくら戻るか、還付金を事例で紹介。

◆ OB税理士の述懐、「真実が一番強い。」 2,000万円の行方。

知り合いのOB税理士が在職時代の税務調査の経験から言ったことは、「真実が一番強い。」ということです。相続税の調査で2,000万円の使途を尋ねたところ、残された奥様は主人が氏神様に寄付したという説明でした。

同僚の調査官は、嘘をついていると判断し反面調査をおこなった結果、寄付の事実が確認できたそうです。税務調査や「お尋ね」に対しては説明がまずくても、状況がいかに疑わしくても真実には勝てないという教訓です。

医療費控除の交通費でも同じことがあてはまります。治療のために必要な交通費であれば、真実に基づき正々堂々と主張することが大事です。「お尋ね」を送付した税務署員には言うべきことを言い、誤りがあれば訂正すればよいのです。

■医療費控除、保険金がバレルのは支払調書。

医療費控除で自費診療が使える理由。

◆ 結局程度問題、医療費控除の交通費まとめ。

車で通院したところを公共交通機関に置き換えれば、交通費が加算できますが、お尋ねで

「車はお持ちでないのですか?」

「どうして車で通院されないのですか?」

「車の調子が悪くて。はい。」

「毎月車の調子が悪いのですか?」

などと追及されると素人ではボロが出るとしたものです。そうならないためには、ばれるかばれないかではなく、真実で勝負することです。

hokenfpでは家内が車に乗らないので公共交通機関で通院しています。こんな記事を書きながら領収書の集計に集中した結果、交通費を医療費控除に加算し忘れています。さらに2回ほど8月の猛暑日に予約に間に合わないのでタクシーを利用した分を加算しています。恥ずかしながら医療費控除の交通費には、自己矛盾も含まれています。

■医療費控除で医療費通知書が役に立たない理由。

医療費控除の確定申告で補聴器が使えない理由。

Pocket

「医療費控除で交通費はどこまで、還付留保と真実。」への7件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です