家族信託とは何か?必要ないと言われる庶民の理由。

家族信託とは何か?必要ないと言われる庶民の理由。

親が認知症になると銀行口座が凍結され、お金が下ろせなくなると困るということがネットのあちこちに出ています。それをクリアする方法として成年後見制度や家族信託が最後の砦のように言われています。

そのことをビジネスにつなげようとする、士業の営業サイトが上位表示されています。ほんとうに家族信託や成年後見制度を利用した方がよいのでしょうか。

家族信託でも成年後見制度でも、専門家にお願いすればそれなりの費用が発生します。またそれぞれに、意外なデメリットもあります。本当に家族信託は必要なのでしょうか。

当サイトは士業のような営業サイトではありません。それゆえ相続税がかかるほどでもなく、お金をできるだけかけたくない方向けの情報をお伝え出来ます。

認知症の親を抱えて財産は年金口座と住んでいる家屋敷のみというケースには、お役に立つかもしれません。

家族信託のメリットとデメリットを踏まえた上で、家族信託が必要かどうか、またどうすればよいか迷っている方の参考になれば幸甚です。

■認知症による年金口座凍結を回避するウラ技。

◆ 家族信託とは何か、民事信託、成年後見制度との違い。

家族信託とはどういう仕組みなのでしょうか? 民事信託とは違うものなのでしょうか? また成年後見制度との違いは? そもそも信託とはどのような仕組みなのでしょうか。ここは遠回りのようでもおさえておかないと理解が進まないのです。

サラリーマンが知っている信託では、信託銀行ぐらいしかありません。

信託とは、民法の信託法にもとづく法的な仕組みです。自分の財産を信頼できる人に託し管理運用してもらう制度と定義できます。

ビジネスで契約する信託は商事信託、親子などの個人間の信頼で契約する信託は、民事信託という区別ができます。民事信託でも家族間で契約すれば家族信託と言うことになります。

家族信託は民事信託の一部か、ほぼ同義と言えそうです。いずれも改正された新信託法の規定に従うことになります。

信託協会によると、信託を構成するのは「委託者」「受託者」「受益者」の3者となります。

委託者:財産管理をお願いする人(たとえば財産管理に不安がある親)

受託者:財産管理を任される人(親から信認されていいる長男など)

受益者:信託契約の利益を受ける人(委託者と同じ場合が多い)

成年後見制度は、高齢者などの財産管理をするという点では同じですが、家族信託とは大きく機能が異なります。

・成年後見制度と家族信託の違い。

一般的には、高齢者が認知症などになると意志判断ができなくなるので、財産管理は、成年後見制度を利用することになります。しかし成年後見制度では、本人の財産を維持することが目的ですので、積極的な財産運用などはできなくなります。

成年後見制度は、家庭裁判所の権限が強く、成年後見支援信託口座に入れられたお金は一円たりとも裁判所の許可がないと動かせないという、ガチガチの制度です。

確かに士業と言えども人間ですから、なかには悪さする人もいます。そういう意味で手堅いですが煩わしいところです。

またそれだけではないデメリットは、一度成年後見人を選任すると被後見人(親)はすべての判断ができないことになりますので、自分の意志で生前贈与も生命保険の解約もできなくなります。

ところが、家族信託を利用すると、認知症になったあとも受託者によって継続して投資などの柔軟な財産管理が可能になります。そのため家族信託のほうが、より柔軟な財産管理ができます。

成年後見制度は、本人が生活を送るための財産を残すことを主眼とした制度ですので、家庭裁判所の判断が関与します。そのため管理や運用・処分に関しては制限が多いのです。

家族信託からみれば、ガチガチの融通無し、取消しできないという面があります。そういう点で財産管理には、家族信託が有利と言えそうです。

家族信託はこのような成年後見制度ではできない、財産の柔軟な管理と運用・処分などに向いています。相続では家族以外の第三者を介入させて金を払う必要はないので、その点でも家族信託の実用性は高いと思います。ただし信託法の縛りを受けますから、細かい決まり事や契約手順などについては、アドバイスを受ける専門家がいた方がよいかもしれません。

・受託者の責任範囲について。

受託者には、信託法で定められた信託事務遂行義務(29 条 1 項)、善管注意義務(同条 2 項)忠実義務(30条から32条)、公平義務(33条)、分別管理義務(34条)、情報提供義務(36条から39条)などが課せられます。

それぞれは難しい言い方ですが、受託者の財産と分けて管理し、運用結果の定期報告や必要な資料の作成・申告なども結果を報告する義務があるということです。決して楽な受託者と言うわけではありません。

■相続財産を教えてくれない親の本音と秘密主義。

◆ 家族信託が有効な場合とメリット。

家族信託をうまく使えばクリアできるケースでは、高齢の親の収益不動産の管理などがあります。賃貸マンションを所有しているようなケースは、家族信託が有効だと思います。

年老いた親に変わり家族信託で管理すれば、受託者である家族が収益不動産の管理や売却を行えるようになります。

家族信託の場合、不動産などの財産の名義を受託者に変えます。贈与ではなく受託者のとしての管理権限を付与するのですが、物件の名義変更手続きが必要です。所有者の名義が変わりますから、売却などの処分も可能となり財産の管理がしやすくなるのが大きなメリットです。

家族信託では、現金は信託口口座に移されます。このため受託者の名義で財産を扱えるため、預貯金の引き出しや資産運用、処分などは委託者の生死に関わらず、一定の範囲内で自在に行えます。

ただし年金口座は一身専属権なので、自由にできないという問題は残ります。これは認知症などのリスクに対し、キャッシュカードを預かるなどの方法で対応するか、任意後見制度の併用などで別途考える必要があります。

収益不動産などがなく財産が住んでいる家と年金だけと言う場合、家族信託などの手法は手間と費用ばかり掛かるので、慎重に考えられた方がよいように思います。その点は、次項以降の家族信託のデメリットに譲ります。

■相続セミナーがヤバイ理由、乗せられると相続税対策失敗。

◆ 家族信託が必要ないケースとデメリット。

家族信託は、財産が少ない場合やすでに生前贈与をしている場合には必要ないと言えそうです。庶民では、収益不動産や投資案件を管理している親はそれほど多くないと思います。そのような場合は、あえて家族信託で管理する必要も少ないと思います。

もう一つの家族信託が適していないケースは、適任である受託者がいないような場合です。受託者は、親(委託者)の信認を得ていないと任せることができません。家族関係がよくないと、そもそも家族信託は使いにくい仕組みです。

家族信託を運用する受託者は、ある程度経理実務や申告の知識、定期的な契約の管理などができないといけません。士業に丸投げするにしても、基礎資料は受託者が揃えないといけません。

また、我が子と言うものは親からすれば信用していないわけではないが、任せるのは不安と言うこともあるかもしれません。意外と子に対する不安が家族信託の障害になるかもしれません。

また子に財産や十分な収入があり、親の財産が凍結されても困らない場合は、あえて手間のかかる家族信託は必要ありません。その場合、親は遺言書を書いておけばそれでことは治まるように思います。

・年金口座は一身専属、信託不可。

また親の財産が年金だけと言うような場合は、年金口座は信託できない一身専属権がありますから家族信託で信託口口座のように管理することはできません。

銀行によっては、自動送金などの仕組みがあります。年金口座から定期送金させることで口座の凍結を回避することはできる場合があります。

家族信託には、士業に依頼すると結構な費用が発生します。庶民の相続では、費用対効果が悪いと言うこともありますから、採算と言うことも考える必要があります。

・家族信託のデメリットを具体的に。

家族信託には、次のようなデメリットがあります。箇条書きに反論も書いています。

・意思能力を喪失した後は利用できない→意思能力があるうちにすればよい。

・損益通算ができない→それはルールなので仕方ない。

・節税対策にはならない→運用方法次第で相続税の節税は可能。

・信託できない財産がある→年金口座などは信託できないので別の対策。

・税務申告等の手間がかかる→収益を上げれば当然必要なこと。

・遺留分侵害額請求の対象となる場合がある→遺留分は事前に配慮し納得させる。

・受託者の暴走の危険性がある→自分の息子なら信用するかあきらめる他ない。

・専門家に相談する費用が発生→自分ですれば無駄な出費、年金と家だけなら不要。

士業の先生の言い分も書いておきます。一理あります。

・自分で手続きを行ったが無効と処理された→慎重にやれば大丈夫、でも心配。

・思っていなかった額の税金が発生した→利益が出れば税金はやむを得ない。

・公正証書を作成せず信託口口座の開設が不可→公正証書は信託契約の義務ではない。

・遺留分を考えず他の相続人との仲が悪くなった→事前に親族の打ち合わせを綿密に。

・受託者が適正に財産を管理・処分しなかった→どこにもあるリスク、信用するかしないか。

・家族信託では信託口口座の開設。

また信託口口座と受託者の個人財産と区別するため「ヤマダタロウ 受託者 ヤマダジロウ」のように受託者の名が入った専用の信託口口座を開設する必要があります。また受託者は、信託契約書を作成し、当然ですが管理を任される財産の目録を正確に記載することも求められます。

ただ受託者が利用している銀行が、信託口口座を受け付けてくれるかどうか、事前に確認しておくことも必要です。ダメな銀行もありますので。

比較的使い勝手が良い民事信託がなぜそれほど広がらないかと言うと、相続対策を売り込む士業などの側にはほとんどメリットがないからなのではないかと思います。

税理士さんにしても金融機関にしても、家族信託となるとビジネスとしての出番が少なくなるようです。家族信託のコンサルを売りにしている士業サイトはビジネスにしていますが。

■相続で親の本音は秘密主義、親の公平は子の不公平。

◆ 家族信託が必要ないという結論、と補足。

家族信託は、財産がそれほど多くない、あるいは収益不動産がなく親の年金口座と家屋敷だけと言うような場合必要ないと言えそうです。また家庭内の信頼関係がよろしくなく、財産管理などを委託する適切な受託者がいないようなケースも必要ないというか使えないと言うことになります。

また、士業の先生にコンサルをお願いすると費用が発生しますから、その点からも必要ないという方はいらっしゃるように思います。

遺産の分割に関しては、家族信託よりも遺言書の方が被相続人の遺志を反映しやすいですし、手間も費用も格段に安くなります。とくに遺言書の法務局保管制度ができてからは、手軽で確実な遺言書となっています。

決して家族信託が良くないと言うことではなく、メリットもたくさんありますからケースバイケースで選択し有効に利用されるとよろしいかと思います。家族信託は自由度が高いのでその反面、受託者のよる損失リスクということも考えておかなくてはなりません。

・家族信託の独自機能について。

また、家族信託独特の機能があります。あまり関係することはないかもしれませんが、以下に概略を書いておきます。

家族信託の特異な側面として倒産隔離機能があります。信託された財産は、委託者や受託者が破産や差し押さえとなった場合でも保護されることになっています。一見メリットのように見えますが、該当するようなことは少ないレアなケースだと思います。

また家族信託は、不思議な機能があります。受益者連続信託などとややこしい言い方ですが、二次相続以降、誰に財産を渡すのかを指定できるのです。でも考えてみれば、一次相続でもなかなか誰に渡すか決められないのが人間です。二次相続まで指定するようなことが実際あるでしょうか。受益者連続信託とは有益ですが、そこまで利用するケースはないのではないかと思います。

◆ 家族信託、まとめ。

自分の死後の憂いをなくすための手段として、成年後見制度や家族信託があります。家族信託も信頼できる受託者に任せることで、憂いを軽減することが目的です。

それぞれにメリットがありデメリットがあります。ここをよく理解して選択する必要があります。家族信託は必要ないという意見もありますが、収益不動産などがあれば有効な仕組みです。

ご自分の財産状況、子たちとの関係性なども判断に影響を与えると思います。親から家族信託を言い出すか、子たちから言い出すか、またそのタイミングも難しそうです。

家族信託を考える場合、認知症が進んでしまう前に契約しなくてはなりません。ところが認知症の方は正常な時間もあったり、外部の人とはまともな会話をしたりすることもあります。話した内容は理解したように見ますが、すっかり忘れています。

他人の前では正常になり、身内の前では認知症というような厄介な病気でもあります。認知症患者と付き合うのは、結構難しいのです。

補足として申し上げると、相続対策を売り込むことでお金を儲ける立場の人たちは、本質的なデメリットは言わないものです。広くセカンドオピニオンを利用し、立場の違う人の意見を聞くことが判断を誤らないポイントではないかと思います。

相続税が高いという誤解による過度な節税対策に落とし穴。

事業承継と生命保険の危機!

生命保険でも救えない中小企業が半数。

CIMG2266中小企業の事業承継には厳しい時代になりました。

いきなりではありますが、どこの会合に顔を出しても高齢の経営者が多いことに気が付きます。

別に驚きはしないのですが、団塊世代経営者の、老いて尚の頑張りに目を見張ります。

サラリーマンならとうに引退している年齢です。楽隠居はできないでしょうが一線は退いていて普通の年齢です。

かくいう私が団塊世代の後の世代ですが、体力的に無理をしないよう心掛けるようになりました。

毎朝ストレッチ体操から始めないと関節が痛むようになりましたから、団塊の世代は気力体力ともに限界に近づいている経営者が多いものと思います。

◆ 中小企業の廃業は深刻な社会問題。

なにしろ日本の中小企業は99%、そこに雇用されている従業員数は70%というから中小企業や個人事業者の存続は社会問題になるわけです。

データによれば、団塊世代の経営者の大量引退時代を前にして、なんと法人個人合わせて半分の経営者が廃業すると答えているそうです。

事業承継の壁、後継者の責任。

◆ 廃業理由の3割が後継者不在。

廃業に至る理由は様々ですが、後継者不在という深刻な問題が、廃業理由の3割に上ります。

悲しいのは会社の業績は悪くなく、子供がいるのに継ぐ意思がないというケースです。

継ぐ意思がある子がいても継がせられないというのも困りものですが、継ぐべき能力があっても、自分の能力を生かした道で生計を立てたいというケースも見かけます。

◆事業承継税制の行く末と効果。

事業承継税制は改正に改正を重ね、中小企業のオーナーの考え方に近いものになりつつありますが、これが事業承継の追い風になるかどうか、見極めが必要になってきました。

より安全な事業承継はできるだけ早い時期に後継者を指名して時間をかけて対策を講じることが必要です。

事業承継税制の詳細は平成30年度税制改正大綱を読みこむ必要がありますので、後日まとめることとしますが、中小企業のオーナー経営者にとれば経営の手の内を明かしたくないし、経営上の縛りや制約が多くなることは避けたいのです。

来年のこともわからないのに雇用維持など約束できるわけがないのです。そんな間の抜けた縛りでは、経営がピンチになっているとき人員削減もできないことになります。リストラすれば遡って課税されるとなれば、それこそ全く弱り目に祟り目という他ありません。

◆ 生命保険はそれなりに進化、でも時間はかかります。

生命保険で資金的な対策をするにしても自社株を相続あるいは贈与するにしても時間がかかります。できれば10年欲しいところです。

ところがその生命保険も予定利率最低時代で、かつての時代のようなスキームが使えなくなってきました。

とはいえ、生命保険会社も生き残りをかけて合従連衡を繰り返し、使い勝手はいまいちですが、ギリギリの商品開発を進めてきました。

保険会社が新しい全損タイプの法人保険を設計するなら中小企業オーナーが求めているツボを押さえなくては的外れと言わざるを得ません。選択肢は徐々に増えてきましたが、まだここが弱いと感じています。

団塊世代の経営者の引退とそれに伴う事業承継・相続設計に生命保険が有効であることは変わりません。

生命保険と認知症は相性が最悪である理由。

還暦を過ぎると足腰の衰えを実感するようになります。体を鍛え直すつもりでも意志と体力が伴わないのです。それは人の定めですからジタバタもがいても仕方がないことです。その事実を自分が受け入れることにかかる時間だけの問題になります。

時間がたてば不思議なことに、そういう微妙な肉体的不便性も慣れることで適応できるようになります。

ところが、体力の衰えは自分自身で自覚できるのですが、知的能力の衰えや記憶力が伴わなくなることは自分ではわかりにくいものです。

単なる老化現象の場合と、病気としての認知症があります。昔は痴呆やボケなどと配慮のない言葉を普通に使っていましたが、最近は認知症と呼ばれるようになっています。

生命保険では体力の衰えは何の影響も与えません。しかし認知症のような認識能力に障害が発生するケースでは、契約者として適切な判断ができなくなる恐れが出てきます。

認知症になると生命保険はどうなるか、自覚はなくても差し迫った問題である可能性も否定できません。

認知症についてわかりやすいサイトです。⇒ ◇ 認知症ねっと

◆ 認知症になるとできないこと、保険と相性が悪いわけ。

認知症になると、生命保険では誠に具合の悪いことになります。どういう問題が起こるかを4項目にまとめました。それをカバーする仕組みもあります。

1)認知症になると生命保険が解約できない。

契約者たる地位に基づき的確な判断ができない状況では、成年後見人がいないと解約や名義変更、受取人変更もできないということが起こります。

最悪の場合は自分の生命保険契約の存在を忘れます。症状によっては疑心暗鬼に陥り相続の正しい判断ができなくなります。

家庭裁判所で選任された成年後見人がいなければ、契約者以外に受取人を変更することも解約することもできません。

そうならない前に、ご自分が契約している保険の受取人や指定代理人を確認し、問題がないことを押さえておかなくてはあとで困ります。

2)認知症になっても生命保険は下りない。

認知症は病気ですが、被保険者が死亡しているわけではありません。また保険金が請求できる高度障害にも該当しません。よって生命保険金は被保険者の方が生きている限りおりないことになります。

入院した場合、入院給付金特約があれば一部わずかな給付金はでると思いますが、認知症保険でもない限りあてにできない保険金です。

3)指定代理人が先に亡くなったり、認知症になったりすると生命保険の手続きができなくなる。

生命保険ではあまり知られていないですが、リビングニーズ特約とか指定代理人特則の付加のように、お金がかからずに使える便利な仕組みがあります。

不幸にして高度障害になったり、認知症になったりした場合、代わりに生命保険の手続きをしてくれるのが指定代理人です。主に配偶者や子などの最も近い家族を指定します。

■リビング・ニーズ特約とは、わかりそうでわからない不思議な無料特約。

ところが因果なもので、指定代理人が先に死亡したり認知症になったりすることも珍しくないのです。生命保険の契約者自身が認知症になる前に、配偶者などの指定代理人が認知症になると、代わりに手続きできる人がいなくなります。

生命保険では受取人の指定や変更はとても大事です。しかしそれ以外に指定代理人の、健康状態にも注意が必要になります。

■生命保険の指定代理人請求の落とし穴。

4)認知症になると生命保険に入れなくなる。

認知症保険も同様ですが、健康でないと普通の生命保険に加入できなくなります。認知症リスクを感じた時はすでに遅く、生命保険には入れないものとお考え下さい。

ただ相続税対策などで、無告知型のドル建て一時払い終身保険などに加入しようとするときは微妙です。症状の進行程度で、本人に契約の意思を確認できるかどうかになります。約款を理解することはできないでしょうが、サインできれば加入できる可能性はあります。

◆ 認知症の診断は恐怖。

認知症と生命保険で、間違うと恐いのは経営者の場合です。中小企業のオーナー経営者には定年などありません。後継者さえ決まれば会社に顔を出しながら、悠々自適に相続設計や遺言書の作成をすればよくなります。

ところが経営者に限らず、自分の身じまいは乗り気にならないもので、先送りしがちになります。

先送りすれば認知症により判断力が低下したり、記憶があいまいになったりすることがありますから、気がつかないうちにリスクを抱えることになります。

怖いのは自覚症状がないままに症状が進行し、何かおかしいと感じつつ遺言書などが手遅れになる場合です。しかしながら、ご本人にとれば認知症と診断されるのは怖いことです。

早期に発見すれば、治療により進行を遅らせることもできるようです。嫌な言い方がネットでは流行っていますが、早期発見が早期絶望につながるケースもあるようです。

やはり告知されるのは怖いですから、自覚症状があっても医者には行きたくないのが本音です。誰しも自分の弱点を、人に知られるのを嫌がります。

その分対応が遅れがちになるようです。周囲が気を付けていく他ないですが。

■高齢者の生命保険、見直しのタイミングと重要な注意点。

◆ 生命保険と認知症の相性、まとめ。

生命保険契約では認知症は大敵です。誠に相性が悪いので、ある程度の高齢の方は生命保険管理に十分な注意が必要です。

誰にも認知症リスクはあり得ます。認知症になる前に契約者名義や受取人、指定代理人を変更して対策を講じておくことが重要になります。

また契約者が認知症になるとお金の管理ができなくなり、保険料の支払いが滞る恐れがあります。一方、受取人が認知症になっても保険金の受け取り手続きができなくなることが起こります。

家族が生命保険の存在を知らず、保険料の支払が滞れば、生命保険契約は失効することもあります。

契約者本人が判断能力のあるうちに、別居していても生命保険情報は家族で共有していくことが重要です。

■引退の引き際を誤る経営者を体系的に解説したページ
社長の引退は制度では決まらない|引き際を誤る経営者の共通点。

おひとりさま時代の生命保険の考え方のツボを明快に。

フツーに利用できない生命保険契約照会制度。

老後に難民とならないための耳の痛い処方箋。

外貨建て生命保険の為替リスクは半端ない。

考えられる範囲で為替リスクを最悪のケースとして検証しました。為替リスクだけではないですが、最悪のケースは十分起こる可能性がります。背筋も凍る為替リスクを確認して下さい。

1.外貨建て生命保険の為替リスクとは(前提)

外貨建て生命保険では、

保険料:円 → 外貨に換算して運用
解約返戻金・満期金・保険金:外貨ベース
円で受け取るとき:その時点の為替レートで円換算

・円高になると、円ベースの受取額が減る
・円安になると、円ベースの受取額が増える

つまり運用成績が良くても、為替だけで損が出る 可能性があります。

2.過去に実際に起きた「最悪に近い事例」

・事例①:円高局面での大幅元本割れ(2008~2012年)

背景:2007年頃:1ドル=120円前後
2011年頃:1ドル=75円前後(超円高)

何が起きたか、120円でドル建て保険に加入、運用自体は想定どおり進行、しかし解約時は75円

結果:為替だけで 約▲37%

解約控除も重なり、円ベースで元本の6割前後しか戻らないケース が実際に発生。

・「利回りはプラスなのに、大損した」という典型例です。
・事例②:途中解約+円高のダブルパンチ

外貨建て生命保険は、初期費用が高い、短期解約は返戻率が低い
そこに 円高 が重なると:

要因  マイナス要素
初期費用  ▲10~20%
解約控除  ▲10~30%
円高    ▲20~40%

・最悪の場合、払込総額の半分以下 になる事例もありました。

3. 将来起こり得る「最悪ケース」を想定すると
・想定シナリオ(十分あり得る)

加入時:1ドル=150円(円安局面)
20年後:日本の金利上昇
財政再建期待、世界的リスク回避

・1ドル=80円、これは過去に何度も起きています。

・数字で見る最悪ケース

前提:払込保険料:1,000万円(円)
加入時為替:150円→ 約66,667ドル
外貨ベースでは順調に増え、→ 満期時 80,000ドル
円換算(80円)80,000ドル × 80円 = 640万円

・円ベースでは▲360万円(▲36%)
・「増えているのに、円に戻すと減っている」状態です。

4.本当に最悪のケースは「保険としても投資としても失敗」

外貨建て生命保険の最悪ケースは次の組み合わせです。

・最悪の三重苦
円安時に加入
円高時に解約・満期
解約控除・手数料が重い

・結果:

資産形成として失敗
保険としても途中解約
流動性が低く身動きが取れない

5.では、破綻レベルの最悪は?
・為替だけでなく制度・商品構造リスクも考えると

為替が不利に動く、長期の低金利で予定利率が低下、インフレで実質価値が目減り、円転のタイミングを選べない。

・「20~30年資金を拘束され、実質価値が大きく毀損」これが長期視点での最悪ケースです。

6. まとめ(ひと目で)
外貨建て生命保険の最悪ケースとは、円安時に加入し、円高時に解約・満期を迎え、為替+解約控除で元本を大きく割り込むこと

ポイント:過去に何度も起きている(理論ではない)、運用が順調でも損は起きる
「長期だから安全」は誤解、保険と投資のリスクが重なる商品

こういう場合世間では「半端ない。」というそうです。正確に言えば半端ではないという意味です。半端ではないということはかなり大きなリスクがあると言い換えることが出来ます。

うまそうな話に乗るとリスクが待ち受けています。税務署の調査ではなく、怖いのは為替リスクです。外貨建て生命保険の最大のリスクは為替です。

この辺の怖さを身に染みている方もいらっしゃいいます。ドル建て生命保険のリスクを真に理解している方は少ないのではないかと思料致します。

◆ドル建て生命保険は有利な金融商品。

気をはいているのが、外貨建ての生命保険です。外貨建てでは多くが米ドルになっています。運用するのが予定利率3%台の国ですから、解約返戻率もよくなります。

予定利率最低時代の選択肢としてはドル建ての生命保険は意味があると思います。

・外貨建て生命保険の為替リスク

予定利率がよいのは確かに大きなメリットですが、ドル建てゆえのデメリットとして為替リスクがあります。保険金も解約返戻金もドルで受け取るわけですから、為替が円安に振れれば予定以上にメリットがでます。

しかし為替には円高という局面もあり得るのです。急に資金が入用になったとき円高に振れていると解約返戻金を円転したときに、思いがけない損失になることがあります。

実質返戻率を理解できる人はいない|法人保険の真価について。

◆ 外貨建て生命保険のメリット・デメリットまとめ。

 外貨建ての生命保険にはメリットも大きいですが、デメリリットもあります。

為替の変動は人知を超えたところで起こります。

想定外の円高が資産を毀損する場合があるのです。

かつてのオプション取引のような巨額の損失にはなりませんが、為替リスクを甘く見ないことが必要です。

円建ての保険であれば、契約時の保険金や解約返戻金は生命保険会社が倒産でもしない限り保証されています。

法人でも個人でも、目一杯の資金で外貨建ての生命保険にかけないことです。

資金余裕があるときに外貨建ての保険を考えるということが必要ではないかと思います。余裕がない時は保障を円建てでしっかり確保しておくことが優先になります。

資産運用型保険の事例を集めました。

驚きの生命保険で得する資産運用を紹介。

相続申告期限に間に合わないととんでもない税額が!

相続申告期限に間に合わないととんでもない税額がかかります。

CIMG3031相続税は相続発生から10ヶ月以内に遺産分割協議をまとめて申告書を税務署に提出しなければなりません。

もし遺産分割の話がもめて、まとまらなければ相続税の申告ができず、様々な優遇措置が使えなくなりとんでもない税額がかかることがあります。

しかし申告期限から3年以内に遺産相続協議をまとめて、あらためて申告をしなおすと納めた税金が還付されます。

この場合、一度は法定相続分を相続したとして全額を納税しなければなりません。還付されるまで多額の納税キャッシュが必要になります。

資金的に余裕があれば納税することは可能ですが、資金が少ないと物納もできず追いつめられます。

遺産分割協議をまとめて申告までたどり着くには10か月は短いと思います。

相続に非協力的な相続人の本音と3つの落とし方。

◆予想される不利益をあげると。

1)配偶者の税額軽減が適用できない。

配偶者の税額軽減は法定相続分(半分)か1億6千万と巨額になります。税額軽減が適用できないと一時的とはいえ重い相続税負担になります。

2)小規模宅地等の減額特例が適用できない。

遺産の大半が自宅不動産の様な場合、同居や家なき子等の適用要件が厳しいですが、条件が整えば小規模宅等の評価減はとても大きな金額になります。

3)相続税の取得費換算の特例が適用できない。

遺産分割協議が不調だということは未分割なわけですから、相続財産を売却することはできないと思います。申告期限から3年以内である相続財産の売却はその不動産に対応して納めた相続税を譲渡益から差し引く優遇措置が時間切れになるリスクがあります。

4)物納が原則としてできなくなる。

相続物件が不動産等に偏っていると納税資金に困ります。物納の要件はとても厳しいですが、物納ができなくなるとさらに困難になります。

注意)

・配偶者の税額軽減や小規模宅地等の減額特例などで相続税がかからない場合でも申告は必要です。申告により税額軽減が認められます。
・期限内に申告しても相続税の納税をしなければ延滞税がかかります。
・無申告の場合ペナルティーとして無申告加算税がかかります。(税務調査までに申告すれば5%、税務調査後は15%)

◇生命保険の名義変更で無申告加算税が!

譲る相続、その理由。

◆遺産分割協議と不調と生命保険の行方。

遺産分割協議が仮に不調でも、生命保険金は受取人固有の財産となります。みなし相続財産として相続税が課税されますが、原則として遺産分割協議の対象となりません。

納税資金が足りないときは即キャッシュとして心強い味方になります。また相続協議がまとまらないときに代償分割としても生命保険金は威力を発揮します。

相続に活用できる生命保険の仕組み、契約者と被保険者そして受取人指定を正しく活用することが重要です。

相続か争族か争続か、一度もめると終生の争いになる怖さ。

◆遺産分割協議がまとまらないと争族です。

相続の審判や調停で家庭裁判所に持ち込まれる件数だけでも年間15,000件前後、周りを見回すと、実際の相続をめぐる争いはこの一桁上の数であろうと思います。

仲がよい親族や家族でも相続となると人が変わります。こればかりは身をもって感じるところです。何かのタガが外れるとそこからは別人のように思いやりが欠落します。

◇相続財産|知られたくない親心。

それもそのはず相続で手にする資産は非日常の棚ぼた世界、濡れ手に粟の不労所得ですから目の色が変わり亡者になることもいとわなくなります。

この争いは遺産の多寡や相続税がかかるかどうかに関係がありません。

生命保険を活用した納税資金対策を行うことで、納税資金を活用し、家族の争族を未然に防ぐことも可能です。「保険は相談するな!」ではブログの至る所に保険活用の知恵が盛り込まれています。

生命保険が相続に強い5つの理由。