節税保険の出口対策、バレンタインショックの駆け込み保険が危ない。

せいめいほけんのせいめいほけんの節税保険の出口対策、バレンタインショックの駆け込み保険が危ない。

法人が節税目的加入する全額損金の保険は、保険料がすべて費用に計上できました。いずれ解約返戻金として戻ってくる保険料を費用にできるのですから、簿外積み立ての効果は大きなものがあります。

数年後、解約返戻率がピークのときに解約すると、払いすぎた保険料が解約返戻金として雑収入になって戻ってきます。保険料を払うことが、利益の繰り延べになっています。

ただ、虎の子の利益を保険で繰り延べただけでは、節税になっていません。保険で利益を繰り延べたときに出てくる、解約返戻金の使い道を設計することが、出口対策となります。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

◆ 中小企業の生き残りは保険で利益を繰り延べ、有効活用。

企業経営を考えるとき、出口対策より以前に考えるべきことがあります。安易に納税という選択肢を選ばず、利益を繰り延べることが何より重要です。コロナ禍を引き合いに出すまでもなく、中小企業の経営は、明日のこともわからない泥縄経営があたりまえです。

そういう中小企業の実情を見るにつけて、当年度で得られた利益を先の経営の役に立てるため繰り延べることが重要です。その手段として、手堅い生命保険を検討するのは当然の選択肢です。中小企業にとっては、今年度に税金を支払うか、次年度以降に支払うかは同じことではないのです。

この感覚の差は、経営者の危機感の差とも言えるのではないでしょうか。あっさり言ってしまえば、税金のような見返りのない不毛のコストは、経営という視点ではできる限り先送りするべきなのです。できれば払わずに済ませる、それもできなければ、先送りして出口対策を考えるのは、中小業の生き残り戦術と言うべきものです。

税金はほどほどに払っておく心構えこそ大事です。企業と言うものは、絶えず成長しなければ経営を維持できません。利益の出ている中小企業は、今期の利益を来期以降の設備投資に充てることができれば、これは誠にうまい話なのです。それだけに中小企業の利益の繰り延べには重、要な意味と価値があります。

◆ バレンタインショックの駆け込み契約全損保険。

令和元年に始まったバレンタインショックは、同年6月28日の国税通達により一網打尽となりました。損金算入率が、最高解約返戻に応じて制限されるようになりました。その結果、節税メリットはほとんど享受できなくなりました。

しかし国税庁のパブリックコメントから販売停止までの間に、駆け込みで大量の全損保険が販売されました。駆け込み以前も含めて、節税目的の法人保険の多くは有効継続中です。それはやがて来る解約返戻率のピークを待っています。

日本中に保険の優績者の証である、MDRTが誕生したという、まさに絶頂のラスト景気でした。それらの保険がまとめて解約時期を迎える令和10年が、徐々に近づいてきています。しかし多くの企業では保険料を払い続けるだけで、出口対策はできていないのではないでしょうか。

◆ 解約返戻金は雑収入、有効活用が絶税に。

せっかくラストチャンスを生かして、節税保険に駆け込むことができた企業は、貯めこんだ利益を税金に差し出すだけでは知恵がありません。損金で継続できる保険がなくなった今、どうすれば節税保険からでる雑収入をうまく消すことができるのでしょうか。

ここは知恵比べというべきところです。保険や財務知識の総力を結集して出口対策を考え、利益を有効に経営に回すことが何より重要になります。

節税保険は保険料を費用で落としていますから、解約すれば多額の雑収入が発生します。何も対策を行わないと、せっかく繰り延べた利益が課税対象となってしまいます。雑収入が発生した年度において、解約返戻金をうまく費用にあてることができれば節税になります。

節税保険を解約したときの雑収入を、設備投資などに当て込み相殺する戦略を、出口対策と言います。ところがこの出口対策が、経営の現場では思うように簡単には設計できないという問題があります。

◆ 節税保険は釣り合う出口対策が必要。

法人で契約する保険では、支払った保険料を保険積立金とするか、損金とするか保険の種類によって適法に経理処理をしなければなりません。世間で節税保険とか損金保険と呼ばれている保険には、保険料の全額を損金(費用)化できるものや半損と呼ばれる1/2損金の商品があります。

保険積立金とすれば、税金を払った後の利益から積み立てることになりますから、有税で処理することになります。損金となれば保険料は、期間の費用となり損金処理され、利益が減り税金もその分減ります。

そうして数年保険料を支払っていくと、節税保険の場合、解約返戻率のピークがやってきます。そもそも保障としてのウエイトは低いので、解約返戻金を受け取る目的であれば、このピーク時期の解約を外す手はありません。

・解約返戻率のピーク管理がポイント。

節税保険の解約返戻率とは、それまでに支払った保険料累計金額に対する返戻率ですから、ピークを外すと大きな損失になる場合があります。

解約のピークを迎えた保険を解約すると、解約返戻金が支払われます。他の投資とは異なり保険の場合は契約時点で解約返戻金が決まっていますから、安全確実な投資と言えると思います。しかも損金で落としていますからB/S(貸借対照表)にのらない簿外の資金です。

簿外の資金が解約によって現金化され、当期の雑収入となりますが、何もしなければ、これは営業外の利益として課税対象になります。この雑収入を予定の設備投資などに充てることで、資金確保と同時に課税が回避され出口対策となるわけです。

このように節税保険は、解約のピーク時に見合う出口対策を早めから予定しおくことが、有効な節税手段になります。節税保険の解約返戻金とピッタリ釣り合う出口対策は、それほど簡単ではありません。

しかし出口対策をいろいろ組み合わせたり、保険の管理テクニックを駆使したりしてタイミングを合わせることで、予定以上の多額の納税を抑制することができます。

◆ 大量の簿外資金と雑収入の行方。

節税保険を契約している企業では、解約を忘れていない限り、巨額な雑収入の受け皿として出口対策を考えておかなくてはなりません。それが間に合わなければ、税務署がほくそ笑むことになります。

今後巨額になるであろう雑収入の行方が、注目されるところです。もちろんコロナ不況で財務事情が悪化していれば、計画的かどうかは別にして、見事な出口対策ができていることになります。

経営とは環境適応業であるという見解がありますが、それはコロナ禍やウクライナ戦争による環境変化を見るまでもなく、経営が事業計画通りに順調に進むことがまれだからです。外から見ているほど安穏とはしておらず、実際の現場では山あり谷ありドツボありが経営だということです。

◆ 出口対策がうまくいかない理由。

それだけに中小企業にとって保険は重要な役割を果たしてきました。とくに節税保険は、経営の動脈であるキャッシュをうまく回すためにはとても有効な手段でした。

ただ実際の事例を見ていると、多くのケースで出口対策が機能しない事態や、出口対策そのものを有効に設計できていないケースがなんと多いことか。

例えば、現実的には、生命保険の解約返戻率ピークに合わせて、設計通り退職する社長はほとんどいません。みなし退職で役員退職慰労金を支給しても、実質的な引退ができず、退職金を否認されるリスクが高まることもあります。

設備投資は計画通りに進まなかったり、償却できる金額が少なくなったりして、あてにしていた節税保険の雑収入が使えなくなったりします。

出口対策のために投資したり引退したりするというのは、やはり本末転倒になってしまうようです。経営をしていると、どこかでかならず不測の事態が発生します。それをどうにかしのぐことができても、また次の問題が生起します。

絵に描いたように事業計画が進むことはほぼありません。出口対策が必要なことは理解していても、実際は逃げ水のように出口対策が逃げていくということが、経営は泥縄という所以(ゆえん)です。

◆ 中小企業にとって課税の繰り延べこそ価値。

節税保険は課税の繰り延べに過ぎない、という意見に対する反論です。出口対策ができなければ、課税の繰り延べは無駄だと言えるのでしょうか。経営という視点で申し上げれば、中小企業にとって決して無駄ではない、むしろ万が一のキャッシュ保険というべき仕組みなのです。

保険は本来一定期間の保障を買うものです。その間に保険事故がなければ、保険料は無駄だったということにはなりません。仮に保険事故が発生して、保険金を受取ったら儲けたと考えられるでしょうか。いえいえそんなことはありません。

無駄なように思える保険料が、経営のリスクを支えているのです。課税の繰り延べで将来の利益減や万が一の事態に簿外のキャッシュで備えているというのが、節税保険なのです。キャッシュこそ企業の動脈、生命線ですから課税の繰り延べこそ価値があるということを、ご理解いただけるのではないかと思います。

◆ 出口対策の類型は経営戦略に直結する。

出口対策は簡単にできないと申し上げました。でもできることなら知恵を出し、手法を組み合わせて、せっかく汗水たらして稼いだ利益を少しでも多く残すように対策を組み合わせてください。

詳細は他のサイトで検索いただければよいかと思いますが、考えられる出口対策を使い勝手の良い順位並べました。参考になさってください。

・役員退職金の支給(予定利率が良い契約は保険現物支給)

・経営力向上計画の一括償却活用

・計画的な設備投資(大規模修繕・LEDなどの一括償却)

・オペレーティングリースに投資(資金凍結に注意)

・決算賞与支給、海外社員旅行

・4割損金の法人保険契約

・法人保険の減額(一部解約)・失効による解約の繰り延べ

・出口に年金支払い特約付加(保険商品、会社によって異なります。)

・貸倒損失や固定資産の除却損、棚卸資産の評価損

・法人所有不動産や株式の売却による評価損

・法人保険の名義変更による評価損

各項目に関しては詳しくは書いていませんので、検索してお調べください。

◆ 節税保険の出口対策が簡単でない、まとめ。

バレンタインショックの駆け込み契約で契約した、大量の節税保険の解約時期が近づいています。しかしそのときに発生する雑収入に合わせた出口対策は、それほど簡単ではないことを申し上げました。たとえ出口対策がうまく設計できなくても、中小企業には利益の繰り延べは十分価値があるとも書きました。

出口対策がずれ込んだとしても、各企業の実情にあわせてできることはあるはずです。本記事をご参考にしていただき、できることを今から対策すれば間に合います。

税金を払うなと申し上げているわけでは、決してありません。必要以上の納税をしても、何の見返りがあるわけではありません。景気は乱高下していますから、毎年同じように利益がでるとも限りません。中小企業がこの荒波の中で雇用を守りつつ生き延びるためには、工夫も知恵もそして節税も必要です。

N生命の逓増定期は起死回生か時限爆弾か!?

N生命の逓増定期は起死回生か時限爆弾か!?

追記2021/6/25:
国税庁により逓増定期保険の名義変更にかかる保険契約の権利評価の見直しが行われました。2021年6月25日、資産計上額で評価するという通達(所得税基本通達36-37)が発遣されました。さらには2019年7月8日までの契約に遡及し、逓増定期の名義変更スキームは完全に封じられました。

※過去の記事ですので、これまでの経緯として参考程度にお読みください。

2021/3/16追記、緊急速報!?信頼できる筋からの情報です。法人契約の定期保険を個人に名義変更した際の対価見直しを検討中とのこと。要するに逓増定期保険の名義変更でこれまで解約返戻金相当額で譲渡できたものが、資産計上額で評価となるともはや逓増定期保険の名義変更スキームは終わりです。ついに来たかという感じですが、時期的には2019年7月8日以降契締結した契約、2021年6月末の改正となりそうです。但し未確認情報ですので取り扱いにはご注意ください。

先日、銀行系の保険代理店がN生命の新商品ですと言って逓増定期保険の提案を持ってきました。N生命はこれまで普通の逓増定期はありましたが、この種の逓増定期保険を持っていませんでした。

解約返戻率の推移をみると驚くような仕掛けです。思わず代理店営業に「これはやりすぎではないか!」と言わずにおれませんでした。ざっくりと紹介しておきます。くわしいことは各自保険会社にお問合せ下さい。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 圧倒的な解約返戻率の落差、83%超。

逓増定期保険の名義変更に使う保険は、最高解約返戻率ができるだけ高く、直前の解約返戻率ができるだけ低いものが最もおいしくなります。N生命の逓増定期保険はその落差が圧倒的なのです。

解約返戻率の落差がなんと83%超もあるのです。最高解約返戻率の前年の解約返戻率は1%以下というきわものともいうべき保険です。バレンタインショックのほとぼりも冷めないうちによくこんな極端な保険を金融庁が認可したものです。

◆ 最高解約返戻率85%未満、4割損金が可能。

この保険の工夫は最高解約返戻率が85%を越えないところにあります。返戻率としてはよくないのですが、4割の保険料を損金処理することができます。損金としてはこれまでの1/2損金には劣りますが、実質返戻率を押し上げる効果があります。

単純返戻率が85%に届かなくても実質返戻率は98%に近くなります。令和元年の6月28日の通達以後は、新規契約で実質返戻率が100%を越えるものは一部を除いてほとんどなくなりましたので、これは仕方がないところです。

◆ 6年目に名義変更、解約、一時所得。

N生命の逓増定期保険が他社と異なるところは、名義変更後、6回目の保険料を支払って後に解約返戻金が一気に増加します。5回目ではなく6回目というところが時間がかかるイメージになります。名義変更して解約後、一時所得を手にするまで6年かかるというわけです。

事業承継で後継者などに資金移動する計画では、他社の保険もうまく組み合わせて雑損失が出る時期をコントロールする必要がありそうです。保険金をMAXで設計すると保険料が伸びないまでも5年分の保険積立が法人にありますから、そのほとんどが一次的な雑損失になります。

タイミングを間違えると赤字の上塗りになりますから、そういう場合は法人で解約返戻金を受け取り、帳尻を合わせるようなことも起こりえるかもしれません。

◆ 事務手数料[3%&Tax]を組み合わせて実質返戻率100%越え。

N生命は法人専門で昔から節税保険がお得意の会社です。がん保険を大量に契約されている中小企業もおありかと思います。N生命と多数の契約をされている場合、団体契約として事務手数料3%とその消費税が保険料から割り引かれていることもあると思います。

■法人保険の事務手数料は3%の値引きと同じ意外と大きい。

法人保険で解約返戻率を比較するときこの事務手数料割引3%はとても大きなことになります。何故なら解約返戻率が97%なら計算上は解約返戻率が100%を越えてしまうことになるからです。

実はN生命の逓増定期保険は団体契約に組み込めるそうですので、単純に考えれば解約返戻率に3%をオンして考えることができるわけです。4割損金メリットに加えること事務手数料3%で実質返戻率が101%を越えてしまうのでその間の保障を確保しつつ実質的な損失はないことになります。実質返戻率100%越えは価値が高いと言えると思います。

逓増定期の名義変更が安全な根拠をOB税理士に確認。

◆ 網がかかれば法人で解約、実質損失なしで保障確保。

今回のN生命の逓増定期保険が、バカ売れすると同じことの繰り返しになりそうです。金融庁が保険商品を認可して、契約者が税法に従って処理していても国税庁が待ったをかける例のパターンです。

名義変更がいけないとは言えないので、網をかけるとしたら名義変更時の評価額は累計支払保険料とされればもはや名義変更のスキームは実質的に消滅してしまいます。

そうなればその時のこと、網がかかればピーク時に法人で解約して解約返戻金を受け取れば何も起こりません。資金移動はできませんでしたが、保険料で支払ってきたキャッシュはもとの財布に戻るだけです。実質的な損失なしでその間の保障を確保したことになりますから、損は発生しないわけです。

◆ 法人保険専門のN生命の起死回生か通達への時限爆弾か。

N生命は中小法人対象に節税保険を広く販売してきましたから、一昨年の法人税基本通達の発遣は大きなダメージを受けているものと思います。関係する代理店の情報でも一時は9割減などという噂が飛び交っていました。実際実情はかなり厳しいと想定できます。

そのN生命が起死回生の切り札として開発した逓増定期保険ですから気合の入り方が違うように思います。若干保険料は伸びないのと、6年かかる長丁場が気になるところではありますが、逓増定期の名義変更というスキームには十分適用可能な保険だと思います。

ただ、解約返戻率の推移をみていると解約返戻率のグラフの曲線は、5年目から6年目まではほぼ直角に伸びています。さすがに目的が見え見えであり、やりすぎのような気がするのはhokenfpだけでしょうか。

この新商品、逓増定期保険はN生命にとって起死回生の砦でしょうが、保険営業の世界にとっては諸刃の剣かあるいはいつか爆発する時限爆弾の様相も呈していると思います。

◆ N生命の逓増定期保険まとめ。

弱点は保険料があまり伸びない点です。40歳の男女2名でMAX保障額が1,4000万、保険料で1,000万強になります。当然現行の税制に従いますから保険料の6割は資産計上となり、数年間は節税効果は見込めません。

ただ5年経過後に名義変更するときはたっぷりと雑損失が出ます。この雑損失をうまくいかせて節税につなげられるだけの利益が出る企業でないと使えません。

逓増定期保険の名義変更は、法人から個人、法人から法人、個人から個人へ利益を付け替えることが主目的ですが、名義変更時に法人に発生する雑損失を利用した節税プランが有効です。5年6年先の経営はどうなっているかわからないという企業は名義変更せず法人で解約すればよいだけです。

最悪のケースがあるとすれば、急な資金需要が発生し解約返戻率のピークが待てないという場合だけですね。その時は早期に解約すると救いがたい損失につながりますから、財務体質が安定的に強固な企業におすすめです。

医療費控除、保険金がばれるのは支払調書。

医療費控除は税金が戻ってくるありがたい仕組みです。しかし対象の医療に対して生命保険から保険金や給付金が出ればその分を控除しなければなりません。

保険金だけでなく出産育児一時金なども出産費用の補填をするものですから、やはり控除しなくてはなりません。

どうも心情的には自分で契約して、自分で保険料を支払っている医療保険から入院給付金が支払われた分を医療費からマイナスしなければならないのは、納得しがたいものがあります。

医療費から保険金をマイナスすれば、残りの医療費は10万円を越えなくなり医療費控除の対象とならないことも十分あり得ます。

保険金や給付金を受け取とると、そのことは支払調書などにより税務署に知られるのでしょうか。保険金がバレるかバレないか、気になる視点を解説しました。

■国税庁 医療費の支払者と保険金等の受領者が異なる場合

■医療費控除とは、わかりやすく超簡単に!基本のキまとめ。

◆ 保険金は支払調書が税務署に!

保険金や給付金が支払われたことを税務署はどのように把握するのでしょうか。

これは支払調書という書類が保険会社から税務署に提出されるからなのです。

すべてについて支払調書が発行されるわけではなく、保険会社が保険金や給付金を100万円以上支払うと税務署に支払調書を提出することが義務となっています。

支払調書には受取人の氏名・住所・個人番号、保険金額(給付金)が記載されます。支払をした日の翌月15日までにその所在する所轄税務署長に支払調書が届くことになります。

これは逆に言えば受けとった金額が100万未満なら支払調書が発行されませんから、税務署は保険金(給付金)を受け取ったことを知りえないとも言えます。

ただ税務署も申告した医療費が多額な場合、大病をされたと推定できます。保険金や給付金を受け取っていると推測するかもしれません。その結果、税務署からお尋ねがくる可能性は否定できません。

目をつけられてしまうと税務署の調査権限は、想像以上に強力ですから、隠し通すことはできません。少額の場合目につかなければ、いちいち調査したりするほど暇ではないと聞いています。何事も程度問題ということになりそうです。

◆ 保険金請求先延ばしの手口。

手元に10万円を越える医療費の領収書があれば、保険金や給付金などは無視して医療費控除の申告をしたくなる気持ちもわかります。

保険金や給付金などの補填されるお金の請求を先延ばしして、医療費控除の還付金を受取るような策を思いついても不思議ではありません。

また保険金(給付金)請求ができることを知らずに医療費控除の申告をして、後から請求できることがわかることもあります。

実際、保険金や給付金の請求は3年以内に請求しないと時効となり請求の権利が消滅することが建前になっています。しかし3年を過ぎても請求できないということはありません。必要な証明書類が揃えばほとんどの保険会社は、保険金や給付金の支払いに応じます。

医療費控除の申告をして還付金を受け取った後、3年後に保険金請求した場合どうなるのでしょうか。

■国税庁 医療費を補填する保険金等が未確定の場合

◆ 保険金がでれば医療費控除ができないわけ。

ここで言う保険金とは死亡保険金や満期保険金ではありません。保険契約の被保険者として生前に請求できる入院給付金通院給付金などを指します。

契約者が受け取る死亡保険金や、満期保険金などは課税の対象(相続税、贈与税、所得税)となります。ここは念のため、区別が必要です。

ところが病気をした被保険者が医療保険などの給付金を受取る場合は、非課税扱いとなります。運悪く病気になり、医療費にお金がかかるような人が受け取る給付金に対しては所得税を課税しないという思いやりルールになっています。

わずかな年金からでも所得税は源泉徴収されますが、医療にかかる給付金などは特別に課税が免除されているのです。

対象の医療に対して給付された給付金が、課税を免除されているわけです。その対象の医療費を医療費控除として課税所得から控除するのは二重の非課税扱いになってしまいます。これでは課税の公平性を欠くことになります。これは至極まっとうな理屈だと思います。

■国税庁 支払った医療費を超える補填金

ただ、医療費を補填していない保険金や給付金は差し引く必要はありません。ガン診断給付金などは医療費の補填ではないというわけです。くわしくは下記の記事をご参照下さい。

■医療費控除で保険金がマイナスされる本当の理由。

生命保険、支払調書の抜け穴をOB税理士に確認。

◆ 保険金がばれるのは支払調書、まとめ。

医療費控除の確定申告で保険金(給付金)を受け取ったことがバレるかバレないかという怪しい視点で記事を書いてしまいました。

決して良からぬことをアドバイスしているわけではありません。社会制度にはよく考えられていても抜け穴があるものです。

また税務署も人手不足ですべてを確認するなどできない相談です。

日本の税制度は性善説に基づく自主的な申告制度です。完全無欠な仕組みではありません。抜けや漏れはそれが意識的かどうかは別にして一定量発生するのは仕方がないことです。

税金は国民の義務ですから、ルールにしたがい納税するのは当然です。国民が納めた税金で社会は回っており、私たちはあらゆる安全と利便性、経済的な恩恵を享受しているわけです。

しかしルールに従って節税をすることは、生活者として当然の権利であり知恵でもあります。医療費控除もその権利の一つと言えると思います。

・正直と真実は、姑息な考えに勝ります。

保険金(給付金)の請求時期をずらして、医療費控除の申告をして還付金を受け取ったとしても心の中に憂いは残ります。支払調書で給付金を受取ったことがバレるかバレないか、先行き落ち着かない話です。枕を高くして寝られないと言うほど大げさな話ではなく、修正申告をすれば済む話ではありますが、税金の割増料金は来るように思います。

何ごとも適正、正直に考えると重荷がなくなり穏やかな気持ちで暮らせるというものです。いろんな仕組みの抜け穴やそれを補う仕組みを知り、そのうえで適正な医療費控除の申告を行うことがおすすめです。

■医療費控除から保険金を差引く理由を体系的に解説したページ
医療費控除と保険の関係|なぜ保険金(給付金)は差し引かれるのか。

■医療費控除とは、やり方、確定申告の外せない15の注意点を総まとめ。

医療費控除で医療費のお知らせが役に立たない理由。

医療費控除、10万円ちょっとでは意味ない理由。

逓増定期保険、経理処理の変遷が複雑怪奇。

逓増定期保険、経理処理の変遷が複雑怪奇。

法人契約の保険は、経理処理が複雑になります。その原因は、保険会社の商品開発と国税庁の通達や改定による締め付けの繰り返しによるものです。まさにイタチごっこの結果とも言えると思います。

通達によるルールの変更は、過去の契約に遡及しないとされた場合と改定日以降の既契約の保険料に適用された場合とがあります。すると契約の時期により経理処理が異なるという、やっかいなことになったわけです。節税目的で様々な保険を活用して、簿外に資金を蓄積してきたような会社は、法人契約の保険の経理処理がとても複雑になり、誤りも多数あると思われます。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 契約時期により損金算入割合が異なる保険。

法人で契約する保険は、バレンタインショックまでは二つの大きな目的がありました。一つは事業保障であり経営者や役員が万が一の場合、経営を維持するため緊急資金を確保するための保険金です。今一つの目的は、保険料を損金で落とすことにより費用化し解約返戻金に期待する利益の繰り延べです。

そのための節税保険というのは長期定期保険、逓増定期保険、がん保険などがありました。ピーク時の解約返戻率が高く、中には9割以上も戻るものもありました。いずれの保険も全額損金にできる時代から、半分だけ損金にできる時代を経ています。今やピーク時の解約返戻率に合わせて損金算入率が規制され、課税の繰り延べ効果がほとんどなくなりなりました。

その都度、業を煮やした国税庁が節税保険に網をかけてきた結果、同じ保険でも契約時期により経理処理が異なるという、迷路のような状態が出現したのです。保険の経理処理に関する知識は、生半可では理解できません。その結果思いがけない経理処理の落とし穴が発生することがあります。これは保険契約ごとに時系列で、経理処理の変遷を理解しておかないと発生するミスと言えそうです。

■保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ 逓増定期保険の損金算入額の混乱。

本題はここからですが、保険管理で難しいのは解約時期の管理なのです。節税保険で利益を繰り延べしたまではよいのですが多くの、場合出口対策はできていないのです。

あるいは役員退職金支給などの予定があっても、計画通りにはいかないことがあります。そして解約返戻率のピークを逸してしまうこともあります。

解約返戻率がわずかに下がるくらいであれば、解約を先送りしても出口対策に組み込めればメリット出る場合があります。それでも困る場合は、保険料の口座振替を振り込みにして、保険料をストップして保険契約を失効させることを考えます。

問題として、ピークを過ぎた逓増定期保険の解約を先送りした場合の経理処理は、見落としがちな問題があります。そもそもバレンタインショック以前に契約した逓増定期保険は1/2損金が多いと思います。ルールに従うと保険期間の6割に相当する期間は1/2損金であり、それ以降の期間の保険料は、全額損金かつそれまでの保険積立金を残りの期間で均等割りして1年分を損金額にオンすることができます。

普通ですとそんなことはせずに、解約返戻率がピークの時点で解約してしまいます。そうすれば解約返戻金の雑収入と保険積立金の取り崩しにより、経理処理はシンプルに決着します。ところが解約を先送りすると、ここの経理処理が変わってきます。

実は、契約当時の提案書を残しておいたのですが、平成18年の契約で15年目に入っています。保険期が22年、すでに平成20年の6割の期間を2年過ぎているのです。それには払込保険料累計やキャッシュバリュー(解約返戻金額)のほかに「損金算入額累計」「資産計上額累計」が年ごとに時系列でシミュレーションしていたものが残っていたため気が付いたのですが、保険の経理処理に関する専門的な情報を持ち合わせないとたぶん意味が分からないと思われます。

解約返戻率のピークを過ぎたということは、1/2損金の期間を終え保険積立金の取り崩し損金の時期に入っています。解約を先送りすると解約返戻金のキャッシュバリューは目減りするのですが、それをカバーするだけの損金が別途発生する感じです。

ただ、解約を繰り延べただけでなく保険積立金を取り崩して損金に算入しますから、後の解約時の雑収入の割合が高くなります。利益の繰り延べ効果は享受できるのですが、またまた出口対策に困ることになります。もはやバレンタインショックにより雑収入を引き継げる保険はほとんど存在しないのですから、別の節税手段を考えなくてはなりません。言ってみれば節税につながる出口対策を考える時間を稼いだと言いえるかもしれません。

ややこしい説明で恐縮ですが、これ読んで理解された方は相当保険の経理処理にお詳しい方だと思います。保険を売るだけだと、ここは理解できないかもしれません。売る側と買う側、なおかつ法人の利益コントロールにかかわっていないと理解が難しいかもしれません。説明しきれない歯がゆさが残りますが、悪しからずご容赦願いたいと思います。

◆ 経理担当者が変わると保険の経理処理は五里霧中。

一番困るのは、経理担当者の退職や交代です。新たに経理担当者になった方には、保険の経理処理などさらにわかりません。前と同じにしておけば無難だと思っているととんでもない間違いを犯すことにつながります。

まさに新米の経理担当者にとれば、長期にわたる多数の法人契契約保険の経理処理は、五里霧中という表現が当てはまるのではないかと思います。

法人保険の営業をされる方は、この辺の知識を武器に企業にアドバイスされるのもありかと思います。

◆ 逓増定期保険、経理処理の変遷、まとめ。

逓増定期保険が出始めたことは、保険料を全額損金処理することができました。会社の利益をそっくり簿外に貯金し課税を先送りすることができましたから、爆発的に売れた時期があります。

外車で営業活動をし、経費を使うために夜の街に接待が連日連夜などという今から思えば夢物語のような時期がありました。

その後、国税庁の規制が入り、概ね1/2損金になった時期があります。全額損金に比べればおいしさは半減していますが、今にして思えば1/2損金でも企業の資金リスク管理からすれば、十分な価値があったと言えそうです。

逓増定期保険はたびたび損金算入の条件が変わり複雑化してきたため、保険契約を扱う法人の経理担当者には、損金算入額の混乱が起こることもやむを得ないと思います。今一度、お手元の保険証券と契約当時の提案書を見直し、専門家に相談されることも必要ではないかとご案内したかったというのが本心です。

きちんと理解して説明できる税理士さんも、それほど多くないのではないかと思います。ただこういうことは根気よく調べればわかります。