保険の失効を失敗させる自動振替貸付の恐怖と具体的対応策。

利益の出ている法人では、期ごとの利益を調整したいことがよくあります。契約している保険では、解約返戻率がピークをむかえるが、今年度に解約すると雑収入が出すぎて具合が悪いという場合です。

保険契約を失効させておいて、解約返戻金の受け取りを繰り延べします。翌年度以降に費用と解約返戻金の雑収入が釣り合うことで、税金というコストが削減できます。

解約返戻率の最も高い時期に保険を解約する方法として、解約返戻率がピークのときに保険料を支払わずに先送りする「失効」というテクニックがあります。

しかし保険には自動的に解約返戻金を保険料に充当するという「自動振替貸付」という機能があります。

せっかく保険料の支払いをストップし、失効させようとしているのに自動的振替貸付をされたのでは、解約を先送りするという目的が達成できません。

保険契約を失効させて解約を先送りするということは、普通のことではないので事務処理上で怖い落とし穴がいくつかあります。具体的に対応策を解説します。

・失効の詳しいリスクの解説と事例はこちらです。

■法人保険の失効は、思いがけずリスクが大きい理由を具体的に。

◆ 口座振替から振込みに変更して保険料支払いをストップ。

一般的には、法人で契約する保険は年払いで口座振替とすることが多いようです。月払いより年払いの方が、保険料が安くなります。また経理処理などの事務手続きも年一回で済みますから、簡素化され管理がしやすくなります。

口座振替とは、銀行口座から時期が来たら自動的に保険料が引き落とされ、保険会社に入金される仕組みです。自動的に処理されますから、口座振替では失効させることはできません。

生命保険を失効させるための注意事項の第一番目として、「振込」に変更しておく必要があります。保険料を銀行の「口座振替」にしている場合は、勝手に引き落とされないよう払込方法を変更してください。

保険会社のサポートに申し出るか、代理店に依頼すれば変更の請求書をくれます。必要事項を記入し、捺印して提出すれば、口座振替から振込に変更できます。

保険料の支払時期が来れば、保険会社から振込用紙が届きます。それを誤って振り込まなければ、失効させることができます。しかしそれだけでは失効できない場合があります。

■保険料には払込猶予期間があり、口座振替できなくても自動振替貸付。

◆ 保険会社の対応と自動振替貸付の恐怖。

法人保険の年払い契約では、保険料は毎年契約日のある月の月末ですが、支払いが遅れた場合の猶予期間(この間に保険料を支払えば失効しない期間)があり、契約日のある月の翌々月の契約応答日か月末までになります。

くわしくは生命保険文化センターのサイトをご参照ください。ざっくりいえば3月の契約なら5月の契約応当日までという感じです。細かいルールはありますが、保険業界共通で、支払月の翌々月まで、つまり2カ月ほどは支払を待ってくれるわけです。

■財団法人生命保険文化センター「保険料の払込猶予期間と失効」

ただ、失効期限をすぎると保険会社は契約を有効に継続させようと解約返戻金を保険料に当て込む自動振替貸付という制度に進みます。せっかく保険料の支払いをストップしようと振込に変更しても、自動振替貸付という落とし穴が口を開けています。

■保険料の払込は、猶予期間がどこまであるか知らないと責任問題に。

◆ 失効までの半端ないリスク、簡単なようで落とし穴。

法人保険、失効の落とし穴を、実体験からご案内します。

保険の管理者と経理担当者が別人ですと、せっかく振込に変更しても、保険会社から振込用紙が届けば、条件反射のように振り込もうとします。

メールで振込停止を連絡しておくくらいでは、止まらないのです。

そんなバカなとお思いでしょうが、目の前にある振込用紙には振込停止とは書いてないのです。保険管理者が知らないうちに開封されて経理に回っています。危ない経験があるから言えるのですが、誰も信用してはいけません。

もう一つリスクがあります。

期限までに保険料を支払わないと、保険会社から「保険料お払込みのお願い」という振込用紙付きの督促が届きます。ここでも振込用紙を無視して、振込を停止しなくてはいけません。それには、「お払込期限」として失効までの有効期限が記載されています。慌てて振り込んだりしないようストップをかけておかなくてはなりません。

それだけではありません。その「保険料お払込みのお願い」には小さな字で下記のような文言が記載されています。

ご注意◆払込期限までに保険料のお払込みがなかった場合ご契約には保険料自動振替貸付が適用されます。

※保険料自動振替貸付について約款の定めによりご契約の解約返戻金の範囲内で保険料を自動的に立て替え、年3.25%の利息がつきます。猶予期間内に保険料のお払込みがない場合でもご契約を有効にご継続いただけます。

保険料を振り込まずに失効させる計画の保険管理者にとっては、自動振替貸付などという勝手なことをされたのでは、それこそ真っ青です。それも小さな字で書いてありますから、経理担当者は間違いなく見落とします。

◆ 失効失敗のリスクはハンパない責任問題。

失効させる予定の契約を自動振替貸付されるとどうなるか、保険は失効せず解約返戻率は次のステップへ進み解約辺捩率がガタ落ちになります。さらに保険会社が勝手に解約返戻金を当て込みますから、銀行口座から落ちません。なかなか気がつきません。

その上、立て替えられた保険料には高い利息がついてくるのです。解約したときには、解約返戻金と相殺されてしまいます。うっかりすると責任問題です。

失効されるなら、ここだけはくれぐれもご注意ください。保険料の支払い方法を振込に変更すると同時に、保険会社のサポートか代理店に連絡して、自動振替貸付の停止を申し入れ必要な書類を期限までに提出して下さい。

ただあまり一般的な書類ではないので、サポートの窓口でも詳しい担当者がこちらの意図を確認します。はっきり失効を目的とするとお伝えください。そうすればわかります。

老婆心までに、生命保険文化センターの一文を引用しておきます。間違いには救済措置もありますが、そうならないことが大事です。

「自動振替貸付を希望しない場合には、自動振替貸付が行われた後でも、一定期間内に解約または延長(定期)保険・払済保険への変更手続きをすれば、自動振替貸付はなかったものとされます。」

失効させようとしているからには理由があります。保険契約には解約返戻率のピークがあり、そこで保険契約を凍結し解約返戻率が高いままに先送りするのが失効の目的です。そして都合の良い時期に解約し雑収入を有効に活用します。

保険によっては解約返戻率のピーク時を過ぎて、保険料を払ってしまうと解約返戻率がガタ落ちになるものがあります。解約返戻率の低下は、それまで支払った保険料全部にかかわってきますから、失効をミスった場合、損失も大きくなります。つまらない失敗をしないよう失効は慎重にと申し上げておきます。

◆ 失効と自動振替貸付のリスク、まとめ。

法人で契約している節税保険の失効と、それに絡む自動振替貸付のリスクについて解説してきました。仮に気づかずに自動振替貸付に進んで何年か経過後にどのような処理になるか、それは保険会社によって対応が異なる可能性があります。

危ない橋を渡るようなことは避けていただき、保険料を振込に変更すると同時に速やかに自動振替貸付の停止手続きをしてください。

節税保険の出口対策の調整テクニックとして、失効があります。保険料の支払いを停止して保険を失効させれば解約時期を先送りすることができます。たとえ1年で2年でも先送りできれば、課税の繰り延べにもなり、簿外資金を有効活用するチャンスに恵まれるかもしれません。

とくにバレンタインショックの前に駆け込んだ、大量の節税保険があると思います。契約している保険会社により、失効から復活できるまでの期間が短いことがあります。また復活できない保険は、解除して一方的に解約返戻金を振り込んでくる会社もあります。

代理店や保険営業では、正確な回答が得られないことがあります。カスタマーサポートの回答は確実ですから、念押しの確認をすることです。

ご案内したように失効といえば簡単そうに見えますが、自動振替貸付のようないくつか落とし穴があります。できれば失効などというテクニックを使わずに済む、出口対策を設計いただくことをおすすめしたいところです。

法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

保険の事務手数料は3%の値引きと同じ意外と大きい。

介護離職か介護放棄か!やせ我慢と無知が招く介護破産の危機。

高齢化に伴い介護は、大きな社会問題として浮上しています。誰にも親があり、その結果として自分があります。親はいずれ年老いて、自分のことが自分でできなくなる時期がきます。これは長寿時代に避けて通ることができない、宿命的な課題です。

介護はお金がかかります。お金がなければ、半端でない手間がかかります。親の介護をするために、職を離れなければならない人もあります。コロナ禍の時代でも景気が良くても悪くても、介護は誰にでも忍び寄るリスクになっています。介護破産を避けるための介護保険(認知症保険)は意味があるのでしょうか。介護破産とならないために何をすればよいのかじっくり考えました。

■遠距離介護で夫婦別居の危機。

◆ 介護離職は介護破産への道。

最初に申し上げたいのは、介護のための離職も介護を放棄することも決して良い結果をもたらさないということです。介護離職は経済的な理由だけでなく、介護のストレス的にも避けなければならないとお考え下さい。付きっきりの介護は、いかに献身的な忍耐強い方でも身がもたないのです。

介護離職を避けるためには、介護休業や介護休暇など、まずは職場で利用できる制度を積極的に使うことが重要です。

しかし中小企業では、介護を理由にたびたび休むと、たとえそれが有給休暇であっても白い目で見られがちです。理解のある職場や上司であればまだ救いもありますが、同じ部署の他の社員に負担がかかるので、心苦しい気持ちになってしまいます。

理解を得られるように職場には包み隠さず、洗いざらい説明して状況を把握していただくよう心がけましょう。日本人的には身内のことはオープンに話さないことが多いと思います。でも介護ではそうは言っていられない、特別な事情になります。話すことで気持ちが楽になり、職場の管理者も協力や配慮がしやすくなります。また他の社員への納得感も得やすくなります。

大事なことは、なんとしても介護離職は避けなければなりません。いずれ介護貧乏への入り口となり、果ては介護破産につながっていくことが多いからです。

■生命保険と認知症は相性が最悪である理由。

◆ 介護破産とは、経済的に立ち行かない窮状。

介護破産とは、どういう状況を指すのでしょうか。介護を始める可能性がある人、あるいは介護中の自分の将来を憂えて介護共倒れを心配する人にとって、介護破産と聞くとドキッとすると思います。

そもそも介護破産とは実際に自己破産することではなく、介護により経済的に立ち行かなくなる窮状を言います。介護費用だけでなく、介護する人の老後資金も含めて、経済的に回らなくなる状態を介護破産と定義しています。

たとえば、公益法人生命保険文化センターの調査によれば、月々の介護費用の平均額は7万9000円。そして、介護経験者が実際に介護を行った期間の平均は4年11か月でした。平均ですから、これより長期の人も半分いるわけです。また一人の介護に必要な金額の平均は546万程度と言われていますが、介護期間が長引けばさらに負担は増加します。

介護離職で定期的な収入が途絶えて、親の年金と自己資金だけで乗り切ろうとすると目算が狂う時期がきます。人生には思いがけない出費がつきものです。大病をすれば医療費が別にかかります。家の修理や車の買い替えなど、ライフイベントにもお金がかかります。

先行きが見えない介護トンネルでは、将来的な介護資金不足の不安が膨らんできます。

■老後に難民とならないための耳の痛い処方箋。

◆ 介護放棄はできない?介護の扶養義務はどこまで?

誰しも一度は介護放棄が、頭をよぎることがあると思います。民法第877条によれば、直系血族や兄弟姉妹はお互いに扶養をする義務があります。親なら介護するのも仕方がないですが、兄弟姉妹の介護では降って湧いた災難のようにさえ思うはずです。

介護されている方が感謝してくれれば、まだ救いもありますが、言いたい放題の家族もあります。とくに認知症が進むとこの傾向が強くなるように思います。自分が言ったことは覚えていないのですから、なおさら厄介なのです。

認知症でなくても介護される人は体の自由がきかないわけですから、自分のことが自分でできないイライラがあります。介護者にかかるストレスの大きな要因は、介護される人のわがままにあるかもしれません。わがままと言ってしまうのは過言かもしれませんが、普段なら許せる言動が、ストレスを抱えた介護者にはプレッシャーになることは実体験としてあると感じています。

被介護者の子どもの配偶者には、法律上の扶養義務はないということは書き添えておきます。息子の嫁には、介護の責任はないのですが、そうは言えない家庭の事情もあると思います。

・介護放棄と生活保持義務。

介護放棄は、法律上は許されないということになっています。子どもは親の介護を放棄することはできないし、兄弟姉妹の介護も放棄することはできません。

生活保持義務などと難しい言い方をしますが、違反すると罰せられる可能性もあります。自分の生活を犠牲にしてどこまで介護に時間と費用をさけるか、落としどころが難しくなります。

■リビング・ニーズ特約とは、わかりそうでわからない不思議な無料特約。

◆ 介護の情報不足の原因?

介護は、先のことだと思っていると軽度認知障害などと診断されて慌てます。突然やってくるので対応が後手に回ります。とりあえず運転免許証の返納を済ませて、買い物や通院などの足をどう確保するか考えます。家族が駆けつけるか、タクシーを呼ぶしか方法がありません。

でも、調べていくと地元の市町村が巡回バスを出していたり、運転免許返納者に対するタクシーの割引制度があったりします。

こうして介護状態の進行とともに、介護に関する制度や相談窓口、ネットからの介護に関する基本的な情報が手にはいることがわかってきます。

ただ多くのケースでは、自分の家族が直面するまで知ろうとしないのです。そのため予備知識や事前の準備がなく介護に突入することとなり、慌てることになります。

認知症のような場合、まだ進行に時間的な余裕がありますが、骨折などの事故や脳梗塞の場合、突然に介護が必要ということもあります。

ここで慌てて、介護のために離職などを選択すると介護破産という悲劇につながりかねません。こういう事態を防ぐためにも、社会的な介護保険制度に関する情報収集や介護資金などについて、地域包括支援センターや医療機関の窓口でプロと相談することが重要です。またあらかじめ親と介護資金について相談し、経済状況を把握しておくことが大事になります。

・介護のプロに相談。

介護のプロと相談することが重要と申し上げましたが、それがそれほど簡単なことではないのです。ザイアンスの法則ということがありますが、人は知らない人には冷淡で距離を置こうとします。初対面の人に身内の問題を話すことには抵抗があるものです。

そこは、相談する人と単純接触回数を増やすとなじみが出てきて相談しやすくなっていきます。この法則を押さえたうえで、どこまで相談してよいか、本音を打ち明けられるかということが介護制度の利用につながってきます。最初は相談して拒絶されればどうするか、身内の恥という思いもあり言えない部分も出てきます。

ケアマネの中には、自分がかかわれる範囲と家族や身内がすべきことを、はっきり区別される方もあります。緊急時に助けを求めても助けてもらえないような気になります。

介護職員にはルールがありながら、そうは言っていられない現実もあります。支えられ上手などと簡単に言いますが、それほど簡単ではありません。しかし、そこを一歩踏み出すことで次に打つ手が見えてきます。

大事なことを項目であげておきます。

①慌てて介護離職を選択しないこと。

②社会的な介護保険制度の仕組みを知ること。

③自分で考え込まずに専門家に相談する、介護のプロに頼ること。

④できる限りの介護から、頑張らない介護、できる範囲の介護へ。

⑤介護される人(親・兄弟姉妹)の経済状態を把握すること。

◆ 公的介護保険制度の意味合い。

介護保険と言えば、公的な介護保険制度をさすことが一般的です。しかし民間の保険会社が販売する介護保険もあり区別が必要です。

公的な介護保険では、平成12年より公的介護保険制度が導入されました。国の制度として強制的に40歳以上の方全員が被保険者となり介護保険料を負担しています。介護が必要になると介護できる環境を整えなくてはなりません。家の改修や通院、日常の買い物のサポートなど、そのため必要な費用は軽くはありません。

介護保険制度で介護や支援が必要となった場合、介護サービスを低額で受けられる仕組みが公的介護保険制度です。しかし、自己負担がなくなるわけではありませんし、家庭での介護に要する時間は、介護する人に負担としてのしかかってきます。介護は誰にもやってくる可能性があります。

公的介護保険でカバーしきれない分は、若い時代から民間の保険会社が販売する介護保険で準備しておくことが大事です。介護保険とか介護保障保険とか呼ばれます。民間の介護保険では所定の状態が、一定期間続いた場合に一時金や年金形式で保険金や給付金が支払われる保険です。

公的な介護保険制度だけでは、心配な方は契約を検討されてもよいかもしれません。

◆ 介護の経済的負担は想定外の大きさ。

介護が長引くと介護をする人の負担は、精神的にも肉体的にも限界に近づきます。社会的な介護保険制度は助けになりますが、介護にかかる経済的な問題をクリアするまでに手厚くありません。

財産でもあれば換金し食いつなぐこともできると思いますが、これまでの貯金だけでは経済的に長続きしないのが介護です。できれば自分の手で親の介護をと思っても、無理な相談ということが往々にしてあります。かといって先立つものがないと、介護施設のお世話になることもできません。

介護を続けるためには、返済の当てがなくても借金を重ねるしかありません。介護が長引くと工面する額も大きくなります。その先は、いずれ親の貯めた葬式代も食いつぶし、先の見えない泥沼の介護トンネルが延々と続くことになります。

経済的にも精神的にも追いつめられ、切羽詰まると考えることは自死か破産かということになります。人間なかなか簡単に自らを仕舞いにすることは、できるものではありません。それゆえ自己破産という選択肢を考え、ネットで自己破産を検索し始めます。

介護は経験するとわかりますが、3カ月くらいは必死に頑張ろうとします。しかし最初の緊張感は徐々に変わり、時折、厭世的な倦怠感と絶望感に襲われます。長期の介護で感じる先の見えない苦しさは、味わってみないとわかりません。

◆ 介護破産を未然に防ぐ介護保険と認知症保険。

介護破産を未然に防ぐ方法として、民間の介護保険や認知症保険があります。ただし契約内容をしっかり理解してからでないと、後で後悔することもあり得ます。

たとえば民間の介護保険で保障の対象となる条件は「公的介護保険の要介護2や要介護3以上の状態」となっている場合が多くあります。要支援や要介護1では介護度が低く保障されません。

また、増加する認知症に対する保険として、民間の認知症保険も販売されています。要介護度に関係なく医師により認知症と診断確定されたら、その時点で保障の対象となる商品が一般的です。

認知症と要介護認定との関連性はありますが、同じことではありません。払える保険料ということもありますから、介護保険と認知症保険は別枠で考えるとよいかもしれません。保険会社や保険商品により契約の条件にかなり差があります。

各社の保険を比較しながら、ご自分の目的にあった条件を選ぶようにしてください。

認知症保険は、認知症と診断されると保険金を受け取れます。保険会社の独自基準であれば、介護状態にならなくても保険金を受け取れる場合があります。認知症の治療費や介護保険金を受け取るまでの経済的な負担を軽くできると思います。

・指定代理請求人を家族と共有。

認知症保険に加入したら、そのことを家族に伝えておくことが大切です。この病気では、記憶が定かでなくなり、正しい判断ができなくなることがあります。認知症になった際に、代理人が保険金を請求できるように契約時点で忘れずに指定代理請求人を設定してください。

■生命保険の指定代理請求の落とし穴。

一方で、民間介護保険は保険会社から販売されている介護保険のことです。加入は任意で、保険会社の求める条件をクリアできれば契約できます。公的介護保険は、介護サービスを割り引いて自己負担を軽減する仕組みですが、民間の介護保険は現金給付です。要介護状態になると、契約時の条件により、一括もしくは年金形式で介護保険金を受け取れます。

上記2種類の認知症保険と介護保険を組み合わせることで、要介護状態になったときの経済的な負担を大幅に軽減できます。

長期的にみると介護保険や認知症保険も医療保険です。通常採算割れになると考えて間違いないですが、採算が取れるかどうかの分岐点は見極めておく必要がありそうです。

・できる範囲で頑張る介護。

介護保険や認知症保険で介護破産のリスクを軽減することはできますが、決して万全ということではありません。そもそも介護は出口の見えないトンネルと同じです。

介護にかかる費用も、終わりが見えないということがあります。頑張らない介護とはよく言いますが、それは人ごとだから言えることです。できる範囲で頑張る介護、とでも言い換えた方がよいかもしれません。

◆ 介護破産まとめ。

運転免許証を返納し、悠々自適の暮らしができるころには目は見えにくくなり、耳は遠くなり、足腰は弱くなり、散歩も杖なしではしんどいようなことになります。

悟れるようで悟れない、あの世へは順番ということもありますが、当事者になるとあきらめきれずに焦りが出てきます。

こんなはずじゃなかったのに、という思いが駆け巡ります。しかし、財産があればなんとかなるかもしれませんが、普通のサラリーマン家庭ではそれほど財産に余力があるとも思えません。

人間そうあっさり旅立つことができるとは限りません。言い方はよろしくないですが、新型コロナ肺炎でぽっくりいけば、悲劇ではありますが、それはそれで介護の苦労ということで考えれば、それほど不運とも言えません。介護するほうも、される方も苦労がなくなります。何が幸せで何が不幸かはそう簡単には、人間の価値観や経験で推しはかれないものです。

なぜ自分だけがと思うかもしれませんが、介護はそもそも不公平なものです。身に降りかかってきた介護では、介護を組み込んだ生活設計を考え、生活を介護オンリーにしない工夫が必要です。

また介護により、助け合い学びあうこともあります。誰にも親があり、老いた後、長い老後があります。それは自然なことです。人とのつながりに感謝すること、そして介護の試練も順調な学びと受け止めることも大事です。

がん保険、上皮内がんはあきらめなさい。

生命保険の相談相手の選び方、売る側の裏事情を暴露。

FPとはファイナンシャル・ディレクターという意味について。

売れない家の相続、固定資産税は誰が?

売れない家の相続、固定資産税は誰が?

相続登記を自分でする中で、田舎の相続についての問題を実感してきました。

相続人は都会でマンション暮らし、相続する価値のない、誰も欲しがらない田舎の不動産が相続登記されることなく放置されてきました。

その結果が所有者不明土地の問題に発展してきました。相続登記を義務化するだけでは解決しない問題であることは明らかです。

相続登記に必要な書類と手順を、実際にやった素人がわかりやすく。

◆ 売れない家、田舎の山林、耕作放棄田の重荷。

確かに売れない田舎の家は処分に困ります。仏壇にはご先祖様の位牌があり菩提寺のお世話や付き合いもあります。田舎の山林は昔の様に山に入って柴刈りをしなくなったので、けもの道も見分けられません。耕作放棄田には草木が生い茂っています。

ところが稲作をしている田でも相続のときに困ります。土地改良で大きな整地された田になっていますが、採算が取れない小作農家は、農業をやめて大規模農家に委託しています。

農作業はしなくてよくなりますが、農地の賃貸料で固定資産税といまだに続く土地改良の賦課金が賄えません。信じられないようなばからしい話ですが、売れない農地であり農業収入はなく、持ち出しになる点では耕作放棄田と採算は変わりません。草刈りはしなくてもよいですがね。

相続登記、自分でやる抜け漏れ想定外。

◆ 相続登記しなければ法定相続の共有。

分けられない、欲しがらない遺産は遺産分割協議でも話がまとまりませんから、そのままだと相続人が共有していることになります。

相続登記をしていませんから、それも相続人全員が法定相続割合で共有しているという、責任所在が分散する厄介なことになります。だれが管理責任を負うのか、だれが固定資産税を払うのかが問題になります。放置しても役所は相続人代表に固定資産税の納付通知を送ってきます。

この問題はひとまず先送りしたがゆえに発生します。誰が責任を持つのか、共有する不動産の管理・維持費の負担割合も話し合っておかないと、あとで関係悪化の火種になります。

相続登記義務化でも登記をしない本当の理由が深刻。

◆ 相続財産で最も多い土地・家屋が4割。

相続が発生すると被相続人の遺産は相続人で分けることになります。

遺言書などがなければ法定相続割合で分けるか、遺産分割協議で話し合って決めることになります。

国税庁のまとめによると2019年度の相続申告のうち不動産(土地・家屋)が全体の4割を占め最も多かったそうです。不動産は有価証券や現預金、保険金とは異なり、換金性が低いので相続分に合わせて分けることが難しい遺産になります。

所有者不明土地の原因と無責任を問えない3つの理由。

◆ 売れない家にも固定資産税、維持管理費が発生。

売れない田舎の家は広いですが、老朽化して住むためには手入れが必要です。空き家になっていても壁や塀の修繕、定期的な掃除と手入れ、火災保険などの費用も見込まねばなりません。

田畑は近隣の迷惑になりますから、耕作をしなくても放置しておくことはできないと思います。定期的な除草は必要ですし、価値が低くても固定資産税は毎年きちんと請求がきます。固定資産税の支払いをせずにいると、延滞金付きの物々しい督促がきます。

ましてや山林や原野などは、土地の区画どころか立ち入ることすらできない状態になっています。それでも申し訳程度の固定資産税がかかります。

売れない不動産は、売却などで処分することができれば、問題は一気に解消するのですが、決して簡単なことではありません。ご近所で買っていただければ儲けものですが、多くは老人の独り暮らしで土地は有り余っているとしたものです。

◆ 換価分割、代償分割、現物分割できない無価値不動産。

〈換価分割〉

仮に安くても売れさえすれば分けることができます。管理責任から解放され、固定資産税も払わなくてよくなります。田舎の価値が低い不動産はこれが一番難しいところです。二束三文でも処分できれば問題は解決できます。

〈代償分割〉

相続人のうち一人が不動産を相続し他の相続人には代償金を支払います。これは資金がなくてはできません。不動産を引き継ぐ相続人を受取人とした保険に入っていればよいのですが。相続が発生してからでは保険が使えません。

〈現物分割〉

できることとできないことがあります。一つの家を分割することはできません。複数の不動産があれば、遺産分割協議で引き継ぐ不動産を決めることができます。誰も引き継ぎたくない場合は、遺産分割協議が成立しません。

価値のない不動産というのは厄介なお荷物になります。縁を切ろうにも縁が切れないばかりか、永遠にコストがかかり続けるのです。

住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。

◆ 売れない家の相続、まとめ。

売れない家の相続は出口がないのでしょうか。相続登記が義務化されれば遺産分割協議は押し付け合いになりさらに難航すると思われます。

相続した人は必要のない不動産を所有することになり、登記して固定資産税や管理・維持費の負担が発生します。

田舎の不動産活用をビジネスに、ゆったりと広い、庭がある、自然がある、ペットが飼える、駐車場を借りなくても庭に置ける、余裕のテレワークにつかえる田舎暮らしとなるでしょうか。はかなくも夢がありますが、それほど条件の揃った物件ばかりでもありません。

ただ、売れないと思い込む必要もありません。人それぞれ、時代ともに価値観も変わっていきます。あこがれの田舎暮らしを目指す都会人に、巡り合う可能性もこれからは高くなると思います。

密になろうにも人口密度が低くだだっ広い田舎の土地では、コロナ禍でも安心です。都会のマンションにすむ田舎の長男さんに向けて書きましたが、少しは慰めになりましたでしょうか。

相続土地国庫帰属制度の損得勘定、売れない家はどうする!?

相続登記はどこで?登記簿は全国、登記申請は地元の法務局。

逓増定期の名義変更、遡及パブコメで壊滅。

逓増定期の名義変更、遡及パブコメで壊滅。

追記2021/6/25:

国税庁により逓増定期保険の名義変更にかかる保険契約の権利評価の見直しが行われました。2021年6月25日、資産計上額で評価するという通達(所得税基本通達36-37)が発遣されました。さらには2019年7月8日までの契約に遡及し、逓増定期の名義変更スキームは完全に封じられました。

※過去の記事ですので、これまでの経緯として参考程度にお読みください。

国税庁から4月28日に『「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(保険契約等に関する権利の評価)に対する意見公募手続の実施について』というパブリックコメント募集が公開されました。

要するに、逓増定期保険の名義変更による個人への資金の移動は許しませんよ、ということになりました。

さらには令和元年の7月8日までの契約に遡及し、名義変更のスキームは完全に封じられました。まだパブリックコメントの段階ではありますが、概ねこの方向で6月末ごろには通達が発遣されるものと思います。

■逓増定期保険の名義変更、ホワイトデーショックまとめ。

◆ 今回のパブコメが意味するところ。

コロナ禍で税金が減収見込み、少しでも税金を増やすことが狙いだと考えられます。またそれだけではなく、保険を利用した節税スキームを徹底的に封じることで、これまでの保険業界と課税庁とのイタチごっこに終止符を打とうとしたものであるように思います。

保険商品の認可は金融庁ですが、金融庁が認可した保険商品に国税庁が、網をかけるという構図が繰り返されてきました。まさに縦割り行政の弊害とでも言うべきものです。その行きつく先が、今回のパブリックコメントと言うことになりました。

その結果、保険業界は超低金利の時代背景もあって、取り扱う保険商品から金融商品としての意味を失うことになりました。本来の保障に特化した販売に移行せざるを得なくなります。羽振りのよかった保険代理店も、自慢のベンツを売り払うよりなくなることでしょう。保険業界の構図が変わっていくことが目に見えるようです。

◆ 逓増定期保険も法人税基本通達9-3-5の2が適用。

バレンタインショックから最高解約返戻率によって、損金算入割合が規定されました。逓増定期の名義変更に使うような保険は、4年~5年後の最高解約返戻率は85%超が普通になります。

ルールに従えば名義変更に使える逓増定期保険は、9割資産計上になりますので、損金算入割合はわずかに1割と、節税効果はほとんどありません。

解約返戻率が低い時期に節税効果はありませんが、4回目か5回目の保険料を支払うと一気に解約返戻率がピークになります。ピークになる前年に解約返戻金相当で譲渡します。名義変更すると保険積立金と解約返戻金の差額が、法人側では、雑損失になります。

法人で保険料の9割を積立てている保険積立金が、少ない解約返戻金では回収できませんから、その差額が法人の損失になるのですね。

でも利益の出ている法人であれば、節税しつつ法人の利益を個人に付け替えていることになります。

課税当局にすれば、名義変更時の雑損失による節税効果と、役員報酬以外のルートで役員個人に臨時の一時所得が発生するという点が、許せないところなのだと思います。本来役員賞与というべきものであり、法人に役員賞与の支給として課税されるべきであり、個人では一時所得ではなく通常の所得課税がなされるべきと考えるのは当然な面があります。

■「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)

(保険契約等に関する権利の評価)に対する意見公募手続の実施について

所得税基本通達新旧対照表

◆ 逓増定期の名義変更、これでおしまいまとめ。

hokenfpの立場としては、記事のネタがどんどん削られていくような感じです。法人保険に特化した記事を書くためには、それなりの保険商品が必要です。

しかし、最近の法人保険市場は停滞気味です。毎期の決算ごとに契約していた節税保険も、今期は一件もありませんでした。目先の節税効果がない保険商品に魅力を感じないのです。

肉が食べたいのに、魚をすすめられているようなミスマッチがあります。

これまで節税保険のメリットを享受していた経営者の頭を、切り替えるような話法が必要です。決算期にこだわらずに、保険本来のリスクを伝えながら、顧客の懐にはいりこみチャンスを待つ感覚が求められます。

保険営業の基本に戻ると、接触回数をふやすこと、契約のチャンスはタイミングがあること、そのときその場にいないとチャンスは拾えないということがあります。魚がいないところに釣り糸を垂れていても、食いついてはくれませんから、よくよく見極めて確率の高いところを攻略することです。

見込み客が増えて契約が順調に取れるようなときは、保険営業はまことにおもしろい仕事です。しかし歯車がかみ合わなくなり、締め切りに追われるようになると、後手に回ってしまうことになり、苦しいばかりです。

ある意味では、逓増定期の名義変更だけが独り勝ちしている構図は崩れました。これで保険業界としては公平な土俵になったということかと思います。

相続登記義務化でも登記をしない本当の理由が深刻。

相続登記義務化でも登記をしない本当の理由が深刻。

令和6年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。

これまで特段の事情や売却の予定などがなければ相続で不動産を引き継いだとしても登記することはあまりありませんでした。

特に田舎の家屋敷や農地や山林などは後継者が都会に出てサラリーマンをしていますから、相続が発生しても登記する暇もなければ費用をかけるゆとりもないといったところが本当です。

相続登記に必要な書類と手順を、実際にやった素人がわかりやすく。

◆ 所有者不明土地の増加が深刻。

所有者不明土地(※)が社会問題化したため、相続登記が義務化されることが決定しています。

なにしろ所有者不明土地は増加し続け410万haとも言われています。九州一個分より大きな土地がだれのものかわからないというとんでもないことになっているのです。原因は相続での不登記が66.7%、住所変更の不登記が32.4%で合わせて99.1%にも及びます。
(※所有者不明土地とは不動産登記簿により所有者が直ちに判明せず又は判明しても連絡がつかない土地のことです。)

そうかといって民主的な日本では勝手に国家が個人の所有する不動産を供出させたり、転用するようなことはできないようになっています。民法の基本原理に所有権絶対の原則というものがあります。憲法の基本的人権によって、たとえ所有者不明の土地でも、それを勝手に国のものにすることは現在の法律を変えない限り許されないのです。

その結果、相続人は望まない土地、利用価値の低い土地が相続の重荷になり、一方では、今後の国家の経済的損失が6兆円に及ぶと試算されています。

そこまで理解していながら、相続登記が義務化されても素直に登記する気にならないというのは、どこに問題があるのでしょうか。

◆ 相続登記が義務化されると。

相続登記が義務化されると何がどう変わるのでしょうか。細かいことは端折(はしょ)って法務省民事局が作成した「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」を簡潔にまとめてみました。

所有者不明土地の主な原因は相続登記がなされていないことにあります。現行は人単位で財産権が保護されていますので法律を変えない限り所有者不明土地の処理をすすめることができません。これは公共事業の実施や民間取引を妨げるなど多数の問題の原因となっています。そのため大きくは下記の3点を制度化するというものです。

1)相続登記の申請を義務化。

相続により不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内の
相続登記の申請を義務化する。過料10万円以内の罰則。

2)住所変更登記の申請を義務化。

転居等に伴う住所等の変更登記を2年以内に申請することを義務化。簡便な手続きで住所等の変更が登記に反映されるシステムを構築。過料5万円以内の罰則。

3)土地所有権を国庫に帰属させる制度の創設。

相続又は遺贈により取得した土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする
制度。審査手数料と10年分の土地管理費用を徴収。

参考:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し

その他に、所有者不明土地・建物の管理制度の創設/共有物の利用の円滑化を図る仕組みの整備/長期間遺産分割未了に対する遺産分割の見直し/隣地等の利用・管理の円滑化などが検討されています。

これらの施策は、2024年4月1日から施行される予定です。

◆ 納得できない相続放棄と管理義務。

被相続人には借金があり遺産がマイナスの場合、相続放棄することができます。その場合でも売却できない不動産に関しては、相続人に管理義務が引き継がれます。

相続放棄したからと言ってすべての責任を免れることにはならないという民法の決まりになっています。

民法には以下のような規定があります。

民法第940条第1項「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となっ
たものが相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同
一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。」

この規定の存在により、相続放棄をしても相続人であった者は相続財産管理人が選任されるまでは相続財産を管理しなければいけなくなるのです。

相続放棄すれば、固定資産税は払わなくてもよくなります。しかし田舎の家や田畑や山林は売ろうにも買い手がつきません。仮に相続放棄して所有者がいなくなった不動産はどうなるのでしょうか。不良資産として価値のない不動産を相続放棄により手放したら身軽になりバンザイとなるのでしょうか。

世の中それほど甘くできていません。相続人全員(第3順位の兄弟まで含めて)が相続放棄すると相続人不存在となります。相続人不存在となれば価値のない不動産は誰が管理するのでしょうか。手入れをしない建物は老朽化し瓦がはがれ台風のたびに破損が進みます。庭木は生い茂り雑草が繁茂し手が付けられなくなります。耕作放棄田もゴミ捨て場となり廃棄された洗濯機や家具に葛(くず)が巻きついてきます。虫が発生し近隣に大変な迷惑をかけてしまいます。

・田舎の耕作放棄田が問題化

放棄田にはできないものの耕作しなくなった農地の管理も大変です。何も作物を作っていなくても、年数回の除草や農業員会や農協との付き合いも手間がかかります。田畑からの収入は全くないのに固定資産税や除草費用の負担がのしかかってきます。

農地中間管理機構なる組織が設立され遊休農地の貸借あっせんにより有効活用がすすめられていますが、それは使い勝手の良い大きな農地に限ります。田舎のいびつな形の段差のある農地など誰も耕作したいとは思いませんから借り手はつきません。

相続人不存在の場合には、建前上の仕組みとして相続財産は法人化して相続財産管理人が選任されます。

選任された相続財産管理人は相続財産の清算等を行い、残った相続財産を国庫に引き継ぎます。でもそうはうまく問屋が卸しません。

この仕組みは誰かが裁判所と相続財産管理人にお金を払って相続財産の管理をお願いしなくては機能しません。費用が結構かかりますから、是が非でも借金を取り返したい債権者ぐらいしか利用しない仕組みと言えそうです。

全く実情からかけ離れたばかばかしい仕組みです。相続財産を相続したくないから相続放棄をしたのに、相続財産管理人に報酬を支払うなんて意味がありません。そうかといって結局、相続財産の管理責任が残ってしまうとは、相続放棄も楽じゃないということです。

・価値のない土地は国庫もいらない。

この上さらに困ったことがあります。最後に国庫に引き継ぐと書きましたが、国は相続財産でも価値のない不動産は、ほとんど引き取ってくれないそうです。何を馬鹿なことをとお思いでしょうが、あなたが不要なものは国もいらないのです。もともと換金できるような不動産なら相続放棄しませんから、そもそも問題の解決にはなっていないのです。

相続放棄のときに残る田舎の不動産は、価値がないから売ろうにも売れない、むろん誰も欲しがらないから国も欲しがらない不動産になります。せっかく相続放棄しても売れない不動産の管理責任はいつまでも続くことになります。不良不動産は相続して売却する以外に未来永劫にわたり縁が切れないということになりそうです。

相続財産管理人に報酬を支払うより自分で管理して草刈りでもした方がお安く上がるというものです。こうなると相続財産に多額の負債がある場合は、素直に相続放棄をして管理義務のみを負い続けるのが良いのかもしれません。

相続財産に負債がないならフツーに相続して、地道に売却先を探す方が良いのかもしれません。将来的に売れるか売れないかは時の運、相続すれば自分の財産ですから、いつでも処分が可能です。どうしても売れないときは引退後に田舎に引っ込んで家庭菜園でも趣味にすることです。

売れない家の相続、固定資産税は誰が?

◆ 相続登記を義務化したところで、田舎相続人の本音。

相続登記が義務化されても敢えて登記したくないというのが田舎の相続人の本音でしょう。

家制度が崩壊し家族がバラバラになり、連休にもコロナ禍で子や孫にも会えない時代です。都市に人口が集中し地方都市は老人ばかりになりシルバーマークの車が信号で並んでいます。

農地はあちこちで荒廃し、人口減のため大型店はどんどん撤退していきます。そんな田舎相続人は都会に住んで田舎の年老いた両親を顧みることもできず、日々の生活に追われています。田舎相続人にとって相続登記の義務化とは、眠っている子を起こされるようなものです。

都会に住む田舎相続人の本音は、「損なことはしたくない。」「売るときに登記すればよい。」「自分でやるのが難しい。」「実家の不動産が把握できていない。」「他の相続人と疎遠、相続人の仲が悪い。」「権利証がない、確認方法がわからない。」「手間と金がかかる、固定資産税を払いたくない。」と言ったところでしょう。

相続登記を推奨するサイトはビジネスが目的ですから田舎相続人の本音を理解しても仕方がありません。営業妨害をする気はさらさらありませんが、本音です。

・相続登記をしたくない本音。

  • 登記しないと売却できない。

→そもそも売れる土地ではないのにお金をかけて登記しても仕方がない。

  • 権利関係が複雑になる可能性がある。

→すでに権利関係はよくわからない。家系図を作るほど暇ではない。

  • 差し押さえの可能性がある。

→誰も相続したがらない未登記不動産を差押さえる価値がない。

相続登記するとは不動産の所有者の名義変更をすることですが、結構、費用がかかります。登録免許税、司法書士報酬、その他諸経費などで少なくとも10万以上はかかると思います。また、日ごろ疎遠な他の相続人と連絡を取り遺産分割協議書を作成するのが煩わしいということもあります。現状では特に名義変更しなくても何も困ったことはないですし、平日に仕事を抱えるサラリーマンには時間的に無理があります。

相続登記、自分でやる抜け漏れ想定外。

本音を言えば、相続が発生した結果、実際に自分が住んでいない家や家賃収入がない場合でも固定資産税は避けられないので、二束三文の使い道のない土地や建物は誰も相続したくないのです。その結果相続人が誰も固定資産税を支払わずに長期滞納していると、金額がふくらみ市町村役場としても本来その土地や建物を所有しているはずの相続人に対して督促あるいは差押えといった強硬手段を取らざるを得なくなります。

相続登記が義務化された以上は、無視するのではなくどう対応するか腹を決めておくことが肝要かと思います。どうしても相続する人が見つからない場合は、期限までに相続放棄する必要があります。

◆ それでも相続登記しない理由、まとめ。

相続登記未了の過料が10万ならそれが一番コスト的には安いと言えそうです。果たして相続登記の義務化は機能するのでしょうか。

テレワーク時代に田舎に移住する人が増加すれば古民家が見直され、大都市集中リスクが改善されるのではないかという淡い期待があります。田舎に移住した人は、ゆとりができて空いた田畑で趣味の野菜作りなんてことになれば、うっとうしいコロナ禍でも満更(まんざら)ではないですからね。

・相続登記義務化に対する対抗策。

その1)相続放棄をして細々と不動産管理を続ける。(固定資産税不要、管理費用と手間発生)

その2)おとなしく相続登記をして不動産管理をしつつ売れるチャンスを待つ。(固定資産税、登記費用と管理費用及び手間発生)

その3)とことん相続登記をせず過料10万円を払う。ただし過料を支払ったからと言って相続登記を免れることはできません。しかしとことん無視すればまた過料ということになるのでしょうか。(登記費用は掛かりませんが、固定資産税と管理費用及び手間発生)

※過料は刑罰ではなく行政罰なので前科一犯ではありません。たぶん交通違反のような累積点数もないと思います。白い目で見られることもなさそうです。)

どの道を選んでもすっきりせず憂いが残ります。年金暮らしになってから役に立たない不動産の固定資産税や管理費用を払いたくないのは本音です。ましてや登記費用は勘弁してほしいという気持ちは理解できます。しかしどうなっても固定資産税だけはどこまでも追いかけてきます。

いまさら相続放棄もできないし、困り果てた結果、蒸発する、行方不明になることで責任は免れるかもしれませんが、あまり賢い選択でもなさそうです。相続登記義務化反対のプラカードをもって国会前をデモするか、たぶん賛同者はいないので一人だと思いますが。

住民票の除票と戸籍附票の除票とは、わかりやすく。