タワマン節税に国税の網、伝家の宝刀が勝訴。

タワマン節税に国税の網、伝家の宝刀が勝訴。

タワーマンションなどの収益物件に投資して、相続課税を免れる手法が問題視され、最高裁で国税が勝訴という結果になりました。

税制に従って適法に節税し申告したとしても、それを「看過しがたい不均衡を生じさせ租税負担の公平に反する。」として追徴課税されたのでは、納得できない理不尽を感じるところです。

これまで同様の手法で多数のタワマン節税が横行していますから、相続税の調査を待つ身は戦々恐々だと思います。

■元国税調査官から聞いた相続税の税務調査の押さえどころ。

■相続税調査は8割NG、元国税OB税理士にツボを確認。

◆ 国税の伝家の宝刀とは?勝訴の影響は大きい。

伝家の宝刀という意味は、代々家宝として伝わっている名刀はいざというときにしか使わないので、このような大仰な言い方をします。わかりやすく言えば、切り札であり奥の手のことです。

国税の奥の手とは、財産評価基本通達総則6項にある例外規定の適用です。「著しく不適当と認められる財産の価額は国税長官の指示を受けて評価する。」という規定を拡大解釈して節税策を否認するときに大鉈(おおなた)をふるいます。

ただ読んで字のごとく規定自体に何も具体的には書かれていません。国税長官が職権で著しく不適当と認定すれば、節税策は否認され、追徴課税や加算税、延滞税が課されることになります。

ただ納税側からすれば、税法に則り適正に申告しているものを否認されるのですから裁判で争う気にもなろうというものです。しかし最高裁の判断は、国税側の言い分を認めたわけです。今後に影響が大きい判例ができてしまいました。

◆ 判断基準があいまいな伝家の宝刀の切れ味。

不動産投資で相続税の節税は常道です。なかでもタワマン節税は、タワーマンションブームで富裕層の節税策として定着しています。

そのためここで国税の勝訴は、影響が大きいと言えるのではないかと思います。

今回の判例で見ても、どこまでが否認されない範囲なのか節税策の許容範囲が見て取れません。実質的には判断基準は、ないに等しい状況ではないかと思います。

国税の伝家の宝刀で網はかけられましたが、網目の粗さが見えないのです。またもや玉虫色ということかと思います。

節税で相続税を軽くしようと目論んだ被相続人の計略は、伝家の宝刀で見事にはずれました。しかし真の狙いはタワマン駆け引きのできない相続人をビビらせて、相続税を巻き上げる算段のようです。

何事も程度問題ということがあり、やりすぎると伝家の宝刀を抜かれるというわけです。ご心配な相続人は、事前に税務署に相談されることが確実ではないかと思います。

何しろ税務署側にすれば、被相続人とその家族のお金の動きは完全に手の内ですからタワマン節税など先刻お見通しです。カモがネギと鍋をしょっているのが丸見えになったわけです。

タワマン節税は、相続税の税務調査対象に選定されることは疑いありません。伝家の宝刀は、切れ味が鋭いわけではないのですが、ひとたび抜かれると大根切りされてしまう怖さがあります。

■不動産に強い税理士が相続税の節税に強い理由。

◆ タワマン節税、損得勘定。

タワマン節税というのは、単純な仕組みではありますが、うまく使えば節税効果は大きくなる可能性があります。

マンションの相続税評価は、敷地の持ち分の相続税路線価と建物部分は固定資産税評価の合算で評価されます。評価基準として実勢価格は関係がありません。それゆえ大都市駅前のタワマンなどでは、取引価格の1/10ぐらいの固定資産税評価になることもあるくらいです。

駅前のタワマンなどは人気の物件ですから、建築前の募集ですぐに売れてしまいます。それも高い物件ほど売れ行きが良いとは、タワマンを多数手がける不動産会社の営業部長から聞いたことがあります。

タワマンの固定資産税評価を決めるとき、物件の建物の材料や施工方法による加点方式で評価額を決めています。決めるのは行政側です。それを利用して相続税評価を容認してきたのは、課税庁です。それを手のひら返す伝家の宝刀ですから、よく切れます。

・タワマンブームこそリスク。

しかし、今回のように評価額を否認されるリスクだけではなく、タワマンは一時のブームという可能性があります。今でこそ人気ですが維持費用も高くなるためブームが過ぎると値下がり幅が大きくなるかもしれません。

実勢価格が下がり節税額を上回る資産価値の低下にでもなれば、評価減効果は高くてもそのまま損失になってしまう可能性もないとは言えません。

今回の判例は、タワマン人気に水を差すことは間違いがないと思います。借入金がある場合は、高く売れる間に処分して清算しておく手も考えるべきかもしれないところです。

■相続税の起源は戦費調達、高すぎる日本の相続税。

◆ 節税したつもり、自分で払うわけではない相続税。

タワマン節税は、相続税を節税することが目的です。相続税は、一所懸命知恵を絞って、借金までして節税を考えた被相続人が、自分で払うことはできません。

あの世に旅立ってからでは、その結果、相続税が実際に節税できたかどうかを知ることもできません。相続税は、ノホホンと親任せにしてきた相続人が払うものです。

資産を保有する富裕層では、相続税の節税に躍起になります。金銭価値が意味をなさないあの世では、節税そのものが見えないですし意味がありません。この世に思いを残している被相続人にすれば、お金に対する執着とは縁が切れないものと見えます。

自分で払うことはできない相続税、節税できたかどうかはあの世でわからない悲しさです。相続人にすれば維持コストの負担が重いタワマン、また資産価値が下落する可能性が高いタワマンと借金を残されても困りものです。過大な節税策は、相続人の負担になるというリスクも考えておく必要がありそうです。

■終活では保険を見直すだけでなく、財産整理が何より重要なわけ。

◆ 不動産投資してからでは遅い理由。

相続税の節税目的でタワマンに投資したり、不動産を購入したりする場合、現行の税制が今後も続くことを前提としています。

法人保険のときの規制通達のように、既契約には遡及しないとは限りません。相続が発生したときに、税制がどう変わっているかということが問題となります。

せっかく節税対策を行い、節税の皮算用をしていてもルールが変わればあっさりとあてが外れます。

そうかといって、相続発生時期を前倒しするというわけにもいきません。そのときは、残念ながら神のみぞ知るわけですから、こればかりは自由が利きません。長生きするほど節税対策の効果が薄れ、相続税がかさむとは因果な時代になりました。

◆ タワマン節税に国税の網、まとめ。

タワマン節税を引き継いだ、多くの相続人は今や相続税の税務調査を前に慌てて対策を考えておられるところかと思います。

修正申告をするかどうか、更正処分となったら国税不服審判で争うかどうか、いずれにしてもかなり分が悪いことになりました。

■元国税調査官から聞いた相続税の税務調査の押さえどころ。

相続税の節税対策として、強引な建設会社に引きずられ銀行から借金をして賃貸マンションやアパート経営をされた例は山ほどあります。

確かに現金でもっているより不動産に置き換えた方が節税効果は高くなります。しかしやり過ぎると今回の判例を背景に、修正申告を求めてくる可能性もないとは言えなくなりそうです。

このところの国税庁のスタンスは、節税保険に対する締め付けの厳しさを見てもわかるように税収確保に執着しています。かなり強引に踏み込んでくる印象です。注意しようにも打つ手があるわけではありません。残念ながら首を洗って待つよりありませんが、節税対策もこうなると誠に因果なことです。

庶民にはそもそもタワマンなどには手が出ない話であり、相続税を払うほども財産がなければ余計な気苦労もないわけです。貧乏人のヒガミかもしれませんが、憂いがなければ、それだけで一杯のビールの味も違うというものです。

自社株贈与が特別受益になると時価で持ち戻しの恐怖。

法人保険の損金ルール、改正前の既得権見直しチャンス。

法人保険の損金算入ルールは、時期により大きく変わってきました。そして最後には、バレンタインショックで最高解約返戻率による損金算入ルールが規定され、ほぼメリットがある損金率はなくなりました。

しかし、過去の多くの通達では既契約への遡及が見送られています。損金算入ルールにおいては、改正前と改正後の二重のルールになっています。

基本的には、保険の契約時期で判断することになります。

改正前のルールを適用する場合と、改正後のルールを適用する場合があり、法人保険の損金算入ルールの変遷を正しく理解できていないと、適切な経理処理ができなくなります。

■法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

■法人保険の解約時期を誤る大損リスクと解約管理のポイント。

◆ 既契約の節税保険は、改正前の損金ルールと解約時期に注意。

生命保険契約というものは、定期的に見直さなくてはなりません。しかし、事業保障を目的とした保険であれば、それほど頻繁に見直す必要はありません。事業規模の拡大に合わせて、保障額を追加すればよいのです。

ところが、節税目的で契約している法人保険は、細心の注意で解約時期を見直さなくてはなりません。

国税庁の通達により、節税保険はほぼ封じられました。しかしそれまでに契約している既契約の節税保険が、山のようにあるはずです。

既契約は、改正前の損金ルールで処理することが認められています。国税庁の通達でも既契約に遡及するということは、混乱が大きくなるのであまり踏み込みませんでした。

■節税保険、バレンタインショックまとめ。

その結果、契約者は安堵するのですが、同時に節税保険のメンテナンスもおざなりになりがちです。せっかくの繰り延べた利益を、みすみす無駄にしてしまう例が後を絶ちません。

また社員を被保険者とした節税保険などは、名目が福利厚生です。きちんと説明できるメンテナンスができていないと、税務調査で問題視される可能性も否定できません。

◆ 法人保険のメンテナンスとは、解約すべき保険の整理。

法人保険のメンテナンスとは、適切な事業保障が確保できているか、解約時期になっている節税保険はないかを確認します。

また福利厚生の名目で社員にかけている保険は退職者の解約ができているか、などを定期的に確認することです。

法人保険に限らず生命保険は一度契約してしまうと、保険料は毎年口座振替で自動的に処理されます。経理担当者もさしたる注意を払わずに、前年度通りの事なかれ主義の経理処理をして済ませているケースがあります。

とくに経理担当者が変わったり、保険営業の窓口担当者が変わったりすると引継ぎが不十分となります。

その結果、解約逸機が起こりやすくなります。組織内で保険契約ごとの損金ルールの変遷などが、正しく引き継がれるとはとても思えません。

また証券会社や銀行系の保険代理店を通じて契約していると、そもそも顧客サービスとしての解約時期の案内は期待できません。保険の見直し提案があっても、過去の既契約の流れを考えない底の浅い提案になりがちです。

■保険の払済は保険会社によりバラバラ、問合せた驚きの結果。

◆ 節税保険の解約逸機は損失重大。

法人保険のメンテナンスがとくに重要だと申し上げる理由は、解約逸機ともなれば半端ではない利益損失が発生するからです。解約返戻金の損失額は数字でしか見えませんが、それは札束が消えているのと同じことなのです。

また企業の売上伸長に伴う事業保障の上乗せが、適切にできていないと大変なことになる可能性があります。節税保険を解約したら事業保障が大幅に少なくなっていたというような、本末転倒の事態も起こり得るのです。

また退職者の解約や新入社員への付保が適切にできていないと、税務調査で福利厚生とはみなされないリスクもあります。会社は生き物であり日々刻々と経営状況は変化していきます。その変化に保険も対応させる必要があります。

法人契約の保険はその目的を理解して、解約や追加契約を定期的に行うメンテナンスが必要なのです。そのためには、改正前のルールを含めて正しい知識をもたないと間違いの原因となります、

◆ ピーク越え大量のがん保険、全損保険が野放し状態。

法人保険の既契約なかには、節税目的でかけてきた全額損金のがん保険が残っていると思います。契約者は法人、被保険者は役員・従業員で給付金・保険金の受取りは法人という仕組みです。

このがん保険は改正前のルールが適用されますから、相変わらずおいしい保険料の全額を既得権として費用で処理できます。

多くの企業では付保規定を作成して、福利厚生として全額損金処理してきたがん保険が、残骸のように大量にあると思います。

平成24年の国税の通達により、それまで全額損金で処理できたものが1/2損金に変わりました。しかし元々が節税目的で加入していますから、利益の繰り延べ効果が薄れた時点から、新たな加入はしていないもの思われます。

社員全員に付保することで福利厚生としてきたものが、その意味がなくなりました。しかし、既契約は全額損金できます。がん保険を部分的に継続しているという、不思議な契約形態になっているものと思います。

管理者がしっかりしていれば、退職者の解約は定期的に行っているかもしれません。しかし1/2損金で新規契約はしていないはずですから、全員付保という福利厚生目的は崩れてしまっています。

まさに野良化した全損がん保険と言えると思います。

■がん保険、法人の全損既契約は保険金請求が大問題になる深い理由。

◆ 解約返戻率が悪化するがん保険に注意。

保険会社によりますが、がん保険は被保険者の年齢が60歳を過ぎたころから、解約返戻率が徐々に悪くなります。なかには単純返戻率が60%以下というような契約もまぎれているかと思います。

保険料はまとめて口座振替されていますから、個々の契約の解約返戻率まで確認している経理担当者はさすがにいないでしょう。法人契約のがん保険はいたるところにほころびがあり、損失が出てきている状況です。

いまどきでは価値が高い全額損金の既契約ということで、残していると思います。しかしここでしっかり見直し、出口対策に合わせて一気に整理しないと、傷口が拡大するばかりとなります。この件は誰もアドバイスしてくれないと思います。

◆ 法人保険の損金ルール、改正前の既得権、まとめ。

会社で契約する法人保険は、目的が事業保障だけではないので、管理するときは細心の注意が必要になります。

利益が毎期出ている企業では、改正前のルールで保険料を損金で処理できる保険に大量に加入されていると思います。

国税庁は、保険業界の新商品に規制をかけるイタチごっこを繰り返してきました。そしてそれに終止符を打つべく、最終通達ともいうべき法人税基本通達9-5-3の2を令和元年に発遣し、節税目的である保険商品すべてに網をかけ規制を導入しました。

その結果、それまででも結構ややこしくなっている損金算入ルールが、一層複雑になりました。説明を聞いただけでは、簡単に全体像を理解できないと思いますが、できるだけわかりやすくかみ砕いたつもりではあります。

既得権と改正後のルールをきちんと分けて、間違いなく経理処理しなくてはなりません。それにからんで、保険積立金の取り崩しや解約返戻金の処理もあります。複雑にはなりましたが、経理処理の正解は一つです。

節税保険、バレンタインショックまとめ。

保険の失効を失敗させる自動振替貸付の恐怖と具体的対応策。

遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

自筆証書遺言書の法務局保管が始まりました。従来の遺言書のルール以外に、法務局保管用の独自ルールが出てきました。遺言書の本文は、自筆で書かなくてはなりません。しかし相続財産の目録はパソコンで作成してもよくなりました。

自分で書いた遺言書を法務局に保管できれば、一件落着となります。ただ自筆の遺言書は、丁寧に長々と書くほど間違いが出る可能性が高くなります。

できるだけ間違いのリスクを少なくするためには、可能な限りシンプルな遺言書にすることです。法務局で保管するときのルールも含め、自筆証書遺言書の書き方をできる限り簡単にまとめました。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 遺言書はシンプルに、余計なことは書かずに民法の要件を満たすこと。

自筆証書遺言書はできる限りシンプルにしておけば、失敗が少ないと言えそうです。ついつい士業の専門家が作った見本を参考にして、立派な遺言書にしようとあれこれ書きたくなります。

しかし最小限の情報に限定し、相続人や財産が特定できればよいと言えます。できるだけ余計なことは入れないことが、間違いをなくすことにつながります。

遺言書の最低限の項目は、誰に、何をどれだけ相続させるかを特定できるように書くことです。日付は西暦でも和暦でもかまいません。日にちが特定できる日付、あとは遺言者の署名と捺印があればそれで立派な遺言書です。特定できればよいので、相続人の続柄や生年月日は必須ではありません。印鑑も実印でなくても、シャチハタでなければ有効です。

遺産の明細は別紙のエクセル作成の相続財産目録に書いておけば、財産構成や内容が変わっても簡単です。手書きが必須とされる遺言書の本文は、修正しなくてもよいので、ミスも少なくなります。財産目録はササっとエクセルで作成して、プリントアウトし署名・捺印すればあとは法務局保管です。

財産の内容が変われば、エクセルを修正して法務局に出し直すだけです。どうしても心配な場合は、遺言執行者を指定することもできます。

遺言書の手書き見本です。相続登記するときに相続人の本人確認が必要ですので、間違いなく特定するために生年月日を入れておく方がよいと思います。

字の上手下手は関係ありません。間違いなく読めれば大丈夫です。

■法務局の遺言書の見本はこちら。

民法で定められた自筆証書遺言の要件と注意事項:

・遺言書本文は、ご自分が手書きで書くこと。
(財産目録はエクセルのプリントアウトに署名捺印)

・ご自分の戸籍に書かれている名前を正確に書く。

・日付は西暦でも和暦でもOK、令和4年3月10日のように日にちまで特定する。

・印鑑を押す。シャチハタはダメですが認印でもOK。

・財産目録は、特定できるよう地番や口座番号などを正確に書く。

・相続人には「相続させる」、相続人以外には「遺贈する」と書く。

・訂正する場合は箇所を示し、訂正又は追加した旨を付記し署名、押印する。
(これは書き直したほうが良いかもしれません)

封筒は遺言書の要件ではないので、なくても有効です。封筒に入れて封がしてあると、家庭裁判所で検認を受ける前に開封してはいけません。検認前に開封すると5万円以下の過料(罰金)となる可能性があります。

最初から封筒がない場合は仕方ありませんが、検認しないで開封すると罰金と覚えておきましょう。

書き損じた遺言書は、ゴミ箱にそのまま捨てないでシュレッダーして復元できないようにしてください。

■遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

◆ 財産目録のエクセル見本とは。

財産目録とは、遺言者である被相続人の財産を特定できるようにエクセルなどで一覧にしたものです。これがあれば、遺産分割協議をする場合でも、相続税の申告をする場合でも、残された相続人の事務処理はとても便利になります。

相続財産というのは、財産を所有する被相続人しかわからないことがあります。それゆえ財産目録を整理することは、被相続人としての責務と言えるかもしれません。

ネット上には、財産目録のエクセル見本がありますが、どうもしっくりこないので、網羅的に作成した見本です。このレベルまで相続財産を特定する必要があります。

エクセルフォームのダウンロードも考えましたが、ネットからエクセルをダウンロードすることは抵抗があろうかと思います。見本を参考に、ご自身でエクセルを作成してください。できるだけ財産を幅広くとらえていますので、適宜調整してください。

生命保険に関しては、相続時に保険金に変わる契約と、保険契約を相続するものを区別してください。損害保険で積立型のものや長期契約で解約返戻金がある契約ももれずに記載してください。

相続人ごとにシートを区分し、財産目録①~③のように指定してください。

片面印刷が条件です。それぞれのシートに遺言者が署名捺印してください。

最近ではインターネットバンキングなどということもあります。もれなくリスト化することは、簡単ではありません。時間をかけて考えると後から後から出てくることがあります。

遺言書用の財産目録であれば、特定できればよいので概算評価額はとくに必要ではありません。しかし相続税の申告などに使うことを考えれば、評価時点を明示した概算評価額があった方が便利かもしれません。

 ◆ 法務局の自筆証書遺言保管制度の細かいルールとは。

相続手続きで必要になる遺言書は、法律文書として形式要件が厳格です。とくに注意すべき点は、民法で定められた自筆証書遺言の要件に従うことです。しかし法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用する場合には、細かい要件が別にあります。

自筆証書遺言書保管制度を利用しないで、金庫に保管しておくなら民法で定められた要件だけでよいのです。でも法務局保管制度を利用する場合は、用紙のサイズ指定や余白指定など事細かに従う必要が出てきます。

別に難しい指定ではありませんので、法務局のサイトをじっくり読めば間違うことはありません。法務局に預ける場合は、指定通りにできていないと保管してくれません。面倒でもやり直しをしなくてはならないので、間違いがないよう作成してください。

自筆証書遺言書保管制度を利用する場合の要件(民法の要件に追加):

・用紙サイズ:A4サイズ(297×210mm)。

・余白は上部5mm、下部10mm、左20mm、右5mmを確保
(財産目録も同様)。

・必ず片面に記載(財産目録も両面は不可)。

・各ページに1/2、2/2のように総ページ数がわかるようページ番号を記載。

・ホッチキス止めや封筒は不要(バラでスキャナー読取りのため)。

・ボールペンや万年筆などの消えにくい筆記具を使用。

・遺言者の氏名は、ペンネーム等ではなく戸籍どおりの氏名を自署。

まったく法務局らしい細かさです。融通はききませんから事前にしっかり確認してください。

■法務省、自筆証書遺言書保管制度(03遺言書の様式等についての注意事項)

■遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

◆ 遺言書はシンプルに、まとめ。

遺言書を書き残す場合の注意事項としては遺留分に配慮するとか、遺言書の開封に際しては家庭裁判所で検認が必要だとか法的なことがあります。しかし円満な一般家庭では、そこまで気にしなくてもよいかもしれません。

相続人が実印を押してくれるなら、遺言書は棚上げにして、遺産分割協議書で相続登記を終えることもできます。

・遺留分配慮を忘れずに。

相続人間でもめそうなケースや、お金に困窮している相続人がいるような場合には、遺留分に配慮が必要です。その調整を目的として遺言書を書くという場合は、財産目録を整理して専門家にご相談いただきたいと思います。

遺留分や特別受益、代償分割のための生命保険契約などについて検討しておく必要があると思います。

相続財産の目録は、何と言ってもエクセル管理がベストです。パソコン作成OKとなりましたので、ご自分でできなければ他の人に頼むこともできます。

財産を握って秘密主義は困りものですが、エクセルが使えればとても便利です。全体を書き直す手間がかからず、追加修正、分割整理などは自由自在なところがあります。

でも遺言書の本文はすべて手書きが条件です。手書きは書き損じのリスクがありますから、できるだけシンプルに最低限に絞ります。
(ただし、予備的遺言という細心の用心もあります。気になるからはこちらをご確認ください。)

財産の内容が変われば、エクセルのデータを修正しプリントアウト、署名捺印でOKです。遺言書の本文を書き直す必要はありません。本稿の主張では、遺言書はシンプルに書くことですが、それよりも相続財産の正確な目録作成には、相当の手間がかかります。

・財産目録のデータ収集こそ大変。

不動産関係は固定資産税納税通知書を頼りに、法務局で物件の登記簿と公図をあげて、実際の物件との照合をしておいてください。保険契約や有価証券、書画高騰品から使っている自動車まで、5万円を越える価値があれば拾い出してリストにする必要があります。

遺言書の作成よりも、財産の正確な情報を集めることがよほど大変かもしれません。

■遺言書の法務・実務を体系的に解説したページ
遺言書は「書かないこと」こそが最大のリスク|法務・実務・人間心理の落と し穴 。

遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

遺言書がいらないカカア天下。

法人保険の失効は、思いがけずリスクが大きい理由を具体的に。

バレンタインショック前の駆け込み節税保険のピークが、数年後に迫っています。一気に雑収入が出ないよう、解約を先送りできる「失効」というテクニックをお考えの方もあるかと思います。

しかし失効には、簡単でないリスクがあります。具体的な事例を交えて、失効までの手順にどのような落とし穴があるか、案内させていただきました。

実務的には、法人の保険担当者様には理解できると思いますが、かなり専門的になりますので、その点はご容赦願います。

■法人保険の失効と自動振替貸付にまつわる恐い落とし穴。

■法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ 節税保険は「失効」でさらに繰り延べ可能。

法人が契約する節税保険は、利益の繰り延べを主な目的としています。解約返戻率がピークに達したとき解約し、解約返戻金の雑収入を設備投資などに充てる計画です。

設備投資が遅れて、出口のタイミングが合わないようなときは、解約を先送りしたいと考えます。

そのときに使うテクニックに、保険契約の「失効」があります。利益の繰り延べを目的として節税保険の契約をしているわけです。うまく失効という手を使って、さらに繰り延べできればメリットがあります。

バレンタインショック以前の、大量の節税保険の出口対策にお困りの方がおられると思います。

虎の子の簿外資金を有効に使うために、「失効」は有効な手段となります。しかし「失効」には思いがけないリスクがあります。間違いが起こらないよう、情報収集が重要です。

◆ 保険契約の失効期間は3年とは限らない。復活できなければ解除。

保険料を支払わずに猶予期間を過ぎれば、保険は失効します。失効すれば契約の効力がなくなりますので、保障がなくなります。しかし解約返戻金は、そのままの返戻率で継続されます。

■保険料の払込は、猶予期間をがどこまであるか知らないと責任問題に。

一般的に失効の状態で維持できる期限は3年ですので、さらなる繰り延べが可能になります。失効期間中は、その間の保険料を払えば保険を復活することが可能です。失効の期限が過ぎれば、復活することはできません。

その失効期間中に出口対策を組み合わせて、解約時雑収入の使い道を設計できれば、納税額を抑制できるというわけです。

ただし、保険会社により失効から復活できる期限は、異なる場合があります。契約時点で確認するようなことはないと思いますので、当然3年と思っていると後でトラブルになることもあり得ます。

失効予定がある場合は、早めに保険会社か代理店を通じて確認を入れるようにしてください。

・失効猶予3年は通用しないケースに注意。

ただ最近では、金融庁の指導が強くなってきました。

・失効後、復活期限を過ぎた保険を放置しておくと、保険契約を解除して強制的に解約返戻金を振り込んでくる会社があります。

・また復活期限を過ぎると振出証書なるものを発行し、解約返戻金を振り込んだのと同じ処理を強制する保険会社もあるそうです。

普通は、何度も解約の依頼が来る程度ですが、復活できない保険契約を解約せずに保持することは、税理士的に言えば経済合理性がないということなります。課税当局からは、利益調整ととられかねないリスクがあります。

また、失効は失敗することもあります。どういったケースが危ないのか、失効を失敗した理由、そういう場合どういった手があるのか、以下の記事で具体例を検証します。

■法人保険の目的の第一は事業保障という当たり前を噛み砕くと。

◆ 法人契約の節税保険は失効と出口対策が重要。

失効させる前に、そうまでして利益を繰り延べる意味がどこまであるかを理解しておかなくてはなりません。

税理士の先生のなかには節税保険は、利益の繰り延べに過ぎないと言われることがあります。

確かに出口対策ができていないと、出口で課税されることになりますから節税できていないということになるかもしれません。しかし繰り延べに過ぎないと言う方は、経営ということが理解できていないと言わざるを得ません。

コロナ禍やウクライナ危機による景気悪化、燃料高騰、為替の極端な円安など先行きは常に不透明なのです。まったく何があるかわからない経営環境だからこそ、繰り延べは経営資金の保険として重要な意味があるのです。

もちろん出口対策ができれば、それに越したことはありません。しかし中小企業にとれば税金の支払いを繰り延べて、簿外に資金を蓄積しておくことはそれだけで十分価値があるというわけです。

ゆえに失効というテクニックは、リスクを押さえても究極の利益繰り延べ手段として、有効に活用する価値があります。

◆ 法人保険の失効に失敗した理由と具体例。

今回の事例は、エヌエヌ生命の低解約返戻金型逓増定期保険です。またこのケースは団体事務手数料3%とその消費税が、保険料から割り引かれているという少々ややこしいケースです。

多数の保険契約の中の一件だけが解約返戻率のピークを迎えており、解約する必要があるのですが、当面雑収入は先送りしたいという事情がある場合です。

失効させるためには口座振替を振込に変更し、保険料の支払いをストップしなければなりません。ところが今回の場合は多数の契約の内一件だけを失効させたいわけですから、団体取扱いから切り離さなくてはならないという問題があります。契約全体を口座振替から振込に変更することはできるのですが、団体契約からの切り離し失効という手順は簡単ではありません。

さらに一般的には口座振替の場合、契約応当月の月末が多いのですが、例外的にエヌエヌ生命の口座振替のタイミングは契約応当月の1日振替となっています。そのため「団体扱等保険料お払込のご案内」が、契約応当日の1カ月半以上前に届きます。

・収納会社と銀行の壁。

団体扱等保険料お払込のご案内、で事務手数料とその消費税を割引いた口座振替の金額を指定しています。そのとき口座振替を取り扱う収納会社に振替データが送られてしまっているので、元に戻せないのです。

では銀行で支払いをストップすればよさそうなものですが、これがまた困難があります。まず団体取扱い契約ですから、保険料の一部だけを停止するということができません。

さらに口座振替を扱う収納会社は、同時に他の契約の口座振替がある可能性があります。銀行に口座振替収納代行会社を指定して支払い停止することもできますが、問題があります。これはほかの口座振替に影響を与える可能性があり、やはりリスクがあるので止めることはためらいがあります。

エヌエヌ生命に限らず、口座振替の案内が保険会社から来た段階で口座振替を銀行で止めることは、むつかしいと考えなくてはなりません。

銀行に明細を確認して、口座振替を停止できないか確認したことがありますが、それは無理との回答でした。

◆ 保険契約、失効失敗の損失関係を考察。

エヌエヌ生命の低解約返戻金型逓増定期保険の解約返戻率の一部ですが、

5年目90.78%

6年目88.68%

となっています。5年目のピークを逃すとその差2.1%減となります。わかりやすく保険料を仮に1,000万とすれば5年で5,000万支払っています。その解約返戻率が2.1%下がると解約返戻金は105万の損失になります。

しかし、6年目の保険料1,000万が損金となり実効法人税率が35%であれば350万の納税が繰り延べられます。結論的に申し上げると、失効失敗の損得勘定は経営判断に関係します。というのは、その後の出口対策で損得勘定が決まるからなのです。

解約返戻率は若干低くなりますが、6回目の保険料を払ってから失効させて出口対策に合わせるようなことが可能であれば、最もお得になるわけです。

5年目の出口対策ができていないと言うのであれば、2.1%分の損失を覚悟してその後失効させて解約時期を繰り延べるか、即時解約するかという判断が求められます。

契約応当日までに解約の一件書類が提出できれば、保険料が振替えられていても解約はできます。もちろん払い過ぎた保険料は返金されます。

・失効失敗ながら補足説明。

通常は、もう少し余裕があるはずですが、たまたま口座振替と団体扱い、さらには振替日が契約応当月の1日という特殊な部類に属する事例でした。

口座振替の明細が届いた段階で、気が付いたケースで検討します。

その時点で失効させることはできずに、選択肢は解約返戻率ピーク時の5年目に解約してしまうか、解約返戻率が下がるのを覚悟して6回目の保険料を振替えさせたうえで、失効させるなどの方法で解約を先送りするかの選択になります。

今回のケースでは、解約返戻率のピーク時に失効させるという選択肢を失っている点で失効は失敗になります。

失効できない場合、解約も選択肢です。エヌエヌ生命のサポートによれば、契約応答日の前日の午前中に解約請求書および一件書類が揃えば、口座振替された保険料は翌営業日の午後には返金されるそうです。

うまく利用すれば解約返戻金及び保険料の返金は翌期に先送りすることができるかと考えましたが、さすがに迅速すぎてそれはできませんでした。

事務手数料の割引は返金されないはずなので、返金額は保険料満額とはならず、戻るのは払った分だけとなります、と思ったら他の契約もあるため満額返金となるそうです。どうもしっくりこない話で経理処理がややこしくなります。

エヌエヌ生命のような事例もありますので、失効させる契約があればせめて3カ月前までに口座振替から振込に変更するという用心深さが必要であったということです。

■保険料には払込猶予期間があり、口座振替できなくても自動振替貸付。

◆ 法人保険の失効に失敗しないためには、まとめ。

バレンタインショックで、多数の駆け込み全損保険が契約されました。その解約返戻率のピークが、あと数年でやってきます。

多くの業績の良い会社は、とりあえず利益の繰り延べはできたと思います。しかしそれに見合う出口対策ができているとは思えません。

巨額の雑収入になると思いますから、減額したり失効させたりして雑収入を分散させると同時に、きるだけ解約時期を先送りしたいところだと思います。

その際に失効をうまく利用することは有効な手法なのですが、結構、いろいろな落とし穴が待ち受けていて、あわてることになそうです。

今回の記事は、実務的にかなり細かいところを紹介していますから、保険の経理事務を扱う担当者でないとわかりにくいかもしれません。

若干手間はかかりますが、口座振替はやめて早めに振込に変更することが安全策です。またあてにしていても代理店の営業は人が入れ替わります。

その結果、自分が取り扱った契約でないものには無責任になるということがあります。

失効などというリスクが高い手順は、代理店などをあてにしてはいけません。ただ売り込むだけの無責任な代理店には、ご注意をと申し上げておきます。

法人保険で頼れるアドバイザーの見分け方、事例を紹介。

養老保険は福利厚生か、節税メリットが残るハーフタックスの功罪。