
テレワークやオンライン商談が一般化した現在でも、
保険営業は対面営業との相性が強い仕事です。
事務作業や会議であれば、オンライン化による効率化が可能です。
しかし保険営業の本質は、単に商品説明をすることではありません。
お客様との信頼関係を築き、将来のリスクについて一緒に考えることが
保険営業の役割です。
そのため、保険営業では「会うこと」そのものが重要な仕事になります。
私は長年、法人保険を中心に営業の現場を見てきましたが、
保険営業はテレワークだけで成果を上げられるほど、単純な仕事ではないと
感じています。
この記事では、なぜ保険営業がテレワークに向きにくいのか、
その理由を経験者の視点から解説します。
◆ 保険営業は商品を売る仕事ではない。

一般的な商品販売であれば、商品説明ができれば契約につながることがあります。
しかし生命保険は違います。生命保険は形のない商品です。
しかも加入したその日に効果を実感できるわけではありません。
保険の営業ではお客様に、ご自身のリスクに気付いていただくことが
最も大事なことです。ところがZoomなどでの面談は、視覚的情報や
ボディランゲージが少なくなり、気持ちや熱意は十分に伝わらないのです。
お客様は、「本当に必要なのか」「今入るべきなのか」「この営業担当者を信用して
よいのか」という疑問を抱えながら話を聞いています。
相手のことがよくわからないと、信頼に足るかどうか判断できないのです。
具体的な話で言えば、面談では相手の服装や顔の表情、たとえば髭のそり残しや
襟元の汚れなども目につきます。しかしZoomなどの画面越しの面談では、
清潔感や身なりから受ける印象が伝わりにくいのです。
何気ないことのようですが、人は相手を値踏みするとき、無意識に
相手から受ける雰囲気や空気感まで気にしているのです。
つまり保険営業は商品説明の前に、人間関係づくりが必要なのです。
◆ テレワークでは信頼関係が作りにくい。

保険営業の世界では、昔から「契約は人についてくる」と言われます。
同じ商品でも営業担当者によって結果が変わります。
実際には商品内容だけでなく、顧客は保険営業の人柄や人間性を
見ています。相談するとき話しやすいか、誠実さはどうかを見定めています。
信頼できるかどうか、困ったときに親身に動いてくれそうかどうか
といった部分が契約判断に大きく影響します。
オンライン会議やZoomなどでの面談は便利ですが、
初対面のお客様との関係構築ではやはり限界があります。
既契約のお客様であればオンライン商談でも問題ありません。
しかし新規顧客や紹介顧客の場合は、まず直接会って話をするほうが
圧倒的に有利です。
◆ 保険営業は「会う回数」が成果を左右する。

保険契約はタイミングの要素が大きい商品です。
お客様が加入を考えるタイミングと営業担当者が訪問するタイミングが、
一致しなければ契約にはなりません。
だから保険営業では単純接触回数が重要になります。
何度も顔を合わせることで安心感が生まれます。
保険契約は今日必要でなくても、半年後や一年後に必要になることがあります。
そのとき思い出してもらえるかどうかは、日頃の接触頻度にかかっています。
保険営業にとって「会うこと」は契約を迫るためだけではなく、
忘れられないための活動でもあるのです。
私は保険営業の基本はGNP(義理・人情・プレゼント)だと考えています。
もちろん無理な営業や過剰な接待を勧める意味ではありません。
「この人だから任せたい」という感情が意思決定に大きく影響します。
人は理屈だけでは動きません。
人間関係の積み重ねが最終的な契約につながることは珍しくないのです。
テレワークでは、この人間関係の積み上げが難しくなります。
保険営業では「顔」を見せることが何より大事なのです。
テレワークはできてもテレセールスはできないということです。
◆ 保険営業は成果報酬の世界。

保険営業の厳しさは成果報酬にあります。
会議に出席したかどうかでは評価されません。
契約が取れたかどうかが評価基準です。
そのため、「今日は在宅勤務だから訪問できなかった」
という理由は通用しません。結果が出なければ収入は減少します。
保険営業がテレワークに向いていないというより、
成果報酬型の営業そのものが対面活動を求めるのです。
この点については以下の記事でも詳しく解説しています。
→ 保険営業がきつい現実
→ 社員なのに個人事業主
→ 保険営業がきつい理由|成果報酬と顧客ストックの現実
◆ オンライン営業が有効な場面もある。
誤解してはいけないのは、オンライン商談そのものを否定しているわけではないということです。既契約者との保全業務や契約内容の確認などはオンラインでも十分対応できます。遠方のお客様との打ち合わせでも有効です。
ただし、保険営業の入口となる信頼関係づくりは、
今でも対面が有利だと思います。
オンラインは対面営業を補完する手段であり、完全な代替にはなりにくいのです。
◆ まとめ|保険営業の本質は人間関係づくり。

保険営業がテレワークに向きにくい理由は、保険営業の本質が人間関係づくりにあるからです。生命保険は商品説明だけで契約できる商品ではありません。
お客様との信頼関係があって初めて提案が受け入れられます。
オンライン化によって効率化できる業務は増えましたが、
人と人との関係づくりまで自動化することはできません。
保険営業はお客様の懐に飛び込み、人間関係を築く仕事です。
人と人との間になじみができ、ラポール(相互信頼の関係)が形成され、
そこから保険ビジネスが始まります。
いきなりよく知らない人がボールを投げても、誰も受け取ってはくれません。
保険営業はテレワークだけで完結する仕事ではなく、
人とのつながりを資産として積み上げる仕事なのです。
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