パワハラの誤解はハラスメント、経営者の視点で切り分け。

パワハラの誤解はハラスメント、経営者の視点で切り分け。

経営者というのは、それぞれが違う性格の社員を同じ方向にまとめあげ、仕事をさせることが仕事です。言い方はよくないですが、やくざ的なパワハラの要素もなくては組織を動かせないということがあります。

一度や二度言っただけでは人は本質的に理解しないし、また動こうとはしないのです。協調型の経営者では、社員を畏怖(いふ)させることができないので、経営はどんどんぬるま湯化します。その結果、会社の経営が思わしくなくなって一番迷惑するのが社員です。

■パワハラのリスクは保険でカバーできるか?部下指導の認識相違がアブナイ!

◆ パワハラとは?厚労省の6類型の分類。

パワハラの元にあるのは、人間としての好き嫌いかもしれません。好き嫌いは、意識せずに態度に出てしまうことも多いと思います。十人十色と言いますが、どこにでも馬が合わない人間はいますし、まわりには優秀な人だけが集まってくるとは限りません。

パワハラの定義

職場におけるパワハラについて定めた法律があります。改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)と呼ばれています。

労働施策総合推進法の中の、第30条の2第1項で、パワハラおよび企業が講ずべき措置について下記のように定義しています。

第三十条の二
事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

法律用語ですから、固い表現になっています。経営者の本音から言えば、余計なおせっかいというべき内容でしょう。パワハラの3つの要素として下記が挙げられています。

職場におけるパワハラ:三つの要素

・職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(優越的な関係)を背景としていること。

・業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えること。

・労働者の職場環境を悪化させる行為。

経営者や上司は常にパワハラの加害者側になります。部下に対しての言動や行動ですから、職場内の職務上の地位の優位性は、必然的について回ります。

業務上の適正な範囲とは何か、これは定義できていません。精神的・身体的苦痛を与えるとありますから指導を受けた部下にしかわからない感情だと思います。

そういう意味で、パワハラの被害者と加害者の関係は行き違いを基礎にした、ミスマッチな思いの交錯と言えるのではないかと思います。

厚生労働省では、職場のパワハラを下記の6種類に分類しています。

6種類の職場のパワハラ

【身体的な攻撃】:身体的な攻撃とは、暴行や傷害など身体的接触を伴う行為

ミスをした部下を殴る

部下の椅子を蹴とばす

相手に物を投げる

職場での暴力は、パワハラ以前に許されない行為です。しかし、問題社員が返事を渋っているときなどは、机をたたいて威嚇したり、書類を破いたりする行為はパワハラになるのでしょうか。

シャープペンやティシュボックスが飛んでくるようなことは、どこでもありそうです。接触を伴わない威嚇的な行為は、どうもクレーゾーンになるようです。

【精神的な攻撃】:精神的な攻撃とは、脅迫や名誉棄損、侮辱、暴言など、接触を伴わない攻撃のこと

ほかの従業員がいる中で人格否定する

日常的に大声で怒鳴りつける

クビや解雇をにおわせる発言をする

怒鳴るということがありますが、大声で呼ぶという意味のほかに声高く叱りつけるという意味になることもあります。怒鳴れば、ほかの社員にも聞こえ、何事かと振り向くでしょう。

決め台詞は「嫌なら辞めろ!」ですが、これは解雇をにおわせているかもしれません。精神的な攻撃という類型はかなり広範囲に及ぶと思います。個室に呼んで叱責しても、叱られている側からすればパワハラです。

【人間関係からの切り離し】:人間関係からの切り離しとは、本人の意に沿わない形で、同僚や上司との接点を意図的に切り離す行為

特定の社員だけ故意にミーティングに呼ばない

挨拶されても無視をする

気に入らないという理由でプロジェクトから外す

できない社員は、当然プロジェクトから外します。和を乱す社員も同僚から意図的に切り離すことがあります。できない社員は、迷惑ばかりかけますから気に入らなくなり、挨拶もぞんざいになります。

本人の意向ばかり尊重していて、組織管理はできません。しかし切り離された社員からすれば、パワハラになってしまいます。

【過大な要求】:過大な要求には、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などが該当

不要な深夜残業を強いる

適切な指導がなく業務を丸投げする

自分の家の掃除をさせる

不要な深夜残業をさせて、割増時間外の手当てを払う会社はないと思います。業務というのはわずかに本人の能力以上のこと要求し、乗り越えさせて一人前にするためです。

手取り足取り教えることはせず、自分で考えるように仕向けます。指導とパワハラの境界は、相互の誤解によりどちらにも動きます。また社宅や寮ならいざ知らず、個人の自宅の掃除をさせるようなことはないと思います。

【過小な要求】:過小な要求とは、業務上の合理性なく、当人が持つ能力や経験に見合わないような程度の低い仕事を命じること

特定の社員にだけ理由なく仕事を与えない

専門職の従業員に誰でもできる仕事ばかりを課す

能力が低いからと掃除のみをさせる

過小な要求をしたいわけではなく、能力が伴っていないから止む無く無難にできる仕事を与えるというところかと思います。社員には給料を払っているわけですから、できるだけレベルの高い仕事を与えて生産性が上がるようにしようと考えるのが普通です。

できない社員と再雇用の高齢社員には、負担の少ない業務を与えます。力があっても職場の和を乱すなら、経験に見合わない仕事を命じることもあります。よほど特殊なケースでないとパワハラとは言えないように思います。

【個の侵害】:個の侵害は、プライベートな内容に対して過度に立ち入ること

飲み会や行事への参加を強制する

退勤後の予定を提出させたり、無理やり聞き出したりする

有給休暇を取得する理由を細かく聞く

飲み会や会社の行事には、積極的に参加をお願いするのはあたりまえです。事情がない限り協調すべきものですが、人によっては強制と感じるのかもしれません。

有給を取る場合、理由は不要と言いますが、簡単に事情を説明しておくことで、納得が得やすくなり協力もしやすくなります。プライベートは言う必要はないと言いますが、お互い人間ですから、ちょっとした配慮で気持ちよく休めます。

■社長が怒鳴るとパワハラ、恫喝より品格が社長の責任。

◆ いじめ・嫌がらせによるパワハラ相談が9年連続でトップ。

厚生労働省の個別労働紛争解決制度施行状況によると、民事上の個別労働紛争の相談件数での相談内容は「いじめ・嫌がらせ」が9年連続トップとなっています。

職場で発生するいじめや嫌がらせは、どこにでも起こり得ることです。多くの紛争では被害者感情が先行し、本当のパワハラかどうかは疑わしいということもあります。

中小企業のワンマン経営者にとって、部下指導をパワハラと言われたのでは経営できないということにもなります。パワハラと厳しい指導の線引きは難しいです。

しかし経営者の従業員へのパワハラともなれば、経営責任が問われ、もたらした結果によっては、多額の賠償責任を負う法的責任に発展するおそれもあります。上に立つものは、時代が変わったことを認識して注意する必要があります。

人には個人差があり、同じ言葉でも受け取り方が違います。個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりすることは珍しくありません。業務上の適正な範囲で行われている厳しい指導は、パワーハラスメントには当たらないとすることを明確にすべきところです。

◆ ワンマン経営者は、プーチンのパワハラ。

中小企業によくあるワンマン経営者は、社長以外の幹部社員も含めて全部平社員扱いというケースがあります。

決定権や決済権は社長一人に集中しており、組織表の肩書や職務権限は形だけとういことは、どこかの独裁国家のようによくあるケースです。別世界のようなものですが、その強権体質に適応したイエスマンだけが生き残れます。

基本コンセプトと言えば「嫌なら辞めろ!」であり去る者は追わず引き止めずです。

組織としての会社からすれば、全く理不尽な話ですが、中小企業とはそうした手前勝手な理屈を覆い隠して、体裁だけ取り繕った独裁国家でもあります。

体験的な要素も含まれますが、実態は下記のキーワードから推測をお願いします。これをどこからパワハラとするか、簡単に判断できるものではないということです。受ける側が忍耐できれば、それはパワハラではないというようなことにもなります。

・若干極端な事例をあげておきます。これでも耐えていきます。

パワハラ気質は感情的、短気で激高、思惑違いで怒鳴る、暴言を吐く、物を投げる、書類を破り捨てる、幹部社員の意見を聞かない、外部の意見を聞き社員を信用しない、執念深く必ず報復する、善悪関係なく不忠に対して始末書を命じる、出社停止を命じ無視する、組織的に降格する、支店へ左遷する、賞与を激減させる、昇給させない、幹部社員に無理やり同意を強要し組織的な意見のように繕う、自分の考えが全て正しいと思っている、好き嫌いで評価や人事を決定する、感情がコントロールできない、朝令暮改ではなく朝礼即改で言うことや指示が毎回変わる、何でも口出ししてくる、気に入らない社員や抵抗する社員を迫害し退職に追い込む、社長の都合で休日出勤を命じる、いつでも個人携帯に電話してくる、誰から給料をもろてるかと支配的地位を誇示、責任を転嫁し押しつける、暴走や間違いを止めるには退職覚悟、自分の感覚・経験で物事を決定し偏りがある、人事評価は形だけで好き嫌いのブラックボックス。

一体どんな会社に居たのかと思われるかもしれませんが、ワンマン経営者とはどこも同じようなプーチン状態です。この結果、幹部社員は保身を優先し、イエスマン集団になり下がります。経営者の判断による不正を抑止できなくなります。

しかし社長に取り入ろうとして報連相のやり過ぎが身を亡ぼすこともあり、適度な距離感が必要です。社長の意向をくんだ意見に終始し、問題点に触れなくなり会議で意見を言わなくなります。

社長から「言いたいことがあれば言え。」と言われて真に受けて意見すれば身の破滅を迎えます。また自分から動いて叱責されるより、指示待ち社員ばかりになります。

辞めたかったら辞めれば良いと、人は簡単に言いますが、そう簡単に転職や退職ができないことは年齢的にもあるでしょう。

◆ 経営者の視点は無意識のパワハラ、まとめ。

中小企業の経営者というものは、やはり聞く耳をもちつつ、腹が立てば叱りつけてでも人を育てなければ会社は組織として維持できないということです。甘いばかりでもいけないし、厳しすぎてもやめてしまいます。

多少陰口をたたかれても、強力なリーダーシップをためらってはいけません。しかし、納得できない話でも見方を変えると一理あるということもあります。時折は立ち止まって人の話を聞いてみるぐらいの心の余裕と広さは、経営者に必要だと思います。

経営のかじ取りは難しいですが、聞く耳をもたずに一目散に突き進むだけでなく、幅広い視点も必要になります。経営者はパワハラを恐れて、厳しい指導をためらっていては経営という競争市場では生き残れません。

ただ時代も変わってきましたから、相手の立場になり言葉を選ぶ、パワハラになっていないか時折自省する余裕も必要かもしれません。

経営者の立場なのか、雇われの身の上を嘆いているのかわからないような記事内容になり失礼しています。言えることは、パワーハラスメントはセクシャルハラスメントと同じように、受け取る側の性格や意識によって感じ方にかなり個人差がでます。

業務上の適正な範囲で指導することは、内容的に多少厳しくてもハラスメントには当たらないとすべきは当然です。経営者としては、パワハラに対して過剰反応して用心し過ぎることも、社員の成長という点で、注意する必要があるように思います。

恐怖の質問検査権、税務調査で電帳法改正の狙いが明らかに。

元国税調査官の自己矛盾を暴くと驚く話が山盛り。

国税庁の密告サイトは、タレコミがバレない陰険な訳。

国税庁の密告サイトは、タレコミがバレない陰険な訳。

タレコミとは密告の隠語です。あまり知られていませんが、国税庁のサイトの中に「課税・徴収漏れに関する情報の提供」というページがあります。内部事情を知るものや恨みをもって退職した社員などがいると、ここから密告することができます。

■国税庁、課税・徴収漏れに関する情報の提供

◆ 社員に恨みを買うと怖い内部通報サイト。

幹部社員でも一般社員でも、基本的に組織内では面従腹背(めんじゅうふくはい)がサラリーマンの基本姿勢です。表向きは従うふりをしても、心の中では反発し背いているという状態です。ましてやカリスマ経営者に使える幹部社員は、盲従復背(新造語です。)と言っても間違いではないと思います。

表向きは笑顔渋面で、納得できない仕事を忠実に指示通りこなしていても、決して満足して忠誠を示しているわけではないのです。そういう幹部社員でもしかるべき地位にいれば、会社の最重要機密に触れることがあります。

面従腹背社員が、会社を売るとか裏切るとか言っているわけではありません。しかし社内で迫害されたり、濡れ衣で責任を取らされたりすると恨みが残ります。

・内部通報制度はリスク大。

そういう社員が会社や自分を追いつめた経営者に対して仕返しを考えるとき、一般的には内部通報制度という仕組みがある会社もあります。ところがこの制度では、内部通報者であるチクった本人に追及が入れば、ばれてしまうだけでなく報復を受ける可能性があります。

権力を一手に握っている経営者では、内部通報制度など意味をなしません。どこかの知事のようなケースはとても多いのですが、経営者であれば次の選挙を考える必要がありません。

国税庁の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」というページでは、通報者の欄は正直に書く必要はありません。(秘密は厳守されるということですが、信用しないほうが良いと思います。)

うまい具合に自分の名を明かさずに、脱税などの情報をタレこむことができます。これはまさに知らぬが仏、経営者にとれば、社員に恨みを買うと怖い内部通報サイトになりそうです。

■脱税は犯罪、保険で儲けてもマルサは突然やってくる、冷や汗体験談。

◆ 税務調査は万能ではなく、節税は知恵比べ。

正しく申告し納税するのが、企業の社会的責任です。しかし多くの中小企業は、それどころではありません。利益が出れば何とか節税して、社内に少しでも利益を残して将来の嵐に備えようとします。そこに国税庁の密告サイトの狙いがあります。

税金ばかりは企業の継続という面では、ほとんど納税したという自己満足だけで経営上のメリットがありません。

税務署からお中元もなければ、コーヒー一杯いただけるわけでもない、不毛のコストです。経営者にとれば、単なるキャッシュのマイナスでしかありません。

それだけに、脱税にならない範囲でせっせせっせと節税を考えます。税務調査では、見解の相違だけでなく、叩けばほこりが出るのが企業というものです。しかし税務署といえども、節税策のグレーゾーンをすべて見抜くことはできません。

うまく税務調査で難を逃れた節税策は、企業のもうけとなるわけです。少々グレーでも危ない橋を渡りたくなるという、経営者心理があります。

・税務調査は知恵比べ。

税務調査の翌期は、経費で多めに落としておいても調査範囲から外れるので見つからないとか、期末の雑費や消耗品費に気を付けろといろいろあります。言ってみれば税務署との節税知恵比べのようなところがあります。

利益が多めに出るときなどは、きわどい手も使いたくなります。生命保険やオペレーティングリースで課税の繰り延べならまだ合理的な説明ができるかもしれません。しかしグレーゾーンの節税対策を山積みにすると、さすがに税務署も黙っていません。

そこに国税庁の密告サイトが登場してきます。せっかくバレずにクリアできる思っていても社員に密告されたのでは、元も子もありません

■優良申告法人の税務調査のウラ話、現場のリアルを体験から。

◆ 国税庁のタレこみサイトとは。

国税庁の「課税・徴収漏れに関する情報の提供」では密告者が、書きやすくなるよう事細かに事例をあげています。一部引用すると「所得税・法人税関係」では下記のように詳細です。

【所得税・法人税関係】

売上金(収益)や必要経費(費用)について、架空又は事実と異なる経理を行うことで不当・不正に所得金額等を少なく(又は還付税額を多く)申告している納税者に関する情報。さらには、その具体的な手段・方法に関する情報、事業が活況を呈している(繁盛している)にもかかわらず、税の申告をする必要はない・申告しないなどと公言・吹聴している者に関する情報、他人名義での取引、他人名義の口座等を利用している者及びその銀行口座に関する情報、架空又は事実と異なる契約書、領収書、請求書、納品書等の書類の作成、交付、作成依頼等(白紙領収書等の交付依頼などを含む。)を行っている者に関する情報

他に、消費税関係(ここは税務調査の焦点となりそうです。)・滞納・徴収関係などがありますが、その他には下記のような項目があります。

節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避に関する情報とくると、生命保険による節税スキームによる課税の繰り延べが浮かびますので身に覚えがあるとドキリとします。

【その他】

節税商品や特定の取引手法を利用した租税回避に関する情報や、その組成・販売をしている者に関する情報海外で稼得した所得に係る課税を免れている者や各国の税制の違い・租税条約を利用して課税を免れている者に関する情報、上記の各項に掲げるような者の協力者に関する情報

情報提供に当たっての確認事項に同意して情報提供ホームにログインします。提供情報入力画面が開きますので、わかる範囲で入力し情報提供することになります。ここから先はご興味があればご自身で確認ください。企業のしかるべき立場にいれば、入力項目は容易です。

■恐怖の質問検査権、税務調査で電帳法改正の狙いが明らかに。

◆ 国税庁のタレこみサイトが陰険、まとめ。

国税庁の密告サイトで情報提供しても、ガム一枚ほどもお礼があるわけではありません。そういう点で、まさにリスクを冒してまで恨みを晴らす目的以外なさそうなタレコミサイトだと思います。

ひょっとして、国税庁はここから多くの脱税の情報を得ているのかもしれないと思うほど、誘惑にかられます。人知られず恨みを晴らすことができる、必殺仕事人サイトのような陰険さを感じます。

身に少なからず覚えのある経営者は、このようなタレコミサイトが国税庁にあると知ったらゾッとするでしょうね。

すべてを秘密にして投稿できるという触れ込みですが、そのような建前は信用しない方がよいと思います。こういうことは、どこかから漏れ出し、犯人捜しの詮索が始まると考えた方がよいのです。紹介しながら情報提供をおすすめしないのは、情報提供者にもいくばくかのリスクを感じるからです。

腹に据えかねるほど恨みがあり、覚悟を決めて情報提供するなら退職して会社と縁を切ってからの方がよろしいようです。国税庁も陰険というか、まことに因果な課税・徴収漏れに関する情報提供サイトを運営しているものです。

元国税調査官の自己矛盾を暴くと驚く話が山盛り。

雇用調整助成金のデメリットは、コロナ特例でわかった甘い汁。

雇用調整助成金のデメリットは、コロナ特例でわかった甘い汁。

雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労使間の協定に基づき労働者に対して一時的に雇用調整(休業)、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部が助成されるものです。

そして新型コロナウイルス感染症の影響による雇用調整助成金の特例は、2023年3月末で終了しています。その後雇用調整助成金は、見直しが行われリスキリング(学び直し)に重点をおいた制度にシフトしています。

コロナ特例による雇用調整助成金は、多くの企業が申請し数々の不正受給が発覚し、多くのデメリットもありました。製造メーカーの現場で見た、雇用調整給付金受給に関する裏事情と、意外に大きい弊害についてまとめました。

■改正電帳法の宥恕措置とは?猶予措置との違い、いつまで

◆ 雇用調整助成金の再延長、甘い汁はモチベーション最悪。

雇用調整助成金の特例措置として、新型コロナウイルス感染症に対する申請対象期間が延長され、令和4年9月末までとなったことがありました。給与の締めの期間が1日でも含まれれば、申請することができます。

現場の計画や事情を無視して急遽、期限までの範囲で所定の割合に達する日数まで社員を休業させるよう経営陣からお達しが出るという、繰り返しのパターンが出現します。

当然、現場は混乱します。単純に有給が増えるのと同じですから、一般社員は不服があろうはずがありません。ところが幹部社員は、休業させる人選や戦力ダウンの中からやりくりを組み直さなくてはなりませんから大変です。しかし問題はそれだけにとどまらないのです。

会社はわずかばかりの雇用調整助成金で、社員に予定外の休業をさせます。そうすると社員も人間ですから易きに流れ、仕事を継続するための緊張の糸がゆるむのです。一度ゆるんだ糸を締め直すのは、何倍もの骨がいります。

◆ 度重なる雇用調整助成金の再延長と不正受給のリスク。

雇用調整助成金のコロナ特例はコロナ禍で売上を落として、経営が苦しくなり、社員の雇用を維持することが困難になった企業に対する補助金です。

売上減少で業務量が減少した社員を、解雇ではなく休業として一定額の給料を支払い、復活の日まで雇用を維持するためには資金が必要です。その資金を補助する仕組みが、雇用調整助成金です。

コロナ禍は、簡単に終息せず何度も拡大したため、雇用調整助成金も何度も延長という措置がとられました。

雇用調整助成金はそもそも、休業した日に会社が従業員に支払う休業手当の補てんを目的とした制度です。あくまでも休業した日が対象になります。

たとえば、会社の休日(公休日)や年次有給休暇、個人の事情で欠勤なども休業には違いないですが、助成金の申請対象でありません。また従業員本人が新型コロナウイルスに感染し、休んでいる期間の給与も休業手当も支払う義務はありません。ノーワークノウペイの原則があります。

・不正受給のリスク。

この休業の区分をあいまいにしたり、適当にごまかしたりして申請すると不正受給となります。有給休暇や欠勤は休業とはみなされず、労働者の自主的な出社も休業とはみなされません。したがって、故意か間違いかは別にして、上記のようなケースで雇用調整助成金を受けることは、不正受給となります。

雇用調整給付金のデメリットの一つとして、安易な雇用調整助成金の申請による不正受給はつまらない結果を招きます。受給した助成金の返還だけでなく年5%の延滞金と20%の上乗せ返還があります。さらには5年間雇用保険を財源とした助成金の受給ができなくなるという、痛いペナルティが待っています。

老婆心までに申し上げておくと、よく似ていますが「雇用継続給付金」とは別物です。雇用継続給付とは、高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付が支給されます。

■経営者の引退間際の悩みをとことん深掘り、共感間違いなし。

◆ 雇用調整助成金は資金繰りの麻薬。

社員数が多いと雇用調整助成金を繰り返し受給すれば、それなりの金額が営業外収益として残ります。本業の赤字を少しでも埋めることができるので、その弊害を考えずに雇用調整助成金の受給に走ってしまう傾向があります。

経営とは、ある面ではキャッシュをショートしないように回していくことです。そういう意味から言えば、経営者が雇用調整助成金のキャッシュに目がくらむことは、致し方がないのかもしれません。

ただ、経営に余裕のある企業までが無理に休業させて、雇用調整助成金を得ようとするのは弊害が大きいような気がします。そのときのメリットと後のデメリットを考えずに受給申請に走ってしまう理由は、雇用調整助成金が一種の麻薬のような、安易な快楽なのかもしれません。

◆ 雇用調整助成金の弊害と社員のモチベーション維持。

雇用調整助成金の弊害と呼べるものに、社員のモチベーションの低下があります。売上が減少すれば、現場の仕事量は減ると考えるのは、ある一面からすれば早計なのです。

人は仕事をするとき、いつも100%で働いているわけではありません。忙しい日もあれば、余裕のある日もあります。どこの職場でも業務量には波があり繁忙期があります。

採用するときは、繁忙期に対応できる人員を揃えようとします。そうすれば必然的に閑散期の業務密度は低下してくることになります。ところが職場というのは売上が落ちたから、一律に業務量が低下するとは限らないのです。どこの職場でもやりくりということがあり、手が空いたときにやることがあります。

たとえば5Sと言われる整理整頓、原料の発注、繁忙期に向けての在庫の確保など雑多な業務があります。決して手持無沙汰に遊んでいるわけではありません。メリハリをつけながら、これまでできていない課題を次から次へ処理しなくてはならないことがあります。

◆ 雇用調整助成金の悪循環、まとめ。

本当であれば、休んでいる場合ではなく売上が落ちているときこそやるべきことがあるはずです。雇用調整助成金目当ての休業は、社員の余裕率を削ることになります。

しかし一番の問題点は、職場に対する緊張感と責任感の糸がたるんでしまうことにあります。

休業という時間的余裕は、社員にとり棚ぼたの特別有給という甘い汁になります。売上が落ち込んで経営が厳しいときに、ぬるま湯と言ってもよいかもしれません。厳しさが欠けると、社員のモチベーション低下につながります。有給休暇ではない休業の甘い汁は、社員をダメにすると申し上げたいところです。

わずかばかリの雇用調整助成金のために、社員の意欲を削ぐようなことになりかねないことが、デメリットというか懸念事項として残ります。

経営は社員の力をいかに引き出すかです。

・コロナでも休業できない保険営業。

これが保険営業なら、休業と言われても休んでいることなどできるはずがありません。なぜなら自分で成果が出なければ地位が維持できないばかりか、家族を食べさせていけないからです。

本当に、売上低下が厳しくて社員の雇用が維持できないような企業には、ギリギリのところで効果があるかもしれません。でも財務的に余裕のある企業が雇用調整助成金を稼ぐために社員を休業させるのは、職場間の不公平による不満を生むだけでなく、モチベーションに悪影響を与えることを知るべきだと思います。

2024年4月からは、在職者によるリスキリングに重点をおき、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくするよう直されました。

中小企業の経営課題はその日暮らし、体験を側近が語ると泥縄経営。

高齢社長が引退しないと困る理由、本音はやめたくない。

コロナ自宅療養、入院給付金の不公平。

コロナ自宅療養、入院給付金の不公平。

新型コロナに感染した場合、自宅やホテルで療養するのは入院ではありませんが、PCR検査で陽性となり保健所や医師の指示で自宅療養となると「みなし入院」という扱いになります。

自宅療養がみなし入院として証明されると生命保険会社では入院と同等の扱いとすることになり、これまで入院給付金が支払われていました。

ところが、ここにきて感染者の急増を受けて入院給付金請求が相次ぎ、保険会社の支払業務がひっ迫しています。支払いが遅れるだけでなく支払総額が予想を上回って増加し続けているため、支払条件を見直すという話が出てきました。新規契約の販売停止は保険会社が決めればよいことですが、後出しじゃんけんで給付金支払条件を制限するということは、契約者間の不公平となり納得できるは話ではありません。

給付金請求のための要件としては一般的に下記の項目を満たしている必要があります。

・契約している保険に入院保障がある。

・被保険者が、新型コロナウイルス感染症に罹患。

・PCR検査で陽性となり、保健所または医師の指示により自宅療養。

・療養証明書に対応している保険会社。

PCR検査で陽性が確認されると無症状か軽症であっても指定期間の療養が指示されます。療養解除日までは、入院とみなすわけです。入院給付金請求は契約者ではなく、被保険者名で請求します。

新型コロナウイルス肺炎と生命保険の災害割増。

◆ 保険会社がコロナ給付金支払条件を制限。

政府が、全ての新型コロナウイルス感染者の氏名などを確認する全数把握を見直し、地方自治体が指定した医療機関だけが患者情報を届け出る定点把握に移行する方向性を決定しました。

各自治体などから異論がある中で、保険会社は渡りに船とばかりに新型コロナウイルスの自宅療養者などに支払っている入院給付金の支払条件を変更しようとしています。

給付金の支払対象を自宅療養者という広範囲な条件でなく、さらに65歳以上の高齢者や重症化リスクがある患者らに限定するというわけです。

対象者に該当しないとコロナで自宅療養を余儀なくされても、給付金請求は却下されるということになります。一度ゆるめた支払条件を変更することは、給付金請求の権利を失った契約者から強い反発が出る可能性があります。単純計算で入院給付金が日額5,000円であれば自宅療養期間が2週間の場合は、7万円になりますから、庶民には簡単に「仕方ないですね!?」とは言えない金額です。

◆ 保険契約者間の公平性はどこに。

生命保険契約の大前提として、契約者に対して公平でなくてはなりません。生命保険会社は、契約に際して、告知や診査があり条件に満たない場合や被保険者の個体にリスクがあると生命保険契約を引き受けません

保険金や給付金支払いにおいても、診断書の提出をもとめ問題がある場合や保険金額が大きい場合には、事実を確認するために医療機関に調査が入ります。また保険金や給付金が支払われる条件については、契約者との固い約束として約款に詳細に指定されています。

厳密に約款に従うのは保険契約者間の公平性を維持するためです。公平性と言う大前提を失っては、生命保険契約は成り立たないと考えるべきです。

◆ 保険会社の社会的信用は失墜か!?

保険会社が給付金の支払いルールを拡大解釈したのは、大きな誤りであったと言えるでしょう。誤りであるがゆえに、保険会社の都合で給付金支払いルールを締め付け直すということは、保険契約者間の不公平をさらに助長することに他なりません。

同じ条件で給付金請求を行ったとしても、請求の時期により給付金が支払われる場合と、支払われない場合ができてしまうという不合理につながります。

見込みが甘かったなどという言い訳が通るはずもなく、そうなれば保険会社の無責任は問われ、社会的信用は地に落ちたと言えるかもしれません。

そもそも65歳の区切りを自宅療養のどの時点で判断するのか、また重症化リスクの線引きを保険約款的に定義できていないなど、問題は単純ではありません。論理的な理由で説明できなければ、契約者の納得は得られません。入院給付金の支払額が想定より多大になるから途中から支給対象を絞ります、では保険会社の信用はなくなって当然と言うべきです。

◆ コロナ、入院給付金の不公平まとめ。

マスコミの報道では、保険会社がコロナ自宅療養の入院給付金の支払い対象を制限するのは9月下旬からということのようです。

ということであれば、自宅療養経験者は一刻も早く給付金請求を行うことが必要です。残念ながら濃厚接触者の自宅療養待機はみなし入院にはなりません。

保険会社の不公平な取扱いに憤慨しても新型コロナに感染しなければ、この話は特に関係がありません。かと言って一刻も早く感染して自宅でゆっくり療養して、入院給付金をがっちりゲットなどと浅はかなことをもくろむことがないようにお願いします。そういう方に限って重症化し、後悔しつつ給付金請求する羽目になりかねません。くれぐれも感染予防怠りなく、細心の注意でご用心いただきたいと思います。

老婆心までに付け加えますと、コロナ感染でかかったた医療費は医療費控除の対象となりますが、自宅療養や入院で保険会社から入院給付金を受取った場合は、控除対象医療費からマイナスすることになっています。お間違いのないようお願いします。