生命保険の予定利率とは何か|保険営業から見た保険商品の仕組み。

 

 

 

 

生命保険の予定利率という言葉を耳にすると、予定利率が高い保険は得であり、
予定利率が下がると損というイメージを持たれるかもしれません。

確かに間違いではありませんが、保険営業をしていた立場から言えば、それほど
単純な話でもないのです。

生命保険は形のない商品です。契約するときに見えるのは保険料や保障内容
であり、その裏側で何が起きているかを意識することはほとんどありません。

予定利率という数字もその一つです。

契約者にとってはあまり馴染みがありませんが、保険会社にとっては商品の設計
そのものに関わる重要な数字です。

ただし、予定利率ばかりを気にしても生命保険の本質は見えてきません。

今回は保険営業として現場で見てきた経験を交えながら、予定利率について
わかりやすく整理してみたいと思います。

◆ そもそも予定利率とは何か。

生命保険会社は契約者から保険料を預かります。
そしてその保険料を運用しながら将来の保険金支払いに備えています。

その際、これくらいの利回りで運用できるだろうと見込んでいる利率が予定利率です。わかりやすく言えば、保険料を計算するときに織り込んでいる運用収益の見込みです。

予定利率が高ければ、運用益を多く見込めますから保険料は安くなります。
予定利率が下がると、同じ死亡保障を確保するために必要な保険料は高くなる傾向があります。

生命保険の保険料は、予定利率・予定死亡率・予定事業費率という三つの予定基礎率をもとに計算されています。

保険営業の試験でも必ず出てくる基本中の基本です。
しかし現場では、予定利率そのものを説明して契約になることはほとんどありません。

契約者が知りたいのは、保険料はいくらか、どんな保障があるかであり、
さらには解約したらいくら戻るかだからです。

予定利率は、保険商品の裏側で働いている数字と言った方が分かりやすいかもしれません。

◆ 昔の保険と今の保険では事情が違う。

予定利率を語るとき、保険営業経験者がまず思い出すのは昔の契約です。
今では信じられないかもしれませんが、予定利率が5%を超えていた時代がありました。

当時の終身保険や養老保険を見ると、こんなに返戻率が高かったのかと驚くことがあります。契約者にとっては非常に恵まれた時代でした。

ところがバブル崩壊後は長い低金利時代に入り、予定利率も下がり続けました。
その結果、同じ終身保険でも昔と今では保険料や返戻率が大きく違います。

生命保険の世界では、どこの保険会社かよりも、いつ契約したかということ
の方が影響が大きいことがあるのです。

保険の見直し相談で、昔の契約を解約して新しい保険に入りましょうという提案を
受けた場合は慎重に考える必要があります。

昔の契約には昔の契約なりの価値が残っていることがあるからです。

◆ 予定利率で保険会社を比較できるのか。

ここで誤解されやすいのが、予定利率が高い保険会社を選べば得なのではないか
という考え方です。しかし実際にはそうでもありません。

予定利率は市場金利の影響を受けます。
そのため同じ時期に販売されている保険商品であれば、予定利率に極端な差が
つくことはあまりありません。

もちろん多少の違いはあります。
しかし契約者が保険選びで悩むほど大きな差になることは少ないのです。

保険営業をしていた頃も、予定利率で他社商品と比較するというより、
保険料、保障内容、解約返戻率、払込期間、特約の内容などの
項目で比較することの方が圧倒的に多かったように思います。

予定利率だけを見ても、その保険が良いか悪いかは判断できません。

◆ 保険営業が予定利率を気にする場面。

契約者よりも、むしろ保険営業の方が予定利率の変化に敏感です。
予定利率が下がると、保険料や返戻率に影響が出るからです。

商品改定が行われる前になると、今月中なら現行商品で契約できます
という案内が増えます。保険会社も営業現場も慌ただしくなります。

もっとも、それで慌てて契約してよいかというと別問題です。

必要のない保険を駆け込みで契約しても意味がありません。
予定利率の改定は確かに契約条件に影響します。
しかし生命保険は数十年単位の契約です。

数か月の差よりも、本当に必要な保障かどうかの方がはるかに重要です。

◆ 予定利率より大事なこと。

保険営業をしていると、どの商品が得ですかという質問をよく受けます。
しかし生命保険は得か損かだけで判断できるものではありません。

予定利率が高くても、自分に必要のない保障なら意味がありません。

逆に予定利率が低い時代でも、家族を守るために必要な保障であれば契約する価値があります。
生命保険の本来の役割は資産運用ではなく保障です。
個人保険でも法人保険でも、その考え方は変わりません。

まず必要な保障を考える。その上で保険料とのバランスを考える。
予定利率はその判断材料の一つではありますが、主役ではないのです。

◆ 予定利率とは?まとめ。

予定利率は生命保険の仕組みを支える大切な数字です。

予定利率が高い時代に契約した保険が有利になることはありますし、
低金利時代には保険料や返戻率に影響も出ます。

しかし実際の保険選びでは、予定利率だけで商品を比較することはほとんどありません。
同じ時期に販売される同じ種類の保険商品であれば、
予定利率に決定的な差が出ることは少ないからです。

むしろ大事なのは、なぜ保険に入るのか、誰を守るための保障なのか、そして
いくらの保障が必要なのかという点です。

予定利率は生命保険を理解するための知識として知っておく価値はあります。
ただ、それだけで生命保険を選ぶものではありません。

保険営業を長くしてきた経験から言えば、予定利率よりも保障の目的を理解して
いる契約者の方が、結果として納得のいく保険契約をしているように思います。

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