遺言書がいらないカカア天下。

サラリーマン家庭では遺言書がカカア天下。

遺言書の必要性を再三訴えてきて、今さら遺言書がいらないとは自己矛盾ですが、家庭内の権力構造によっては、思いを込めて遺言書を書いても無視されるか生前破棄されることもあるのです。

家庭内の権力構造において、妻の権威・権力・威厳が夫を上回っている家庭を指すことをカカア天下と呼びます。

こういう場合一次相続の被相続人である亭主は、生命保険被保険者契約者にはなれますが受取人にはなれません。それだけではなく遺言書の意味合いも違ったものになってきます。まともな話ではありませんので、何?それ!と思われるのも無理はありません。リラックスしてお読みください。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 遺言書の生前破棄。

遺言書の生前破棄なんて笑い話にもなりません。また書けばよいのですが、家庭内では法的効力がないのです。生前に効力がない遺言書は、被相続人の死後においても重要視されません。

最近のサラリーマン家庭は核家族の延長で、夫婦2人だけの家族というケースが多くあります。そういう場合、嫁の家庭内における権力が最大化されます。相対的に亭主の家庭内での身分は低くなり古臭い表現で言えば、一応の家長ですが決定権のない足軽風情の位置づけになります。

その代わり妻である我が家の大蔵大臣兼財務部長は、家計における全権を握っています。このパターンはよく見かける日本式核家族家庭の標準スタイルではないかと思います。ハリボテの亭主より、予定相続人である子たちや孫たちの支持率も高く、人気度ではとても勝ち目がありません。

こういう現象を一般的に「カカア天下」といいます。不思議なことですが、遺言書などなくても争族なしの、不公平分割がスムーズに進みます。これは相続税がかからないサラリーマン家庭に身を置く、身分が低い被相続人にすれば、そんなはずはないと思いつつも、内心では納得せざるを得ないことでしょう。

■遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

◆ サラリーマン家庭の亭主。

若干、自虐的ではありますが、サラリーマン家庭の亭主などは、労多くして身分低しと言わざるを得ません。辛苦して忍従重なりし宮仕えに耐え、朝早くから夜遅くまで長時間働いても、家族はその後姿を見ることはありません。毎朝スーツを着てどこかへ出かけ、夜遅くに酒を飲んで帰る居候のようなものです。

それゆえの悲劇ですが、財布は妻に握られキャシュカードはもちろん、クレジットカードも持たしてもらえません。月3万円の小遣いで汲々としている亭主には権威も権限も、もちろん威厳ももとから宿らないようです。

サラリーマン亭主としては悲しい話ですが、遺言書を書いても笑い飛ばされるか握りつぶされます。念のため申し上げておきますが、一般的な事例を紹介しているわけでありhokenfpのことではありませんから悪しからず。

◆ カカア天下は遺言書より強力。

いわゆるカカア天下は、日本の一般サラリーマン家庭の標準であり、家庭平和の証です。亭主よりはるかに生命力の強い女房は亭主入滅後も二十年以上長生きするわけですから、老後に必要な資金も半端ではありません。家庭の財布を握って離さない気持ちも理解できます。

それやこれやで、サラリーマン家庭の一次相続においては、身分の低い亭主が多いため遺言書が一般化しない理由があります。被相続人たる亭主の死後に相続人に対して抑えが利くカカアがいれば、そもそも争族は起こらないのです。

相続を民主的にとらえ直した現在の民法こそが、争族を激化させた要因だと言えると思います。権力者がいればそれがカカアであれ、長老であれカリスマ社長であれ物事は丸く収まるものなのです。カカア天下が、身分の低い被相続人が書いた遺言書より強力であるということは、実感からも明らかなことです。

◆ 遺言書よりカカア天下、まとめ。

理想のサラリーマン相続がカカア天下であるなどという法外な論法がまかり通るのは、日本と言うお国柄がまれにみる平和国家であることによるものだと思います。

国家的権力による支配者がいない民主的な国であるからこそ、権力は各家庭に分散しカカア天下という新たな権力構造を生み出したとも考えられます。

サラリーマン家庭では、財産がそれほどあるわけではなくても、不動産やいくばくかの銀行預金・生命保険などの遺産は残るものです。そうすれば相続人たる子は生活の足しになる相続財産をあてにします。

過去の記事で、親の財産を知らせたくない心理と知りたい子の心理について書きました。生命力が強いカカアが長生きするわけですから、カカアにとって自分自身の老後資金は確保しなければ安心できません。いつ死ぬか、老い先いくらかかるかわからないから節税無用という二次相続の心理はこの辺から出てきます。

カカア天下で相続問題が解決するかと言えば、それほどシンプルではありません。案ずべきこととしてカカア天下が失われる二次相続という問題は残ります。

また死亡順位が逆転すると無力な被相続人たる亭主が残り、相続は混とんとする場合があります。そうはならないように順番は守っていただくことです。

亭主にとって端的に申し上げれば、二次相続以後は手出しもできませんから、あの世で眺める他人ごとドラマと割り切っていただくことがよろしいようです。

遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

生保、落日の「GNP営業」はミスリード。

日経記事|生保、落日の「GNP営業」はミスリード。

日経Financialセレクションのなかに、生保、落日の「GNP営業」という記事が掲載されました。さすがにこの内容はhokenfpとしては見過ごすことはできません。

落日とは沈みゆく太陽、意味を読み取れば物事の勢いが衰えることのたとえです。

新聞記事でも週刊誌でも本文の内容とは必ずしも一致しない過激なタイトルをつける傾向がありますから、どうしてもミスリードになるようです。

タイトルの生保、落日の「GNP営業」とは、わかりやすく言えば生命保険営業ではGNP(義理・人情・プレゼント)営業は滅びゆく営業手法だと言っているのです。中ほどのサブタイトルは「非対面の解禁探る」とあります。非対面とはオンライン営業を意味します。

もらう側のGNPでいえば保険契約は好き嫌いで決まる。

◆ 落日の「GNP営業」がミスリードな理由。

本文を読むとプルデンシャル生命の面談減少とソニー生命の非対面営業に関する投資の事例を挙げています。どちらの内容もアフターコロナの営業スタイルに非対面営業(オンライン営業)を加えることで営業活動のチャンネルを増やすということです。対面営業の原則を見直すというわけではありません。

タイトルだけを目で追うと保険業界全体がオンライン販売に移行するかのごとき誤解を生んでしまいます。実際、生命保険のインターネット販売は全体のわずか3.3%程度であり代理店や保険営業の面談による販売が基本です。

仮にオンラインで面談することになっても、少額ならあるかもしれません。しかし最終的に面談なしで新規の生命保険を販売することはないでしょう。面談して直接に契約者および被保険者に合わなければ、健康状態やモラルリスクが把握できません。

テレワークでやる気が出ない保険営業。

◆ オンライン営業の手法と顧客環境。

またオンラインで商品説明をしてもGNP営業がクロージングの最強の武器であることはなんら変わりません。GNP営業が落日を迎えることはあり得ない、と言えると思います。

新型コロナ感染症の見えない波の中で顧客を訪問することはやはり常識に外れる営業になります。ですからメールや電話、資料の郵送などはある程度有効な営業手法になるのはやむを得ないと思います。しかし、オンライン営業を展開するにはzoomやSkypeのようなアプリに習熟する必要があります。これは顧客にとっては重い負担です。

訪問してくれるなら、時間もとりますが、zoomで説明すると言われれば知っている営業でも断るところです。緊急に必要となる節税保険なら時間もとります。でもそれ以外の保障性保険商品の説明は急ぐ必要がないですから、オンラインでは面倒なのですね。

もしもオンライン営業で保険営業の熱意が通じて契約につながるケースがあるとすれば、面談チャンスを生かした密度の濃いプレゼン説明が必要になると思います。

保険はどれに入るかより誰に入るか、人で選ぶ不思議。

◆ 保険営業の本質。

オンラインで面談するにしても保険営業の本質は同じです。保険販売においてGNPの効力が落ちることはそもそもあり得ません。むしろそこをどのようにオンライン営業に取り込むかがアフターコロナの保険営業の成否を分けることになるような気がします。

オンライン面談の弱点は情報不足です。ここで言う情報とは、相手に対する好き嫌いの判断に必要なかすかな表情や身のこなし、微妙な声の調子などです。どうしても全体的な雰囲気が伝わりにくいので、少ない情報で好き嫌いを判断することになるため“なじみ”が甘くなるのです。

またオンライン面談では、人に嫌われないド厚かましさが出しにくくなります。クロージングにかかる人間関係の瀬踏みや追い込みも、場の雰囲気に距離感が出るので保険営業としては空気を読みにくくなります。

また個人でも法人でも顧客にとればzoomやSkypeで面談するのはエネルギーと手間が必要、保険の面談では面倒くさいだけでなく必然性を感じられないのです。

保険営業とGNPについて過去の記事です。
営業研修では決して教えない保険営業の本質をまとめてあります。

■テレワークに不向きな保険営業。

■押しのきかない保険営業の限界。

■法人保険|生き残りの方向性。

■買う側のプロがツボを伝授、保険営業必勝法。

◆ まとめ

保険営業には、現在すべてが最悪の環境であると言えます。こんな事態は過去になかったし、想定もできませんでした。

そう言った中で日経新聞の記事をテーマにアフターコロナ、ウィズコロナの処方箋ともいうべき点について保険営業のあり方を検証してきました。

保険営業はオンラインであっても直接面談であっても根本は同じこと。保険契約は親しくなり信用と信頼を得てからでないと成立しません。それゆえオンライン面談は対面以上の関係づくりの精度を工夫することが重要になるでしょう。

オンラインの面談に恵まれれば、それをチャンスととらえて自分のファンにするぐらいの準備が必要になるでしょう。とくにオンライン面談はアイコンタクトが重要だと思います。目は口ほどにものを言うというたとえもあります。相手に対する好意は目で伝えるぐらいの工夫が必要ではないかと思います。

保険会社は契約者の意向を考えずに非対面営業を推進するかもしれませんが、まず新規契約では通用しないでしょう。さらに既契約の保全でLINEを推進している保険会社もありますが、買う側としてはピンときません。

やはり生命保険は大きな買い物です。保険営業ではオンラインというのは補助的な手段で、それもある程度の人間関係ができてからという気がします。

GNPはデメリットを隠蔽するがGNPはやむなしとする事情について。

遺言書の法務局保管制度は自筆証書遺言が検認不要、費用激安。

自筆証書遺言書の法務局保管が、2020年7月10日から開始になりました。民法の中の相続に関する規定が改正され、自筆証書遺言書の法務局保管という新しい遺言書保管制度になりました。

改正の中でも、遺言書の中の財産目録をパソコンで作成可能となり、遺言書の作成や変更がとても便利なりました。

遺言書作成で手間がかかるのが財産目録ですが、財産は時間が経過すれば変化します。その都度全文を書き直すのは骨が折れます。パソコン作成なら変わった部分のデータだけを修正し、プリントアウトすれば簡単です。手書きではないので、文字も読みやすくきれいに仕上がります。

さらに、法務局保管制度を利用すれば、自筆証書遺言書で必須になっていた家庭裁判所での検認が不要となりました。かかる費用も、公正証書遺言とは比較にならないくらいの激安に設定されています。

自筆証書遺言書の法務局保管制度と財産目録のパソコン作成により、遺言書を作成する人が増えることが期待できます。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 自筆証書遺言書のリスクを軽減する法務局保管制度。

自分で書く遺言書を、自筆証書遺言と言います。その遺言者が直筆で書いた遺言書を法務局に預けることができるようになりました。自筆証書遺言書保管制度といいます。法務局とは土地の登記や法人の登記、法人の印鑑証明などをあつかう法務省の出先機関です。

自筆証書遺言書は金庫に保管したり、信頼できる遺言執行者に預けたりすることもできますが、国の制度として法務局が個人の遺言書を預かりデータ化して保管してくれるようになりました。

自筆証書遺言書の最大のリスクは、遺言書の破棄・改ざんです。法務局で保管されれば万全です。公正証書遺言は安全確実ですが、証人2人が必要なだけでなく、費用が財産額に応じてそれなりにかかります。

また公正証書遺言の場合は、遺言の内容を修正するときにも、同様の手間と費用がかかります。よほど莫大な財産があるか、もめそうな家庭でもない限り簡単には使いにくい制度です。

公正証書遺言が使いにくい理由の本質は、手間がかかるだけではないと思います。意外と自分の財産を証人や公証人に知られたくないという、人間不信に根差していることがあるような気がしています。

・公正証書遺言の費用(遺言書に書く財産の合計額)

手数料額

500万円を超え1,000万円以下           17,000円

1,000万円を超え3,000万円以下      23,000円

3,000万円を超え5,000万円以下       29,000円

5000万円を超え1億円以下                      43,000円

追加加算:全体の財産が1億円以下のときは、手数料額に、1万1000円が加算されます。

総財産が1,000万の方が28,000円払って証人を2人も頼んで公正証書遺言を残そうとするでしょうか。財産が仮に1,000万としても財産の内訳には家屋敷もあるでしょうから、手持ちのキャッシュはそれほど余裕があるとも思えません。やはり公正証書遺言は、事業承継などがからむ資産家向けの制度としては有効だと思います。

今回の改正により、自筆証書遺言書の弱点が補われることになります。単に保管するだけでなく、自筆証書遺言書の弱点である形式要件を確認してくれます。

しかし内容には踏み込みませんので、そこは自己責任となります。公正証書遺言との違いは、遺言内容を担保できるかどうかというところだと思います。

また自筆証書遺言書の保管制度では、法務局が受け付ける段階で作成者の本人確認や形式要件の確認を行うため、家庭裁判所の検認は不要になります。もちろん紛失や偽造、破棄などの心配をする必要がなくなります。

自筆証書遺言書の法務局による保管制度は、作成した遺言書とエクセルで作成した目録に自筆で日付と署名・押印したものを封筒に入れます。

そのまま封をせずに法務局に持っていけば相続開始まで保管してくれます。

法務局では原本を保管するだけではなく、画像データとして保管してくれます。また相続が開始すれば相続人の申請によって写しを送ったり、データを公開したりしてくれます。この費用もお安くなっています。

・法務局保管費用と相続人通知。

誰か一人の相続人が申請を行ったら他の相続人にも通知されます。抜け駆けはできないようになっています。

遺言書の保管申請に3,900円、遺言書情報証明書(遺言の内容を法務局が証明する書類)などを相続人がとるときは1,400円と、物価高の折に激安と言ってよいと思います。

また保管された遺言書の内容は相続が開始しない限り相続人が申請しても公開されません。

法務省も3,900円でサンキューのダジャレを考えたわけではないしょうが、実際の感覚では4,000円と3,900円は、実質的には100円しか違いませんがイメージ的には大違いです。

■遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

◆ 検認不要の自筆証書遺言書の補足説明。

言葉足らずの部分を補うと、相続人の地位や関係を証明する戸籍謄本などの費用は、法務局の保管制度に限らずどの仕組みでも発生します。これは仕方がありません。

実を言うと、自筆証書遺言を金庫に保管しておいて、家庭裁判所に持ち込めば、申請書は800円の収入印紙で済んでしまいます。遺言書の検認証明書も150円という破格の安さですが、手続きがめんどうなのと最短でも一カ月以上、普通は2カ月かかると思っていた方がよいのです。

遺言書の法務局保管制度では、この家庭裁判所の検認という煩わしい手続きを飛ばすことができます。そういう意味では3,900円はサンキューと言えるのではないかと思います。

■遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

◆ 財産目録のパソコン作成は超便利。

遺言書の財産目録をパソコンで作成することができるようになりました。相続財産のリストをエクセルで作成すると言い換えてもよいと思います。

財産というものは毎年変化していくものです。正確な遺言書にするためには見直し・追加・修正が必要になります。そこは財産目録のリストを手書きで作成していると、書き直しの手間が半端ではありません。

財産目録をエクセルで作成するときれいに作成できますし、内容の修正や追加が容易です。

遺言書の本文は被相続人本人の自筆でないと認められませんが、財産目録をエクセルで作成し、添付できるのでとても便利です。

財産内容が変われば、エクセルを修正してプリントアウトし、署名・捺印すればOKです。

もう一度ご本人が法務局に持ち込んで変更すれば大丈夫です。

これは利用者のすそ野を広げられる価値ある改正です。遺言書作成のハードルを下げる効果があると思います。

財産目録のエクセルは、ご自分で作成する必要はありませんから、遺言者以外の手慣れた人が作成しても問題ありません。ただしプリントアウトしたものには、一枚ずつ遺言者の自署と捺印が必要です。

・財産目録の作り方。

遺言書を書く気のない方でも財産目録は、一度整理しておく必要があります。所有する財産をエクセルのシートにまとめると頭がすっきりします。精度をあげるためには、所有する不動産などの登記簿をあげて確認するとよいと思います。

また生命保険なども「契約内容のお知らせ」が毎年届いていると思います。それと保険証券と照らし合わせて、証券番号ごとに整理することです。その結果、生命保険の見直しが必要になったり、受取人変更などの問題点が見えてきたりすることがあります。

遺言書を書くのがベストですが、仮に遺言書は書かなくても財産の整理ができていると、あとに残された相続人による遺産分割協議がスムーズに進み感謝されます。

 

今回の改正による財産目録のエクセル作成は、超便利と言えると思います。ところが、資産家ほど秘密主義でパソコンが苦手だったり、エクセルが使えなかったりします。

財産リストは人任せにできないが(相続人に見せたくないという心理があります。)、自分で作成するほどのパソコンスキルがないという場合は、一刻も早くパソコン教室に通ってください。エクセルで財産目録を作成できるという改正は、それだけの価値があります。

■遺言書の効力が相続争いを防ぐ理由と検認の意味。

◆ 遺言書の法務局保管と財産目録のパソコン作成、まとめ。

財産目録のパソコン作成で注意することは、財産としてその物件が確実に特定できることが重要です。生命保険でしたら保険証券番号、不動産なら地番が一番大事な項目になります。

作成した財産目録を相続人に見られるのが嫌な場合は、パソコンかエクセルファイルにパスワードをかけておいてください。パスワードは付箋に書いてモニターに貼り付けたりせずに、忘れないようにご自分の手帳にメモしておいてください。

法務局で遺言書の管理が完結しますので、家庭裁判所の検認が不要になれば相続手続きがスムーズにすすむものと思います。

・法務局保管の3,900円はやはり安い。

自筆証書遺言の保管制度でかかる3,900円をケチって、タンスの引き出しや貸金庫にしまっておくとリスクになります。遺言書の存在を見つけられなかったり、先に見つけた相続人が知らずに開封したりする間違いが発生します。

果ては、相続人が、自分に不利な遺言書を廃棄するようなことにつながりかねません。遺言書がきっちり執行されるためには、遺言書の性格上、お堅い法務局に預けて管理することはやはり必要なことではないかと思います。

老婆心までに付け加えると、遺言書の法務局保管制度も家庭裁判所の検認も遺言書の形式要件を確認するだけで、遺言書の内容に関しては関与しません。言い分があれば裁判で争ってくださいという立場です。

また、遺言書で指定したことは遺留分を侵害してまで認められるわけではありません。遺言書は書くときは遺留分に配慮してください。出来上がった自筆証書遺言書は、3,900円をケチらずに法務局の自筆証書遺言書保管制度をご利用ください。

■遺言書を書かないリスクと実務について体系的に解説したページ
遺言書は「書かないこと」こそが最大のリスク|法務・実務・人間心理の落と し穴 。

遺言書で怖い認知症、進まぬ財産整理、老いは意欲を減衰させる。

遺言書優先の原則と遺産分割協議の矛盾について。

相続はもともと不公平、兄弟でもめるとあの世で親が涙。

相続では、被相続人である親の意志が優先されます。なぜなら相続財産はもともと親のものであるからです。親にすれば慈(いつく)しんで育ててきたわが子ですから、公平に財産を分けてやりたいという気持ちはあります。

しかし相続で公平ということは、もともとあり得ないと考えるべきです。

相続では兄弟姉妹が複数いれば、その配偶者も同じ数だけいます。いくら可愛くても長年の間に、親としての好き嫌いや世話になった子への思いがあります。その親の思いを反映した財産分けが、親にとっての公平になります。

でも相続する兄弟姉妹にとっては、まさに不公平であり、納得できるものではないと思います。ましてや相続が発生し、親と言う重石(おもし)がなくなれば、兄弟姉妹が相続でもめることは避けられないところです。

■介護は不公平、相続は公平では納得できない相続人の不公平。

◆ 遺言書が書けないフツーの家庭。

相続での遺産分割は、遺言書などで親の意志を示すことができます。しかしなかなか遺言書を書けないのが、フツーの家庭の相続です。

相続税がかかるか、かからないかにかかわらず遺言書は争族を防ぐためには必要なのです。しかし財産が少ないから遺言書はいらないだろうと考える方が多いのです。財産が少ないほど、争族は熾烈(しれつ)になるということは、過去のデータが示しているところです。

相続では、親には親の理屈があります。しかし残念ながら遺産と言う棚ぼた財産を前にして、生活がかかっている兄弟姉妹には理解できるものではありません。

もめることがないよう、親が細心の注意をはらって相続対策をします。しかし不思議に相続には、配偶者やその知人などが出しゃばってきてもめ始めます。

そうなると相続は混とんとし、兄弟でもめるだけではなく、家族を巻き込んだ悲劇に発展することがあります。それゆえフツーの家庭でも遺言書が必要だと申しあげたいのです。

■相続での争いは譲れない人間の本性をさらけ出す深い理由。

◆ 兄弟争族のなれの果て、兄弟は他人の始まり。

遺言書も何もなくて相続人が遺産分割協議をしてもまとまらなければ、法定相続と言う選択肢があります。しかしそもそも法定相続になったとしても、特別受益(とくべつじゅえき)や寄与分(きよぶん)を言い出すと大変です。

納得できない相続人にとれば、公平な相続などということは、はるかに夢物語になってしまいます。

相続人で主にもめることが多いのは、兄弟姉妹です。「兄弟は他人の始まり。」とはよく言ったもので、兄弟の争いは財産のことになるとことさらに根深くなります。

親の思いをよそに兄弟は遺産分割協議で剣呑(けんのん)を極めます。結局、それまでの親戚付き合いを一切絶縁し、盆暮れも法事も顔を合わすことすらありません。親の墓参りも日をずらすほどの念の入れようです。そうなると親は、墓石の下で涙しています。

■特別受益の持ち戻しが争族の火種になると大炎上。

◆ 兄弟でもめる理由、相続では譲れない本音。

親にすれば我が子は誰でも皆、目の中に入れても痛くないほど可愛いものです。その孫に至っては、さらにかわいさが募ります。

そのわが子も成長して、世間の荒波にもまれて人並にお金の苦労をします。すると人間として、擦(す)れてきます。そこには欲得という仮面が張り付きます。

普通のサラリーマンをしていれば、ボーナス以上のお金を一時に手にすることはまずありません。虎の子の退職金があっても、ローンの繰り上げ返済に消えてしまいます。

そんな中、思いがけず遺産相続でまとまったお金が入ると、棚ぼたの不労所得となります。少しでも多く相続したいとは、誰もが思うことです。

相続人にしても、余裕の財産があるわけではないでしょうから、老後の資金は心配です。子供の学資や車の買い替え、家の修繕費用などまとまったお金がいります。大病すれば収入が途絶えることもあるかもしれません。お金やお金に変わるものは、いくらあっても困りません。

思慮深い思いやりのある人間なら、道は譲るかもしれませんが、相続では譲れません。お金がからむ相続では、相続人の人間性にかかわらず、損得勘定が優先します。

他人なら多少遠慮もあるでしょう。しかし血がつながっている兄弟姉妹では、感情露骨で本音の争いに発展しやすいのです。兄弟でもめる原因は、そもそも身内ですから、感情の抑制がきかなくなるということのようです。

■相続争いはお金の奪い合い、生前から争族とは悲しい現実。

◆ 生命保険は受取人固有の財産、でも納得できない不公平。

生命保険は、相続対策としてとても有効な手段です。受取人を指定すれば、遺言書に書かなくても受取人固有の財産として受け取れます。

しかし受取れない、他の相続人である兄弟姉妹にとれば、生命保険金は納得できない不公平と感じるのも無理ないところです。

そこで生命保険金は特別受益だから、相続財産にもち戻して公平に遺産分割を求められたりするわけです。ただ他の相続人が納得できなくても、よほどのことがないかぎり、生命保険金は受取人の固有財産として認められます。

もちろん相続税の対象になりますから、相続税がかかるのであれば、保険金の受取人は申告・納税する必要があります。

◆ 遺言書を書けない親の秘密主義が兄弟争族をまねく。

親は自分の財産の内訳はできるだけ子らに知らせないで、自分の思い通りにしたいと考えます。それゆえ、相続人が親に相続税の節税対策を提案しても、先送りされる理由がここにあります。

■相続で親の本音は秘密主義、親の公平は子の不公平。

■相続財産を教えてくれない親の本音と秘密主義。

被相続人たる親は、あらゆる思いを込めて遺言書を書こうとします。しかし人間は生き物ですから、突然の事故死ということがあります。また大病をすれば気力がなえ、相続などは意識の中で重要度が下ります。はっきり言って、自分の死後のことだからどうでもよくなるのです。

それまでは税理士さんに相談して、着々と相続対策をしてきた経営者の方でも、老いると気力が衰えるのです。ある程度の高齢になるとエクセルは使えない、文字は見にくくなるなどで、財産目録の整理をするのも億劫になるのです。

多くの場合、老化は自覚しないうちに物忘れから認知症のリスクへ進んでいきます。そこに遺言書が書けなくなる親の理由があり、遺言書がないばかりに相続で兄弟がもめる原因があります。

◆ 相続は不公平、親が涙、まとめ。

相続では、相続人である兄弟姉妹がもめることがよくあります。生前の親の意向や配慮にはお構いなく、遺産分割協議では双方の主張が繰り返されます。

相続での財産分けは、相続人全員が納得する分け方などあろうはずがありません。兄弟姉妹でも親の意思が明確な遺言書があれば、まだ渋々でも治まるところがあります。

しかし遺言書がない相続では、言ったもの勝ちの風潮があります。親の世話をしてきた子もいれば、生前にローンの援助を受けた子もいます。親にしてみれば生前の子への支援は、それぞれに内緒にすることが多いと思います。その結果遺産分割協議では、暴露合戦のようになることもあります。

相続とは遺産分割とは言いますが、要するにお金の奪い合いです。これが兄弟となると遠慮がないだけに激しくなります。親があの世で涙する相続とは、まことに悲しい話です。はるか彼方に見える、円満相続の難しさを実感することになります。

■相続は感情で争族になる理由を体系的に解説したページ
相続は制度ではなく感情で壊れる|遺言書と生命保険で争族を防ぐ考え方 。

老後の相続対策は相続税がかからなくても必要な理由。