テレワークに不向きな保険営業。

保険営業がテレワークに向いていない理由について考察。

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新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、多くの営業はこれまでに経験したことがないテレワーク(在宅勤務)強いられていると思います。国内の多くの生命保険会社も訪問を伴う営業活動の自粛を行っています。

2020年5月2日の日経新聞の記事によると「生保営業、非対面に 明治安田など大手コロナで接触抑制」とあります。もともと国内生保は大量の営業職員を抱えているため、直接会って顧客と関係を深めることを重視する面談営業を非対面にすることには抵抗があったと思いますが、ここにきて部分的な転換をしたことになります。

ただし既存の契約がある顧客に対して追加で医療保険や契約変更がある場合に限定しているようですから、全面的な取り組み変更ではありません。実際はリスクに対する丁寧な説明が必要な外貨建て保険や新規顧客ではまだハードルが高いということだと思います。

■保険営業の壁、行くところがないときの効果的な見込み客探し。

テレワークでやる気が出ない保険営業。

 ◆ 生保営業のテレワークと訪問自粛。

営業にとってお客様を訪問できないという事態は、既存の顧客に対しても新規顧客に対しても大きな痛手です。面識のある既存顧客であれば契約の保全業務はテレワークでも可能だと思いますが、新規契約を提案したり、クロージングしたりするには面談でないと難しい面があります。

また社内会議ではWebシステムなどで相手の顔を見ながら話ができますが、営業活動ではテレビ商談やWeb面談はできないでしょう。テレワークはできてもテレセールスはできないということです。そもそもテレアポだけでもなかなか相手をしていただけないのが営業の実態です。メールや電話だけで注文や契約が取れるほど営業は甘い仕事ではありません。

ましてや保険営業という職種は、保険商品の説明ができれば契約が取れるというほど単純なものではありません。まず顧客との人間関係と信頼を得ることから営業活動が始まります。それゆえ電話やメールだけではお互いの信頼関係や安心感が醸成されにくいのです。人生で家に次いで大きな買い物になる生命保険をよく知らない人にお願いすることがそもそもあり得ないと考えるべきなのです。

保険営業にとってテレワークが問題なのではなく、訪問自粛が重大な足かせとなります。

好きか嫌いかがすべてを決める、ザイアンスの保険営業法則。

 ◆ テレワークで契約が取れればGNP(義理・人情・プレゼント)は不要。

保険業界ではそもそも出社することに意味がないということがあり、週に何回か会議や報告のため出社するという会社もあります。国内生保では毎朝長々としたモチベーションを下げる朝礼をしてきましたが、無意味な出社はテレワークにすれば営業効率は上がると思います。

しかし、テレワークと訪問自粛とは保険営業にとり別問題です。保険の営業は食えないほどの固定給がベースで、成果給で生活を支えていますから結果が出なければ生活できません。訪問自粛とはお客様が全く来ない外食レストランと同じです。数か月も続いたら固定費がかさんで経営破綻するしかありません。

訪問できなければ、営業の必殺技GNP(義理・人情・プレゼント)も威力を発揮しません。保険営業にとって出社することに意味はそれほどありませんが、顧客と会えないとなると、さすがにどうしようもありません。面談は契約への近道ですが完全に道を絶たれています。

そうかといって保険営業はパチンコ屋と一緒で、営業自粛による売り上げ減少を保証してくれる仕組みもなさそうです。雇用調整助成金や持続化給付金も中途半端な保険営業の救済措置にはならないのではないかと思います。営業活動の自粛を行っても休業ではないですし、個人事業主としての側面がある以上保険会社が救済するということも期待できないところです。しかし営業活動の自粛を保険会社が指示したとすれば、保険営業職員の生活を保証する責任は保険会社にあるはずです。この辺はまだ情報が見えてきません。

GNPはデメリットを隠蔽するがGNPはやむなしとする事情について。

 ◆ 被保険者の健康状態を面前で確認。

新規に保険契約をするときには、告知や医師による診査があります。また保険会社によっては面接士と呼ばれる仕事があります。被保険者の本人確認、そして面前での健康状態の確認と署名をいただく責任があります。これはテレワークに移行したりネットで手続きしたりすることはできません。少額の保険であればリスクは低いですからネットのような通信で完結しても大きな問題にはならないと思いますが、しっかりした保障がついている契約では営業活動が自粛中でも、契約と診査は面談を避けて通ることはできません。

買う側のプロがツボを伝授、保険営業必勝法。

 ◆ テレワークと保険営業まとめ。

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保険会社はそもそもストック型のビジネスです。保険営業が集めてきた保険料を運用することで収益を上げます。

ですから保険会社はこれまでの預かり保険料のストックがありますから営業活動自粛と大見え切ってもそれほど腹が痛まないのです。

ところが保険営業の成果は初回の保険料から引き当てられるコミッションだけです。

損保のように毎年コミッションが入るわけではないので常に新規契約を取り続けないと生活が成り立たなくなります。営業自粛とは保険営業にとれば即、苦境が待ち受けています。言い方は下品ですが保険営業の気持ちからすれば抵抗を続けるパチンコ屋と同じ気持ちです。自粛もクソもない生きるためには顧客に合わなくてはならないという気持ちになります。

感染拡大の中、保険営業のあり方とう記事を以前に書きました。保険営業は自律性の高い仕事です。本音を言ってしまえば保険営業とはお客様と合わなくては仕事になりません。新型コロナウイルスが拡散しているからと言って休んでいることはできません。もちろんお客様に迷惑をかけることはできませんからマスクとアルコール消毒液持参で、お客様の状況に合わせて準備する配慮が必要です。

保険営業に限らずあらゆる事業でいつまでも営業自粛を続けることはできないでしょう。どこから動いていくか、それまでにすべきことは何か、これまでの既契約や見込み顧客にお見舞いの電話や情報提供のメールを送ることぐらいはできそうです。(制限がある会社もあります。)また成績にはなりませんが、今こそ解約に悩む多くの零細企業や外食関係の企業にサポートをすべきときです。相手が困っているときに役に立つ情報を提供することが次の契約につながります。

今回のコロナ・ショックで経済活動は大きなダメージを受けると思います。いつか終息すると思いますが、その後の世界は大きく様変わりしていると予測できます。今こそ、その後の世界で生き残る方策に知恵を絞るときです。

保険営業の押しどころ┃法人保険編。

もらう側のGNPでいえば保険契約は好き嫌いで決まる。

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