ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎ!!

ガンになったら保険料免除、0円で名義変更はやり過ぎの法人ガン保険。

CIMG3342一般の保険感覚からすれば、法人契約のガン保険は理解しがたいところです。会社は法人といっても人ではないので倒産はしますが、ガンになるわけではないのです。

被保険者は経営者や役員、社員など生身の体を持っている人間に限ります。会社は被保険者にはなれなくても保険料を負担する契約者になることはできます。

経営者や社員がガンになったらガン保険の診断給付金や入院給付金を会社がいくばくか受け取ってもそれに意味があるのでしょうか。あるいは経営のリスクヘッジになっているのでしょうか。

実は法人ガン保険は見た目以上に妙味があります。その辺を最近のガン保険の新しい傾向をふまえて解説します。

ガン保険の名義変更を突き詰めると見えてくるツボについて。

◆ 法人契約のガン保険は使い道あれこれ。

法人が契約するガン保険は一般の個人が契約するガン保険と仕組みは似ていますが、契約の目的や内容から見ると別物のガン保険です。

大きく二分することができます。一つは社員を被保険者とした福利厚生を表向きの目的にしたガン保険です。表向きというのは、半分以上の目的が財務コントロールにあるからです。

かつては全額損金で保険料を処理できた時代がありましたが、主目的は高率の解約返戻金をあてこんだ節税目的でした。その後1/2損金しか認められなくなり損金算入のうまみが半減し衰退しています。

もう一つは経営者やその一族を被保険者したガン保険です。会社で保険料を負担させておきガンになりそうになったら経営者個人に名義変更譲渡します。それゆえ解約返戻金は少ない方が買い取りやすいのでゼロか少額に設定されています。

前者は保険料が多いほど、そして解約返戻金が多いほど使い道が広くなるのですが、後者は保険料が少なくてしっかりした内容、解約返戻金はできるだけ少なく、できればゼロがよいと言うわけです。

生命保険の解約返戻金は自由に使えるがガン保険の保険金は。

◆ 経営者のガン保険を会社出かける不思議。

経営者のガン保険を会社でかける目的は、名義変更して経営者の個人契約に変更することとは前項に書きました。会社でかける保険というのは福利厚生を目的としたハーフタックスの養老保険以外は保険金の受取人は会社に
設定されています。

そう考えると会社でかけるガン保険は経営者がガンになり経営の前線を離れる間の資金繰りということもあります。零細企業ではガン保険の保険金が資金繰りの足しになることもあります。

会社の役に立たないことはないですが、それでも普通の感覚では経営者を被保険者とした法人契約のガン保険はしっくりこない不思議な商品です。事業保障を考えるならもっとしっかりした保険商品はいくらでもありますから。経営者の役得保険といえるのではないでしょうか。

退職社員の解約はいつすればよいか、悩ましい問題でもあります。

◆ ガン保険は医療費保険、全額損金が認められない理由。

医療保険は基本的に損金算入ができるはずです。ガン保険も以前(H24以前)は全額損金ができました。しかし終身払いのガン保険はガンの発症率が高まる高齢時代の保険料を平準化して、被保険者の若いときから高額の保険料を払うことになりましから、途中で解約すると前払いした払いすぎ保険料が戻ってきます。

全額費用化して損金処理されているのに、簿外に解約返戻金という形で資金が蓄積されます。これは経営者にはおいしい話ですが、課税当局にすればゆゆしき節税行為です。それで平成24年のガン保険通達で、保険料の前払い期間においては全額損金を認めず、1/2損金とされたのです。

そのとき一つの落とし穴ができました。つまり既契約は全額損金の権利を維持できることとなったのです。目的が全額損金の節税ですから1/2損金では保険を新たにかける気がしません。既契約は残り新たな社員には付保しないと福利厚生のガン保険としては矛盾がもちろん生じています。これはこれから問題化するのではないかと思っています。

◆ 法人契約のガン保険は解約返戻金〇円でもお得な理由。

最近では経営者を被保険者としたガン保険で解約返戻金ゼロ円というものがあります。もCIMG3343ちろん短期払いで解約返戻金が少額になっており、すっと同じ10万とか20万とかになるガン保険もあります。

単純に考えれば解約返戻金が少なくなれば保険としての資産価値がなくなりますから契約者としては損に違いないのですが、保障は終身で確保できていますから保険金を受け取る人には損はないわけです。

経営者に名義変更すればガンになったとき保険金を受け取るのは経営者になりますから、会社としてはいくばくかの損失ですが、儲かっている会社では実質お得なわけです。

◆ ガンになったら保険料免除、〇円で名義変更はやり過ぎ!?

保険料免除特約というものがあります。業界用語ではP免(ぴーめん)などと言いますが、ガン保険にもガンと診断されたら以後の保険料は不要という特約があります。このP免と解約返戻金ゼロ円をうたい文句にしているガン保険があります。

保険営業の説明ではガンと診断され保険料が免除になったら、ただで終身のガン保険が手に入りますよと言うわけです。確かに契約者を会社から経営者個人に変更しても費用は発生しないことになります。

単純に考えておかしな話です。普通はガンと診断される前に有償で譲渡するものです。それならわかります。ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更はやり過ぎではないでしょうか。

課税当局の回し者ではないですが、無料のガン保険から受け取った保険金は役員賞与では、という疑念がぬぐえません。

せめて、いくばくかでも解約返戻金があり、ガンと診断される前に会社と売買するならわからないこともないです。人間ドックで精密検査を指定されたら経営者個人に名義変更し、結果が白ならまた法人に契約者をもどします。手間はかかりますが、安全なように思います。

法人保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

◆ まとめ

ガン保険もいろいろな商品が発売されます。保険会社も知恵をしぼって規制の網をくぐろうとします。節税効果が高い保険商品は、売りすぎて一定の臨界を越えると通達がでて規制の網がかかります。

結局その繰り返しの中で、既得権を押さえながらいかにうまく立ち回り、簿外に資金を蓄積するかが大事です。ガン保険も使い方次第では有効な金融商品となります。ガンは早期発見、適切に治療すれば治る病気になりました。しかし繰り返しになりますが、ガンになったら保険料免除、ゼロ円で名義変更は話として都合がよすぎます。仮に金融庁が認可しても課税当局が容認するとは限らないのが、縦割り行政というものです。

養老保険ハーフタックスプランの功罪。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

事業承継に既契約の生命保険が強い味方になる理由。

会社を存続させるためには、経営者の代替わりである事業承継は避けて通れません。会社で契約する生命保険は事業承継の強力な味方になります。

現経営者の万が一により、突然の事業承継となったような場合でも、運転資金不足や自社株の買取資金などに生命保険金が威力を発揮します。

事業承継では、スムーズな経営権の移譲だけでなく、後継者への自社株の移転や経営資金の集中などが必要になります。

事業承継を円滑に進め、経営の安定を図るためには、新規に生命保険契約を考えるだけではなく、以前から保険料を払いつつ継続している既契約の生命保険活用も重要なポイントになります。

昔に契約している生命保険契約は、予定利率が驚くほどよいものがあります。有効に活用すれば事業承継の大きな助けになりますから、そのポイントをまとめました。

保険営業や保険代理店にとれば、新規契約か契約転換でないと成績になりませんから、昔の生命保険の有効活用はあまり踏み込まないところです。

ところが、ここに今では考えられないようなお宝ともいうべき保険があり、保険を後継者に譲渡するテクニックが使えます。事業承継をひかえた中小企業のオーナー経営者や事業承継にかかわる方の参考になれば幸甚です。

■経営権移譲の難しさ、アドバイスと口出しの違いがわからない経営者。

◆ 法人保険は事業承継と相性が抜群。

どこの会社も事業承継の時期になると、保険契約の内容の見直しが必要になります。

後継者あるいは新しい役員を被保険者とした新たな事業保障を確保するために、新規の保険加入を検討します。そうなると先代経営者を被保険者とした昔の生命保険の処遇が問題になります。

その時点で先代経営者は会長か相談役か、あるいは引退かはわかりませんが、第一線を退くと思います。その結果、経営権を後継者に移譲することになります。

そうすると会社としても、事業保障として必要性が低くなった法人契約の生命保険をどうするか、ということが問題になってきます。

会社契約の生命保険の場合は、下記のような契約関係になっていると思います。

契約者=会社

被保険者=先代経営者

受取人=会社

被保険者=先代経営者が万が一の折、会社が生命保険金を受取るようになっている契約です。

いくつか法人契約の生命保険を長年かけていれば、その中には払込満了(保険料の支払が終わること)の保険、保険料の支払いが継続している契約などがあると思います。それぞれによって処理が変わってきます。

これ以上保障が必要ない場合は、解約を検討することになりますが、解約するだけでは生命保険の特性とメリットを生かしきれているとは言えません。

古い時代の生命保険は、その機能をうまく活用することで事業承継や相続設計に組み込むことができます。法人保険は事業承継と、とても相性がよいのです。

■事業承継の失敗事例は、経営権の移譲ができない意外な理由。

◆ 引退する経営者の生命保険を整理。

会社には経営者がいますが、いつかは必然的に経営権を後継者に譲らなくてはなりません。企業を安定的に継続するためには、円滑な事業承継が求められます。

経営者が会社の責任を負っているときは、相応の事業保障が必要です。しかし権限を後継者に移譲すれば責任が軽くなりますから、必要な事業保障も見直しを必要とします。

後継者が育ってきて社長の座を運よく譲ることができれば、それまでの経営者にかけていた生命保険は役割を終えることになります。新しい経営者に事業保障を集中し、それまでの先代経営者を被保険者とした生命保険は整理する必要が出てきます。

引退する経営者を被保険者とした生命保険は、会社の状況や契約内容にもよりますが、以下の選択肢が考えられます。

・払込満了の終身保険は会社で保持する。

・長期定期保険は解約するか払済を検討する。

・医療保険は引退する経営者に支給を検討する。

・解約して経営資金に充てる。

・解約により多額の雑収入が見込まれるときは役員退職金に充当する。

・後継者や相続人に有償譲渡する。

役割を終えた生命保険は、その後の活用次第で経営上のキャッシュフローや事業承継の大きな助けになります。払込を終えた終身保険であれば、被保険者である先代社長が亡くなったときに保険金に変わります。

定期保険の場合は、解約返戻金の有利な時機を見て解約するか、払済にする手を考えます。

また多額の雑収入が見込まれる保険は、引退する社長の退職金支給を検討します。せっかく損金で課税を繰り延べしてきたわけですから、しっかり出口対策を行って無用な税金を納めすぎないようにします。解約返戻金が大きければ雑収入も大きくなりますので、解約のタイミングを合わせます。

引退する社長の医療保険は、会社でもっていても意味がなくなりましたので、役員退職金として現物支給することを考えます。

■経営者の運が会社の運命を決め、社員とその家族の運命を左右する。

◆ 後継者への有償譲渡が美味しい理由。

なかでも意外な盲点が、後継者への有償譲渡です。ベテランの保険代理店でも会社契約の保険を個人に名義変更すると言えば、引退する社長である被保険者に退職金として現物支給すると考えてしまいます。

これまでの経営者に法人契約の生命保険を退職金の現物支給とすれば、退職所得税がかかり、相続発生時には保険金が相続税の課税対象となります。解約すればキャッシュにはなりますが、死亡保険金ではないので額は大幅に少なくなることが多いと思います。

一番お得な名義変更は、先代経営者が被保険者の保険の契約者を、会社から後継者へ変更することです。後継者への有償譲渡になりますが、この手法が有利であるという理由は、先代経営者死亡時の保険金が、相続税の課税対象とならない点です。

有償譲渡すれば、財産としての生命保険の所有者(契約者)が後継者になります。このため相続発生時に受取保険金から、買い取り資金を引いた額が一時所得となります。一時所得は50万の基礎控除があり、差額としての儲けの半分は非課税となりますからかなりお得になるのです。

◆ 後継者へ買い取り資金の集中と融資。

法人契約の生命保険の解約返戻金は、長年の積立ですから結構巨額になっていることがあります。後継者には早くから買い取り資金を集中することが必要です。

役員報酬を増額したり、贈与を活用したりします。あれこれ手はありますが、資金が足りない場合は、買い取り資金を会社から融資するか、金融機関から借りる必要があります。後継者には資金がありませんから返済は、役員報酬の増額とか、親からの暦年贈与でまかなうことになります。

これで予定利率のよい、レバレッジの効いた保険を後継者が手にすることができます。もちろん保険金受取人は後継者に指定します。

・たとえばの例をあげます。

某国内生保大手の契約です。

保険種類:定期保険付終身保険

被保険者:先代経営者

契約者:法人→後継者に有償譲渡

保険料:払込満了(定期保険部分はなくなり終身保険が残っています。)

契約日:S60.11.20(予定利率が5.5%)

保険金:5,000万(終身保険です。)

解約返戻金:3,200万

これで、後継者は3,200万を負担しますが、相続発生時には保険金5,000万を手にすることができます。相続税にはかからず、差額の1,800万は、後継者の一時所得です。

さらに予定利率がよい時代ですので、解約返戻金の増え方も半端ではありません。先代経営者の退職金として支給すれば、保険金は相続財産となり、相続税が課税されます。この違いはかなり大きいと言えます。

ミソは相続発生時に資金に変わりますが相続税の対象ではなく、後継者の個人的な資金となります。

古い保険ほど予定利率が高くレバレッジが効いているので、差額が大きくなり資金移動としての価値が高くなります。

最近の予定利率は1%以下で、たとえばある国内生保では0.85%などとなっており、古い時代の契約が、いかに予定利率がよいかわかります。

◆ 事業承継に既契約の法人保険活用、まとめ。

法人保険は、事業保障と退職金準備を兼ねるケースが多いと思います。今では費用化できる割合に規制が入り、保険料を損金で落とせる比率が少なくなりました。

それでも保険料を費用で落とし、税金を回避しながら簿外に資金を蓄積出来れば有利です。通達が発遣される前の契約では、まだ全額損金や半額損金が、既得権として認められている契約も多数あると思います。解約するとそれまでに払い込んだ保険料が、解約返戻金として戻ってくるので雑収入になります。

法人保険の大きな目的のひとつが、経営者の退職金準備です。この雑収入を役員退職金にあてれば、うまい具合に利益の出口対策となっています。

また事業承継では、後継者にいかに資金を集めるかが重要になります。経営するには自己資金が豊富でないとどうしようもありません。金融機関の信用だけでなく、資金の裏付けがないと打つべき手が滞るというものです。

後継者に資金を集中する基本的な手法は、役員報酬の増額ですが一気に移すことはできません。この問題をクリアして、法人保険で後継者へ資金を移動する方法はいくつかあります。

事業承継と相続設計はある意味では、資金の引き継ぎでもあります。資金移動が円滑にできないと、後継者は難儀することになります。それを税金というコストを最小限に抑えて可能にできるのが法人保険なのです。

法人保険を使った後継者への資金移動は、それだけで相続税の納税資金対策になっています。換金できない自社株を引き継がなければならない後継者には、納税資金として保険金というキャッシュが必要なのです。

事業保障目的の法人保険は、代が変われば役割も変わるということです。会社の信用と責任を負う人に、事業保障は集中すべきです。そしてこれまでの経営者にかけていた生命保険は、役割を終えたわけですから整理していかなくてはなりません。しかし単純に解約したり、退職金として現物支給したりするだけが手ではないのです。

役割を終えた経営者保障になっていた生命保険は相続対策へ。言うは簡単ですが、さっさと解約できない経営者心理という問題もあります。この辺は経営者の引退という別の問題にからんできます。

ワンマン社長の認知症は会社を潰す。

中小企業の事業承継がピンチ:高齢化と後継者不在で廃業・清算の苦境。

法人保険の解約時期を誤る大損リスクと解約管理のポイント。

法人保険の解約と管理のポイントをまとめました。契約者が会社ですから、会社の経理部門が管理します。事業保障や節税目的で、会社の資金を生命保険に投資しています。

金額が大きくなりますから、法人保険では間違いのない経理処理と、解約管理が求められます。

法人保険は、契約している保険の種類により、経理処理が複雑です。さらに契約時期で、経理処理が異なる場合があります。法人保険は解約管理がとくに重要です。

■保険の間違いやすい経理処理、注意点まとめ。

なかでも経営上の資金需要に応じた、解約返戻率のピーク時期の管理が大事です。それは、解約時に出る雑収入の使い道、いわゆる出口対策につながっていきます。会社の資金を管理する経理担当者は、法人保険に明るくないと困ったことになります。

法人保険は、簿外に緊急予備資金を確保するという意味では、大きな価値があります。しかし現実は、国税庁の通達による規制などがあり、生命保険の仕組やルールが複雑になりすぎました。

このため、適切な法人保険管理は、機能していないというより、最初から破綻しているというべき実態があります。経理処理の間違いだけでない、法人保険のリスクを整理しました。

◆ 実務上のリスクを6項目にまとめました。

保険契約は長期にわたる管理になりますから、単純なリスクがつきものです。さらに管理ができていないと、大きな損失につながることが起こり得ます。

もっと言えば、法人で契約する生命保険は、目的が多彩であり、専門的な知識がないと、正しい処理がわからないということがあります。

複雑になりすぎた保険契約を正しく管理し、適切な時期に解約して運用するということは、簡単なことではありません。しかし、誰かが責任をもって管理しなければなりません。リスクを自覚することは、適切な保険管理への第一歩といえると思います。

その1)保険契約を忘れるリスク。

最も人間的なリスクですが、解約時期を忘れるというより、その法人保険が解約を前提とした保険契約であることを忘れるリスクがあります。

今はメリットが小さくなりましたが、節税保険を契約するとき、事業保障を考えていることは、元々あまりありません。解約し解約返戻金を手にすることだけが目的なのです。

その目的を忘れ、普通の事業保障を目的とした保険と同じようにあつかってしまうリスクがあります。

まさかと思われるかもしれませんが、法人保険に関して言えば、本当にそんなことがあるのです。人は忘れる生き物です。忘れるリスク、実は一番大きなリスクです。

その2)管理する人が変わるリスク。

人が変わるというのは、性格が変わるという意味ではなく経理担当者が変わるという意味です。経理担当者といえども定年があります。

しかしそこまでいかなくても、人が変わることは珍しくありません。経理担当者が変わると、引き継ぎはうまくいかないものです。

前任者の情報は引き継がれないばかりか、後任は引き継いだ情報を理解しようとはしないものなのです。まして経理処理は、手法が違うことが往々にしてあり得ます。

人が変わるリスクは、大穴を開ける可能性すらあります。法人保険では、人が変わるリスクは意外と大きいのです。

その3)試算表の保険料からは読み取れない。

毎月税理士を迎えてP/Lを作成し、売上や営業利益などの財務状況を確認する会計報告会は、いずこの会社にもあると思います。月単位の試算表を作成して、経営幹部と財務管理者が会社の経営状況を数値で報告し分析します。

中小企業では多くの場合、昨年度との比較を分析の基本としています。ここに落とし穴があります。昨年度と異なる数字には興味が向きます。しかし昨年どおり支払われている保険料からは、問題点を見つけることはできないのです。

毎月検証しても、その費用の意味がわかっていないと、何をなすべきかわかることはありません。保険料口座振替のような単純な出金は、毎年同じ経理処理をしてしまいます。これが危ないということは、経理担当者にはお分かりいただけると思います。

その4)保険の提案書から解約時期は読み取れない。

保険を提案するときは、必ず提案書で説明します。そのときはその保険の真意を理解していて、提案書は大事にしまい込みます。

しかし提案書に解約返戻金は書いてありますが、解約時期は書いてありません。もちろん保険の目的も書いてありません。節税目的など一言も書いてありません。

ひとたび提案書が保存されると、そこからその法人保険の真の目的は見えなくなってしまいます。

保険会社にすれば、節税目的の保険であることは表だって言うことはできません。このため肝心の目的である解約時期のことは、提案書では全くわかりません。

それは仕方がないことで責任は、契約者にあります。保険会社は、うかつな契約者が解約時期を忘れることで、大きな利益をあげることができます。

損金が本当に損金になり、保険会社の利益となるとき、契約者は大損をすることになります。

その5)気が付けば大損、知らずに満期の大損。

まだしも自分の損失に気がつけば、反省もするでしょうが、ひどいケースではそのまま満期を迎えるという最悪のケースさえあります。

最後まで気がつかないと、逆に幸せかも知れないのですが、それでは役割は果たせません。

法人保険は、保険料も半端ではありません。それを数年も積み立てているのですから、払込保険料の累計は巨額になります。

もともと損金で落としていますから、戻りがなくても気にならないのでしょうか。莫大な簿外の貯金に、気がついていないとしか考えられません。

その6)税理士をあてにしてはいけない。

税理士という職業は経理の専門家ですが、保険の専門家ではありません。かなりの税理士が、保険をあつかうことを潔しとしないのです。

利益相反という意識があるのでしょうか。保険を売ると責任問題が発生するからではないかと思います。

税理士は、法人保険と距離を置こうとしがちです。もちろんそうでない税理士もいますが、やはり税理士に保険の管理を期待するのは、間違いだと言えるでしょう。まして解約時期の管理などを、税理士に期待するなど筋違いというべきです。

法人で契約する保険の管理と言えば、保険料の支払いだけではなく保険積立金の管理、解約の時期の管理などが重要になってきます。すすめられるままに、あるいは節税目的で、期末ぎりぎりにとりあえず契約するような場合があると思います。

そういう場合は、解約時期の管理さえできていないということがあります。法人契約の保険は事業保障だけが目的ではありませんから、リスクを理解した上で、しっかりとした解約管理が重要です。

◆ 保険会社は指定の書類が提出されれば支払。

保険会社は解約返戻金の支払いに必要な要件が満たされた書類が揃い、それが真正であればためらいなく支払います。

保険解約に必要な書類は、各社微妙に異なります。保険証券を必要とする会社、必要としない会社があります。

最近の傾向として、保険証券は重要な意味をもつものではなく、契約の覚えのような機能になりました。紛失すれば再発行の請求をすればよいし、解約するときに保険証券がなくても実印と印鑑証明があれば事足ります。

最近では印鑑も必要なければ、保険証券も発行しない会社もあり、より管理がやりにくくなっています。

実印は金額により不要な会社と、必ず実印と印鑑証明を求める会社があります。金額により不要な会社では、解約返戻金が少額の場合(例:100万以下)証券面の印があれば解約は可能です。すなわち実印でなくても、解約返戻金は入金されるケースがあります。

解約返戻金の振込口座は、もともとの引き落とし口座になります。「※契約者様名義の口座に限ります。」と記載されていますのでここで一応の歯止めがかかります。

ただし契約者様名義の口座に限ります。と記載されていない解約請求書を見たこともあります。別口座を指定することも可能だと思いますが、これは同じく契約者様名義の口座かどうかの確認が入ることでしょう。

◆ 法人保険、解約管理のポイント。

法人保険の解約返戻金は、会社の継続に必要な緊急資金です。また法人で契約している保険を解約するということは、その分の保障がなくなります。様々な責任が伴う保険契約の管理ですから経理責任者任せにしてはいけません。経営者自らの責任と判断で、解約時期を押さえておくことが望ましいと言えます。

保険管理のポイントは、下記の項目に分けてきちんと保険契約をリスト化し、定期的に管理すべきです。

・短期で解約すべきもの

・長期的に管理すべきもの

・解約時期が比較的自由なもの

事業保障を目的とする保険は、保険事故が起こるまで放っておいても大きな問題は起こりません。保険金請求には一応の時効がありますが、ほとんどの保険会社は少々の時効の経過にかかわらず、必要書類が整えば保険金を支払うと思います。

もちろん養老保険のように満期のくる保険も保険会社からきちんと案内がきますから、忘れていても大丈夫です。でも節税目的の生命保険には、お知らせ機能がないものが多いのです。解約時期を誤ると、大きな損をする可能性があります。

がん保険にしても、被保険者の年齢が高くなると返戻率が悪化してきます。福利厚生目的なら解約はおかしなことですが、節税目的なら解約返戻率が下がり始める前に解約しないと損をする事になります。

そこまできちんと面倒を見てくれる代理店はありません。やはり自己責任で保険管理をすべきなのです。

■法人生命保険の解約返戻金を把握することがピンチの会社を救う。

◆ 解約返戻金推移表をエクセルで作成。

もう一つの管理の切り口として、事業保障の合計額と解約返戻金の推移も時系列で一覧表にしておいてください。保険契約の全体像が把握しやすくなり、処理忘れがなくなります。これは手間がかかりますが、簿外のキャッシュフローが明確になり、設備投資などの計画が立てやすくなります。

この辺は自分の使い勝手が良いように、フォームを設計すればよいと思います。集計表は、毎年の解約返戻金額をエクセルに入力することで契約している保険全体の概要がつかめます。

解約返戻金を含めて、総合的な保険管理には専門的な知識と経験がある程度必要になります。解約返戻金の集計表を作る過程で理解が深まるものと思います。

◆ 法人保険の解約管理、まとめ。

法人保険の解約管理を考えるとき、かかわってくる保険営業の人生という問題があります。生命保険契約は長いが保険営業は短い、担当者は変わるのが当たり前ということをお伝えしたいと思います。

法人保険の出口戦略が大事なことは、何度も書きました。ただその時期はたいてい何年か先、あるいは何十年か先になります。

生命保険を提案してくれた担当営業にも、定年退職はあるでしょう。また多くは途中廃業か転職で、せっかく出口戦略を提案した当人がいなくなることも十分あり得ます。生命保険業界は、流転激しき世界です。3年で大部分の人が入れ替わるという話もあるくらいです。

・保険は契約は長いが、保険営業は短い。

金融庁の通達が連発され、どんどん節税保険の締め付けが厳しくなました。保険代理店の食い扶持となっている、主要スキームのほとんどが封じられてしまいました。

その結果、転職する人、廃業する代理店が増加してきました。大手代理店に集約されつつあるように思います。当然、人も入れ替わり担当者も変わります。生活しなくてはなりませんから、自分が取り扱ってもいない生命保険契約に、手間暇かけている余裕はないというのが本音なのです。

生命保険契約は長きにわたりますが、それを扱う保険営業は短いということです。保険代理店の事情、金融庁の締め付け、世間の景気等々で保険は様変わりします。人間、生身ですから担当者がいつまでも元気で、同じ保険営業を続けられるとも限りません。

ましてや銀行や証券会社など、保険販売の窓口としては頭からメンテナンスのお付き合いには不向きです。ほとんどの法人保険担当者は、生命保険の出口案内をする前に退職するか廃業するということです。

・保険の解約管理は自己責任。

結局、保険の解約管理は、自己責任に帰結することが多いと考えなくてはなりません。それだけにしっかりと契約内容を理解しておいてください。提案書を見れば内容を思い出せるまで、書き込みをした提関連資料を保存しておくことです。

自分が十分わかっていないテクニックや、解約時期が限られているような生命保険商品を出来るだけ避けることです。それがまずは安全対策です。たとえば長期平準定期保険のように、解約返戻率の山がなだらかに数年以上続くような、解約時期リスクの低い商品をメインに組み立てておくことです。

そうすれば、法人保険の解約管理も比較的シンプルになるものと思います。

■法人保険の出口戦略を体系的に解説したページ
法人保険の出口戦略を誤ると意味ない|会社が大損する理由。

生命保険の解約返戻金はいつ振り込まれるか、各社比較を事例で紹介。

役員退職金の功績倍率は課税当局が決める。

役員退職金の功績倍率は課税当局が決める。

役員退職金が否認される理由を、課税当局の立場から解説します。

貴重な話を聞く機会がありました。何事も専門家、しかし本当の専門家はわずかしかいません。なかでも国税OB税理士は知識がかたよってはいますが、課税当局の内情や判断基準、税務調査の勘所などは本当の専門家です。

法人保険を売る側から買う側にまわったhokenfpは、保険を売る側の事情がよく分かります。国税OB税理士にとって調査する側の事情やねらいは、手に取るようにわかるというわけで。

たとえは悪いですが、警察官が泥棒になればやすやすとは捕まらないと思います。OB税理士も平たくいえば、あばく側からごまかす側に回るわけです。勘所に詳しいのは、あたりまえと言えなくもないわけです。

■国税OB税理士の自己矛盾を暴くと驚く話が山盛り。

◆ 課税庁の最終報酬月額と功績倍率の考え方。

一般の考え方と違うのは、この役員退職金の支給基準「最終報酬月額×功績倍率」という計算式に融通がきかないのです。

まず役員退職金支給規定があっても、関係がありません。会社によっては功績倍率を役職で規定していたり、中には最終報酬月額ではなく最高報酬月額を規定したりしていますが、税務署の判断の基準になることはありません。

こうなると困ったことは会長や相談役に退いて、報酬を減額すると役員退職金も少なくなります。それまでの役員報酬の加重平均という考え方も、容易に通用しないのです。ちょっと納得できないところですが、課税当局の基本的な考え方で
す。

よって功労金加算という考え方もありません。そのため退職金の算定には、見解の相違が出ます。ところが国税OB税理士の解説では、功績倍率は4倍から5倍ならOKで、6倍から8倍となると問題化するそうなのです。たぶん納税者の主張や理屈は関係なく、この辺が判断の分かれ目なのでしょう。

とにかく課税当局の基本的な基準は最終報酬月額、これなら安全なのです。とすれば会長や相談役に退いても役員報酬を下げることができなくなります。

◆ 役員退職金の支給基準を国税OB税理士に聞きました。

国税OB税理士といっても、経歴はさまざまです。法人税をあつかってきた方と資産税をあつかってきた方では、知識の範囲が違います。中には酒税出身のOB税理士もいます。法人保険の仕組みに明るくないのと営業力のなさは、共通しているようです。

なかにはコンサルにきているのか、調査きているのかわからないような方もいらっしゃいます。能力や知識範囲、性格もいろいろです。しかし課税当局の考え方という点では、共通した知識と経験をお持ちです。説明の仕方はそれぞれ違いますが、役員退職金の支給基準については「最終報酬月額×功績倍率」という点で同じです。

■役員退職金の損金限度は平均功績倍率のなんと1.5倍。

◆ 役員退職金に関する税務相談の効果。

過去に役員値職金を否認されない極意を、下記のページにまとめました。

■役員退職金を否認されない、あたりまえの極意。

①役員退職金支給に至る手順は手を抜かないこと。
②自分の都合のいいように考えないで税務署に事前相談に行くこと。
③実質的に引退すること。

3つのポイントの②に関しては、これで安心とも言えないという話です。確かに税務署に事前に相談に行くと記録が残りますので、それはそれで意味があります。

しかし税務署の中でもいろいろな見解があります。たまたま相談窓口の担当者が概ね了解のアドバイスでも、それは個人の見解であり署の見解ではないという公務員組織とも思えない理屈があるそうです。

税務調査でも調査官の意見は、署の見解ではないということもあります。民間企業ではあり得ないと対応だと思いますが、親方日の丸の権力はあなどれないのです。

結果として役員退職金を否認されようものなら、法人で損金参入が否認されます。その上個人で有利な退職金課税が、通常の所得税あつかいになります。

所得税だけでなく、翌年の住民税まで大幅に増加します。それどころか延滞税までかかるかも知れません。否認されると、全く踏んだり蹴ったりと言わざるを得ません。

・優良申告法人では9億退職金でも承認。

優良申告法人では、国税OB税理士を窓口にして税務署と交渉します。たかが中小企業で、なんと9億もの退職金が認められた事例があります。「9億では何とも言えませんねえ。署と話をつけてきます。」とOB税理士から説明があります。

その後、連絡があり「承認が取れました。ただし赤字にはせんとってくださいという条件付きですが。」ということです。

役員退職金を9億払って赤字にならないというのは、詳しくは言えませんが不動産の売却と保険の解約返戻金の組み合わせです。

その後の税務調査で、役員退職金の支払経緯について確認があるかと思いましたが、まったく触れることがなく終わりました。署に相談に行って確認を取ったことは、税務調査の対象にはならないということのようです。

◆ 功績倍率より偽装引退が狙われる。

引退した経営者にとれば、誰も偽装するつもりはないのです。後継社長に任せておけない危なっかしさ、自分の経営手法に対する自負があります。

仕事人間できたオーナー経営者にすれば、いまさら家庭に居場所がないのでついつい出社します。経営のサポートのつもりが口出しをして、会議ではワンマンショーになってしまいます。

もうこうなれば課税当局に偽装引退と言われても、抗弁のしようがなくなります。実質的に引退することは、なかなかに難しいものなのです。

国税OB税理士に言わせれば、功績倍率より偽装引退が狙われるポイントだそうです。

実質的引退は、有利な退職金税制を利用するための必須条件です。普通の感覚では退職金をもらえば会社との縁が切れます。その後、毎日出社することなどあり得ないところです。

退職金支給の引退の条件としては、給料が1/2以下で代表権がなくなり、さらに偽装と言われないためには退職の実態が必要です。

◆ 何ごとも説明がつく経済合理性が必要。

国税OB税理士の方は、敵か味方かわからないようなスタンスです。しかしよく話し込むと、ご自身の立場はおわかりのようです。少々グレーゾーンの処理では課税当局がどういう見方をするかは、きちんと説明されます。

それによると、説明がつく経済合理性が必要ということになります。これこれこういう理由で、こういう処理をしました、という説明が理路整然としている必要があります。

もちろん本音と建前はありますから、使い分けてということです。本当は利益が出すぎたので節税目的で法人保険に加入しても、建前は企業規模拡大に伴う事業保障の確保というような感じです。

新株予約権付き社債を発行して自社株評価を下げても、建前は新工場建設の資金確保です。

役員退職金の支給額についても、それなりの合理的な計算根拠が必要です。たとえ課税当局との見解が違っても、堂々と主張することです。

その際、高飛車にでることなく、低姿勢で相談することが大事です。もしコネがあるのであれば、元税務署長クラスの国税OB税理士を頼むと落としどころをまとめてくれます。

■役員退職金の功績倍率を国税OB税理士に相談すると!

狐と狸の化かし合いのようなことではあります。中小企業の経営を守り継続するためには、経営者は狐にも狸にもならなくてはいけないのです。

◆ 功績倍率、課税当局の考え方、まとめ。

専門家のアドバイスといえども鵜呑みにはできないということは、どの分野でもおこります。専門家や士業の中でも、さらに専門家がいます。そこまでたどり着くのは大変ですが、手にする情報の質が違います。

たまたま国税OB税理士を事例に、役員退職金の支給要件の勘所をまとめました。立場が変われば、見解が大きく異なるということをご理解いただけたでしょうか。

納税者の手前勝手な理屈では、税務署に通じません。納得できるそこそこのストーリー性があることで、経済合理性が説明できます。

事前相談でほぼ問題なしと回答をもらっていても、税務調査で否認されることもあり得ます。結局、人と人の立場の違いが、結果の違いを生みます。経営というものは「用心!用心!火の用心!?」なのです。

役員退職金否認、最新判例。

遺言書の効力が相続争いを防ぐ理由と検認の意味。

遺言書の効力が相続争いを防ぐ理由と検認の意味。

生命保険をあつかっていると、相続にかかわることが出てきます。保険好きな国民性ですから、資産家も貧乏人も生命保険に加入しています。ところが遺言書を書くという人はあまり見かけません。

遺言書は相続税がかかる資産家が、相続争いを防ぐために書くものと言う風潮があるようです。

遺言書と遺書の区別ができていないというのが、大方の実態ではないかと思っています。よって遺言書の効力が、一般に正しく理解されているとは言い難い状況です。

財産が多くても少なくても、遺言書を書いておけば無用な争族を防ぐことができます。遺言書を資産家や専門家だけのものと考えず、より多くの高齢者の方に活用いただければ世の中の仲たがいもずいぶんと減るのではないかと思います。

自筆証書遺言を有効にするためには、家庭裁判所による検認という手続きが必要です。遺言書の効力と検認の関係について注意事項を整理しました。

■遺言書の効力がものを言う、絶対必要な7つのケース。

◆ 自筆証書遺言書は家庭裁判所の検認が必要な法律文書。

遺書は自ら死を選択する人や、死を前にした人が家族への感謝の気持ちをしたためる最後のお手紙です。涙することはあっても遺産に対する効力はありません。

ところが遺言書は民法に定められた効力があり、れっきとした法律文書です。

うるさい要件がいろいろありますが、これをクリアし家庭裁判所の検認をうければ、不動産登記や被相続人の財産の名義変更のときの証明書になります。

あとに残された家族のことを憂うなら「遺書を書くより法的効力がある遺言書!」と申し上げたいところです。

◆ 勝手に遺言書を開けると法律違反。

遺書は誰がいつ開けても何の問題もありませんが、遺言書はそういうわけにはいかない法的文書なのです。

相続に関係する相続人全員が納得する公正な処理が必要です。

誰か一人が先に内容を知ると不利な遺言の場合、改ざんや破棄のリスクがあります。

よって遺言書は家庭裁判所に検認申請をし、相続人全員に通知したうえ相続人立ち合いで家庭裁判所にて開封し中身を確認することとなっています。

自筆証書遺言の場合、保存場所によっては誰かが先に見つけます。開けたくなる誘惑がないとは言えませんが、法律違反になるとも知らずに開けることもあるでしょう。

検認前に開封したからと言って遺言が無効になるわけではないので、そのままの状態で家庭裁判所に検認を請求することです。検認とは遺言の形式要件を確認し有効であることを証明するものであり、内容にはかかわりません。

たとえ開封してしまったとしても、遺言書としての効力がなくなるわけではありません。家庭裁判所に検認を申請しましょう。

遺言書は「開封厳禁!」間違って開封しても、検認へと申し上げておきます。

■遺言書の書き方はシンプルに、財産目録はエクセルで超簡単見本。

◆ えっ!過料を払って遺言書を確認する。

「すみません!間違えて開けてしまいました。」とかいって過料を払っておけばよいのです。そうすれば他の相続人に先んじて遺言の内容を確認できます。

遺言書の開封は法律違反ですが、犯罪ではありませんから逮捕されるようなことにはなりません。たとえは悪いですがスピード違反で反則金を払うようなものです。

それで遺言の内容に問題なければ、家庭裁判所の検認をうければよいのです。

誤解なきように申し上げておきますが、法律違反になりますからむやみに遺言書の検認前の開封をおすすめしているわけではありません。もめそうな遺言書では、改ざんを主張されると裁判になります。

自筆証書遺言にはそう言うリスクがあるということです。

■遺言書を破棄したら罪になるかを事例で説明。

開封は「ごめんなさい」と過料(罰金)で済みますが、破棄すると犯罪です。遺言を破棄した者は相続欠格者となり一切の相続の権利を失うばかりか、私文書毀棄罪で5年以下の懲役となります。くれぐれもお気を付けください。

◆ 道はゆずり合えても財産はゆずり合えないのです。

遺言書を推奨する理由のひとつには相続争いの多さにあります。お金がなくてもわずかな財産を巡り醜い骨肉の争いが始まります。せめて遺言書で申し送りができていれば争族はいくばくかでも緩和されると思うのです。

田舎では長子相続が普通でした。今もそういう考えは一部に残っています。娘は嫁に出したとき花嫁道具一式で相続放棄、次男は近所に新屋を建ててもらい、それで相続放棄、長男が親の面倒を見るかわりに相続財産をすべて引き継ぎます。したがって遺言書も特に必要ありませんでした。

時代が変わると法律も変わり、人の権利意識も変わります。仲の良い親族といえども遺産分割の場では黙っていられなくなります。遺言書あれば親の意志がわかりますから、不満があっても抑えが効きます。

ゆえに田舎でも都会でも遺言書、金持ちでも貧乏でも遺言書と言えそうです。悲しいかな人は、道はゆずり合えても財産はゆずり合えないのです。

・二次相続の遺言書が大事です。

老婆心までに申し上げますと、二次相続での遺言書はほとんど聞きません。一次相続で終わったと思っていたら、二次相続で相続争いが勃発します。第二次相続争いです。一次相続のときは、母親が存命ですから争いも遠慮があったと思います。しかし二次相続では、すべての歯止めが取れてしまいます。相続財産は少なくなりますが、相続争いは一層熾烈になるという構図があります。

二次相続こそ法的効力がものを言う遺言書を作成いただきたいと申し上げておきます。

■遺言書を法務局に預けると失敗する理由。

◆ 遺言書は、効力がある法律文書、まとめ。

資産家や事業承継にからむ場合は、遺言書は必須になります。また家族仲がよろしくない場合や、子によって生活に困っているような場合、事業に失敗しているような子がいる場合は注意です。とくに親の意思を法的に担保できる遺言書が必要でしょう。

しかし仲のよい家庭で問題があまりない場合は、ガチガチの遺言書でなくても親の意志を簡単な書面で残しておくことで、争いなくおさまることが多いと思います。

親の意志が残っていないと、ギクシャクした遺産分割協議にならざるを得ないのです。そんなつもりがないのに相続争いになるのは、親の意志を書き残さないからです。

できれば生前から子らには遺産分割の割り振りを伝えておくと納得性が高くなります。しかしそれより遺言書で個人の意思を残すことは大事だと思います。

遺贈と贈与・相続人と受遺者の違い、ここを具体的にくわしく。

予備的遺言の効果、相続人死亡の場合遺言が無効に。