ローンの援助と生命保険の名義変更はみなし贈与、贈与税が。

親からマンションのローンの残債を肩代わりしてもらえば、みなし贈与です。贈与税がかかる可能性があります。生命保険の契約者を名義変更しても、みなし贈与です。贈与税の対象となります。

みなし贈与とは、明確に現金や形ある資産を贈与する場合だけでなく、贈与の意図はなかったけど結果的に贈与とみなされる行為のことです。

それゆえ贈与者も受贈者も、双方に贈与という認識がない場合が多くあります。あとから税務署の「お尋ね」で、贈与として追徴課税されて驚くようなこともあり得ます。

ところがみなし贈与は、事前に分割するなどして贈与税の基礎控除110万円以内で贈与するような対策がとれるのです。しかし税務署に贈与が発覚してからは、ほぼ打つ手がありません。

みなし贈与と言われないよう、みなし贈与になるパターンをまとめました。贈与といっても現金ばかりではないのです。

■贈与税改正、知らないと損する逃げ水贈与4つのポイント。

◆ 贈与したつもりがなくてもみなし贈与。

他人の財産を誰かにあげることはできません。でも自分の財産なら原則として現金・預金、不動産、株式、貴金属や美術品まで、なんでも贈与することができます。

ただ贈与すると一定額以上であれば、贈与税が発生します。現金であれば、贈与税がかかるかどうかは、贈与税の基礎控除110万円を上回るかどうかで判断できます。しかし現金以外となるとなかなか評価が難しかったり、見解の相違で贈与とみなされたり、一筋縄ではいかないところがあります。

もらったつもりがないのに、受贈者に税務署から贈与税の「お尋ね」がくることがあります。身に覚えがないみなし贈与が発覚などということになると、追徴課税が重くのしかかります。

どういう場合にみなし贈与とされるのか、しっかりとした知識と正しい納税が身を守ります。きちんと贈与を認識し、対策を講じるべきものは対策し、不要な税金を支払うことがないようお気をつけください。

◆ 見なし贈与の基本的パターン。

いくつかある事例をまとめて「見なし贈与」の基本的パターンとして解説します。

1)低額譲渡

一般的な価格で譲渡すれば、売買であり問題になることはありません。しかし不動産や美術品など評価が定まりにくい財産もあります。

本来の一般的な価格(他人に売る時の譲渡価格)と比べて特別に安く譲渡すると、その差額は贈与したものとみなされる可能性が出てきます。

とくに不動産のように一物四価などといわれ、実際の売買事例が少ないケースでは実勢価格に対する考え方が分かれます。

通常の譲渡額を大きく下回る低額譲渡では、「差額は贈与」という認識を持つことが必要です。居住用財産贈与の配偶者控除や相続時精算課税制度などの非課税制度の活用を考える必要があります。

■続時精算課税制度がとことん悩ましい本当の理由。

2)借金の肩代わり

子の借金を親が肩代わりすることは、よくあることです。債務者となった子が債権者に迫られていれば、親としてはよく言い聞かせて借金の肩代わりするのもやむを得ないところです。

ところが借金を肩代わりして返済してもらうと、子(債務者)が得た利益は贈与とみなされてしまいます。

さらに子は、贈与税の支払いをする必要が出てきます。これを回避するには子に貸し付けたことにして、金銭消費貸借契約書を作成し、肩代わりの分を返済させる必要があります。

マンションのローンの残債を親が援助して支払えば、借金の肩代わりですから贈与です。返済の方法には暦年贈与の活用や、相続時精算課税制度を検討することになります。

3)借金返済免除

借金の返済を免除してくれる債権者など親しかいませんが、借金返済の免除により債務者たる子が受けた利益は親から子への贈与になります。

もちろん贈与税が発生します。子にもらったという自覚はないですが、借金の返済免除はまぎれもなく贈与になります。借金返済免除は贈与であるという認識をもち、贈与税を納税することが肝要です。

4)生命保険金受取と名義変更

生命保険を扱っていると、安易な名義変更はとても多いように思います。

かんぽ生命の養老保険などでも満期金の受取人を自分以外に設定したり、満期金を利用して再加入するとき契約者を子に変更したりと様々です。生命保険でも名義変更するだけでは課税当局に通知が行きませんでした(今は支払調書の提出ルールが変わりました。)からやり放題のようなところもありました。

基本的には保険料を負担していない人が、満期保険金や解約返戻金を受け取れば、これは贈与になります。

生命保険では契約者(保険料負担者)と受取人の関係により贈与になったり相続になったりします。自分が保険料を負担していない場合は、贈与を受けたという認識が必要です。

また契約者(保険料負担者)受取人の関係により贈与にならない保険設計が大切です。すなわち契約者(保険料負担者)が受取人になるように設計し、暦年贈与の非課税の範囲で保険料を毎年贈与する形がベストです。

5)共同名義での不動産購入

夫婦共有名義のマンションのローンを、夫が主に支払っているようなことはよくあります。家計にしてみれば、同じ財布ですからあまり贈与などということは意識しません。

しかし課税当局の見方は甘くないのです。たとえば夫婦共有名義の不動産を購入した場合、持ち分に対して妻の側の支払が少ないと夫側が妻に贈与したみなされる可能性があります。

対策としては、共有名義というならば実際の持ち分に応じた支払いにすると問題になりません。

■生前贈与の注意点とデメリット、相続税対策の失敗と老後の後悔。

◆ みなし贈与の注意事項。

そもそも贈与税は、相続税の課税逃れを防ぐためにあります。贈与税の税率が高いのはそういう理由からです。相続税がかからなければ、贈与税は関係ないと思うかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。

まさに知らなかったでは済まない、みなし贈与なのです。相場より低価格の売買もマンションローンの援助も、もちろん生命保険の名義変更、債務免除、納税義務の肩代わりなどもみなし贈与と判断される可能性があるわけです。

ただ何もかもみなし贈与かといえば、そこには微妙な判断基準があります。不動産は一物四価(いちぶつよんか)と言われるように見方次第で評価が分かれます。一般的には不動産の場合、時価の80%未満で取引されるとみなし贈与になるようです。

では時価の80%で買い取れば20%の儲けになるはずです。しかし不動産ばかりはそう簡単に思いどおりの価格では売れないので、おとがめなしということのようです。

・生命保険は支払調書で贈与が発覚。

生命保険の名義変更は、みなし贈与と言いました。税務署は新たな契約者の立場で解約返戻金や保険金を受取ったとき、贈与税か相続税かを判断して課税してきます。あわてて解約して現金化すると支払調書が税務署に提出されますので、税務所も放置できなくなります。

相続税がかからないレベルであれば、ずっと生命保険として持っておきます。そして相続が発した時点で保険金受け取りとなれば、贈与ではなく相続ですから贈与税も相続税もかからないことになります。

・贈与税の非課税制度あれこれ。

みなし贈与では、贈与税がかかる話ばかりですが、贈与税の非課税制度もあります。暦年贈与をうまく組み合わせれば、効率的な贈与が非課税で可能です。

・相続時精算課税制度:2,500万円まで贈与税非課税、ただし相続財産に加算し課税相続財産に持ち戻しなしの贈与税非課税枠、年間110万円が新設されました。

■相続時精算課税制度がとことん悩ましい本当の理由。

・住宅取得資金等の贈与:省エネ・耐震性・バリアフリー住宅1,000万円まで贈与が非課税(令和8年12月31日まで延長。)

【各制度を組み合わせることができます。】
A.暦年贈与基礎控除110万円+住宅取得資金非課税枠1,000万円=1,110万円まで非課税
B.暦年贈与基礎控除110万円+相続時精算課税制度2,500万円+住宅取得資金非課税枠1,000万円=3,610万円まで非課税

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与):婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者に対して「居住用の不動産またはその購入資金」を贈与したときに2,000万円までを非課税
■贈与税の配偶者控除はオシドリ贈与。

教育資金の一括贈与:1,500万円までの贈与が非課税
■教育資金の一括贈与は、改正でデメリットが最大に。

結婚・子育て資金の一括贈与:1,000万円まで非課税

◆ みなし贈与で贈与税が、まとめ。

みなし贈与とみなされると、贈与したつもりがなくて贈与税がかかるということが起こります。そうなってしまってからでは手遅れになります。

もはや課税当局の指導に従い、納税する他なくなります。課税当局はお金の動きや不動産取引、生命保険などの金融商品の情報を全て押さえていると考えてください。

やっかいなのは、明確な基準が示されているわけではなく、個々のケースを税務署が判断することになります。自分では大丈夫と考えていても、税務署が恣意的な判断をすれば贈与とされるかもしれません。
贈与税の基礎控除110万円を越えそうなみなし贈与の可能性があれば、手前勝手な判断ではなく、税務署に確認を入れるくらいの慎重さが必要です。

ごまかしは通用しないので、転ばぬ先の杖として、みなし贈与のパターンに該当するものはないかどうか意識的に検証が必要です。もし判断に迷うものがあれば、適切な処理に変更するなり、課税当局に相談するなりの対策を早めにおこなうことが重要です。

当局の情報網は半端ではありません。きっちり情報つかんでいながら泳がせたりもします。相談に行けばヤブヘビなどという浅慮は、捨てていただくのがよろしいようです。

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贈与税の時効を気に病む人へこれで安心、秘策公開!

ローンの援助と生命保険の名義変更はみなし贈与、贈与税が。

贈与税の税率が複数になると間違えやすい複数贈与の計算。

贈与税の税率が複数になると間違えやすい複数贈与の計算。


贈与税の仕組みは、本来シンプルです。一年間に贈与税の基礎控除の110万円以上もらった人が越えた金額に対して、贈与税の課税基準に従って申告納税する必要があります。

しかし平成27年1月1日から、贈与税の課税パターンが二重化しました。直系尊属とそれ以外の場合で税率が異なるため、複数の人から贈与を受けると贈与税の計算では注意が必要です。贈与する人の組み合わせによって、贈与税計算が多少複雑になる場合があります。

■贈与税改正、知らないと損する逃げ水贈与4つのポイント。

◆ 贈与税が複数になる贈与税の計算方法。

贈与税の計算は、それほど複雑ではありません。でも複数人から贈与を受けた場合は、注意が必要です。

問題となるのは、直系尊属(両親、祖父母)から20歳以上の子が贈与を受けた場合だけ、贈与税率が変わりました。そのためそれ以外の一般贈与の税率と直系尊属の税率が異なり、二重化することになったのです。

親や祖父母からの贈与は税率が低くなり、それ以外の贈与では税率が高くなりました。贈与税計算で問題となるケースは、直系尊属からの贈与とそれ以外の贈与が混在する場合です。

それぞれの贈与で税率が異なるので、贈与税の速算表の両方を使う様な計算になります。もらった合計額から基礎控除の110万を引いた後にそれぞれの税率をかけ、税額控除をマイナスします。

その計算結果を、もらった人ごとに比例按分し贈与税を算出します。その税額の合計が贈与税の納税額となります。説明ではわかりにくいので、以下の事例を参照してください。

事例:父親から300万、叔父さんから200万もらうと。

父親(直系尊属)300万+叔父(一般贈与)200万=合計500万

まず合計金額から基礎控除をマイナスします。
500万-110万=390万(課税対象額)

直系尊属の父親、一般贈与の叔父さん、それぞれの税率で計算。
父親 390万×15%-10万(税額控除)×300/500(比例按分)=29.1万円
叔父 390万×20%-25万(税額控除)×300/500(比例按分)=21.2万円

計算した両方の贈与税の税額を合計します。
29.1+21.2=50.3万円(納税額)

このルールは知らないと、贈与税の計算を誤るところです。複数の人から贈与を受けた場合、年間でもらった金額を一度すべて合計します。基礎控除を差し引いてから、それぞれの税率の計算を行い、比例按分して合計します。

基礎控除の110万をそれぞれの贈与に反映させ、異なる税率と異なる税額控除を計算し、最後に贈与額に応じて比例按分してから合計します。

これは、知らないとできないですね。

■生命保険料控除は誰につけるか、保険料を贈与したのに親が。

◆ 贈与税はもらった人計算、もらった人単位で納税。

贈与とは「自分の財産を無償で誰かにあげる。」ことです。財産と言うからにはお金でなくても贈与になります。現預金はもちろん不動産や株式、貴金属やその他の動産、生命保険の名義変更でも贈与ということになります。

また両親からそれぞれに贈与をうけたら、その合計から基礎控除の110万を引いた残りの金額に贈与税がかかります。

贈与税に関係する人は、贈与者(あげる人)受贈者(もらう人)があります。贈与税は財産をもらった人、つまり受贈者が納税します。親から子に贈与するときは勘違いされる方が多く、あげる側の親が納税する気満々です。しかし贈与税の納税責任は、もらった子にあります。

親から子に贈与するばあいは、もらった子が贈与税をきちんと納税できるよう余分にあげる配慮が必要です。贈与税は原則として現金一括納付ですから、そのことを子にきちんと説明して納税させなくてはなりません。

子にしてみれば親からお金をもらって、贈与税がかかるとは考えないものです。しかし贈与税はあくまでもらった人単位で合計し、もらった人が納税するのです。

◆ 贈与税は一年分の合計金額が課税対象。

贈与税の基礎控除は、年間110万円です。少額にして何回かに分けて渡せば、贈与税は免れると考えるのは甘い考えです。受贈者(もらった人)単位で1年間のもらったお金を合計して考えなくてはなりません。

もちろん両親それぞれから贈与を受けることもあります。それ以外の親戚が贈与してくれることもあります。全部合わせて、贈与税は一年分の合計金額が課税対象です。ただし複数の人から贈与を受けた場合、前項のような税率の違いを考慮しなくてはなりません。

合計する期間は、毎年1月1日から12月31日までの期間の金額合計です。贈与を受けた日から1年のカウントが始まるのではありません。たとえば12月31日の贈与はその年に合計されるだけで、翌年のお年玉とは合計されません。元旦からはまた新しい贈与税の合計が始まります。

■贈与税の時効を気に病む人へこれで安心、秘策公開!

◆ 贈与税の非課税範囲。

子に渡すお金のすべてが、贈与税の対象になるわけではありません。課税されない贈与がほとんどですから、ここを見極めることが必要です。

たとえば課税されない代表的なものが、扶養にかかる生活費や教育費です。親には子を扶養する義務がありますから、これを贈与税の対象にはできないのです。

他にも支給型の奨学金や一人暮らしの子に対する仕送り、大学の入学金や授業料、家族旅行の費用なども非課税範囲と言えるでしょう。

他にも冠婚葬祭費、お祝い、お中元も原則非課税です。離婚して財産分与を受けた時も、贈与とはみなされません。

現実には親子関係であれば、年に何回も現金を渡します。お小遣いやカメラが欲しいとか車が欲しいなど、小金からまとまったお金を渡すこともあります。いちいち覚えていられるものでもありません。

扶養の範囲で渡す分は、ノーカウントが原則です。線引きは難しいですが、少額のお年玉まで贈与とは言わないでしょうが、お年玉が200万ならこれは贈与税の対象です。通常の生活に必要な範囲は、非課税と考えれば問題とならないようです。

親が子の結婚式の費用300万を負担しても贈与とはならないように、あまり神経質に考える必要もないところです。親が子名義の生命保険の保険料を、長期間負担することもよくあります。合計するとそれなりの金額になりますが、子が独立するまでは、贈与とは言われません。

・みなし贈与に注意。

注意すべきは「みなし贈与」です。贈与したつもりがなくても実質贈与は課税対象になります。例えば不動産の名義変更をして相場より安く子に譲渡すると差額は贈与とみなされます。マンションの頭金を貸し付けて、返済を求めなければやはりみなし贈与です。

生命保険の名義変更でもお金が動くわけではありませんが、権利が移動し、贈与税の対象となります。ただし名義変更しただけでは贈与になりません。解約して解約返戻金を受け取ったり、死亡保険金を受け取ったりすれば、その時点で贈与となります。

■ローンの援助と生命保険の名義変更はみなし贈与、贈与税が。

◆ 贈与税の税率が複数になると間違えやすい計算、まとめ。

一口に贈与といっても色々あります。制度と仕組みはシンプルですが、実際の生活にあてはめてみると判断に迷うこともあります。

また贈与税は庶民が日常的に意識するものではないので、贈与税の対象と言われてもピンとこないのです。知らないうちに贈与になり基礎控除の110万を大きく超えているような場合もあります。気が付いたら期限までに、贈与税の確定申告をした方が安心です。

知らなかったでは済まないのが税金です。税務署から「お尋ね」が来てからでは、無申告加算税とか延滞税などというつまらないコストが余分にかかることがあります。

相続税がかからないような方には、税務署もあまり着目しないようです。しかしそれでも通常考えにくいような多額の贈与や住宅の頭金支援などは、目立ってしまいます。そして生命保険の名義変更となると、税務署も責任上放置できないという事情があります。しっかりとした知識を元に、贈与の方法とタイミングをお考えください。

生前贈与の注意点とデメリット、相続税対策の失敗と老後の後悔。

贈与の種類は生前贈与と死因贈与、違いとメリットをわかりやすく。

贈与の種類は生前贈与と死因贈与、違いとメリットをわかりやすく。

贈与は相続以外で、無償できる財産移転手段です。被相続人から相続人へ、言い換えれば親から子へ財産を移す方法は、相続するか贈与するかのどちらかになります。

税率の高い相続税を少しでも節約しようとするならば、贈与税の基礎控除(110万円/年)の範囲で、毎年きっちり贈与を繰り返すことが王道と言われます。

贈与と一言でいっても、色々な贈与があります。知っていると知らないとでは、相続税対策の選択肢が大きく異なります。相続と贈与の本質的な違い、贈与のバリエーションについて解説します。しっかり理解されて早めの対策が大事です。

■死因贈与とは、相続・遺贈の違い、メリットデメリット。

◆ 相続と贈与の基本的な違い。

相続と贈与は、それぞれの基礎控除の一定額を越えた部分は課税対象です。親から子へ資産を移すという点では同じですが、移転する金額の大きさ以外にも違いがあります。それは贈与が贈与者の意思によって行われるのに対し、相続は被相続人の死亡によって必然的に開始されるという点です。

もうひとつの相続と贈与の大きな違いは、相続は民法で定められた法定相続人に相続の権利が発生します。しかし贈与は相手を選びません。相続人以外の誰にあげても贈与です。

またほとんどの贈与は生前に行われますから、贈与の相手を選べるだけでなく贈与者が贈与の時期を選べるということもあります。

◆ 贈与の種類とバリエーション。

贈与には単純な贈与から条件付き贈与など、様々な贈与パターンがあります。通常の贈与では、知らなくてもよいのですが、こういう贈与もあるという参考になさってください。

生前贈与:

生前贈与には贈与税の基礎控除(110万)を活用して行う暦年贈与があります。またそのほかに教育資金の一括贈与、結婚子育て資金の一括贈与、住宅取得等資金贈与などの制度化されたものがあります。これらを活用すると、大幅な相続税の節税になる場合があります。

またケースによっては、相続時精算課税制度を利用した一括贈与という手段も有効なことがありますが、節税効果を見極めた上での慎重な選択が必要です。相続時精算課税制度での贈与は、節税効果があるわけではありませんので、相続時にあらためて精算課税されます。

将来的に値上がりが予測されるものを、相続時精算課税で贈与すれば、贈与時の価額に固定されますから、値上がり分は節税できることになります。

■相続時精算課税制度がとことん悩ましい本当の理由。

2023年(令和5年)度税制改正大綱で贈与税の見直しが行われ、相続時精算課税制度に、別途贈与税の基礎控除110万円の枠が新設されました。詳しくは下記のリンクをご参照ください。

■贈与税改正、知らないと損する逃げ水贈与4つのポイント。

負担付き贈与:

贈与に対して何かしらの負担を求めると、負担付き贈与になります。家を贈与するから老後の面倒を見てほしいなど、受贈者に負担を条件として贈与を行うことがこれにあたります。

条件付き贈与:

贈与に条件を付けると、条件付き贈与になります。たとえば国立大学に合格したら車を買ってあげるとかいうのも条件付き贈与です。親子間ではよく見かける空約束です。第三志望の私立大学に合格しても、車を買う羽目になるのはどこの親も同じです。

実際の親子間では、条件を付けてもあいまいな口約束ということもあります。もともと子に相続させるつもりの財産の一部ですから、書面で条件を明確にして契約書で残すようなことも普通はしないと思われます。

◆ 遺贈と死因贈与。

生前贈与とは異なる、特殊な贈与があります。遺贈と死因贈与とは、相続と同じで死亡することで発効する贈与契約です。贈与には違いないので、贈与の相手は相続人でなくても構いません。贈与ですから、お世話になった隣のおばさんでも、昔からの友人でも構いません。

遺贈:

遺言書によって行う贈与のことを遺贈と言います。遺贈によれば、相続人以外に財産を渡すことができます。もともと相続財産は被相続人のものですから、自由に処分する権利があります。(ただし相続人の遺留分は侵害できません。)内縁の妻や愛人など、相続権のない人に財産を残すには遺贈が確実です。ただし相続税がかかる場合は、遺贈で財産を取得した受遺者も相続税を負担しなくてはいけません。

死因贈与:

死因贈与とは遺言書によらず、自分が死んだら財産をあげるという約束です。口約束でもOKですが、生前に贈与者と受贈者が合意し契約が成立していなければなりません。二人だけの口約束だけではもめるもとですから、書面で契約書を残すくらいが必要なところです。

◆ 口頭の贈与と書面による贈与。

贈与は「あげる」「もらう」の合意があれば有効です。本来別に書面で契約する必要はありません。親子のやり取りでは、いちいち贈与契約書などむしろ不自然です。

しかしながら税務署対策で、贈与契約書などを作成される方もあると思います。課税当局は税務調査で暦年贈与を名義預金とか定期金贈与などと言う無理筋を言ってきます。それに反証するためには、贈与契約書も意味があります。

贈与は口約束だけで成立します。しかし遺贈だけは、必ず遺言書で行わなければなりません。また口頭の贈与はいつでも解消できるのに対して、書面による贈与は解消できません。さらに口頭の贈与であっても、贈与が完了していれば解消はできません。

親子間では「あげるもらう」は当たり前、「あげない、返せ」も日常茶飯事です。贈与の口約束を反故にするくらいは、驚くにあたりません。面倒をみると言った娘に一時払い終身を名義変更して贈与します。

もらった娘は、贈与税など知らんふりはよく見かけます。親子喧嘩の結果、名義変更した保険を返せとなり、再度親に名義変更するなど、実際にあります。付き合う保険営業も大変ですが、課税当局も相続発生までは放置です。

◆ 贈与の種類、まとめ。

贈与は知識をしっかりと押さえ、時間をかけて行うことが必要です。うまく使えば、結構大きな資金を移動することができます。計画的によく話し合い、相互に理解・納得の上で贈与を始めてください。

注意点が3点あります。

その1)子や孫かわいさに、贈与のし過ぎにご注意下さい。老後資金が枯渇するばかりか不労所得を持たせると子や孫の道を誤らせることになります。我が子や孫と言えども、キャッシュを持たせるとろくなことはありません。

■生前贈与の注意点とデメリット、相続税対策の失敗と老後の後悔。

その2)暦年贈与は相続発生前3年分が相続財産にもち戻しでしたが、7年に延長されました。最悪は7年前までの贈与が持ち戻しとなり、相続税の課税対象となります。計画的に早めに始めてください。

■贈与税改正、知らないと損する逃げ水贈与4つのポイント。

その3)遺贈された財産は受遺者(もらう人)が相続人でなくても、贈与税でなく相続税が課税されます。また受遺者が被相続人の配偶者、父母、子以外の場合は相続税の2割加算があります。あっさりもらえるわけでもないのです。

■相続人以外への遺贈は2割加算、生命保険の受取人が孫なら2割加算 。

贈与には、単純なあげる・もらうの贈与以外にも、いろいろなバリエーションがあり、それぞれにルールがあります。やはり特殊な贈与という感じになりますので、出番はあまりなさそうです。

・暦年贈与は持ち戻し無しの相続時精算課税制度一択。

また贈与税の改正で、暦年贈与の持ち戻し期間が7年に延長されたのは、確かに痛いと思います。しかし相続時精算課税制度を選択し、新設された贈与税の基礎控除110万円を確保すれば、暦年贈与の持ち戻し加算の延長は、関係なくなります。相続直前の贈与でも持ち戻す必要がなくなりました。

生前贈与の基本は体調管理に気を付けて、長生きすることです。また相続税がかからない方の場合は、贈与税などという理不尽な税金を払うことがないようご注意ください。生前贈与や相続時精算課税制度を活用して、目立たないように課税をクリアしてください。

贈与税の時効を気に病む人へこれで安心、秘策公開!

法定相続情報証明制度のデメリットと意味ないケース。

相続が発生し遺産分割の話し合いがまとまると、相続人それぞれに相続財産の名義変更の手続きが発生します。金融機関での名義の書き換えや、法務局での相続登記などを行う必要があります。

平成29年5月から法定相続情報証明制度がスタートしました。相続手続きの簡素化を目指した法定相続情報証明制度が、意外と知られていません。

相続が発生しない限り使うことがない制度なので、知名度が低いようです。またよく考えてみるとケースによっては意味がないような、意外なデメリットがあります。

■相続登記に必要な書類と手順を、実際にやった素人がわかりやすく。

◆ 法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度は、相続関係を証明する書類をそろえて被相続人の法定相続情報の一覧図を作成して法務局に提出すると、登記官が間違いないことを確認し、法定相続情報一覧図に法務局の認証をくれる制度です。

相続登記では「被相続人〇〇〇〇相関関係説明図」と言います。法定相続情報証明制度では「被相続人○○○〇法定相続情報」と言っています。それに登記官が認証をくれると「法定相続情報一覧図(法務局認証済み)」となります。

被相続人と相続人の関係を家系図のように図示したものです。言い方は違いますが、相関関係説明図に作成者の情報を入れ、登記官の認証文を入れるスペースを空けたものが法定相続情報一覧図です。基本的な内容は、同じものと考えてよいと思います。

■主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例(法務局)

法定相続情報証明制度は、手数料が無料です。(最初に戸籍を集める必要はありますので、その費用はかかります。)5年間有効ですから、何度でも証明書の再発行が可能です。複数枚発行もOKです。専門の登記官が戸籍を確認してくれますので、間違いがありません。郵送でも申請可能です。

■相続登記、自分でやる抜け漏れ想定外。

◆法定相続情報証明制度は相続登記の簡素化ではない。

相続登記に必要な書類を揃えて法務局にもっていけば、抜けや漏れがないか登記官が内容を精査します。その上で不足する書類や間違いの訂正を指示してくれます。素人がやると間違いの修正や不足書類などで、一度で済ますというわけにはいきません。

提出した登記簿などの一連の書類は、原本還付の手続きをしておけば返却されます。

【相続登記に必要な書類】

・登記申請書

・被相続人の相関関係説明図

・被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本、改製原戸籍等

・被相続人の住民票の除票

・相続人全員の戸籍抄本

・遺産分割協議書(相続人が署名し実印にて捺印したもの)

・相続人の印鑑証明書

・相続人の住民票

・固定資産税評価証明書

※登記申請書を作成するためには、相続する不動産などの登記簿(全部事項証明書)をあげて正確な地番や地積を確認しておく必要があります。

原本が返却されれば、他の案件にも使えます。相続登記などでは、法定相続情報一覧図(法務局一覧図)のほうがかさばらなくてよいというわけです。

法務局内での審査に時間が必要ですので、原本還付に2週間程度は時間がかかります。法定相続情報証明制度も同じぐらい待たされますから、あまり変わりません。

無料で認証してくれるので文句を言う筋合いはありませんが、関係書類をすべて揃えて、「被相続人○○○〇法定相続情報」を作成しなくてはなりません。登記しようとする人の手間が減るわけでもなく、簡素化された訳でもありませんから、デメリットと言えるかもしれません。

放置していた相続登記をするだけなら、コピーを取っておけば別に原本還付も不要ですし、法定相続情報証明制度も使いみちがありません。

相続が発生し、所有している不動産が分散していて管轄する法務局が複数であったり、いくつかの金融機関などに手続きが必要であったりすれば、便利になるかもしれません。

■住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。

◆ 法定相続情報証明制度は生命保険でも有効。

生命保険会社のサイトでも、法定相続情報証明制度での対応が可能になったことをアナウンスしているところを見かけます。生命保険も相続財産になりますから相続で名義変更する場合は、同様の証明をもとめられます。

その法定相続情報一覧図の写しを発行してもらうと、戸籍の束の代わりに相続手続きの証明書として使うことができます。追加発行も可能なので便利な制度です。

素人では戸籍謄本を見ても、つながりがよくわからないところです。しかし法定相続情報証明制度では登記官が、戸籍の内容を確認してくれますから、漏れや抜けはなくなります。

これがあれば銀行や保険会社などの複数の金融機関で、相続の確認作業がスムーズになります。生命保険契約照会制度でも使えますが、すべての金融機関で対応しているとは限りませんので、これもデメリットの一つです。

■フツーに利用できない生命保険契約照会制度。

◆ 法定相続情報証明制度のデメリット。

デメリットと言うのは筋が違うのですが、一度は自分で戸籍をすべて集めて、法定相続情報一覧図を作成する必要があります。(申出書と根拠となる戸籍謄本を揃えて提出します。)一番手間がかかる部分は変わっていないので、期待ほどではないかもしれません。

また相続財産の種類が少なく、一度で済むならこの制度は無駄なことになります。手続きによっては、従来通りの戸籍が必要な金融機関もあります。

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◆ 法定相続情報証明制度のデメリット、まとめ。

法定相続情報一覧図の写しを利用できる手続は、相続登記の申請手続の他に、被相続人名義の預金の払戻し相続税の申告、また被相続人死亡による未支給年金の手続きなど、様々なものがあります。

法定相続情報証明制度のもともとの狙いは、所有者不明土地の増加と言う社会問題を少しでも改善しようというものです。土地の名義変更には費用がかかり、期限や罰則が無いため、当面必要がなければ相続登記を先送りすることがあります。

しかし令和6年4月1日から相続登記が義務化され、猶予期間内に相続登記を済ませなくてはならなくなりました。しかし相続登記だけであれば、申請法務局が一か所と言うことが多いと思いますから、法定相続情報証明制度が役立つことはないと言えそうです。

■「法定相続情報証明制度」について(法務局)

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