フツーに利用できない生命保険契約照会制度。

2021年(令和3年)7月1日より、一般社団法人生命保険協会で生命保険契約の有無を照会できる「生命保険契約照会制度」が始まっています。

もともとは「災害地域生保契約照会制度」と呼ばれていました。東日本大震災で被災され、生命保険の契約に関する手掛かりを失ってしまった方のためにできた制度です。時代とともに高齢化と核家族化がすすみ、生命保険契約の存在を把握することがますます難しくなってきました。そんな中で新たに改善されルールが整備され、生命保険契約照会制度としてスタートしています。

せっかくスタートした生命保険契約者照会制度ですが、実際には気軽に利用できる仕組みではないのです。

名前を見ただけでは、一瞬とても便利な仕組みができたという気がしますが、必ずしもそうではないのです。

利用のためのハードルが意外と高い理由と、どのようなケースで利用することが有効なのかをまとめました。

■生命保険契約照会制度のご案内(生命保険協会)

◆ フツーには利用できない最後の手段、生命保険契約照会制度。

災害や認知症でなくても、自分の親がどのような生命保険に加入していたか知らない方が多いと思います。そういう方がこれは便利だと思われるかもしれません。しかしいきなり生命保険契約照会制度を利用するというような、手軽な仕組みではなさそうです。

長年別居していていくら探しても手掛かりがない。本人はあの世でいまさら聞くこともできないとか、認知症が進んで人の顔も見わけがつかないなど、深刻なケースが対象になるようです。

生命保険契約照会制度は、内容をよく読み込んでみると適用条件が厳格に規定されています。災害のとき照会対象者が死亡、もしくは行方不明になっていれば、無料で関係書類なしでも電話で対応してくれるそうですが、今回拡大された照会制度の範囲は特殊なケースに属すると思います。

・生命保険契約照会制度の適用条件はハードルが高い。

災害でなく普通の死亡では、死亡診断書相続関係を証明する書類本人確認書類などが必要になり3,000円の費用がかかります。

照会対象者が認知症で、生命保険契約照会制度を利用しようとすれば、生命保険協会所定の診断書に医師の証明が必要になります。もちろん照会にかかる費用も、診断書を依頼する費用も発生します。請求できる方の範囲にも細かい規定があります。

他にも細かい規定や相続手続き並みの書類が必要な場合があり、回答を得るまでに2週間は要するようです。そこまで手間暇かけて手に入る情報は、照会対象者の生命保険契約の有無だけです。そのため詳細は各保険会社に問い合わせを行う必要があります。その上で保険金請求という手順になります。

今までは災害時に保険証券を紛失した場合にのみ、照会が可能でした。一般の方でも契約者の死亡や、認知判断能力の低下など一定の条件の場合にも使えるようになりましたとは言うものの、そもそも気楽に照会するというような制度ではありません。関係書類をそろえるだけでも、かなりの時間と費用がかかり一仕事分あります。

■保険証券のなくなる時代に保険金の請求漏れをなくす法をまとめると。

◆ 生命保険契約照会制度を利用する前にすべきこと。

契約している保険会社さえ分かっていれば、その会社のサポート窓口に電話すれば契約は調べることができます。証券番号がわからないケースとして、本人確認がありますから契約者の氏名、生年月日、住所、契約時の電話番号を問われます。これらが電話ですらすら答えられたら、本人でなくても保険契約があるかどうかは確認できます。

普通の家庭であれば、保険証券とか契約内容のお知らせなどはどこかに残しているものです。また保険料を今も払い続けているなら、生命保険料控除証明書が残っていたり銀行の口座から保険料が引き落とされていたりします。それを手がかりに、保険会社のサポートに問合せを入れれば詳細が判明します。

・保険証券を発行しない会社、ネット契約の保険に注意。

注意すべき点としてあげれば、保険証券を発行しない保険会社があったり、保険料の支払いが満了(終了)して保障だけが残っていたりする場合があります。その場合、口座から保険料の引き落としはありません。

また契約内容のお知らせは、どこの保険会社も定期的に送ってきます。しかしすぐに捨ててしまう方や保険会社に住所変更の手続きをぜずに転居している場合は困ります。必要な情報が届かなくなっていることもあり得ます。

国内生保などでは、何かと社名の入った小物をプレゼントしますから、それが手掛かりになる場合もあります。しかし契約がなくてもアプローチしてきますから、決定的な手掛かりにはならないと思います。

いろいろな情報のヒントから契約していた可能性のある生命保険会社があれば、その会社の支社に問い合わせを入れます。必要書類を持参して、契約者の氏名と生年月日で契約があるかどうか照会をすることができます。サポートに電話確認するよりはスムーズに事が運ぶかもしれません。

◆ 契約者が伝えなければ、受取人にはわからない生命保険契約。

生命保険金は受取人が請求して保険金を受取ります。契約者が死亡しても、被保険者が生存していれば生命保険契約はみなし相続財産として相続人に引き継がれます。

被保険者も受取人も、どちらも保険料を負担している当事者(契約者)ではありません。そのため契約者が伝えなければ、生命保険契約の詳細を知ることはできません。

ご自身や家族の生命保険契約を正確に把握されている方は、あまりいらっしゃらないと思います。とくに親や祖父母の生命保険契約については知る機会も少ないと思います。また別居していれば、全くわからないということもありそうです。

生命保険では、医療に関する給付金などは被保険者が生前に受け取ります。しかし、死亡保険金は契約で指定された受取人に権利があり、受取人が手続きを行います。

契約者=被保険者 受取人は相続人

自分が契約者で、自分に保険をかけて、保険料も自分で払っている場合です。契約者は被保険者でもありますから、死後に自分の死亡保険金は受け取ることができません。自分以外で指定した受取人が、保険金を受け取ることになります。

受取人は、通常相続人になると考えられます。受取人は契約者と違い保険料を負担していません。その保険に関する情報は、契約者が伝えなければ、受取人にはわからないということになります。

相続が発生した場合、受取人は相続人として契約内容を確認し、保険会社に保険金請求することになります。

契約者≠被保険者 受取人は契約者

受取人が契約者である場合は、被保険者死亡場合でも契約者が自らを保険金受取人として存命している訳です。当然、契約の存在は把握できているはずです。

たとえば夫が自分を受取人にして、妻に保険をかけているような場合です。またこのケースでは契約者が死亡しても、被保険者は生存していますから保険金は支払われません。しかし生命保険契約は、みなし相続財産として相続人に引き継がれることになります。

どちらのケースでも災害や認知症などで生命保険契約の存在が見落とされたり、忘れ去られたりする可能性があります。そいう場合には手間はかかりますが、生命保険契約照会制度が役に立つというわけです。

■おひとりさま時代の生命保険の考え方のツボを明快に。

◆ 保険金請求権の時効が3年、でも時効の援用は?

生命保険金請求で気を付けなければいけないことは、以下の記事にまとめています。

■消滅時効にかかる解約返戻金の請求権の真実に迫る。

建前論になりますが、保険金請求には3年という時効が保険法第95条に定められています。しかし保険会社が時効の援用を行わなければ、時効は成立しません。自動的に3年経過したから保険金請求の権利が消滅するわけではないのです。

固い表現ですが、時効は時効が成立する事によって利益を受けられる者(保険会社)が利益を失う者(契約者)に利益を受ける旨の意思表示をすることを時効の援用と言います。保険会社は基本的に時効の援用を主張したりしません。

死亡保険金や満期金の請求では普通、時効の援用はありません。悪質な場合、たとえば自死や保険金詐欺の疑いがあれば時効の援用ということもあるかもしれません。しかし通常契約者が不利になるようなことはしないものです。

■高齢者の生命保険、見直しのタイミングと重要な注意点。

◆ 生命保険契約照会制度の使いにくさ、まとめ。

生命保険契約照会制度とは、実に便利な仕組みができたものだと調べてみたところ、フツーに素人が気軽に使える代物ではありませんでした。特殊なケースで、しかも相続手続きのプロである士業の先生が利用されるイメージです。

しかし、その特殊なケースがないとは言えませんから災害や、相続発生時、認知症発症などのときには検討する価値はありそうです。

しかし多くのケースでは、手許に残された情報を調べればほとんどが判明するものと思います。保険証券があれば話は簡単ですが、毎年送られてくる契約内容のお知らせの最新版は捨てずに残しておくと間違いは少なくなります。

マイナンバーカードも普及してきたことですから、生命保険協会はもう少し契約内容を契約者が気軽に確認できる保険業界横断的なシステムの構築をお願いしたいところです。

■保険営業が活用すべき周辺情報をまとめたページ
保険営業が活用すべき生命保険周辺情報、医療費控除・相続登記・保険ブログ。

リビング・ニーズ特約とは、わかりそうでわからない不思議な無料特約。

生保決算、コロナ禍で保険料等収入減と運用難の苦境。

※本記事は、バレンタインショック直後の生保決算をまとめたものです。同時にその時期はコロナ禍で保険業界の営業活動が制限され、保険料収入が減少するだけでなく、低金利の中で運用難が大きく重なっている時期です。

2020年度の生保各社の決算が出そろいました。各新聞とも、財務状況をまとめた記事が掲載されました。共通していることは、コロナ禍で保険料収入の減少、低金利による運用難から運用益の減収となったということです。また世界的低金利の中で、外貨建て保険商品の魅力が薄れ販売不振が拍車をかけました。

しかし一番注目すべき数字は、新契約年換算保険料の激しい落ち込みです。生命保険会社の財務は一般の企業とは異なりますから「基礎利益」や「ソルベンシーマージン比率」などの数字を聞いただけでは健全なのか、保険料の運用はうまくいっているのかどうか、見極めることは難しくなっています。

ソルベンシー・マージン比率

経営環境が一段と厳しくなっているのは、外食産業や観光産業だけではありません。保険会社も大事な保険料を預けて保障を買っているわけですから、契約者としてご自分の契約している生保の決算にもう少し踏み込んで関心をもたれてもよいのではないかと思います。

■金融庁 主要生損保の決算の状況

■一般社団法人 生命保険協会

■保険会社は元から破綻しているが、オドロキの潰れない理由。

◆ コロナ禍、対面営業自粛で大幅減収。

コロナ禍は、あらゆる業種の営業活動に大きなダメージを与えてきました。とくに生保業界では面談による保険営業が制限されると、新規契約は取りにくくなります。対面営業を自粛してリモート営業に切り替えると言っても、保険販売では簡単なことではありません。生保販売は新規開拓が基本です。顧客と新しい関係を築きながら保険商品を提案し、リスクを理解していただき契約に持ち込みます。

それゆえに、リモート営業を推奨したとしても、そのまま面談営業に置き変わることはありません。コロナ禍で対面営業を自粛すれば、当然のごとく新契約の保険料は大幅に落ち込みます。

・ニッセイ決算の数字分析

ニッセイで新契約年換算保険料をみると2019年度は▲20.8%、2020年度は▲24.6%と連続の落ち込みです。2018年度からなんと40%以上の大きな落ち込みになります。保険料等収入で見ると、ニッセイに限らず大手4社は軒並み前年度を下回り、厳しい決算であったことがうかがわれます。これまでに保有している契約からの保険料ですから、落ち込みは目立ちません。保険料等収入だけでなく新契約年換算保険料で比較すると、各社が新規契約獲得の落ち込みに苦慮している様子が見えてきます。

■ニッセイ決算

保険料等収入の落ち込みが目立たないのは、既契約からはいる保険料収入の影響が大きいからなのです。一度契約すれば、毎年保険料は口座振替で確実に保険会社に入金されます。分母が大きいから保険料等収入だけでは、新規契約の落ち込みはわからないのです。コロナ禍で見るべき数字は、新契約年換算保険料です。

■生命保険の更新型のデメリットとCVが批判される理由。

◆ 低金利時代の運用難の深刻度。

予定利率が市場最低水準、一時払終身保険が保険にならない低金利が続いています。生命保険会社の予定利率を決める数値として「標準利率」というものがあります。それを基準にして保険会社は各社それぞれに予定利率を決定し保険商品を設計します。予定利率は銀行の金利と同じではありませんが、世間の金利が下がれば予定利率も下がります。低金利時代に入って久しいですが、金融機関は融資や投資で収益を上げることがますます難しくなり運用難の深刻度は増すばかりです。

現在の生命保険会社は、顧客が満足できるような貯蓄性のある保険は設計できなくなり一時払終身保険などの販売停止が相次ぎました。せっかく集めた莫大な保険料も低金利時代の運用難であまり収益につながっていないのです。

◆ 保険会社の財務不透明は、契約者に不利。

保険会社は、株主に責任を負う株式会社と、契約者に責任がある相互会社に区別されます。どちらのタイプの会社でも、保険会社の経営状況は保険契約者に重大な影響があります。

通常の商品を売る会社であれば、売り切ればそれで終わりですが、保険契約は保険会社の経営状態により配当が増減しますし、破綻すれば長期契約ですから、契約者にも一定の責任が及びます。(責任準備金の9割まで生命保険契約者保護機構が保証)保険会社のディスクロージャー(情報公開)が叫ばれて久しいですが、出てくる数字だけでは、容易に理解できるものではありません。

一般の企業のように、売上(保険料収入)はありますが、仕入原価はありません。販管費にあたる予定事業費率はありますが、比較する意味がありません。それだけに保険会社の財務は公開されているにもかかわらず、よくわからないという特性があります。これは契約者にとり決して良い傾向ではないと思います。

◆ 生保決算、採算悪化のまとめ。

保険営業をユーザーと見るか、保険業界に関心のある一般人か?

生保各社の決算を見ると、バレンタインショックからコロナ禍による販売自粛まで、わずか2年ほどの間に、これまで経験したことがない波乱万丈、激動の保険業界となりました。

生活できない保険代理店、持続化給付金で食いつなぐ保険営業、これで保険会社の採算がどこまで維持できるのでしょうか。保険販売の現場では、生保の決算以上に苦境が広がっています。

持続化給付金を請求するな、営業活動は自粛せよと、保険会社は保険営業をがんじがらめに縛りあげました。そこまでやるなら保険営業の資格と収入を保障すべきですが、保険会社としてもいつまでも持ち出しを続けるわけにもいきません。

保険営業の生活保障で喜ぶのは、うだつの上がらないいつ辞めてもおかしくない数合わせの営業です。やり手の保険営業には、顧客を訪問できない苦渋の日々となっていると思います。生保の採算悪化はどこまで続くのでしょうか。

県民共済のデメリットを謎解きすると見えてくる間違い。

かんぽ生命の評判、簡保の解約から読み解く実話。

かんぽ生命の評判、簡保の解約から読み解く実話。

かんぽ生命とは郵政民営化に基づき、2007年10月に設立された生命保険会社です。日本郵政が運営しており、定期保険や終身保険などをはじめとする数々の保険商品を手掛けています。それまでは、郵便局が簡保の窓口として、簡易生命保険を売っていました。

今は、それほどでもありませんが、20年前の簡保の時代は世間の保険会社の常識からずれているところがありました。過去にそういうこともあったよ、という実話です。

■県民共済のデメリットを謎解きすると見えてくる間違い。

◆ かんぽ生命の前身である簡易生命保険。

巨大な資金力を誇る、半官半民の企業です。分割民営化されたとは言いますがお相手させていただくと、民間の保険会社とはとても思えません。

かんぽ生命の前身である簡易生命保険は、簡易な手続きで小口の生命保険を販売していました。簡易な手続きというのは医師などによる診査がなく、告知書のみで契約できるということが大きな特色です。

またかんぽ生命が扱う保険は、加入限度額を1,000万円と定めています。(一定の条件のもとで2,000万円まで限度額の引き上げ可)

保険料は、職業選択がなく年齢と性別だけできまります。定期保険や終身保険に医療特約は付けられますが、医療保険単独はありません。最近では、アフラックの代理店として、がん保険などをカバーしています。

オレンジ色の襟の制服で、名札を下げて、大きなカバンをもった職員が訪問してくれます。全国2万局の郵便局でも加入手続きができます。

かんぽ生命はその前身の簡保から歴史が長いので、加入者はとても多いそうです。記事によると日本の総人口の約15%が加入していると言いますから、ニッセイに次ぐ資金力です。当然、企業としての安全性は高いと判断できます。

■保険会社は元から破綻しているが、オドロキの潰れない理由。

 

◆ 簡保の異次元からかんぽ生命まで。

20 年ほど前ですが、法人で10年満期の養老保険を社員にかけている会社がありました。いわゆる福利厚生を前提として、社員全員を対象とするハーフタックスですね。

10年満期では満期のたびに意味のない雑収入が発生します。出口対策としての、退職金設計にもなっていません。それで担当者に払済にする相談を持ちかけたら意味が通じないのです。

よくよく聞くと簡保さんの世界では、料済(リョウズミ)と言うそうです。10年満期では困るので歳満了はないかと聞けば、また意味が通じません。説明すれば意味はわかりますが、対応できないとのこと。

また割引システムが複雑になりすぎて、保険料の間違いが時々発生しました。時々と言っても金融機関ですから、驚くほかないです。保険とは言え別世界です。

それじゃ解約するといえば、解約請求書はかすれた使い回しのコピーなのです。料済保険証券の金額は手書き修正です。

その数年後、払済も歳満了も通じるようになりました。民間の保険会社程ではないですが、解約返戻金や満期金は比較的速やかに入金します。

◆ かんぽ生命の評判について。

かんぽ生命は、窓口担当者がよく変わります。さらにかんぽ生命内の名寄せシステムも不完全です。リストに抜けている契約があることを指摘すると、取り扱った局が違うのでと、普通では有り得ない説明をします。

最近では外資系の生保も扱えるようになりましたというから、提案を依頼すると持ってきた担当者は未だいません。自信がないのか、上司に売り止めされているのか不明ですがね。

それで嬉々として解約手続きをしてくれました。かんぽ生命として次の売り込みがないのは、拍子抜けします。

ただ申し上げておきますが、来る営業は誠実な感じの良い青年ばかりです。たまに付いてくる上司の頭は、完全簡保で武装しています。

■保険の基本は終身保険、メリットと特性に注目。

◆ かんぽ生命の実話と評判、まとめ。

簡保の時代から、法人でも個人でも付き合いがありますが、一般の生命保険会社とは、どこかずれているところがあります。保険販売はどこの保険会社でも保険代理店でも、成果報酬型で結果を出して生き残ることだけでも大変な世界です。

ここでは、詳しく取り上げませんでしたが、かんぽ生命もノルマがあり追いつめられた職員が不正な保険販売をして社会問題になったこともありました。

いまでは、コンプライアンスが徹底されているのでしょうか、保険営業として売り込み圧力はさっぱり弱くなりました。アポをとっても説明するだけが仕事のようです。お願いモードで追い込んだり、クロージングしたりするような動きは、全く見られません。

菓子折りをもってお願いに来てほしいわけではありませんが、せめてその後いかがでしょうかぐらいのプッシュがないと拍子抜けします。

この営業スタイルでは、新規契約がそれほどとれるとも思えません。しかしかんぽ生命には、これまでの莫大な既契約があります。新規が取れなくても、既契約からは毎年毎年保険料収入があります。

確かに、営業職員の満足度もあがり、休みもきちんと取れて、残業もなくなっているようです。その結果、軟弱な営業ばかりになっても先が厳しくなるように思うのは、保険業界経験者なるが故でしょうか。

参考:

現在、満期日が未到達の簡易保険は独立行政法人 郵便貯金・簡易生命保険管理機構がその管理を担っています。また、簡易保険については新規での加入は受け付けていません。

親孝行保険の親不孝。

おひとりさま時代の生命保険の考え方のツボを明快に。

県民共済のデメリットを謎解きすると見えてくる間違い。

県民共済という組織があります。よくマンションのポストに県民共済のチラシがポスティングされています。県民共済は、年に一度割戻金が振り込まれます。キャッチコピーは「約束に、まっすぐ。」となっています。うまいコピーだと思います。

県民共済は、国民共済などと同じ、厚生労働省の認可による非営利団体です。民間の生命保険会社は金融庁の管轄になり、営利を目的とする団体です。所轄は違いますが、共済と保険とはほぼ同義です。しかしその取り扱う共済の内容は大きく異なります。

■かんぽ生命の評判、簡保の解約から読み解く実話。

◆ 県民共済とは、組織の特性、メリット・デメリット。

県民共済では、保険金のことを共済金、保険料のことを掛金と呼びます。基本的に掛け捨て保険ですが、非営利団体ですので割戻金があります。保障額がそれほど大きくなく、掛金負担が小さいので基本的に医師の審査はありません。告知はありますが、民間生保のように詳細な告知は求めません。

その結果、共済商品としてはシンプルな構成でわかりやすくなっています。民間生保のように、被保険者のリスクに応じた、保険のカスタマイズはできないことになっています。

また契約できるのは、共済組合員という条件があります。居住地か勤務地のどちらかの契約になります。生協(生活協同組合)が、都道府県から認可を得て生協の組合員のために運営する保険ということができます。

県民共済のメリットとデメリットを単純に箇条書きにすると。

【メリット】

・年齢や性別にかかわらず掛金が一定(年齢が高くなるほど割安)。

・掛金が比較的安い。

・割戻金があるため割安。

・内容がシンプルでわかりやすい。

【デメリット】

・満85歳までしか保障がない。

・若い人にとっては割高な場合がある。

・貯蓄型の保険はない、基本掛け捨て。

・保障内容のカスタマイズができない。

・契約できる地域に制限がある

■生命保険の指定代理請求の落とし穴。

◆ 保険と共済の目的は同じでも大きな違い。

共済と保険は、病気やケガ・万が一の事態・事故等での損害に備えるために加入するという目的は同じですが、さまざまな違いがあります。 共済は保険に比べ、掛金が割安であることや、商品がシンプルで選びやすいことがメリットとなっています。 一方で、共済金の金額の小ささや選択肢の少なさが、デメリットになります。

民間の生保は、原則として日本に居住している人であれば、誰でも保険料を払えば加入することができます。 県民共済は、特定の地域に住む人で構成される、共済組合が組合員向けに行っている福利厚生事業です。共済に加入するには、原則として組合員等になる必要があります。

■保険の基本は終身保険、メリットと特性に注目。

 

◆ 県民共済が生む、事足れりの誤解。

県民共済のデメリットについて謎解きポイントは3つあります。

県民共済は安い保険料で保険に加入でき、剰余金があれば割戻金として戻ってきますからとても利口に思えます。経営母体も営利目的ではないのでその点では信用できます。

しかし人のリスクをカバーする、あるいは世帯主のリスクをヘッジするという点では、県民共済は中途半端で誤解を招きやすいと言えます。この点のデメリットが、大きい保険といえるでしょう。

昨今はやりの医療保険のように、元が取れなかったり肝心の世帯主の万が一の場合のリスクを曇らせてしまったりする怖さがあります。

法人契約でも個人契約でも保険の最大の役割は事業保障であり、家族の生活保障です。県民共済のデメリットの最大のポイントは、ここをはずして保険に入っている気になってしまう点です。きちんと保険会社でリスク分析をして、必要な保障額を確保した上で、県民共済を検討すると言うなら、意味があると思います。

・県民共済はリスク評価を誤らせる。

ところが、それほど経済的に余裕があるわけではないと思います。県民共済で保険を済ませようという考え方があるとすれば、リスク評価を誤っているか見落としていると言うほかありません。

肝心の保障は、後に残された配偶者と子供たちが、悲劇を乗り越えて生きていくための生活保障でなくてはなりません。そういう保険本来の役割から、県民共済はずれているのです。それはデメリットというよりリスクとすら言えるのではないかと思います。

◆ 県民共済の最大のリスクとデメリット。

ずれているのは、そこの経営戦略ですから構わないのですが、その結果として県民共済で保険に入った気になるリスクは侮れません。わずかな死亡保障、傷害での入院給付など、見れば見るほど家族の保障という点では不適合と言わざるをえません。

県民共済の問題点を謎解きすれば、加入しやすさはある意味で必要な保障を準備できないというデメリットにつながります。また死亡保険にしても医療保険にしても県民共済の場合、基本的に定期保険であり掛け捨てとなります。終身保険ではないですから、葬式代にもなりません。

また保険料が年齢性別に関わらず同じというのは、損保分野の傷害保険の考え方です。当然高齢者に有利、若年者に不利な内容となります。このことをデメリットとするには考え方によります。

それやこれやを勘案しても県民共済の最大の弊害は、家族の生活保障を満たせない保険だということです。県民共済のデメリットは、ないよりはましではなく、県民共済があるから事足れりの誤解を生むことが、最大のデメリットであると言えると思います。

■生命保険を比較すれば、保険料に差が出る原因を深掘り。

◆ 県民共済のデメリット、まとめ。

県民共済のデメリットを考えてみましたが、県民共済が良くないということではありません。あくまでも共済ですから、組合員の福利厚生を目的とした助けあいの制度です。

本来の生命保険は、その人のライフプランに合わせて、その時々に必要な保障額を算定し、定期的に見直しながらリスクを経済的にカバーするものです。

生命保険の役割として、ご本人の医療保障やガンに対する保障も必要かもしれません。しかしもっとも大事な保障は、自分が万が一のとき、あとに残された家族が生活していくための保険金です。

本当に必要な保障とは何かを、まず考えてそれがぶれないように保険商品を選ぶことが大事です。その上で県民共済を検討されるのが、県民共済のデメリットを克服することになると思います。

保険会社は元から破綻しているが、オドロキの潰れない理由。

 

保険会社は元から破綻しているが、オドロキの潰れない理由。

保険会社は顧客から、保険料として毎年お金を預かります。預かりますと言いますが、保険料は保険会社の収入となり、返済されることは原則的にありません。保険会社から契約者に払われる可能性があるのは、保険金と解約返戻金です。

■生保決算、コロナ禍で保険料等収入減と運用難の苦境。

◆ 保険会社の事業のからくり。

通常の金融機関では、預かったお金は顧客のものです。時期が来れば契約により元本に、いくばくかの利息を付けて返金するのがルールです。

保険では、万一保険事故が起こり保険金を支払うケースは、保険料の何倍、何十倍、何百倍の保険金が支払われる可能性があります。たとえて言えば、ルーレットで大当たりを取ったようなことになります。

しかし解約返戻金は、多くの場合払込んだ保険料を下回ります。定期保険などの保障性の高い保険では、解約返戻金がまったくないか、あるとしてもわずかということがあります。

このような掛け捨て保険で、保険金を受け取るケースは希です。普通はお金の出入りだけを見れば、契約者は大きな損をします。変額保険などの例外はありますが、そもそも保険は儲けるためのものではありません。期間の保障を買ったというのが正解です。この保障に対応する損失部分が、生命保険会社の儲けになります。

保険料は、銀行などの金融機関と異なり、保険会社の収益となるのです。毎年毎年、契約者からきちんと契約通りの保険料が支払われ、それはすべて返さなくてもよい保険会社の保険料収入となるのです。保険会社が社員に給料を払い、なおかつ継続できるからくりです。

■生命保険の更新型のデメリットとCVが批判される理由。

 

◆ 保険料収入は預り金ではない。破綻していると言える理由。

保険料収入という言葉がありますが、保険会社では保険料は預り金ではなく、保険会社の収入として処理されることは、前項で書きました。

銀行なら融資先の資金をすべて回収し、預り金をすべて返却すると自己資本比率の分だけ手元に残ることになります。しかし保険では取り付け騒ぎになっても、契約者へ保険料をすべて返却することはできません。

そういう意味では、預かったお金(保険料)が返せませんから、生命保険会社は元から破綻していると言うわけです。一般的には経営破綻と言われますが、保険会社でも同じことで、要するにキャッシュフローが滞ることによる倒産です。

■契約者貸付のデメリットは督促なし、先取りキャッシュの甘いワナ。

◆ 保険会社の安全性を示す指標の意味合い。

生命保険会社は、通常の企業と違う収益構造のからくりがあります。この辺はソルベンシー・マージン比率とか基礎利益とかいう、一般にはわかりにくい数値が使用されます。保険会社の健全性を示す指標としては、一定の意味はありますが、この指標では保険会社の財務的な本質は見えてこないと思います。

保険会社の格付は、専門の会社が発表しています。大手破綻の事例を見るまでもなく、格付けそのものがそのまま役に立つというものでもありません。いくら格付けが良くても破綻します。また格付けが低いからといって、今すぐ破綻するわけではないのです。

慌てて生命保険会社を乗り換えて、損をする事例にも事欠きません。

◆ 保険会社の倒産事例。

日本では過去に、8社経営破綻した会社があります。保険会社は、契約時に約束した運用利回り(予定利率)を勝手に変えることができません。

それゆえ、低金利時代のあおりで史上最低の金利となり、運用益が減少すると保険会社はどんどん苦しくなります。その結果、経営破綻に進んでしまいます。

一般的な企業であれば経営破綻してしまった場合、再生か破産のどちらかを選択し、保有している資産の整理が行われます。残っている資産を債権者に返済して、返せない部分はあきらめてくださいと言うわけです。

仮に、生命保険会社が経営破綻をしても一般の企業と同様の手続きをすることはできません。契約者にとれば、契約が消滅してしまうと今まで掛けてきたことが、全く無意味になってしまうばかりか、解約返戻金も期待できなくなります。

さらに、別の保険会社で新規保険契約をしようとしても、健康状態によっては加入できないだけではなく、保険料も高くなり払えないというようなことも起こります。

そこで何の責任もない契約者を保護するためのセーフティーネットが制度として設立されています。また、引き受け手がなければ、受け皿としての保険会社も準備されます。

1:生命保険契約者保護機構が設立する子会社(継承保険会社)に保険契約を継承。

2:生命保険契約者保護機構が自ら引き取る。

いずれの場合も保険契約は、継続されます。しかし責任準備金は90%まで削減され、予定利率も見直されます。責任準備金は解約返戻金ではないので、解約するともっとひどいことになります。額面上は9割保障されると言えますが、予定利率が見直されれば、実際はひどい契約になることは避けられません。

保険会社が潰れたらどうなるのかということで言えば、最低限、保険契約自体がなくなることがないということだけです。実質は、契約者にとれば被害甚大だと言えると思います。

生命保険という商品は目に見えない商品です。保険会社からすると、保険会社が経営破綻すれば、保険業界全体に悪影響があります。それゆえ政府主導で、生命保険契約者保護機構が設立されたということです。

■生命保険の指定代理請求の落とし穴。

◆ 保険会社のセーフティネット、保険契約者保護機構制度。

保険会社の場合、債権者は保険契約をしていた契約者です。一般の企業のように、債権者集会で債権者全員と話すことは困難です。だからこそ、それらの人たちを一括で処理するために、生命保険契約者保護機構が設置されています。この保護機構により、政府からの資金援助を受けながら、保険契約者に対して金銭を支払うことで一括の破綻処理ができるわけです。

保険会社の経営破綻では、管財人が自由に保険契約の解除をする選択をできないようになっています。

生命保険契約者保護機構は、バブル崩壊やリーマンショックなどの金融危機の反省から創設されました。保険会社が経営破綻した場合に、保険の契約者が保護されるしくみです。

しかし、保護機構は原資があってのものであり、生命保険契約者保護機構の加入会社の負担金が前提となっています。財務状況が不安な場合には政府から資金援助が行われることがあります。

◆ 保険会社の破綻、まとめ。

ソルベンシー・マージン比率とは、理論上のリスク計算の積み上げです。しかしリスクには東日本大震災や、阪神淡路大震災を見るまでもなく、想定外のリスクがつきものです。確率が低いリスクを計算上除外することで、万全の安全性を確保しているという誤解と言えるのではないかと思います。

ソルベンシー・マージン比率は、保険会社の支払い余力を示す一つの指標には違いありませんが、その数値が低いから破綻するというわけではありません。契約者の不安心理が増幅され噂となって駆け巡ると、取り付け騒ぎならぬ、解約集中が起こります。

その結果、保険会社は資金不足に陥り、破綻の危機にさらされます。むしろソルベンシー・マージン比率が引き金となり、保険会社を追い込んでしまうというようなこともあるわけです。

保険の見直しや、生命保険に加入する際、保険会社の経営状況などを比較することは、安心するうえで大切なことだと思います。

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人生には生命保険であがなうことができない悲劇がある。

養子縁組と相続の難しさは当事者になるとわかる。