明治安田生命の迷走と墓穴。

明治安田生命の迷走と墓穴。

具体的な社名を出して記事を書くことはあまりないのですが、日経新聞の一面に記事が載りましたので、あえて社名を伏せる意味もないといったところです。ご覧になった方も多いと思いますが、保険を売る営業職員の給料を一般の会社のように固定給にして、期間の評価に応じて増減をつけるという人事評価制度に変更するとのことです。

保険業界は契約が取れなければ資格を喪失して去っていくしかない世界です。同僚の営業職員に足を引っ張られることはあるかもしれませんが、基本的に誰も助けてはくれません。

自分で新規の契約をものにして生活を維持していくほかない世界です。厳しいとかそういうことではなく、そうしなければ契約が取れないからであり、甘くしていると営業職員が生きていけないということが根本にあります。

◆ 生命保険を販売する営業の本質を理解できていない。

生命保険を販売するということは、言ってみれば究極の営業です。売るべきものには形がなく、さらには需要がないところに需要を育てなくてはならない仕事です。自分の身がかかえるリスクなど、ひとから教えられなければ誰も気づきません。

他の業界では売るべきものが目に見える形で存在し、そのメリットが伝わりやすいのです。さらにその商品を欲する業界があり、よい商品さえあれば商売の土俵に上がることができます。ところが保険営業は土をこねて俵を引いてビジネスの土俵から作らなければなりません。商品価値よりも人間性や人柄がものをいう世界です。

hokenfpの経験から言えば、腹をくくってサラリーマン時代の自分を全面否定し叱咤激励して個人事業主にならなければ結果は伴いません。はっきり言って固定給のぬるま湯で保険営業としての一人前の成果が出るとは到底思えないのです。

それだけに、明治安田生命の迷走と墓穴とまで申し上げたのは、保険営業の生き様を考えれば保険営業の本質を理解できていないのではないかという危惧をもったということです。明治安田生命の社長である根岸氏は生命保険協会の会長でもありますから、一種のスタンドプレーなのかも知れません。食えないほどの固定給に成果給が保険営業の基本です。食えるだけの固定給を保証するならば、結果的に徹底的なノルマ管理が必要になります。それはかんぽ生命の保険販売で問題になった日本郵政の二の舞ということができるのではないかと思います。

◆ zoom朝礼でモチベーションは維持できない。

国内生保のN生命でも営業部長が来社したときに言ってましたが、 zoom朝礼を行っているそうです。国内生保では、是が非でも契約をとり生活を維持しなければならないベテラン層と腰かけ保険営業層がいます。前者では朝礼の時間はまったく無駄であり、後者においては朝礼で徹底的なプレッシャーをかけなければ、契約など取れっこないのです。ただどちらのタイプの営業職員でも zoom朝礼ではモチベーションは維持でるとは思えません。あまり迎合的な施策を推進しすぎて営業組織の弱体化を招かないほうが賢明なように思います。

◆ 保険営業はそれでも、なんでも会うことが使命。

ガムやチョコレートならどこで買っても同じだと思いますが、保険はそうはいきません。知らない人、見ず知らずのお店で買うなど絶対にありえません。保険ショップでも窓口担当者の人柄に好感がもてなければ話は進みません。

信頼できない人、気に入らない人からは買う以前にそもそも会うことを拒否します。会えなければ保険は売れないのです。zoomで説明すればそれでよしと考えるのは甘すぎます。zoomでは人柄が半分も伝わりません。それでは信頼関係は生まれません。保険会社がなんと言おうが、世間がどう思おうが、リモートで保険がバンバン売れることはなく、基本に人間関係ありきなのです。

信頼関係がすでにあればリモートの説明も有効になる場合があります。保険営業の基本はどこまで行っても面談です。それでも、何でも会うことが保険営業の使命です。もちろん感染対策は万全に、ときどきマスクを外して「こんな顔してますねん。」ぐらいのアドリブを挟むくらいでちょうどよいのです。

◆ 固定給はゆでガエルへの第一歩、インセンティブが働かない。

ゆでガエルという話を聞かれた方も多いと思います。「2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに温度があがる冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ねて脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに茹でガエルとなってしまう。」という寓話です。ぬるま湯に浸かってしまうと危機を感知する能力が低下し、ゆであがったカエル、要するに破滅に向かうという意味になります。

保険営業にとって固定給はゆでガエル、営業で一旗揚げようというインセンティブが働かくなります。相手をしていただけないお客様の懐に入るのは難しいし、しんどい仕事です。生命保険営業では知っているお客様、親しいお客様に会っているだけでは道は開けません。新規の人間関係を構築し続けないとじり貧の運命をたどります。固定給のぬるま湯の中で、新規のお客様の開拓がおろそかになるなら、まさにそれは死に体のゆでガエルとなるでしょう。そこが理解できないでは、生命保険会社の経営はできないのではないかと、他人事ながら憤慨するhokenfpです。

◆ 保険営業の本質、まとめ。

hokenfpは古いタイプの営業の流れを根本に持っているのでしょうか。古い話だとお思いでしょうが、おつきあい頂きありがとうございます。hokenfpが懸念することは、ぬるま湯で保険営業の本質が見失われやしないかという心配です。その結果、ノルマに苦しむ保険営業の姿が目浮かびます。喫茶店にたむろして上司の陰口を言い合い、傷をなめあう営業に明日はありません。

できる営業になるためには、自力で苦難の道を切り開くしかないのです。保険営業の姿とは、ノルマに苦しみ不平不満を並べて、時間を浪費する営業であってはならないのです。すべて自己責任、自分の才覚と努力で収入を最大化し豊かな生活を手に入れることが目標でありやりがいであり夢であるべきです。保険営業が大成するためには、固定給ではなく成果報酬型であるべきなのです。

そういう意味から明治安田生命の営業職員に対する固定給というニュースにはhokenfpとしては首をかしげざるを得ないのです。とは言いながら最近では寄る年波に考えが揺れ、起こることすべてに意味があることがわかりました。明治安田生命の固定給指向も神のはからいということであれば、さもありなんと思う日々です。

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