特別寄与料は争族の火種、息子の嫁に報いる生命保険。

特別寄与料は争族の火種、息子の嫁に報いる生命保険。

特別寄与料の制度は、2019年の民法改正により導入(同年7月1日施行)されました。法律の改正は、どうしても机上の理論になりがちです。

しかし法律の影響を受けるのは、生身の人間です。人の気持ちに配慮できていない法律の改正は、問題を改善するどころか、争族の火種になることさえあります。

新設された特別寄与料の問題点について、その恩恵を受けるであろう相続人の嫁の立場で記事を書きました。特別寄与料の請求権は、相続人以外の貢献に報いる制度です。

息子の嫁以外にも特別寄与者はいると思います。しかし嫁の立場では特別寄与料を相続人に請求するなどということは、心情的になかなかできることではないのです。特別寄与者の献身的介護をないがしろにする、いやらしい制度という面は否定できないと思います。

■子がないと被相続人の兄弟に相続権、遺言書がないと嫁の悲劇。

◆ 特別寄与というけれど、同居の嫁の立場。

家制度は、はるか昔になくなりましたが。しかし家の嫁という考え方はまだまだあります。核家族化が進んだとは言え、息子が結婚すればその嫁は家族の一員であり、自分の娘と同じことです。

誰もが確実に、もれなく年老います。果ては体が弱り、人のお世話になります。息子の嫁に世話のならなければならないことも起こります。お世話になった嫁には感謝の気持ちとして、いくばくかの財産を残してやりたいと思うのも当然です。

ところが相続は、嫁に限りなく冷たくできています。

実の親子ではないので相続人ではありません。そのため遺産を受け継ぐ、何の権利も保証されていません。

まだ相続人である夫が存命なら、表立ってではないにしても意見を言えると思います。しかし田舎では、相続に口を挟まない嫁がよい嫁とされたものです。

親と同居するのは、長男の嫁が多いと思います。同居の嫁は遺産分割に関しては、他の相続人である兄弟姉妹に比べると著しく不公平なのです。兄弟姉妹が親に対する責任を放棄しているとしても、相続では確実な権利があります。

その同居している息子の嫁の立場を改善する制度として、特別寄与料の請求権が出来たというわけです。

■老後の相続対策は相続税がかからなくても必要な理由。

◆ 相続に口出しできない親族の胸の内。

今回の改正では、相続人以外の親族を交えて遺産分割協議をすることも起こり得ます。相続人でない息子の嫁が口出す相続という場面は、できれば避けたいところです。

なぜなら相続での遺産分割協議では、理性がおいてきぼりになることも少なくありません。

話が決裂すれば、調停か裁判しかないわけです。しかし世間の常識と家庭裁判所の常識が食い違うものの一つが、この特別寄与と言われています。

相続人や特別寄与料を請求しようとする特別寄与者に対して裁判所は、特別寄与について「財産形成の対価」に過ぎないととらえるのです。

でも普通の感覚では、特別寄与は「被相続人への貢献に対する恩賞」と考えるのが自然な感覚です。家庭裁判所や調停委員会は理詰めですから、人の気持ちはわかりません。この食い違いは今、回の改正によりわずかながらも人間的な判断が下る可能性があります。

世の中はなんでもそうですが、言いたいことを言ってしまってはまとまる話もまとまりません。相続に口出しできない親族の胸の内は察するに余りありますが、できる限りの辛抱も大事ではないかと思います。

なぜ相続権のない配偶者の嫁の気持ちがわかるかということですが、相続権のない疑似養子の立場を経験しています。それゆえ特別寄与料の請求権に疑問を感じているわけです。

■特別受益の持ち戻しが争族の火種になると大炎上。

◆ 家庭裁判所に労苦を算定される腹立たしさ。

特別寄与料などという、権利と言われるような問題にしたくない配偶者の嫁の気持ちは理解できると思います。金が欲しくて介護したとは思われたくないし、そんなつもりでもないでしょう。

金を渡せばそれで文句ないだろうというような、介護の苦労を金額換算しようとする考え方に腹が立つはずです。

相続権がないからこそできる、無欲の介護もあります。金で済むなら最初からヘルパーでも何でも頼めばよいのです。身内の介護には、介護する人の思い入れがあります。

欲得や計算高い気持ちでできる介護でもないのです。そいう意味では特別寄与料という新制度は、介護する人の気持ちを汲んでいるとはいい難い面があります。

家庭裁判所で介護ヘルパーに支払う対価をもとに特別寄与料を算定されたのでは、身内で介護する人にとって全く小ばかにされたような気分になります。できるものなら相続人の責任で介護をしてみればいくばくかは介護の苦労がわかるはず、と言いたくなります。

■相続での争いは譲れない人間の本性をさらけ出す深い理由。

◆ 特別寄与料とは。

特別寄与料は様々な制限や条件があり相続税の2割加算まであります。特別寄与料の請求権の詳細は、下記に詳しく書きました。

定義すれば特別寄与料とは、被相続人の親族のうち相続人でない人(たとえば被相続人の子の配偶者・嫁)が、被相続人を無償で療養看護するなどして、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合に、相続の開始後、相続人に対して寄与度に応じた金銭を請求できる制度です。

法改正前は、子の配偶者などの相続人でない親族は、どれだけ被相続人の介護を献身的に行なったとしても「相続人でない」という理由によって相続財産を取得することができませんでした。

しかしこの結論は不公平であるため、法改正により特別寄与料制度が設けられました。そして相続人でない親族も特別寄与料として、相続財産の一部を取得できるようになりました。

改正の要点は、相続人でない親族(息子の嫁など)が親の介護をした場合、特別寄与料が請求できるようになったということです。

相続人が特別寄与した場合と相続人以外が特別寄与した場合の条件が下記のように異なります。

・特別寄与の条件:相続人が特別寄与した場合

被相続人の事業に関する労務の提供又は「財産上の給付」、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすること。

・特別寄与料の条件:相続人以外の親族が特別寄与した場合

被相続人の事業に関する労務の提供、被相続人に対する無償の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をすること。

特別寄与料の条件では、相続人以外の親族の場合「財産上の給付」という持ち出しは、要件ではなくなりました。特別寄与料の条件は、貢献の程度が一定程度を越えることでよしとされました。一定程度とはかなり線引きが難しいと思います。

財産上の給付:資金提供、借金の肩代わりなどの経済的支援。

特別寄与料の特別寄与者となり得る親族は、相続人を除く6親等内の血族と3親等内の姻族となります。息子の配偶者はこの中に含まれることになります。

・特別寄与者の要件:

①親族であること(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)

②相続人でないこと

③相続放棄などによって相続権を失った者でないこと

6親等内の血族と言えば、たとえばいとこの孫まで、3親等以内の姻族と言えばひ孫の配偶者、甥姪の配偶者あたりまで広がります。

親族と言えどもそこまで縁が離れた人が、療養看護してくれるとは思えません。しかし特別寄与料のおかげで、争族の範囲も広範囲になりました。

しかしここでも民法では、内縁の妻や愛人は除外されています。法的に血縁がない内縁の妻などに財産を残すには、やはり遺言書が必要だということになります。

・特別寄与料が認められる要件:

①被相続人に対して療養看護などを無償で労務提供をしたこと

②被相続人の財産の維持・増加について特別の寄与をしたこと

息子の嫁が義父の介護をすれば、特別寄与料の要件に該当します。ほとんどのケースでは、療養看護(介護)で財産が減ることはあっても、増加に貢献できることはないと思います。

しかし別の見方をすれば、被相続人の財産の維持・増加とは、嫁が自宅で介護すれば介護施設の利用料はかかりませんから維持に貢献したと考えられます。

介護する立場で言えば、自分の時間と人生を犠牲にして療養看護しているわけですから、通常期待される程度を超える特別な貢献をさらに越える苦労です。

・特別寄与料の請求期限:

特別寄与料には6カ月の消滅時効があります。相続の開始及び相続人を知った時から6か月以内が請求期限となっています。また特別寄与料には1年間の除斥期間があります。期間が過ぎてしまうと請求する権利が自動的に消滅してしまう期間があります。

・特別寄与料の計算方法:

特別寄与料は、相続人と特別寄与者で話し合って合意できればいくらでもかまいません。家庭裁判所に決めてもらう必要はありません。しかし当事者間で合意できなければ、家庭裁判所に特別の寄与に関する処分調停を仰ぐことになります。

たとえば療養看護型の特別寄与料のケースでは、「日当額×療養看護日数×裁量割合」という式で計算されることになります。

家庭裁判所で計算されると、日当額は介護保険制度を参考として要介護度に応じて5,000円~8,000円とされることが多いようです。裁量割合とは、親族にはもともと扶養義務があることから、職業介護者と比べて費用を低額にするために考慮されるものです。

寄与分における計算と同様0.5~0.7の割合で減額されます。裁量割合で加算されるならわかりますが、減額されるのですから、特別寄与者にはバカにされたような気分になります。

・特別寄与を減額査定は納得できない思い。

もともと金目当てで療養看護や介護をしたわけではないだけに、金に換算されると甲斐がないというか、納得できない憤りを感じてしまう特別寄与者もいることでしょう。

これが合意できず弁護士を頼んで話がまとまったとしても、さらに特別寄与料の2割も弁護士費用として成果報酬に支払わなければならないとすれば、何をかいわんやの結末になります。

特別寄与料は、被相続人が亡くなった後、相続人に対して請求するものです。請求を受けた相続人は、法定相続分に応じて特別寄与料の額を負担します。

特別寄与料を請求するためには、自分がどの程度療養看護などをしてきたかなどについて、資料を示しながら具体的に説明する必要があります。

療養看護の具体的な内容を記録しておかなくては、証拠が残りません。しかし療養日記とは言え、それでは、最初から特別寄与料を狙って療養看護をしていたことになりますから、気持ちとしては嫌なものです。

・特別寄与料の相続税は2割加算:

忘れてはならないのは、特別寄与料にも相続税がかかるということです。特別寄与者は相続人ではないので、相続税は2割加算となります。特別寄与料が認められても手放しで喜べない事情は、いくつも待ち受けています。

相続税がかからないレベルの相続なら何もしなくてよいのですが、そうでない場合は相続税の申告が必要になります。

特別寄与料は、相続人に支払ってもらうことになります。相続人にすれば、取り分が減るわけですから面白かろうはずがありません。遺産分割協議以外に特別寄与料の話し合いでひと悶着ということも考えられます。

今回の民法改正は本来ならおさまっていた相続が、相続人以外に拡大し、いきおい争族化する可能性をはらんでいると言えそうです。

■配偶者居住権のデメリット、不仲の子が障害に!

◆ 同居の嫁には特別寄与料より生命保険の受取人指定。

相続人以外の親族と言えば主に嫁(被相続人の兄弟姉妹や甥姪という場合もあります。)です。親の介護を請け負うとなれば、どうしても嫁の背中にのしかかってきます。

自分の配偶者の親ですから、血はつながっていなくても自分の親として介護の責任を感じるのは当然です。

これまでは、他の相続人からは感謝されるどころか、介護費用の使い込みを疑われたりすることすらあります。まったく報われない立場でした。それに報いる制度として特別寄与料が創設されたのですが、相続というものはそもそも公平にはできていません。

特別寄与料は介護した嫁などから、相続人に対して特別寄与料を請求することで制度として機能します。他の相続人にとれば自分の相続財産の分け前が減るわけですから、面白くありません。

結局、欲得の絡み合いになります。立場の弱い嫁では、権利と言えども引かざるをえないか、あるいは言い出しにくい話なのです。

1)同居の嫁に相続権なし。

同居の嫁は息子の配偶者です。被相続人たる親から見れば、いくら世話になっても血がつながっていません。赤の他人ではないですが、法的には姻族という事になります。

よって相続権が元からありません。相続権がないから当然ながら相続人一人当たりの相続税の基礎控除(600万)も生命保険死亡保険金の非課税枠500万もありません。

意図的に手を打たなければ、同居の嫁に相続に関しては権利も特権も一切ありません。

2)同居の嫁を生命保険の受取人に指定。

生命保険金は受取人固有の財産として、判例が確定しています。同居の嫁を生命保険の受取人に指定すれば、誰はばかることなく報いることが可能になります。ただし注意すべきことがいくつかあります。

・生命保険金は受取人固有の財産ですが、相続税の納税義務が発生します。

・納税義務が発生しても相続人ではないので相続税の基礎控除(600万)も死亡保険金控除(500万)も使えません。

生命保険では各社微妙な違いがありますが、受取人は原則として、配偶者および2親等以内の血族(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫など)とされています。

生命保険には、モラルリスクということがあります。嫁は血族ではなく姻族ですから原則外になります。

よって息子の嫁を死亡保険金の受取人に指定する場合は、個別に保険会社に理由等を確認することになります。ケースによっては調査が入る場合があります。しかし世話になった息子の嫁を保険金の受取人に指定できないということはありません。

3)同居の嫁には遺言書で遺贈。

簡単なようでなかなかできない遺言書です。しかし書き方さえ間違わなければ、もっとも簡単に同居の嫁に財産を遺贈することができます。

遺言書で指定すれば、相続人でなくても財産を渡すことができます。この場合、遺贈と言うことになりますが、他の相続人にも配慮しないと後でもめることにもなります。

世話になった嫁が孤立して困ることがないよう、他の相続人の遺留分を侵害するようなことがなく、また遺贈の意思を言い含めておくことも必要です。

4)同居の嫁を養子縁組して相続人に。

他の相続人がとやかく言わないなら、確実な方法としては嫁を養子にしてしまうことです。そうすれば晴れて相続人となり権利も特権も発生します。

相続税の基礎控除(600万)も死亡保険の非課税枠500万も使えます。明快かつ確実な手法ですが、心情的にひっかかる方もあろうと思います。養子縁組の手続きには証人が2名必要ですが、書類さえ整えば簡単です。

そうは言っても、実際はなかなか遺言書を書かない方が多いです。嫁を養子縁組するのは他の兄弟姉妹の手前、はばかられることがあるのもわかります。

相続権のない嫁にいくばくかの財産分与を考えるなら、生命保険で受取人指定をすることが最も簡易でベストではないかと思います。

ただ言えることは本当に同居の嫁に感謝の気持ちがあるなら、頭がしっかりしているうちに、上記のいずれかの手を打つことをおすすめします。

老いというのは体力だけでなく気力も失われていきます。思い立って何かを形にするには、多大なエネルギーが必要です。いつかやろうと思って先延ばしにしているうちに、思いがけずハードルが高くなってくるものです。

思い立ったが吉日とはよく言ったものです。

◆ 特別寄与料は争族の火種、嫁に報いる生命保険、まとめ。

裁判所は、特別寄与にすこぶる厳しい立場です。改正前までは、息子の嫁が義父や義母を懸命に介護したとしても特別寄与とはなりませんでした。昔から家の嫁という立場は、相続人から相手にされない立場です。

自分の親なのに何の世話もせずほったらかしでも、相続人という立場があれば遺産相続の権利があります。親の世話をしない相続人を責める気もありませんし、そんな時代でもないのでしょう。

しかしそれでも誰かが老親の世話をし、最後は介護に身を尽くし看取らなければなりません。

・相続とは元家族の財産争奪戦。

相続とはわかりやすく言えば、元家族の財産争奪戦なのです。それが家族から親族まで拡大されたのが、今回の特別寄与料の請求権と言えると思います。

特別寄与料の請求権がある親族の範囲は広いですが、通常は親と同居している場合の嫁になると思います。

まれには兄弟や甥や姪の世話になる方もいらっしゃいますが、まずは親族と言ってもこの辺までのことかと思います。

これまでは如何に介護や看病で貢献しようが、相続人でなければ遺産分割で物言うことはできませんでした。それが公式に特別寄与料に関する発言権が、嫁に認められたようなことでしょうか。裏で糸を引いていた相続人の配偶者にも、一部の権利が与えられたわけです。

遺言書があれば、世話になった相続権のない嫁や親族に財産を遺贈しても問題は発生しにくいと思います。遺言書がなければ、泥沼争族の範囲が広がっただけということになりはしまいかと危惧するところです。

くどいようですが、相続はむき出しの本音で自己主張をするところです。日頃の建て前が剥がれ落ち、人間の本性が出てくる場です。仲の良かった兄弟が、相続を境に法事にも呼ばないような争いになる事例も見ています。自分だけは大丈夫などと思わないことです。うちの家族に関しては心配ないなどと思わないことです。

・相続の本質と特別寄与料について。

大人げないことですが、それが人間の本質ではないでしょうか。どうも相続となると悲観的性悪説に傾倒するような気がします。それゆえかどうかわかりませんが、感情論が入る余地のない、権利関係が徹底して明快な生命保険に傾倒するのかもしれません。

相続税がからない層で、わずかばかりの年金と親が住んでいた家だけが財産というケースがあります。兄弟や親戚が責任放棄して世話しない義母(義父)の療養介護を引き受け、最後をみとった家の嫁の苦労があります。その貢献を特別寄与料などとして、金額換算する制度に腹立たしい思いがあります。

また相続権がある兄弟姉妹に、特別寄与料などと言うともめること必至の嫁の苦しい立場があります。親の世話は嫁の仕事、当然と言いたい放題、特別寄与料などと権利の主張をしようものなら、金目当ての強欲な嫁の烙印です。争族になれば、縁切り覚悟で特別寄与料の請求になってしまいそうです。

どうも特別寄与料の請求権とは、嫁の立場ならずともしっくりいかないものを感じています。

相続争いは譲れない、欲得をさらけ出す深い理由。

おひとりさま相続とおふたりさま相続、遺言書が絶対必要な理由。

富裕層への課税強化、CRSからホワイトデーショックまで。

富裕層への課税強化、CRS(共通報告基準)からホワイトデーショックまで。

貧乏庶民には直接関係がないかもしれませんが、世間には富裕層が増加しているという現実があります。

保険業界にもホワイトデーショックまでにひと財産を稼いで海外に資産を移転したような猛者も結構見かけました。

資産を多く保有する富裕層は、とにかく節税に熱心です。しかしここにきて国税庁も目を付けて、富裕層と国際税務に対する特別な取り組みを進めていると聞きます。

ご承知のように共通報告基準(CRS)などによる国際的な情報共有が進み、富裕層への包囲網は狭まりつつあると言えそうです。

◆ 保険代理店の富裕層はハンパない。

節税保険は国税通達で封じられましたが、それまでは鼻息の荒い保険代理店が節税商品を、毎年決算時期にバンバン売り込みに来たものです。当然保険代理店が手にするコミッションも半端ではありません。なぜなら、節税保険は保険料が多いほどよいという、通常の保険料とは異なる意識が働きます。

話が合えば簡単に年払い保険料が数千万ということが普通にありました。もちろん継続的に利益が出ている超優良企業でないと、保険料を払い続けることができません。そういう中小企業のオーナー経営者の懐に入り込むテクニックは必要です。

グレーゾーンでもどんどん提案する保険代理店の実入りは、莫大になります。特注の外車を2台乗り換えたり、海外旅行に頻繁に出かけたりします。それでも利益を費用で落としきれませんから、リスク覚悟で海外に資産を移転したり、不動産を購入したりと節税策を駆使します。

逓増定期の名義変更にトドメの通達、実質遡及の混乱!

◆ 富裕層への包囲網は強化傾向。

国税庁は富裕層への課税強化として様々な手を打ってきました。

海外資産の監視と課税強化策として国外財産調書制度(国外財産5,000万超の報告義務)、出国税(国外転出時課税制度)、相続税・贈与税の納税義務期間を移住後5年から10年に延長、CRS(共通報告基準)etc.があります。

保険ではバレンタインショックと呼ばれる節税保険封じ、ホワイトデーショックと呼ばれる名義変更プラン封じ、さらには高額な介護保険金に対する課税が検討されています。その後、いくつかの保険会社がやり玉に挙げられるということもありました。

また超富裕層に対する国税の監視強化、税務行政のDX化による内部情報の統合も進められています。すでに相続税と贈与税の一体化課税への見直しなどが検討されたことはご承知のことと思います。他にも課税強化はすすめられており富裕層の選択肢は狭くなりつつあります。

相続税の節税では、生前贈与と生命保険活用が王道であることは、繰り返し記事にしてきました。しかしそれが焼け石に水というような超富裕層は、さらなる抜け穴を探すイタチごっこになりそうです。

相続税┃税務調査で狙われる理由。

◆ 富裕層への課税強化、まとめ。

大儲けしてきた保険代理店のオーナーは当然個人資産も莫大になっています。いかに相続税や贈与税をクリアして次の代に資産を残すかに腐心しています。

しかし息子が保険代理店を継いだとしても、以前のようにおいしい仕組みはありません。一旗揚げるどころか転職を考えた方がよい場合もあるでしょう。

また、相続財産を次の代に残してやることが後継者のためになるかどうか、熟慮が必要になるところかと思います。確かに汗水たらして薄氷を踏む思いで生きてきた保険代理店オーナーにすれば、所得税で半分取られて相続税でさらに半分取られるのでは泣くに泣けない厳しさだと思います。ゴルフとダイビングしかできない海外に移住することで、相続税がかからないのであれば、それを考えるのも無理からぬところかもしれません。

しかし、富裕層への包囲網は相当に強化されていつ網がかかってもおかしくないところまで来ています。国税庁の姿勢が変わりつつあるところです。節税策が合法的かどうかは、いつも見解の相違で摘発の対象になります。タワマン節税もついにとどめを刺されそうな雲行きです。

生前贈与や不動産投資、生命保険などの比較的安全な節税対策にこだわって、枕を高くして寝られるようにすることが、残りの人生には褒美のような気がします。いやはや貧乏人のひがみでしょうか。

生前贈与を非課税に|何から始めてよいかわからない方へ。

配偶者居住権のデメリット、不仲の子が障害に!

配偶者居住権のデメリット、不仲の子が障害に!

最近の世知辛い世の中では核家族化がすすみ、さらには夫婦二人暮らしがやがては独り暮らしになります。そして家としての流れは、次第に絶えていきます。

それを見据えたわけではないと思いますが、2019年の民法改正で「配偶者居住権」という耳慣れない制度がスタートしました。

これまで相続では優遇されてきた配偶者ですが、その生活を安定化させ、住む家を確保する目的で創設されました。親と子の関係が良好でない配偶者のための制度です。

争族防止だけでなく、節税などのいろいろな目的に使えることがわかってきました。しかし同時に別のデメリットや問題も明らかになってきました。

■子がないと被相続人の兄弟に相続権、遺言書がないと嫁の悲劇。

◆ 配偶者居住権の施行と狙い。

夫に先立たれた妻が遺産分割で財産を分けた後も、長年住み慣れた自宅に住み続けられることを保障する仕組みが配偶者居住権です。

たとえば住んでいる家とわずかばかりの現金が相続財産という場合に、配偶者居住権が威力を発揮することがあります。

関係が良くない子や金に困っている子が、相続の権利とはいえ無情にも財産の分与を求めてくることがあります。そうすると住んでる家を手放して、換金して分けるしかないということも起こります。

しかしそれでは、夫に先立たれた妻は困ります。住み慣れた自宅を出て、家賃のかかる賃貸に入るしかなくなります。老いてからは辛い話です。

それを「配偶者居住権」と「負担付き所有権」に分けて相続できるようにしたわけです。

残された妻は、配偶者居住権を相続し自宅に住み続けます。関係のよくない子には、負担付き所有権を相続させることができます。それにより配偶者が家を手放したり、老後の生活資金を失ったりすることがないようにするための制度です。

・具体的事例。

相続財産が配偶者の住んでいる家3,000万相当と現金が2,000万あったとします。金に困っている子が一人相続人の場合、遺言書がなければ法定相続となります。遺産総額の5,000万を2,500万ずつに分けなくてはなりません。

家は分けられませんから売却して現金で分けるか、借金でもして500万の現金を代償支給するかということになります。どちらにしても残された配偶者には、いばらの道になります。

それを配偶者居住権として考えると、配偶者居住権を1,000万、負担付き所有権を2,000万、そして現金が2,000万をどう分けるかということになります。

配偶者の相続分は家と配偶者居住権1,000万と現金1,500万、子の相続分は負担付き所有権2,000万と現金500万となり、うまい具合に半分ずつになります。

配偶者にとれば居住権を確保したうえで、キャッシュが1,500万となります。住む家は確保でき、年金暮らしでどうにかやりくりするという細い道が見えてきます。

現金が500万となった子は、面白くないかもしれませんが、負担付き所有権2,000万で手を打つほかありません。

・負担付所有権で配偶者の住居を確保。

【遺産総額】

家  3,000万、現金 2,000万=合計 5,000万

【法定相続の場合】

配偶者         2,500万

相続人(子)       2,500万

【配偶者が家を相続した場合】

配偶者       家 3,000万

相続人(子)    現金 2,000万+配偶者から代償金500万

500万の代償金を支払うために家を売却するか、借金をするほかありません。これでは、老後資金がなくなり大変です。

ところが、配偶者居住権を行使できると、法定相続の1/2ずつですが配偶者には居住権と現金1,500万が残ります。

【配偶者】

配偶者居住権    家 1,000万

現金          1,500万

合計          2,500万

【相続人(子)】

負担付き所有権   家 2,000万

現金           500万

合計          2,500万

金が必要な相続人にとれば、権利を制限されただけで、少しも公平ではないと感じると思います。こうなると納得できないのが仲の悪い子とか、先妻の血がつながっていない子です。

今すぐにも金が要るのに、負担付き所有権などもらってもやっかいなだけになります。その上、あてにしていた相続キャッシュ2,500万は、500万にやせ細ります。

・納得できない相続人の拒否。

納得できない子が相続人として遺産分割協議で配偶者居住権を拒否したらどうなるのでしょうか。配偶者居住権を登記するためには、相続人同士が遺産分割協議をまとめる必要があります。

それが同意できず困難であれば、家庭裁判所の裁定を仰ぐしかなくなります。無情な話ですが、我が子とそこまで争うくらいなら、家を売って賃貸で暮らすことも考えるかもしれません。

権利であっても行使できるとは限らないのが、配偶者居住権のデメリットです。そもそも仲が悪ければ、配偶者居住権ができても相続は相変わらず争族というわけです。

配偶者居住権の評価額は、平均余命などをもとに算出されるので配偶者が高齢であればあるほど低くなるように設定されます。相続人である子は負担付きで自宅の所有権を相続するので、遺留分の問題は発生しないことになります。

配偶者は、配偶者居住権を相続するので、子どもが自宅を相続しても住み続けることができます。配偶者居住権により自宅の所有権はなくても、その代わり現金を相続できるので老後の生活が安心できます。

◆ 配偶者居住権のデメリットと節税メリット。

この制度は、二次相続で相続税がかかるような場合には、配偶者がなくなると配偶者居住権が消滅するのでその分相続財産が減少し、二次相続の相続税を節税することができます。

二次相続で相続税がかかるということは、老後に困ることがない程度の、それなりの資産があるわけです。ですから配偶者居住権を主張することもないかもしれませんが、相続税の節税としてメリットは残ります。

単純な事例で説明すると、たとえば1億円の自宅を相続するケースで、配偶者は5,000万の配偶者居住権を得て子は5,000万の負担付き所有権を相続したとします。すると配偶者(母親)がなくなり配偶者所有権が消滅すると、結果として子は1億円の不動産を5,000万円で相続したことになりますから、相続税の節税効果があるわけです。

配偶者(母親)が亡くなった場合の二次相続で小規模宅地の等の特例で、自宅の評価を80%減額できる場合は、配偶者居住権による節税とどちらが得になるか検証が必要になることがあります。これは税理士などの専門家に試算をお願いしてください。

・配偶者居住権のデメリット

デメリットとしは、自宅の所有権を相続した子が、深刻な不仲の場合、あるいは金に困っていると土地を第三者に売却することがあり得ます。また配偶者居住権を登記するにも、子の協力がないと登記できないという問題もあります。

金に困っている子にすれば、配偶者(母親)は介護施設に入居させ、自宅を売り払って換金したいところです。コロナ禍で事業に行き詰って、金に追いつめられると人間は鬼にも蛇にもなるとしたものです。

まして円満でない家庭であれば、親思いの仮面をかぶった情け容赦ない争族になります。デメリットの視点で見ると、権利でありながら権利として保護されない可能性もあるという、どうも軟弱な配偶者居住権だと思います。

■相続での争いは譲れない人間の本性をさらけ出す深い理由。

◆ 配偶者居住権制度は登記必須。

配偶者居住権は、短期(90日)の場合は無条件ですが、長期の配偶者居住権は遺言書がなければ、遺産分割協議による相続人全員の合意が必要です。

どうしても金が必要な子が、同意しなければ成立しない話です。この辺が意外な落とし穴であり、デメリットと言えるのではないかと思います。

子が遺産分割協議で配偶者居住権を認めない場合、家庭裁判所に申し立てて調整を依頼すれば、負ける話ではないでしょう。しかし実際の場面では、親子仲が悪くてもそこまでやる前に家の売却を考えるかもしれません。

配偶者居住権は、遺産分割協議で承認されればそれでよいのですが、将来にわたって何があるかわかりません。相続人が生活に困って負担付き所有権を手放すことも考えておかなくてなりません。

少々お金はかかりますが、やはり長期の配偶者居住権を設定したあとは、できるだけ早く登記をすることです。

登記していれば、家を手に入れた第三者に対して配偶者居住権を主張できますから、法的には追い出されるようなことにはなりません。

登録免許税は、「建物の固定資産税評価額×0.2%」、ご自分で登記するのはそれほど難しくないですが、不安であれば司法書士の報酬は数万円程度が相場となります。

それもこれも配偶者居住権が遺産分割協議などで合意できれば、の話です。合意できる親子関係であれば、そもそも配偶者居住権など必要ではないのかもしれませんが。

■相続はもともと不公平、兄弟でもめるとあの世で親が涙。

◆ 配偶者居住権のデメリット、まとめ。

相続人としての子の協力が得られないと、行き詰る配偶者居住権について書いてきました。多くの相続では配偶者居住権など考えなくても、親の生活が立ちゆくように子は配慮するものです。

古臭いことを言うようですが、老いた親の面倒を見るというのも子のつとめだと思うのです。

しかし世の中はそうとばかりは限りません。配偶者居住権が登記されていれば、問題なく安心して配偶者が居住を続けることができます。

・配偶者居住権と負担付き所有権の分割評価額を算出。

・相続人による遺産分割協議、配偶者居住権の承認。

・配偶者居住権を法務局で登記。

民法が改正されたからと言って配偶者居住権は、自然発生するものではありません。権利を取得するかどうかは、当事者である配偶者や相続人の判断になります。

相続税がかからないような方は、そもそも配偶者居住権があることを知るすべも機会もないかもしれません。

相続人として自宅の負担付き所有権を得た人が、その後の経済的事情により所有権を売らなければならない状況になることもあります。

配偶者居住権の登記を行っていない場合、新しい所有者は配偶者に対して立ち退きを要求する可能性が出てきます。登記をしないままだと根拠がなくなり、第三者に対しては手放した自宅に無償で住んでいるという状態になります。

配偶者居住権を設定すると、建物の維持にかかる費用は配偶者、敷地の固定資産税は、負担付き所有権を得た相続人の責任となると思います。

固定資産税は毎年通知が送られてきます。仲が悪い子にとっては、自分が住んでもいない家の敷地の固定資産税ですから、面白かろうはずがありません。

それやこれやを考えると、配偶者居住権もメリットだけでなく結構デメリットもあるということですので、専門家にご相談の上慎重にと申し上げておきます。

相続に非協力的な相続人の本音と3つの落とし方。

おひとりさま相続とおふたりさま相続、遺言書が絶対必要な理由。

M&A税制による節税効果と事業規模拡大。

M&A税制による節税効果と事業規模拡大。

2021年度税制改正関連法には、中小企業のM&A (事業譲渡、買収)に対する税優遇が多数盛り込まれました。M&Aは増加しており取り扱う機関も多種多様です。M&Aをビジネスとする企業は活発な動きを見せています。

最近では、M&A市場は過熱気味で売り手市場になっているようです。おかげで怪しい仲介業者なども暗躍し、M&A詐欺などということが問題化しています。

M&A税制で事業を拡大し、なおかつ節税できれば言うことはありません。基本は課税の繰り延べになりますので、そこはやはり出口対策が必要です。M&Aは未知の企業を傘下に取込み利益につなげなくてはなりません。これは言うほど簡単なことではなく、一つ間違えば損失につながりかねません。そのリスクに対する保険的な意味で、株式取得価額の一部を一定期間費用化できるというものです。

M&Aを検討したが、踏み切れないでいるという企業は多いと思います。そういう企業の参考情報になれば幸甚です。

■経営力向上計画の即時償却と節税保険の出口対策を組合せ大胆節税。

◆ M&Aは後継者不足の切り札か。

日本の中小企業が抱える最大の問題は、事業承継ではないでしょうか。中でも後継者不足は、実際深刻なものがあります。

後継者不足の切り札として、M&Aはますます活用が広がると考えられます。M&Aと言えば、どうしても敵対的なイメージがあります。しかし多くのケースでは双方の合意と納得をもとに、売り手も買い手もメリットが享受できるM&Aが主力になってきています。

そんな中降ってわいたように、税制改正でM&A税制の優遇が出てきました。今回の優遇策は、特別に手厚くされました。国策の一環ですが、ポストコロナ時代の目玉として、中小企業の整理集約が進むのでしょうか。

◆ M&A税制で飛躍のチャンス。

節税保険が国税通達によって封じられてから、保険に変わる課税繰り延べの仕組みとしてオペレーティングリースや4割損金保険という限られた選択肢になりました。今回のM&A税制による節税効果は、それなりに期待できるのですが、節税するためにM&Aということはないと思います。ただM&Aという選択肢に、より有利な条件が付いたということになります。

節税保険が必要な企業というのは、継続的に利益が出て内部留保もしっかりしている会社が多いわけです。そういう企業は蓄えた利益をどのように有効に使うかを考えます。企業が成長するためには、売り上げを伸ばすことが必要です。これを飛躍的に達成する手法として、M&Aは効率的な戦略だと言えます。

今回のM&Aに関する改定は税制面で手厚い後押しになりますから、一気に事業を成長させることも可能です。しかし、議論の背景をみると生産性の低い中小企業を整理集約するためのM&Aということがありそうです。

ポストコロナを見据えて事業を飛躍させるチャンスと言える半面、長引くコロナ禍で経営状態が思わしくない中小企業には、今後の施策によっては、冷酷な決断を迫られることになるかもしれません。

■法人保険の目的の第一は事業保障という当たり前を噛み砕くと。

◆ M&Aで中小企業が節税できる理由。

■経営力向上計画の認定を受けると経営資源集約化税制が活用できます。

 

経営資源集約化税制は、中小企業のM&Aにおいて、将来の損失リスク発生の懸念を抱えながら、費用化出来なかった株式の取得価額が、一定の要件の下、株式購入直後に一部費用化出来るようになる制度です。

経営資源集約化税制は、端的に説明すれば、一定の要件を満たした場合に中小企業者が購入した株式の取得価額の一部を損金算入でき、5年経過後に損金計上分を5年間で均等に益金に算入する制度です。

以下引用です。

  1. 中小企業事業再編投資損失準備金の繰入れ

経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る。)の認定を受けた中小企業者が、他の法人の株式等を購入(取得価額が10億円以下)し、かつ、取得事業年度終了の日まで引き続き有している場合において、株式等の取得価額の70%以下の金額を将来の株式価値の下落による損失(簿外債務、偶発債務等のリスク)に備えて「中小企業事業再編投資損失準備金」として積立てたときは、当該金額の損金算入が認められる。

  1. 中小企業事業再編投資損失準備金の取崩し

積み立てた準備金の金額は、その株式の全部又は一部を有しなくなった場合やその株式等の帳簿価額を減額した場合等に取り崩すほか、5年間の据置期間経過後、原則として5年間で均等額を取り崩して益金算入される。

  1. 買い手側の要件

買い手は青色申告をしている中小企業者とされている。ここでの中小企業者は中小企業等経営強化法の中小企業者等であり、租税特別措置法の中小企業者に該当するものをいう。詳細な要件は省略するが、イ年平均所得金額が15億円を超えない、ロ資本金の額又は出資金の額が1億円以下の、ハ青色申告をしている一定の法人(大規模法人の所有に属する法人を除く。)である。

  1. 適用時期

改正中小企業等経営強化法(以下、「改正強化法」)の施行の日(未定)から2024年(令和6年)3月31日までに経営力向上計画の認定を受けた株式等の取得に適用される。2027年3月31日まで延長された。

M&Aには見えざるリスクがありますから、認定企業のメリットとして、それに備える準備金を積み立ててもその損金処理を認めるという内容です。

認定を受けた中小企業は、その株式等の価格の低落による損失リスクに備えるため、その株式等の取得価額の70%以下の金額を「中小企業事業再編投資損失準備金」として積み立てることができます。これを損金で積み立ててもよいですよということです。ただし5年間保持した後には、さらに5年間の間に均等に益金として取り崩しなさいというルールです。

そのこと自体が節税になるのではありませんが、いきなり株式取得価額の7割を損金化できて5年先まで利益を繰り延べることができますから、中小企業にとってこれはありがたいのです。

その間に出口対策を設計すれば本当の節税になります。他にもM&Aの効果を高める設備投資減税、雇用確保ための賃金増加額に対する税額控除などの制度があります。

◆ M&A税制、まとめ。

経営資源集約化税制の狙いがどこにあったにせよ、M&Aに関する税制改正は利益の出ている企業にとってうまく使えば大幅な課税の繰り延べが可能になります。

その後の設備投資などと組み合わせれば、出口対策の設計ができるかもしれません。

法人保険で利益の繰り延べという選択肢がほぼなくなった今となっては、国策として進めているM&A税制は有力な選択肢であり、M&Aという少々ハードルが高い手法の活用が進むのではないかと思います。

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相続対策が相続税対策より重要な理由。

相続対策が相続税対策より重要な理由。

有名タレントが新型コロナ肺炎で急死し、その遺産相続が手つかずという記事があちこちに掲載されたことがありました。相続財産が10億もありながら相続税対策に無頓着、相続人も相続税申告に手つかずでは打つ手も打てません。

相続税の申告までの期間は、10カ月と長いようであっという間です。また相続税がかからない方は、そもそも相続税対策は不要ですが、相続対策は必要です。また相続税対策をすることで、相続税がかからないというケースもあります。相続対策と相続税対策、相続税申告に無関心な方への警鐘です。

◆ 相続対策と相続税対策、相続税申告の違い。

相続対策と相続税対策では一見よく似ていますが、意味することの範囲が違います。相続税がかかるレベルの財産をお持ちの方は、相続税対策が必要です。しかしそこまで財産をお持ちでない方にとって、相続対策のことは考えなくてもよいと考えるのはやはり片手落ちと言うべきです。

どのような分け方にするかは、じっくり考えて被相続人の意志を残しておかなくてはなりません。後に残る相続人にそれを決めさせるのは、直接的な利害が絡みますから酷なのです。

たとえば住んでいる家は誰に相続させるかを考えるというような、いわゆる相続税対策ではない「相続対策」が必要になります。

また相続税がかかる場合は、相続が発生してから10ヵ月以内に相続税の申告を行う必要があります。この10カ月というのは、身内の話を遺産分割協議としてまとめるのに、決して十分な時間とは言えないのです。

一次相続では、まだ配偶者が残りますから、遺産の分割は先送りしてしまうことが多いようです。ところがいよいよ二次相続となると、本気で家屋敷や不動産、保険などの遺産分割を決めなければなりません。

現金や換金性の高い株式、生命保険などは相続して困るものではありません。しかし換金性の低い老朽化した田舎の家屋敷、耕作を放棄して固定資産税だけがかかる農地などは、相続したがる相続人がなく、どうしても押し付け合いになります。

相続税がかからなければ、いつまで揉めていてもかまわないのですが、固定資産税納税通知書は相続人の代表と目される人に送られてきます。

また相続した人は耕作放棄田の管理責任も問われることになります。相続放棄しても不動産管理の責任は残りますから安心はできません。

相続税の申告をしないと受けられない、小規模宅地等の特例などがあり、素人計算で相続税がかからないと判断して放置するとあとで困ることがあります。

・自ら動いて先送りしないこと。

最近では、コロナ禍で葬式も満足にできず、四十九日の法要や一周忌も簡易に済まされるそうですから、さらに遺産分割協議という相談をする機会が失われています。四十九日が過ぎれば、相談しようなどと構えているとあっという間に申告期限が近づきます。

大事な親を突然のコロナ禍で亡くされたようなケースは、とくに相続人の気持ちの整理がついていないと思います。そのため遺産分割協議や相続税の申告が、先送りになるケースが多いようです。

特別な事情があれば、申告期限の延長も認めてもらえるようですが、そうでない場合、税務署は10カ月の期限にとても厳しいと考えてください。

だれかが適切なアドバイスをしてくると言うわけではなく、自分から動かないと相続手続きに関する情報は入手できません。

遺産分割協議は、相続人にとって物欲しげに見えてとにかく言い出しにくいものなのです。しかし、そこは腹をくくって相談の場を設けることが大事です。

相続人の配偶者や弁護士などを加えずに、相続人だけで話し合うことです。これまで仲が良かった兄弟の本音が見えかくれすると思いますが、それは自然な人間の欲得の姿です。相続財産という、降ってわいたキャッシュは宝くじと同じです。本音でぶつかり合うほかないのかもしれません。

相続対策と相続税対策の区別、相続税の申告期限をしっかりと頭に入れておいてください。そして無駄に時間を過ごして、後で困らないようにお願いしたいと思います。経験的に申し上げれば、相続とは何でこんなにややこしくて赤裸々なのかと思います。非日常の中のどろどろした本音のドラマです。

◆ 「相続対策」を何もしないとどうなるか。

相続対策で一番確実なのは、遺言書を書いておくことです。もちろん相続人には遺留分という権利がありますからその点は配慮して下さい。

ここが大事なポイントですが、相続税がかからなくても遺言書は必要です。

遺言書を書くほど財産がないという方が一番多いのですが、それが争族の原因になります。遺言書は書かなくても、被相続人の意思は相続メモでよいので相続人に伝えるようにすることです。生命保険の受取人を見直して、再指定することでも死亡保険金の分割は指定できます。親の気持ちと意志をはっきりさせておけば、もめごとは半減すると思います。

不動産やその他の財産に関しても、誰に渡すかを生前に意思表示して相続メモに残しておいて下さい。そうすれば、残された相続人たる子たちは、特別の事情がない限り親の意向を尊重しようとするはずです。

経済的に困窮している子や兄弟仲が悪い場合などは、やはり法的な文書としての強制力を伴う遺言書が確実です。

相続対策をしないとは、遺言書も書かず相続メモも残さず、意思表示をせずに旅立つことです。そうすると相続人は遺産分割協議の場で自分の主張をするしかなくなります。

いわゆる遺産の分捕り合戦となり。強気の兄弟の意見が通り、他の兄弟に不満が残ります。

道は譲れても遺産分割協議で譲りあうなどできるはずがないのです。相続対策をしないと仲の良い兄弟姉妹でも争族の原因を作ることになるとお考え下さい。

◆ 相続税対策をするとしないの差は大きい。

相続税がかかる場合、少しばかりの知識があれば大きく節税できます。基本は生前贈与と生命保険の死亡保険金控除(相続人一人当たり500万)です。

よほどの資産家でなければ、早い時期から上記の相続税対策を行うことで、場合によっては相続税がかからなくなることもあり得ます。

相続税対策を何もしないと、わずかばかりの資産でも不動産の値上がりで相続税の基礎控除(3000万+相続人1人当たり600万)を越えて、相続税の申告が必要になる場合があります。

税理士などの専門家に依頼しなくても、ネットで調べるだけでも生前贈与や生命保険の契約は可能です。本サイトにも生前贈与や生命保険に関する情報はたくさんあります。

知識があるかないか、相続税対策をするかしないか、その差は結構大きなものになるということです。

◆ 相続対策・相続税申告手つかず、まとめ。

相続対策も相続税申告もそれまで縁がなかった方には、複雑で広範囲すぎるので手が出しにくいです。また知らないことばかりで、なかなかすぐに理解できるものではないように思います。最初から専門家である税理士に依頼すれば、何から始めればよいかアドバイスはしてもらえるものと思います。

しかし、相続税がかからない方や税理士にこれまで縁のなかったサラリーマンなどは腰が上がらないと思います。税理士に依頼すれば費用も少なからず発生します。相続が発生する前に相続税対策で税理士に相談されるケースは、そこそこの資産家に限られるように思います。

税理士に相談するという選択肢が、一般的でないと感じるのはサラリーマンの感覚です。そういう方は相続が発生して申告が必要な場合でも、気持ちの整理がつかないことを理由に遺品の整理すら始めようとしません。

遺品の整理から初めないと、遺産の目録を作成することも難しいのではないかと思います。遺品の中に銀行の預金通帳や土地の権利証、保険証券や株式などの保有状況がわかる資料が残されています。

それを誰かが整理してまとめ上げて、税理士に提示する必要があるのです。税理士が必要なのは財産目録であり、遺品整理までしてくれません。遺産の評価を整理した一覧がないと、遺産分割協議も前に進みません。

・できるだけ早く対策に手をるけること。

相続対策も相続税対策もまた相続発生後の相続税申告も、ややもすれば手つかずのような事例が多くあります。相続税の申告期限を前に後悔しないためには、できるだけ早く、遺品整理を行い財産目録を整理します。その上で相続人が集まり遺産分割協議を行うことです。

相続対策と相続税の申告は、下記の3項目に留意してください。気持ちの整理がつかないというお気持ちは理解できますが、相続財産には負債も含まれます。迫りくる期限を甘く見ないで、早めに取り組んでいただくことをおススメします。

・相続税がかかる方は、生前に相続税の節税対策を行い遺言書を残すこと。

・相続税がかからない方は遺言書、最悪でも相続メモを残すこと。

・相続税の申告期限は10カ月、相続財産の目録をできるだけ早く。